398−3.「和」の中の「輪」



含み資産ってどんな意味ですか YS
得丸久文 様 

不良債権とは考えていませんよ。 
極めて優れた資産でしょうね。 
古い制度=20世紀型大量生産、大量販売、大量廃棄システムを裏
方からで支えてきたと思います。 

この古い制度がすでに誰の目から見ても限界に来ているわけです。
新たなシステムを主体的に構築していく努力も重要な社会参加のひ
とつとして ちびっとだけ選択肢に入れて欲しいだけです。(なん
か同じことを何回も書いている気がしますが・・・) 

私もそうですが、日々生きていくためには差し迫った現実を無視す
るわけにはいきません。しかし盲目的にこの現実ばかりを追い求め
た結果を冷静に考えることも必要です。 

再三申し上げてきましたが地域通貨はひとつの可能性にしか過ぎま
せん。ただし、循環型社会との相性はいいようです。 
おそらく日経さんは2001年の元旦紙面も循環型特集を組むと思
いますが、そのインフラとして地域通貨を取り上げてくると思いま
すよ。

まあいずれにせよ20世紀型マネーは暴走を初めているわけです。 
リスク回避のため自ずと地域通貨的な金融製品は登場するでしょう。
スワップなどをみてもその要素は多分に感じられます。 
地域通貨のグローバル化の視点から見ると下記は参考になると思い
ます。
http://www.e-gold.com/ 

地域通貨が本題ではないのでもしさらに情報が必要であれば研究サ
イトを御紹介します。 
Bernard Lietaer  http://www.transaction.net/money/ 
ゲゼル研究会    http://www.alles.or.jp/~morino/INDEX.HTML

地域通貨をベースに私は別のことを考え始めています。 
地域あるいはコミュニティも距離的要因だけ考える時代ではなくな
りました。ネットを通じて世界中の人々と双方向に情報のやり取り
が可能です。与え合うものと与え合う方法を標準化することも可能
でしょう。 
おっと、この先は私のビジネスにも関連するため内緒です。 
今度管理人のTさんに相談しようと思っています。それでは。 

やっぱり循環型社会についても説明しないといけないのかな?? 
女性の方でわからない言葉があればその都度お知らせ下さい。 
このあたりの認識のズレが少し気になっています。 
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貨幣システムの限界             コスモス   
   
 コスモスです。YS様の『地域通貨』を拝読しているうち、私も
お役に立てそうな知識を持っている事に気づきましたので、アップ
させていただきます。なお、私が参考にしておりますのは高校の図
書館で出会った、槌田 敦先生の著作が主要を占めており、失礼な
がらその書名を失念してしまったため、後で調べて御紹介させてい
ただきます。 

 貨幣の流通が適度であれば、社会は安定しているとみなして良い
ものでしょうか? 主要通貨がサポートできる社会運営の仕組みは
、相当狭量なものと言わざるを得ません。 

 例えば今まで井戸水を利用していた地域があったとします。そこ
に上水道を通し、水道料金を徴収し始めたら、地方共同体としての
財源は増すでしょうが、今まで無料であったものに代価を支払わね
ばならない地域住民は幸福になったとは言い難いです。 

 また、回収再利用されていたガラスビンをペットボトルに換える
ことにより、企業は製造コストを下げ、新たな商品開発に資本を注
ぐ事が可能になります。しかしビンの再利用で職を得ていた人々は
失業することになります。 
 自由経済の観点からすると、私としても大した問題ではないと思
いますが、従来からビンの洗浄、再利用の工場は現地化の傾向にあ
ります(重量があり、輸送費もかさむから)。となると、彼らが新
たな職を求めようとすると、都会に移り住むか、ガソリンを燃やし
て近郊の職場に行かねばなりません。ただでさえペットボトルの再
利用はエネルギーの浪費と言われています。 

 アグリ・ビジネスの常識ですが、生産物は加工する事により、そ
の商品価値を高くする事が出来ます。例えばジャガイモを一袋
百五十円で売るより、一つか二つのジャガイモをスライスしてポテ
トチップスにした方が、儲けも雇用増大にも役立つわけですね。 
 しかしこうした傾向は、消費者の健康の問題に発展する恐れがあ
ります。 
 例えば今まで自家製のバターやチーズを食べていた地域住民が、
大手企業の規制製品を食べるようになったとしましょう。生乳を消
費者に卸していた地元の酪農家は、大手企業(あるいは農協)の生産
管理に支配されるようになり、余剰の生乳には食紅を混ぜて商品価
値を失わしめてしまいます。 
 消費者は企業のバターやチーズを食べるしかなくなり、その際に
工場で汚染事故(雪印の事件、あるいはカネミ油症事件を思い出し
て下さい)が発生すれば、多くの消費者が一律に被害を受ける事に
なります。 

