244−2.海外在留日本人の保護について



今回も、多くの投稿者の意見をまとめてみました。投稿者の皆様、
ありがとうございます。

 最近の海外在留日本人の数はどんどん増えています。とくに日本
女性の海外進出は目ざましいものがあります。その殆どのケ−スは
海外諸国の男性と結婚して海外に定住している人達です。海外に住
む日本人は約80万人、このほか1日平均5万人前後の日本人が観
光、出張などで出国しているといわれています。平均10日滞在と
みても、約130万人以上の日本人が常時外国に居ると推定されて
います。この数字は京都市の人口にほぼ匹敵するもので、それだけ
の日本人が常に海外にいることになります。

 したがって、滞在国によっては内乱や災害にあう日本人が出る可
能性はあり、場合によってはそれぞれの滞在国を脱出しなければな
らないような最悪の事態に遭遇しないとも限りません。一昨年のカ
ンボジア内戦、昨年のインドネシア内乱にさいしての緊急邦人輸送
にさいしての航空自衛隊輸送機と巡視船の派遣などはその良い例で
す。

 1985年の旧ユ−ゴスラビア崩壊にさいして、現地の男性と結婚し
た日本人女性も数多くいることが報道されていました。旧聞になり
ますが、当時の在留日本人リビチ郁子さん救出にかんする記事が日
本の新聞に報道されていましたが、その記事を読んで考えさせられ
た事は、外務省、領事館の海外在留邦人への保護に対する対応、
そして今一つはこれら海外在留邦人の国籍問題です。当時の新聞記
事によりますと、リビチ郁子さんの救出に関してフリ−ジャ−ナリ
ストの水口康成さんの尽力により帰国することが出来たのですが、
現地領事館、外務省が極めて消極的であったとのことです。そして
、それに関連した説明に子供をも含めたリビチ郁子さんの国籍が不
明、本人の帰国意思が不明だからなどの理由から外務省の対応はき
わめて鈍かったと述べられてありました。 

 一旦緩急時の海外在留日本人(とくに少数な場合)の保護という
ことに関して、日本政府の対応は今まで必ずしも満足し得るもので
はありませんでした。これが欧米の国の場合にはたとえ対象がひと
りであっても極めて積極的であり、慎重にしかも迅速に対応してい
ます。それにくらべて日本政府の海外在留日本人の安全に対する対
策は余りにも平和慣れの感じがしなくもありません。

 現在の旅券の正面に記載されてある文面にあります。つまり、そ
こには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、
かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう関係の諸官に要請す
る」とありますが、これは正に海外在留日本人の保護は他人任せ、
つまり外国に保護を依頼しているのです。
本当に日本政府が在外日本人の緊急対策にかんしてこの文面通りに
今でも考えており、対処するのだとしたら海外在留日本人があまり
にも惨めになります。

*参考までに
アメリカの旅券には、
「アメリカ合衆国政府国務省は、すべての関係者に対して本旅券所
持者である米国市民を通路故障、かつ、遅滞なく旅行させるととも
に、必要と認めるときは、同人に必要な保護扶助を与えられよう要
請する。」
イギリス旅券では、
「英国内務省長官は、女王陛下の名において、本旅券所持者が通路
故障なく通過し得るよう、かつ、必要な場合は、しかるべき扶助と
保護が付与されるよう関係するすべての者に対し要請するものであ
る。」
ヨロッパ大陸の国、例えば、スイス、ドイツ、オストトリア、イタ
リアなどではこのような文面はどこにも記載されていません。

 この文面が反映されているのかどうかは分かりませんが、実際に
は日本の海外公館の海外日本人にたいする援助は極めて不満足な状
態の場合が多いのです。その一例として、1985年にニュ−ヨ−ク近
郊のアパ−トで日本人青年が銃犯罪の被害者となり射殺された時、
この第一報を日本の両親宅に国際電話で総領事館から知らせがあり
ましたが、その電話はコレクトコ−ルでありました。(1/26/1996 
朝日新聞)  

