268−3.二重国籍の反論について



国際法学者の一般的な理解では、こちら北米でも二重国籍は
望ましくないという意見が、まだ根強いです。(もっとも、他の法
律なども考慮して、最終的には二重国籍反対者は完全少数派になり
ますが。)

実際、カナダ国籍取得の際の宣誓文にも、1973年までは、「この日
を持って、出身国の国籍を放棄します。」のくだりがありました。
もっとも、強制力はありませんが。

米国市民宣誓文には、今でもあります。
理由は、某氏の言うように、
1)兵役
2)外交保護権
これらをめぐっての、二(多)国間衝突の懸念を論拠においていま
す。まかり間違えると戦争に発展するかもしれません。実際、地球
上の国の数を数えると、二重国籍禁止国の方が多いはずです。

納税の方は、国籍云々よりも、居住・非居住で判定するのが、世界
的流れです。
一方で、経済・社会の発展に伴い、人的交流が盛んになると、単一
国籍のみを押し付けることが、かえって、国力の発展の妨げになる
わけです。また、幼少のことから過ごしてきた国との絆を切ること
は、国家権力をしても出来ないわけで、欧州連合諸国では、二重国
籍実施に必要な法改正が実現したわけです。(兵役がいい例。一国
で済ましていれば、他のEU加盟国では免除される。)

米国でも、重国籍者が、もう一つの国籍の国の兵役を勤めても、そ
れだけでは米国国籍の喪失にはならないと、明記されています。
(特に米国の場合、帰化して、もうひとつの国籍を離脱したはずの
人が、たまたま、当該国を訪問したところ、兵舎に連行された例が
多くあります。)

古くは、第二次世界大戦以前の米国でも、米国女性が外国人と結婚
すると、米国国籍が消滅していました。今は、外国人男性との結婚
だけでは、国籍消滅はありえません。

カナダも1977年以前は、現在のような、無条件で二重国籍を認めて
いたわけではありません。1977年以前は、外国で、外国人の父親の
下で出生した赤ちゃんの母親が、「元カナダ国籍」の場合は、カナ
ダ国籍は付与されませんでした。このような場合のカナダ国籍付与
は、1977年からです。

全般として、NATO諸国が発展したのは、互いに人的交流に障害を作
らないで、知識やスキルの受け入れをしてきたからです。

「>これは反対で、全世界的に二重国籍は認めない方向に持ってい
こう、という流れのようですよ。
欧米で二重国籍を認めている(容認している)国が多いので、誤解
が多いのですが、二重国籍を認めている国の方が、遅れているわけ
です。」

このくだりは、全くのでたらめ。先進国であるほど、重国籍を容認
しています。最近のアジアでも、台湾(重国籍実施済)や韓国
(1999年に法案可決したものの、周辺2国の反対などで、一旦引っ
込めて、海外同胞に関する法ー正式名称忘れました。)を実施して
います。

ただ、「>アメリカやカナダ、オーストラリアのような移民の国で
は、生まれた場所の国籍を取らさないと、国として機能するのが難
しいので(例えば、アメリカ国内に移民の出身地であるさまざまな
国籍の人が混在している状態では、アメリカとしての国が一つにま
とまりにくいので)生地主義を取っていますが、そのために二重国
籍になってしまう、というパターンは多いようです。」

このくだりは、我々をなめてますね。まるで、真珠湾攻撃と同じ発
想ですね。アメリカは移民の国ゆえに、国論はばらばらになると期
待して、日本軍が真珠湾を攻撃して、逆にアメリカの国論が統一さ
れました。

カナダのピカチュウ

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