 GNPが多ければ多いほど国民は幸福で豊かであるのか? 貨幣
システムは自由競争の淘汰によって理想社会を築ける可能性を持つ
のか? 結論としては「どう逆立ちしても不可能」と言わざるをえ
ません。 

 ○生産の集中による弊害 
 問題点を挙げると、 
 1 経済とはただの物に商品価値という占有権を与える事で成立
   する。 
 2 製造コストの低下は、往々にしてそのしわよせを行政に頼る
   事になる(例 安易で採算の取れないリサイクル)。 
 3 生産の集中は事故が生じた際に多大な被害を与える事となる。

 ちなみに、生産の集中は、そうした方が環境に対しても効率が良
い場合があります。 
 例えば発電所。火力発電所は、企業や工場が個々に発電機器を備
えるよりも、大きなプラントを建設し、煤煙を一括して脱硫装置に
かけた方が環境への負荷が少なくて済みます。大きな資本も動かせ
ますから高性能のタービンや脱硫装置も備える事が出来ます。 
 しかし、原子力発電はもちろん、水力発電も、大きなダムを一つ
建設し、それが何らかの事故で使用できなくなった際、そのサポー
トが大変になります。それよりも水車を幾つも川に建設した方が、
いざとなれば地域住民が自力で修理する事も出来ますし、ダムの崩
壊という悪夢にさらされる事もありません。 

 主要貨幣(地域通貨に対するドルや円)の宿命は、絶えざる経済
成長を要する事にあります。またそのレートの変動により、ニュー
ヨークの風邪によって地方の娘子を人売りに出さねばならなくなる
という理不尽な悲劇を生みます(大げさな・・・)。 

 地域通貨の利点は、主要貨幣の変動による被害を、さほど大きく
受ける事がない点にあります。また労働の対価という、地域住民に
とって十分な納得と満足を与える効果も期待できます。 
 もちろん、地域通貨が貨幣の矛盾を完全に解決できるわけではあ
りません。痛みと被害を少なくする効果はありますが。 

 私が考えますに、人とは何かを作りたがる生物です。自家製のチ
ーズやバターの話で分かってもらえると思いますが、そこには「各
家庭で味が違ってくる」という面白い差異が生じます。村の祭りで
、自分の家のチーズを出展し、どこの家のチーズが一番美味しいか
コンテストを開く、という楽しみも出来ます。 

 重労働だった洗濯を洗濯機に任せ、食器洗いを機械に任せる。職
場の通勤を、徒歩や自転車から自動車に換え、それで得られたゆと
りの時間を、皆様は何に使いたいと思われますか? 
 ある人は陶器造りに励むかもしれません。前述した様にチーズや
パンを作ったり。生業にする気はなくとも、絵を書いたり作曲をす
る人もおられるでしょう。皆様の、『本当の欲望』はなんですか? 

 ・・・・こうして、今までの知識の集積を論文にまとめながら、
私は高校時代を懐かしく思い出します。イヴァン・イリイッチ先
生、エモリー・ロビンズ先生、槌田敦先生、そして木仁三郎先生
・・・・ 
 いかにも自分の研究のように論文を書き連ねてきましたが、先生
方の薫陶がなければ、今の私はいません。もちろん直に教鞭を受け
た事はありませんが、先生方の著作は私の心に光を投ずるに十分で
した。 
 先生方、私は稚拙ながら、このような論文を書くに至りました。
恥ずかしながら全て受け売りです。先生方に、この場を借りて厚く
お礼申し上げます。 
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男たちが女性の気持ちになって考え行動すればいいのかな 
                         得丸久文
YSさん、 
結局YSさんの言っておられるのは、僕たち男も女性の感性を身につ
けて考え行動すればいいってことなのかな。 

地域の環境や食べ物に配慮し、子供の遊び場や育児や子育てにも気
を配り、男の面子とかプライドとかによって判断を誤ることなく、
男の遊びにうつつを抜かすことなく、あとどんなことに気をつけれ
ばいいのかな? 

