2550.日本の役割とは



日本の戦略とは、に答えようとしたが、日本には役割しかない。
                     Fより

日本の戦略とは何かという質問があるが、日本国民がどうなりたい
かがないために、日本は政治的な意味で世界戦略がなく、米国依存
外交に終始している。それで日本経済は成長でき十分満足していた。

しかし、日本企業は欧米企業と競争して成長する段階に入り、世界
展開し始めている。成長の段階で貿易摩擦が起きて、日本企業は世
界に工場を建てて、日本製品を世界に輸出することから、世界で作
り、世界に売ることを目指すようになっている。

最初に東南アジアに工場を建てた松下電器は、東南アジアの人たち
に時間を守ることから教えたという。その国の教育カリキュラムを
識字率向上、時間を守るなど工場勤務できる教育に変えている。

そして、製品の高度化に従い、TQCを導入したり、幹部には松下
イズムを教えたり、その国の文化に松下イズムという日本文化を教
えている。この松下方式をその後、ホンダもトヨタ、スズキなどが
世界に展開して、日本文化を伝道している。

企業が日本文化を伝道するという新しい方法が日本文化を世界に広
めることになっている。欧米企業はマニュアル化して、そのマニュ
アルで世界展開したが、品質の確保ができずに日本製に負けた。

そして、バブル崩壊後、マツダを支援したフォードは幹部をマツダ
に送ったが、その幹部が日本対人手法を米フォードに持ち帰ってい
る。日本文化が企業と共に在るのはもう1つ、海外に展開した企業
に派遣される日本人を対象にした日本食の店ができて、そこで欧米
人、世界の人たちが味を知ることになる。特に、寿司などの生魚を
食べるとか豆腐、天ぷらなどは、米国の中都市にはどこにでもある
風景になっている。しかし、その経営は中国人や韓国人、米人など
で、本当の日本食の味になっていないが、流行っている。マンガな
どの文化も同様に世界に広まっている。

このような日本文化の世界展開はなぜ起こるかというと、日本企業
の優れた品質の製品が、日本文化でしかできないことによっている。
日本文化の特徴は、人に対する対応であると見ている。欧米文化、
企業には形式知を重要視して、暗黙知を認めないし、その伝承方法
がない。短期に人が移動するために、暗黙知を企業で蓄積ができな
い。

海外に進出した日本企業が現地企業に指導して、合弁工場を建てて
、しかし途中で撤退すると、その後その工場の仕組みはそのままで
、いつしか時代遅れになっているという。日本のような徒弟制度や
TQCの仕組みが無いために、工場の生産技術が発展しない。

しかし、日本企業は徒弟制度でこの暗黙知を伝承しようとする。こ
のため、長く勤めてもらう仕組みができている。それが、悪名高い
年功序列の給与体系であったりするが、基本的に仕事を通じて、い
ろいろな暗黙知を上下関係で伝える仕組みになっている。これが製
造業には重要なために、日本企業が世界から今、厚い視線を持って
迎えられる理由である。

欧米が植民地主義であった時代、まず、キリスト教の宣教師をその
地域に入れて、その地域の人たちを宣教し、その後、軍隊が植民地
にした時代があった。これとは違い、日本は無目的で企業が日本文
化の宣教をしている。この無目的性が日本のいい所である。日本文
化が世界に広まり、日本に期待が集まる。

韓国と比較をすると分かる。今、韓国ウォン高であるが円安である。
これには分けがある。日本企業は世界に工場を建てている。このた
め、工場の運営に必要なお金は円ではなくて、世界の通貨に代える
必要になる。物を売ったお金を円に代える必要がない。円買いが少
なくなる。

しかし、韓国製品はほとんど韓国から輸出している。売った金を、
ウォンに代える必要がある。そうしないと、工場が回らない。この
ため、ウォン買いが多くなる。このため、ウォンは高くなる。しか
し、日本企業は世界に工場を作るために、円売りをしているために
、円がますます弱くなる。サムソンや現代が強いことがウォン高の
理由であり、それは韓国製品の品質の良さでもあるので、世界に工
場を建てようとしない韓国企業の選択がそうしている。このように
韓国とも違う選択を日本企業はしているのだ。

日本の役割は、世界に日本文化である日本企業イズムを教育してい
ることで、パックス・ジャポニカを無意識で行っていることである。


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