2424.ロシアの状況



ご無沙汰しています。久しぶりにロシア情勢について少し。

ロシアの動きの激しさには日々目が離せませんが、最近になって、
また北方領土近辺に対して中央政府が大きく方針転換してきた模様
です。

昨日の時点で出ていたニュースによると、2007年から5年ほど
かけて、これまで散々ないがしろにしてインフラの老朽化、電気・
水道・ガスもままならない生活環境に放置してきた島民のロシア人
の人気取りと、日本にそういう環境を逆手に取っての領土返還を求
められないための方策として、最近新たにロシア政府が計画中のキ
ャンペーン(?)が以下のようなものらしい。

島民一人当たり100万円前後の住宅改装資金を出し、(この島で
は停電断水が多く、既に今も裕福な人は発電機などを個人で持って
いるが、そうでない人のための改造費用か?)順次、ユジノサハリ
ンスクあたりから飛行機の便など、大方の交通ルートや空港、交通
網の整備や改良を行っていくというようなこと、また現地の学校施
設も大幅に改善され、このキャンペーン期間が終了するまでには、
ロシアの標準もしくはそれ以上の地域と生活水準が同等になるよう
にする計画だそうです。

現在の北方領土に住んでいる大半が軍事関係者らしく、そのために
領土問題に対する意識も、どちらかというとロシア本土よりもいっ
そう保守的で「戦略的拠点として重要なクリル諸島は、ロシアの領
土として返還には応じるべきでない」という意見が大半のようです。

さらに、このキャンペーンを通じて、「ロシアの領土として、これ
だけ十分恵まれた生活をしているのだから、既に日本に帰属する意
味はない」ということを改めて訴えるためかもしれませんが、今後
の軍事的な拠点として考えている可能性もあり、油断できない状況
ではないかとも思えましたので
一応、こちらに報告します。

CHOCO
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(Fのコメント)
ロシアの情報、ありがとうございます。ロシアは北方4島の返還に
応じないとプーチン大統領も言い始めている。露中離間策は難しく
なってきた。日本は中国の属国にはならないように、またその可能
性を狭めるためにも、ロシアと友好関係を築く必要がある。しかし
日本の偏狭な愛国主義者が、日本の国益を台無しにしている事象が
ここにもある。

もう少し、冷静に外交を多角的に検討しないと、難しい。
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話題に出ていた「太陽」件、先日朝日のために田原総一朗氏を取材
しました。参考までに見てやって下さい       神山

「ぜひこの映画が観たい」。ある日、映画配給会社のデスクに、ジ
ャーナリストから一本の電話がかかってきた。声の主はベルリン映
画祭でのこの作品の評判をききつけた田原総一朗だった。戦後60
年以上が過ぎた今、昭和天皇ヒロヒトの存在に初めて新しい光が当
てられた。しかも異文化の監督の手で。それはジャーナリズムにお
いても十分に「事件」だったのだ。映画「太陽」公開に先立ち、田
原総一朗さんに話をうかがった。

人間ヒロヒトの苦悩、悲喜劇性が現れる

この作品が成功しているのは、徹底して昭和天皇の非公式な姿を撮
っていることだ。公式の場においても、徹底して天皇ヒロヒトのプ
ライベートな姿を描いている。
人間でありながら人間であってはならない存在、天皇。その悲喜劇
性を、従来の作品の中の天皇とは全く違う角度からあぶりだそうと
する。まずその狙いが見事だ。面白い。

私たちはこれまで、御前会議の中でか細い声で明治天皇作の反戦の
歌を読む姿や、敗戦後の自分のあり方に悩んで皇太子に手紙を書く
天皇の姿を作品化したことがあっただろうか。空襲の悪夢のシーン
で焼夷弾が魚に化ける映像も見事だ。また、進駐軍が天皇の写真を
撮るシーンにも唸らされた。米兵たちは天皇のことを、あるハリウ
ッドの有名俳優に似ていると口にする。人間になりたくても人間で
あってはならない存在の悲喜劇性を、監督はその俳優の存在に重ね
たのか。このシーンこそこの作品の隠しテーマだと思う。日本人が
初めて目にする天皇の姿が、そこにはある。
   
フィクションの先の真実を描いた作品

 私が初めて昭和天皇に間近に接したのは小学校6年生の時だった
。敗戦後、人間宣言をして全国を行幸した時、たまたま私の家の前
を通ったのだ。その時、小柄で弱々しく、疲れ果てた中年男の姿を
目の前にして私は思ったものだ。

「あぁこのおじさんも大変なんだ。一生懸命なんだなぁ。頑張って
下さい」と。
 この作品で描かれている天皇こそ、あの時実感した天皇そのもの
だ。例えば敗戦後、皇后が疎開から引き上げてきた時、その胸に頭
を垂れる姿。皇太子も広間に戻っていると告げられて、思わず夫婦
手をつないで立ち上がる姿。また大戦末期のシーンでは、音声が聞
き取れないくらいか細い声で語ったりもする。
 総じてイッセー尾形氏の演技が見事だ。もちろん監督の演出力の
成果でもある。天皇ヒロヒトの悩み、恐れ、弱さ、悲喜劇性が少な
い台詞の中で見事に浮かび上がった。また皇后を演じる桃井かおり
も圧巻だ。私は、彼女が20歳の時に『あらかじめ失われた恋人たち
よ』という作品で撮ったことがあるけれど、うまくなった。今では
風格すら感じられる。

 私は天皇は、戦後ある時期に、天皇制を辞める覚悟があったとも
思っている。そんな天皇の思いを、監督は現人神から解放されたヒ
ロヒトの姿で描いた。これまで歴史の表面に現れなかった天皇の知
られざる姿が、この作品を通して伝わってくる。
物語の先にある真実を、ロシア人監督が見事に描ききっている作品
だ。


田原氏キャッチ
初めて人間として天皇が描かれた

私たちは今、人間ヒロヒトを初めて体験する

ストーリー
悲劇に翻弄され、傷ついた
ひとりの人間、昭和天皇ヒロヒト

1945年8月。闇は、まだ明けなかった。戦況は逼泊していたが
、彼は戦争を止めることができなかった。その人の名は、昭和天皇
ヒロヒト。宮殿はすでに焼け落ち、天皇は地下の退避壕か、唯一被
災を逃れた石造りの生物研究所で暮らしていた。彼を神の子孫だと
言う侍従たちに、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と笑った。
午睡の天皇に悪夢が襲いかかる。米軍の爆撃機は巨大な魚に姿を変
え、焼夷弾の代わりに大量な小魚を産み落とす。失われる多くの命
、みるみる焦土となる東京。うなされるように目を覚ます天皇の孤
独。「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と
皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。やがて、連合国占領軍総司令
官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼は、ひとつの
決意を胸に秘めていた。

世界12カ国で絶賛をうけながらも、日本での公開は不可能と言わ
れたアレクサンドル・ソクーロフ監督の傑作「太陽」が、ついにそ
の封印を解かれる。

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