298−2.北方領土問題に関して



 北方領土問題に関して、高校教科書・山川出版社の『詳説 世界
史』(1996年3月5日発行)から引用してみたい。

 1853年のペリー来航によって、鎖国は破られ、54年に日米和親条
約、58年に日米修好通商条約を結んだ。こうした中で、ロシアとの
間で55年に日露和親条約が結ばれ、開港のほか、択捉(えとろふ)
島以南を日本領とし、樺太(からふと)を雑居地とすることなどが
とりきめられていた。明治政府は、1875年に樺太・千島交換条約を
結んで、全樺太をロシア領、得撫(ウルップ)島以北をふくむ全千
島を日本領と定めた(259頁)。

 その後、世界大戦となり、1945年2月、ローズベルト・チャーチル
・スターリンは、クリミア半島のヤルタで会談し、ヤルタ協定を結
んでドイツ処理の大綱、秘密条約としてソ連の対日参戦などを決め
、戦後の新国際秩序の基本方向を確認した。ソ連軍は、ヤルタ協定
にもとづき、日ソ中立条約の規定に反し、8月8日に日本に宣戦、中
国東北地方をはじめ、朝鮮・樺太に進撃した(317頁)。そして、
当頁の脚注にて、次のように記されている。ソ連は1945年4月、日ソ
中立条約の破棄を日本に通告したが、条約には通告後1年間は有効と
する規定があった。戦後、ソ連は約60万人の日本人戦争捕虜をシベ
リアやヨーロッパ=ロシアなどに長期間抑留し、強制労働に従事さ
せて、多くの死者をだした。

 日本は、1951年、社会主義国と一部のアジア諸国が不参加あるい
は反対のまま、サンフランシスコ講和会議で平和条約に調印した。
日本は独立を回復し、朝鮮・台湾・南樺太・千島を正式に放棄した
(328頁)。当頁の脚注にて、次のように記されている。歯舞(しぼ
まい)・色丹(しこたん)・国後(くなしり)・択捉(えとろふ)の
北方領土は日露和親条約以来、日本の領土と認められてきた。戦後
、旧ソ連はこれらの地域を占領し、日本はその返還を求めている。

 悪しからず岩波書店の「広辞苑」で「日ソ共同宣言」を引くと、
次のように記されている。1956年モスクワで調印された。両国間の
戦争状態を終結し、国交を回復した。日ソ間に平和条約が締結され
た場合に歯舞群島・色丹島(四島ではない)を引き渡すこととされ
た。管見によると、講和条約の千島放棄の千島の範囲を、ソ連側は
四島を含むと解していた。

図越(づごし)
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(Fのコメント)
領土問題は、実利より感情の問題が大きいと思っています。
もし、4島が返還されても、旧島民は、7000名程度ですし、あ
の極寒の地に住みたいという人は、少数でしょうから。そこの漁業
資源も、漁民自体が減少しているので、ロシアから買った方がいい
くらいです。

 とすると、日本はどうすればいいのか?
感情面をある程度満足させ、かつ日本の実利になるシベリアの天然
ガス開発に日ロが取り組めるようなスキームを作ることが、必要な
のです。今後、中国とインドが経済大国化するために、石油が足り
なくのは、予測可能です。この準備は、日本が他国と共同でガス田
や油田開発することと省エネルギー技術を開発することです。そう
すれば、石油高騰でも、エネルギーや化学工業の原料は確保可能に
なるからです。

 日本人の感情面は、日本の領土との保障がほしいのですが、ロシア
は、そこにいるロシア人の退去が心配なのです。だから、この両方を
満足させる案を暫定的処置として、両国が合意すればいいのです。
まず2島でいいはず??メリットが実感できれば、残り2島も日本と
の暫定処置にしようと、ロシア側から提案されるはずです。

 暫定処置とは、日本とロシア共同管理とすることです。島民は、日
本・ロシアにビザなしで行けることにして、島民になることは、両国
の同意が必要とすればいいのです。勿論、日本の旧島民はすべて島民
にする。日本からの観光客はパスポートなし、ビザなしにするのです。

 ロシアの主張である統治権は、ロシアの統治権が日本の統治権より
上位にすれば、いいのです。メリットは、日本からの公共事業や観光
客誘致ができ、その地域に住んでいるロシア人が裕福になると説得す
れば、現地の知事も納得するはずです。その地域の公用語をロシア語
と日本語にすれば、なおいいのではないでしょうか。通貨もルーブル
と円併用にすればいいのです。

 日本に、きわめて近い異文化や異言語地域になるので、観光客に魅
力ある地域ができることになり、多くの観光客を見込めるはずです。
それと、そこに住む住民の職が確保されるはずです。

また、準日本ですから、日本企業も進出すると思う。一大工業・観光
地域がシベリアにできる。ロシアが関税ゼロとすると、なお良い結果
になると思うのですが。

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