2384.芹沢の宗教観



芹沢の宗教観
浅山様

昨年12月に、御殿場の陸上自衛隊富士学校にカレンダーを配布す
るために訪問したあと、電車で沼津に出て、芹沢光治良文学館で、
「新潮日本文学アルバム 芹沢光治良」という作家の写真をあつめ
て、作家の生涯を紹介する本を買ってましたので、ぺらぺらとめく
ってみました。

課題図書の「神の微笑」は、芹沢が、90歳になって、天理教の教
祖中山みきの生まれ変わりという青年に出会って、教祖中山みきの
言葉を代弁するようになる話ですね。

それまでは天理教に対して、やや距離をおいていた芹沢が、中山み
きの言葉をそのまま伝えようとするところに、古い読者は戸惑うか
もしれないけど、芹沢の宗教観は一貫していると、この「文学アル
バム」の著者はいいます。

芹沢の宗教観とは、
「この世に形を備えた神はなく、ただ宇宙の森羅万象を、決った法
則によって動かしている、揺るぎない力はある。その力を神という
なら言ってもよいという考え方である。人はそういう力を体得し、
その中で、楽しく暮らさなければならないのに、我を立て、争いを
繰り返す。それではならぬという警告を神の声として聞き、人々に
伝えようとする人が、必ずや、人類の歴史の中に、ある間隔をもっ
て現れる。釈迦がそうであり、イエスがそうであり、天理教の中山
みきがそうである。
それらを貫くものは一つであって、別々の宗教があるのではない。
宗教が教団を作って、自己の力を伸張しようと考え始めた時、それ
は堕落する」

宗教って、これが本来の姿なのでしょうね。

天の声、宇宙のメッセージを感じ取るために、自己を磨き、宇宙の
法則にしたがって生きる。

荒川修作の建築も、そのように我々の身体を改良するためのものだ
という気がします。

得丸久文
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Re: 芹沢の宗教観

得丸様
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Kumon Tokumaru wrote:
  > それらを貫くものは一つであって、別々の宗教があるのではない。宗教が教団
  > を作って、自己の力を伸張しようと考え始めた時、それは堕落する」
  > 宗教って、これが本来の姿なのでしょうね。
  >
  > 天の声、宇宙のメッセージを感じ取るために、自己を磨き、宇宙の法則にした
  > がって生きる。
  >荒川修作の建築も、そのように我々の身体を改良するためのものだという気が
  > します。
  > 得丸久文
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共感します。各個人がこの自己を磨けることが保証される、今はお金という価値
を保証するもので、それを得ようとする競争が繰り広げられています、日銀総裁
が自らはまり、識者がこれを批判します。

衡平さを欠く行為だと、確かに狭い、狭義の市場主義では。またある識者は資本
主義でも各国でその国の個性がある資本主義などがこれから必要と、確かに完璧
な社会は存在しませんから、反グローバリズムの存在価値はありますし、渋沢栄
一のように、市場の動向と孔子の論語を倫理として行動することが大切と語る人
の聡明さも感じます。

個人の磨き方、武士の時代には剣の技を磨きました、生きるか死かが明快さゆ
え、修練の仕方は個人にとり、必死でした、でも、その時代にも怠け者も居まし
たし、障害を生まれながらに身に持つ人、人生の途上で弱者へ落ちる人も有りま 
したし。逆に人生、順風満帆、高度に達する人もあり。

その下に上に序列ができる、そのことを巡り人間社会の弱肉強食の世界がありま 
す、ただ人間には知があり心があり、憐憫の情がそしてアジアモンスーンの気候 
の元に食う事の比較的恵まれた風土に生まれた万物流転の真理。仏教の慈悲が、 
これをまた補完したのでしょう。

そのバランスが急速に壊された大航海時代以降の市場主義、今、米国の覇権の時
代、ソフィスティケイティドされた兵器で力の先制攻撃した国に正義が有るとす 
る時代。北朝鮮もアメリカもそんなにかわらないぞと、言っては問題でしょうか。

コイズミがアメリカへ行き、今度、米国とどんな向き合い方をするのか大いに関 
心在ります、日本を薩摩人として思い切り表現できるか、それともホモまがいの 
ハグをして、笑顔でメディアに載るだけなのか。

グロバルスタンダードを米国基準と率先して、日銀総裁の米国従属も同列にした 
功績を認められるのか。国民の安全よりも米国に対してのオベッカに、牛肉を輸 
入するようになるのか、はたまた今は時間待ちとお茶を濁し、メディアに「馬鹿
総理」呼ばわりされるようになるのか。

いや、元気が時として瞑想、いや迷走しました。

神の声、天の声を聞く力を得るために修養を痛切に感じます。

宗左近さんのことも思いながら。草々

浅山

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