2547.Re:核武装のデメリット考察



Re:核武装のデメリット考察          tomato 

 まず核の特殊性から
攻撃的現実主義者であるミアシャイマーは核の保有は即勢力均衡に
おいてひとつの極性として台頭し既存の均衡の変化を促す極端な方
法として捉えている

極東アジアにおいて現段階での国際体制は潜在的に中国と日本の二
極体制である 今は米方がバランサーとして均衡を保ってくれてる
ものだが(勢力にたいした均衡か威勢に対して均衡化は別として)
日本の核武装はバランサーとしての米方の役割を相殺するものとし
て体制変化に伴う緊張化が進むと同時に核という特殊な武力を囲っ
たものとなると周辺国の動きが敏感に作用し地域内での劇的な覇権
戦争の火種となりかねない

次にアメリカ覇権体制を維持するレジームから見る核、及び日本の
核保有(アメリカが形成、維持するレジームとして60年代以降の
核非拡散レジーム)

クラズナー、ラギーはinstitution, regime, organization等の位置
づけをレジームが制度、機構を包括するものとしており特にクラズナ
ーの覇権安定論が示すとおりレジームは覇権国の安定のため、覇権国
の利益と合致したものとして形成され覇権体制を再生産する

60年代以降の米方の核非拡散レジームはNPT,IAEAなどの機構の役
割も考えられるがその機構そのものの形成に決定的に貢献したのが
米方でありしかも機構そのものに非加盟国、脱退を始動する国に対
しての強制力はいまだにない ゆえにレジーム維持の主導権は核最
多保有国である米方にある

現段階での(まだ米方の覇権体制が続いてるとして)日本核武装に
よるNPT脱退や極東の緊張化は米方にとって現在維持しているレジー
ム崩壊の要因として捉えられる 

故核ドミノだったりバランサーとしての米方がまだ必要な日本にと
って核武装は合理的ではない 
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核武装続論               トリニティ   

核を持てば自立できるという安易な議論がありますが、じゃあ何で
イギリスはあんな下らないイラク戦争に付き合わされたんだとツッ
コミをいれたくなります。力を持つと逆に地政学的相克を操作する
勢力に利用されてしまうという視点を忘れてはなりません。
tomato氏の議論については完成度が高くもっともだと思うのですが
、こういう風に考えることもできるのではないかと別の視点を用意
してみました。

・核武装は極端な方法である。

→中朝露の核に囲まれている情勢でアメリカの核の傘に依存し続け
るというのも同じように極端な政策です。過去に国民党が切り捨て
られた事実を想起してください。同じ陣営だからといって、ある程
度自立した戦力なしにアメリカに安全保障を委ねるのは危険です。

・日本の核武装は緊張をうみ、覇権戦争の火種となる。

→ですから私は抑制的な規模の核武装を主張しています。インドと
パキスタンでさえ相互核武装が緊張緩和につながったのですから、
経済的依存関係にある日中であればより大人の行動をとるでしょう。
中国はなぜ日本の核武装に反対するのか?そんなことされたら心置
きなく将来の覇権戦争ができなくなってしまうからです。

・日本の核武装はアメリカの覇権の崩壊要因になる。

→確かにある程度の動揺はあるかもしれません。ですが中国の国力
が大きくなっていけば、むしろ日本の核はアメリカの覇権の補完要
因になるでしょう。逆に非核政策の維持は中国の膨張主義的行動を
促進し、アメリカの相対的な覇権の縮小に貢献することになってし
まいます(アメリカの核は中国の利権戦略で徐々に中立化されます
)。今の中国はイラク戦争をリサーチし、陸にあがったアメリカの
弱さを徹底的に研究しているはず。アメリカが独力で中国を陸に封
じ込めるのは不可能になっていくでしょう。

・日本の核武装は合理的ではない。

→私もそう思いますが、非核政策を貫くともっと不合理な現実(日
本の台湾化)を招きそうなので、色々と制約を設けたうえで日本の
核武装を主張しています。議論をアップデートさせていくうえで、
tomato氏のように冷静で現実的な反論は大歓迎です。 


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