2398.世界の構図が変化



世界の構図が、米国の一極体制から変化している。その検討。
                      Fより

05年9月8日、露ガスプロムと独E・ON、独ヴィンターシャルが、バル
ト海海底経由で独露間を直結する、天然ガスパイプラインの建設契
約に調印した。露プーチン大統領は、この調印式のためにベルリン
を訪問し、独シュレーダー首相と立ち会った。ロシアへのエネルギ
ー依存度がドイツは高いが、このパイプラインで一歩進めたような
気がする。この後、独露関係は親密な関係になっていった。米国は
露ユコスと親しかったが、その露ユコス社はプーチン政権から不当
なことで潰されている。

ドイツでシュレーダ政権からメルケル政権に移行してもこの緊密な
独露関係は不変のようだ。ドイツとロシアの急接近に、ポーランド
など東欧・バルト諸国が危機感を覚えている。 

今年5月に米チェイニー副大統領がリトアニア共和国の首都ビリニ
ュスで、ロシアの民主主義は明らかに後退しており大いに懸念され
る。と激しいロシア批判の演説して、大喝采を受けている。東欧で
親密な独露関係に心配する気持ちが出ている。独仏などの西欧と違
って、東欧はイラクへの軍派遣を米国から要請されて、出て行って
いる。

このような独露関係は過去にもある。ラパロ条約で第1次大戦に敗
退した後ドイツは軍備が制限されたが、ソ連でドイツ軍事工場を建
てて、次の戦争の準備をしていた。

もし独露同盟ができると、欧州連合内の力関係は激変する。独仏同
盟でEUを運営してきたが、独露同盟でロシアがEUに入ると、力
関係がドイツに偏り、フランスは英国と同盟を結び、英仏同盟を作
ることになる。ポーランドなど独露に挟まれた中間地域国家は独露
同盟の一員になるしかない。ウクライナは親欧米派から親露派が政
権を奪い返したが、これも独露同盟の一端である可能性が高い。

独露同盟は世界島のハートランド中心部を占めるために、世界の構
図は激変することになる。英仏同盟と日米同盟が結合して、日米英
仏豪などのリムランド連合ができるでしょうね。

中国は米ロのどちらに着くのか現時点は不明である。上海機構でロ
シアと反米同盟を結成しているが、米国の覇権力が衰えたら、中央
アジアの資源の奪い合いを中ロが競り合っているために、プーチン
後の大統領は中国との同盟関係をつづけないでしょうね。

中国は日本との対決を仕掛けているためにリムランド連合にもロシ
アと資源戦争をしているためにハートランド同盟にも加盟できない
中間領域になっている。現時点、中国は仏独のEUと緊密であるが
、英仏同盟のEUになると、独露同盟に対抗するため米国との関係
が重視されることで、英仏はリムランド連合にならざるを得ない。

中国はしかたがなく、東南アジア諸国や世界の華人との連携やアフ
リカの国々やベネズエラなどの南米の反米国家と連合を組むしかな
い状態になるでしょうが、中国の孤立化が明確になっていくことに
なりそうである。国連安保理での北朝鮮非難決議でも中国の孤立化
が現れていたが、それが明確になるでしょうね。

インドは米国とも連携できるし、独露とも連携できるという優位な
立場にいる。インドの位置がリムランドでもあるし、ハートランド
とも離れていてロシアと資源などで競合しないことによる。

もう1つのグループがイランを中心とするイスラム教シーア派とビ
スボラ、シリアなどで完全に反米国家連合である。ベネズエラや北
朝鮮などもこのグループに入るのでしょうね。このグループに対抗
するために、イスラム教スンニ派諸国は米国と連携するためにリム
ランド連合に入ってくるはず。イスラエルがシリア、ビスボラ、イ
ランなどシーア派連合と戦いになっているのは、この前兆でしょう
ね。

米国はその力が減退して、世界の覇権を手放す方向で、ライスが、
今年2月にドル基軸通貨から地域基軸通貨に移行してもいいと演説
している。
この地域基軸通貨をどの国が中心となって創設するかで世界の構図
が代わることになる。東南アジアをまとめるのは中国か日本かの戦
いでもある。

どうも、世界の変化が加速する傾向にある。このコラム読者の皆様
とともに、その変化を追っていきましょう。

2263.米ライスの戦略
http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/k8/180212.htm

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