 また、この両親がアメリカで訴訟をおこし、アメリカの検察当局
に裁判開始を訴えるために渡米し、日本総領事館員に同行を依頼し
たところ、本省からの指示がないとの理由で断られたとのことでし
た。つまり このことからも、日本の海外公館はいざと言う時はあ
まり当てにならないのです。とくに援助、救援の対象がひとりなど
の場合にはかなり絶望的にならざるを得ないことを覚悟していなけ
ればなりません。
 勿論、なかには非常に親切、丁寧に対応してくれる日本の領事館
員もいますが、極めて稀です。

 一方、最近の英国女性の行方不明事件では、日英首脳会談でも取
り上げられているように、欧米諸国では、自国民の安全に関しては
、ひとりでも首脳レベルでの交渉に発展します。

 いずれにしても海外在留日本人救出のような最悪の事態が発生し
た場合の日本政府の基本方針はまず第一に米国政府に在留日本人救
助の依頼することにあり、日本政府独自の対策はないことです。

 海外在住米国人はどこの国にもかなりの数居るので、万が一の事
態が起こった場合、米国政府は世界のいかなる地点にも自国の救援
機を派遣します。それに日本政府は便乗しようというのが基本姿勢
なのです。たしかに、アフリカのような遠隔地に滞在している数人
の日本人の国外脱出にわざわざ日本から救援機を飛ばすよりも、
米国政府に依頼したほうが簡単です。しかし、これほど虫のいい話
はありません。事実、米国政府はもし余裕があれば日本人も救出し
ましょうと声明しています。

これは当然です。米軍は救出の優先順位は、おそらく
1)米国市民、またはその配偶者・子供・親などの家族で永住権
  保持者
2)英国・カナダ国民
3)1)に該当しない永住権保持者
4)その他
カナダ・米国・英国は、3国の取り決めできめているとのことです。
つまり、緊急の場合、日本人が米軍に救援を依頼しても最後の最後
で、もし余裕があればの話になるのです。

 外務省の見解では、どのような状態であっても在外日本人を保護
する法的義務はないとのことです。つまり、海外大使館の第一業務
は日本の代議士等の接待で、国民の面倒を見ることはしないといっ
ているのです。やはり、このような大使館にしたのは国民の責任で
はないでしょうか。
 このため、海外では日本人は基本的には危険が起こっても、自分
の責任で対応しなければならないのです。前述のカンボジアとか
インドネシアの場合の自衛隊の派遣は同じアジア地域でもあり派遣
が容易であったこと、対象となりえた日本人がかなりの数になって
いたことによります。

 主権の源である選挙に関しても、今年やっと海外参政権が実現し
たばかりの国です。それまでの海外の日本人は無国籍同様の立場に
置かれていたことは間違い無いでしょう。

 いままでの新聞報道などからいろいろな状況を理解した時、ヨ−
ロッパ各国の海外在住自国民の救出等に関してもやはり国情の相違
は多少はありますが、日本政府のようにこれほど冷たくは対応して
いません。このような現状を変更する必要があるのではないですか

私Fも、海外に出ていることが多く他人事ではないのです。どうか
在外日本人、旅行者の安全を、日本の大使館は法的第1義務とし、
代議士の接待を非法的第2業務にしていただきたい。そして、日本
の政党は、自分たち代議士だけがよければいいとの発想をやめるべ
きです。大使館業務の議員立法をすることが重要です。このために
、国民が政党や政府に要求することが必要でしょう?

それと、海外での投票行動が重要です。今回海外からの得票が5万
票でしたが、70万票あれば、鳥取・島根県より大きい選挙区にな
り、2〜5人の代議士が選出できます。すると、無視できなくなり
ますので、どうか、投票するための登録を在外大使館で行ってくだ
さい。

自由民主党:http://www.jimin.or.jp/jimin/title.html
民主党のメール:info@dpj.or.jp

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