288−2. 個人金融資産について



突然、メールにて問い合わせをして恐縮です。回答頂ければ、望外
の幸せです。

 さて、質問があるのですが、そのテーゼ(命題)とは、
「日本の個人金融資産1300兆円は世界一なのかどうか」

 よく、巷と言うよりも、新聞紙上やテレビにて、この趣旨の発言
を耳にします。
ところが、ある書籍を見て、この1300兆円が世界一ではないと
批判していました。

 宝島社新書『「アメリカ陰謀論」の嘘』 川井健男著 2000/6/24
発行この本のp19です。
 要旨は、
 1300兆円は世界一ではない。アメリカの個人が所有する金融
資産が、はるかに巨額なのだ。米連邦準備制度の統計資料
http://www.bog.frb.fed.us/releases/
(本のアドレスでは、
http://www.bog.frb.fed.us/releases/ZL/Current/zl.pdf となって
いたが、すでに存在していなかった)

によれば、個人および非営利団体が保有している金融資産は、99年
末の時点で、34兆9483億ドルである(正確を期すために書い
ておくと、個人以外の部分、すなわち非営利団体の金融資産は僅か
なものであり、最新資料は96年末の段階であるが、その時点で、
1兆387億ドルにすぎない)。為替レートをおおまかに1ドル
100円で計算するならば、約3500兆円にのぼる(ちなみに言
うと、その負債額は、6兆8409億ドルであり、純金融資産額は
28兆1074億ドル、2810兆円となる)。
 したがって、日本の個人が所有する金融資産額が、「世界全体の
三分の一を占める」というのも、明らかな間違いである。

図越
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(Fのコメント)
 米国の株はバブル状態にあるため、大きく膨らんでいる。
このため、現時点の米国の金融資産は実質より、大きくなる。

 日本の資産は、そのほとんどが銀行への預け入れの実質金額であ
るため、固定値になっている。この違いをどう考えるかなのでしょ
うね。米国の金融資産は、もう1つ、特徴がある。全人口の5%の
高収入者に80%以上の資産が集中していることである。

 このため、資金の流動性が日本より米国の方が大きい。この点は、
日本にはないことで、日本の個人資金は、集中していないし、流動
性もあまり大きくない。世界に対する影響力は、米国の方が大きい
ことになる。

 日本を大きく言いたいのは分かるが、この面では、米国の方が上。

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