日本経済新聞社 殿



YS/2000.01.03

日本経済新聞社 殿

記念すべき2000年1月1日付け日本経済新聞にて拙稿の謹賀新年
内容(出稿1999年12月31日午後2時)を励ますかのように『
循環型社会』特集を第6部にて企画いただきありがとうございます。
また、本文の新経営創造においても小林陽太郎氏を取り上げていただ
きました。1999年12月23日付け拙稿『世界新秩序について(
原題「新世界秩序=The New World Order」)』の小林陽太郎氏に関
する内容を裏付けるものとなっており大変感激しております。ただ『
コア』の表現は偶然の一致なのか何らかのメッセージなのか判断しか
ねる部分でいささか困惑しております。(『中国外交の巧みさ』にお
けるお詫び文参照)

さて上記第6部及び第2部及び「Monday Nikkkei」にて連発された燃
料電池について開発当事者(初心者ですが)として情報提供いたしま
す。特に私自信『循環型グローバル資本主義』のメインファクターと
位置付けています。

シンクタンク5社トップ中3人が科学技術予想に燃料電池を挙げてい
ますが現在極めてあわただしい状況となっており実用化は大幅に遅れ
るかもしれません。理由は日本経済新聞1999年11月30日付け
記事にあります。「ガソリン使う燃料電池〜東芝、自動車各社に供給
〜」と題する記事により先行開発各社の足並みが一斉に乱れたのです。
これまでメタノール改質にてほぼベクトル調整が完了しつつありイン
フラ構築に向けた段階まで達していましたが、この記事により完全に
失速しています。以前より燃料電池普及において最大の懸案事項とし
て国際石油資本との協調が必須とされていましたが、「水溶性」の問
題から石油改質は技術的に不可能との味方が大勢だったのです。

触媒劣化等の詳細データが公開されておらず、どこまでが真実か検証
できていませんが、新聞報道が事実であればこれまでの欧州及び日本
主導から一気にアメリカ主導に切り替わる可能性があります。

東芝と共同開発を行うユナイテッド・テクノロジー(UTC)はダウ
/ユニオンカーバイド、エアープロダクツアンドケミカルズ、デゥポ
ン、FMCなどと連動する可能性がありこれに石油、自動車企業、N
ASA等の政府機関が加われば将来的に東芝といえども現在の立場を
維持することは非常に困難かと思われます。

いつまでも原発に固執する日本の政治家は一体どこを見ているのでし
ょうか?本当に悲しい現実ですが・・・。日本経済新聞社さんに望む
のは今以上に世論を高める努力をお願いします。燃料電池の真の狙い
は自動車用ではありません。住宅用分散型発電です。またACからD
C配電への革命的転換は情報通信産業をも巻き込んでいます。

UTCの取締役会にGTE、US WEST、ロイター等の経営陣が
集中している理由を認識すべきです。そして注目すべきは同じ199
9年11月30日付けでインナーサークルの象徴であるシティーグル
−プのサンフォード・ワイル氏がUTCの取締役に選任されています。
ワイル氏はAT&Tやデゥポンの外部取締役も兼任しており強力な布
陣となっています。もう一つ気になる点はダウケミカルの合併前の取
締役会には対日強硬派として記憶にあたらしいダンフォース元上院議
員が参画しています。

はてさて石油の枯渇問題について彼らはどのような言い訳をするか楽
しみです。「技術進歩で新しい油田が次々とみつかったのであと10
0年は大丈夫!!」ぐらいが妥当でしょうか。

BGM/-Naked Songs-RICKIE LEE JONES

コラム目次に戻る
トップページに戻る