たしかに20世紀、資本主義社会は男性的でありすぎた。 
もっとみんな女の視点を持とう!ということかな? 
だったら、賛成!!! 
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得丸さんへの質問           YS
得丸久文 様 

「和」の中に「輪」を加えることはできないものでしょうか? 
以前からずっと思ってきたことなのですがお考えをお聞かせ下さい。
加えることで世界が拡がるように思うのですが・・・。 
★ネイティブアメリカンの「輪」について 
http://www.janis.or.jp/users/kazuo-s/indian/indian2.html 

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インディアンも孔子も同じですね         得丸久文
 YSさん、 
教えていただいたHPを覗いてみました。面白いですね、なかなか。

>インディアンの男たちにとって、四つの徳目とは、「勇敢さ」と
>「気前の良さ」と「忍耐強さ」と「知恵」の四つだそうです。 

勇敢さはまぎれもなく「勇」であり、我が身の利益を省みない気前
よさや、忍耐強さは「仁」であり、「知恵」は「智」だから、結局
インディアンも孔子も松陰も同じことを言っているのですね。 
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Re:インディアンも孔子も同じですね       YS

もうひとつ「仁智勇」のお話がありますよ。 
これまでに何度も登場したミヒャエル・エンデの代表作「モモ」や
「はてしない物語」も「仁智勇」的な物語ですよ。 
「モモ」も「はてしない物語」(「ネバーエンディングストーリー
」)も映画化されています。御覧になった方も多いのではないでし
ょうか。(でも映画の方はあまり良くなかった。) 
1990年頃にはドイツ本国で150万部、世界33カ国で80万
部が出版されており、本国以外の80万部のうち日本だけで50万
部が売れていました。 
どちらも岩波書店から小学生高学年用に出版されています。 
「モモ」は日本の学者連中に人気があるようです。 
専門書に混じってオレンジ色の「モモ」がポツンと置かれています。 
「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の
子の不思議な物語」です。それにしても宮崎駿作品もそうですが、
なぜか女の子が主人公なんです。どうしてでしょうね。 

ところでネイティブアメリカンにも「今日は死ぬのにもってこいの
日だ」というのがありますよ。 
http://www2c.airnet.ne.jp/assisi/Influence/Native/Nativeword/Nativeword1.htm#5 

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仁智勇を自己の意識の上にインストールする     得丸久文 
YSさん、 
結局エンデも同じなわけですね。なるほど。 
だから、要するに僕たちがしなくてはならないのは、仁智勇の行動
規範・行動哲学を、自ら実践するために、自己意識の上に植え付け
ることではないでしょうか。 

「論語」や「孟子」の素読とか、「講孟剳記」を読むとか、いろい
ろ方法はあるでしょうが、具体的にどうやってインストールするか
を議論しなくてはならないですね 
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日本発 もうひとつの「環(わ)」のお知らせ      YS
「美術、地域通貨」をテーマにした白川昌生展のお知らせ

地域通貨の活動は人のつながりの回復、活性化などを求めた自発的
な動きだと思います。美術も同じような活動が求められています。
今回は、各地で使用されている地域通貨の通帳や紙券を現代アート
として捉え、展示し、また地域通貨の活動に関っている人にアンケ
ートを取り、それを公開します。アンケートの下部に色を塗って頂
き、その色に基づいてアンケートを虹のように列べ、色の繋がりと
同じようにアンケートの人の世界の環をつくります。これによって
、交換−循環−世界−命−色などをつなげるイメージを視覚化でき
るかと思います。 

展覧会は、東京銀座7-10-8 第5太陽ビル1階の「モリスギャラリー
」(Tel:03-3573-5328)で行われます。期間は、2001年1月10−27
日(日祝休)です。 

なお作品の購入にWATが使えるそうです。 
連絡先・作家:白川 昌生-しらかわよしお 

★参考 
白川昌生「基準−日本」から(上) 
http://www.city.kitakyushu.jp/~k5200020/j/binomori/96/shira_01.html 

白川昌生「基準−日本」から(下) 
http://www.city.kitakyushu.jp/~k5200020/j/binomori/97/shira_02.html 


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