2436.不安定なレバノン情勢



レバノン南部の停戦が危うくなっている。そしてシリアの介入。
                          Fより

レバノン南部への国連派遣軍の主流は、当初フランス軍と思われて
いたが、派遣軍の任務が明らかにならないとフランスは200名を
送っただけである。イタリアが3000名の派遣を検討するとした
が、イスラエル軍の攻撃を受けない保障が必要であるとの条件をつ
けている。インドネシアは派遣に積極的であるが、イスラエルは、
イスラム教国からの派遣には反対するという。

ヒズボラは武装解除されないし、レバノン軍はヒズボラの武装解除
はしないことになって、国連の決議はほとんど、履行されないこと
が明確になっている。という状況でいつになったら、国連軍が派遣
されるのか分からない状態にもなっている。

ここでシリアが、レバノンとの国境に国連軍を派遣することに反対
して、もし派遣すれば、国境封鎖すると言う。レバノンはイスラエ
ルから海上封鎖を受けているので、シリアからの物資がないと日常
生活もできない事態になる。しかし、そのシリアからヒズボラへの
武器の搬送も行われているが、レバノンとしては国境を封鎖できな
い。

シリアはシーア派政権ではない。世俗政権であり、元はスンニ派で
ある。シーア派ヒズボラが力を持っている時、かつそのヒズボラの
力をイスラエルの武力で倒せないなら、シリアを味方に着けて、ヒ
ズボラと分離させることが重要になる。

そして、イスラエル政府のペレツ国防相、リブニ外相、ディヒテル
公安相など有力閣僚が相次いで「シリアと和平交渉を再開するべき
」と言う意見を述べている。

リブニ外相は、シリアとの交渉担当者を任命している。ここで、シ
リアと交渉すると、ゴラン高原の返還をシリアは求めてくることに
なる。ゴラン高原は水資源としても重要であり、かつ高原からハイ
ファーなどの北部主要都市への攻撃が容易になるとイスラエルとし
ても手放せないと今までは思っていた。しかし、オルメルト首相と
してはヒズボラの補給ラインを切ることが重要かゴラン高原が重要
かの判断が必要になる。

私Fの判断はヒズボラの補給線を切った方がいいと思う。ロケット
弾をヒズボラからハマスに渡ると、イスラエル南部にある原子力施
設が十分射程に入ることになり、イスラエルは危機的な状況になる。

この意味でも、ヒズボラへの補給停止を優先して、シリアを手なず
けた方が懸命でしょうね。さあ、どうなりますか??
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シリアとの和平交渉模索か=外相は担当官任命−イスラエル

 【エルサレム22日時事】イスラエルで、2000年以降中断されてい
るシリアとの和平交渉を再開すべきだとの声が出ている。オルメル
ト首相は「(レバノンのイスラム教シーア派武装組織)ヒズボラを
支援するシリアとは交渉しない」としているが、軍事作戦で壊滅で
きなかったヒズボラの盛衰はシリアが握っているだけに、イスラエ
ル国内では当面、交渉の可能性を視野に入れた議論が続くことにな
りそうだ。
 イスラエルのリブニ外相はこのほど、シリアと交渉を行うことを
念頭に、担当官を任命した。地元紙ハーレツなどによると、この担
当官はイスラエル国内の元対シリア交渉担当者らに接触し、情報分
析に当たっているという。 
(時事通信) - 8月22日15時1分更新
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レバノン国連部隊 EU、編成に苦慮 加盟国会議へ(ASAHI)
2006年08月23日03時02分
 レバノン南部で停戦監視にあたる国連レバノン暫定駐留軍(UN
IFIL)拡充部隊の主力と期待されている欧州各国が、部隊の編
成にてこずっている。欧州連合(EU)は23日、加盟国による緊
急会議を開いて派遣規模などを話し合うが、部隊の役割や権限がは
っきりしないとの懸念が関係各国には根強い。 

 国連安全保障理事会の停戦決議は、現在約2000人のUNIF
ILを約1万5000人に拡大するとしている。これまでアジア諸
国などが派遣を申し出たが、中核を占めると見られたフランスは
200人の増派にとどめることを表明し、国連や米国などの失望を
招いた。 

 ドストブラジ仏外相は20日、仏ラジオで「できるだけ早く欧州
の連帯を示すことを求める」と述べ、EU議長国フィンランドに対
し、部隊の編成などを話し合う会議を開催するよう求めたことを明
らかにした。これを受けてフィンランドは、ブリュッセルで23日
に緊急会議を開くことを決めた。 

 派遣については各国ごとの決定が基本で、本来はEUの役割では
ない。だが仏としては、EUとしてある程度まとまった対応を示す
ことで、自国への批判をそらすねらいがあると見られる。 

 ドストブラジ外相はまた「部隊の指揮の報告をだれに対してする
のか。攻撃に対する反撃はどこまで認められるのか」などの疑問点
を指摘した。
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国連レバノン暫定駐留軍、伊首相「指揮する用意」(ASAHI)
2006年08月22日10時50分
 イタリアのプロディ首相は21日、アナン国連事務総長と電話で
協議し、レバノン南部に展開する予定の国連レバノン暫定駐留軍(
UNIFIL)拡充部隊をイタリアが指揮する用意があるとの意向
を伝えた。伊政府はすでに部隊派遣を閣議決定しているが、野党や
世論には反対の声も根強く、今後、議論を呼びそうだ。 

 プロディ首相は地元記者団に「アナン氏が、部隊派遣に前向きな
国々の指導者と話したあとで、どの国が指揮するかを決めるだろう
」と語った。 

 UNIFILについてはこれまで、イスラエルのオルメルト首相
やレバノンのシニョーラ首相がイタリアに指揮するよう求めている。 

 イタリアは18日の閣議で、UNIFILへの部隊派遣を決定。
上下両院の国防・外交委員会も決定を承認した。伊政府は明言して
いないが、最高で3000人規模の派遣数になる見通し。パリジ国
防相が「今月末までに先遣隊を送ることが可能だ」と述べるなど、
消極的とされるフランスなどと対照的に、積極的な姿勢を示してい
る。 

 今年4月の総選挙で中道左派へ政権交代したイタリアは、中道右
派のベルルスコーニ前政権時代の親米路線から欧州寄りへ外交政策
を転換。欧州内での存在感を高めたいプロディ首相は、イラクへの
派遣部隊を大幅縮小する一方で、レバノン危機では関係諸国を集め
た国際会議をローマで開くなど、積極的に関与してきた。 


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