2371.北朝鮮、最後の挑戦



北朝鮮は再度「瀬戸際外交」を志向し始めた。   Fより

テボドン2号の発射準備が進んでいる。金正日の権力基盤は軍部強
硬派の上に築かれているように感じる。5月25日の南北列車試運
転の突然の中止や今回のテボドン2号発射準備などで、軍部強硬派
が、穏健派や経済派を打ち負かしている。その上に金正日がいるが
、どうも軍部強硬派を統制できない事態になっているようだ。その
理由を考察しよう。

米国の金融封鎖の効果で、権力中枢の裕福な生活が保障できなくな
っていることが背景にあるとは思うが、それだけでは、この突然の
試運転中止を引き起こすことはない。

もし、ある方針の下に金正日が統制していれば、直前の試運転中止
などは起こりえない。この試運転の突然の中止から軍部強硬派が国
政の中心に出てきた印象を受けたが、それは正しいことがテボドン
騒ぎで判明した。この裏に何かの変化があったはずである。

そういえば、後継者候補である二男・正哲がホルモン異常の治療の
ため長期欧州滞在で国内にいなくなり、世継ぎを巡る国内の権力構
造の変化が起きた可能性を否定できない。

北朝鮮は、李氏朝鮮の党派抗争と同じような党派抗争を起こしてい
るが、この党派抗争は李氏朝鮮時代から世継ぎの時に過激になって
いる。この再来のような気がする。

権力闘争が起きて、金正日氏は自分がもう少し頑張ると表明してい
ることでも、事態の重要性を見ることができるが、どうも一時の金
正日氏より現時点、権力が落ちている。これは正哲氏に権力の一部
を渡したが、その部分で、軍部強硬派が巻き返したように感じる。
その部分から権力構造が変化した可能性が高い。

二男・正哲氏はスイスに留学して、欧米の実態を把握しているため
に、現時点で北朝鮮が強硬手段を取ったらどうなるかが、ある程度
予測できるはずで、強硬路線を取ることはない。その辺りで、正日
氏と激突した可能性もある。このため、権力から外すために、欧州
へ治療という名目で長期に追いやったともいえる。

そういえば、李氏朝鮮でも中国に人質に差し出した王子が、当時の
最新動向を持って朝鮮に帰ったが、その動向が気に入らないとして
殺されている。これと同じような事態になっている可能性もある。

さあ、今後のテボドン発射が気になるが、発射したら日本は経済制
裁を施行するでしょうし、中国や韓国でも米国の要請で今までのよ
うな対北朝鮮政策はできなくなるでしょうね。

しかし、北朝鮮は北朝鮮の李根米州局長を訪米させ、対米対話のチ
ャンスを作っているし、金大中前大統領の27日訪朝を許可する方向
など、瀬戸際外交を行っている。米国の動向しだいでしょうが、米
国も大変ですね。イランと北朝鮮にいいように遊ばれている。覇権
大国の自由にならない国家が多すぎ。

日本はミサイル防衛をシッカリして、北朝鮮の脅しが利かないよう
にするしかない。1日でも早く、ミサイル防衛網を完成して欲しい
ものである。
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対米強硬方針、5月に決定=ミサイル発射兆候の背景か−北朝鮮指導
部「虎になる」

 【ソウル16日時事】北朝鮮指導部が5月初めごろ、紙幣偽造に対す
る金融制裁を解除しない米国に強硬姿勢で対応する方針を最終的に
決定したとの情報を、米韓両国の関係当局が捕捉していることが16日
、明らかになった。4月中旬に東京で開かれた国際会議「北東アジア
協力対話」の際、北朝鮮の金桂冠外務次官とヒル米国務次官補(東
アジア・太平洋担当)の会談が実現しなかったのを受け、北朝鮮内
部で「猫になるか、虎になるか」をめぐる討議が行われ、強硬路線
を再確認したとされる。 
(時事通信) - 6月17日7時1分更新
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北朝鮮、ミサイル実験準備の兆し・米と「対話」狙う?
(nikkei)
 北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の実験発射準備を
加速させているとの観測が日米韓で強まってきた。来週にも発射す
る兆候があるとの報道がある一方、米国を直接対話の場に引き出す
のが狙いとの見方も出ている。

 韓国の消息筋によると、北朝鮮北東部の咸鏡北道花台郡にあるミ
サイル実験場周辺で、テポドン2号の発射準備とみられる動きが最
近活発になっている。日本政府筋も米国から同様の情報を入手した
ことを認めた。 (07:01) 
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北朝鮮の李根局長が訪米か、米国がビザ発給検討

【ワシントン16日聯合】北朝鮮外務省の李根(リ・グン)米州局長
が、米国の大学の招きで来月26日から8月8日にかけて米国を訪問す
る方針を示していることが分かった。米国務省がビザを発給する場
合、李局長は米マサチューセッツ工科大学(MIT)やスタンフォード
大学が主催するセミナーで米国務省の関係者らと非公式に接触する
とみられる。 
 李局長は3月に米国とドル紙幣偽造問題について話し合うためニュ
ーヨークを訪問したほか、昨年6月と2004年8月にもニューヨークで
開催された全米外交政策会議(NCAFP)主催のセミナーに出席してい
る。ただ、2004年12月のNCAFP主催セミナーでは北朝鮮が6カ国協議
復帰を拒否したこと理由に米国務省が李局長に対するビザを発給し
なかった。 

 米国務省関係者は李局長のビザ発給について「検討中」と明らか
にし、正確な訪米の日程はまだ確定していないが、多くのイベント
があるようだと話した。 

 李局長はこれに先立ち、外務省の局長ではなく兼任する軍縮平和
研究所(IDP)の副所長として、同研究所の研究員4人とともに米大
学からセミナー出席の招待を受けていた。 
(YONHAP NEWS) - 6月16日14時24分更新
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北朝鮮側「金前大統領の訪朝を真剣に扱っている」

【光州15日聯合】北朝鮮の崔承哲(チェ・スンチョル)朝鮮アジア
太平洋平和委員会副委員長は15日、金大中(キム・デジュン)前大
統領が27日に訪朝できるかとの記者団の質問に対し、「真剣に取り
扱っているものと承知している。話し合っているところだ」と答え
た。崔副委員長は、南北共同声明6周年を記念する民族統一大祝典に
北朝鮮側代表団の諮問委員として出席している。一緒にいた北朝鮮
側関係者は、北朝鮮側ではまだ公式的な発表はないと言い添えた。
 一方、韓国側の諮問委員を務める丁世鉉(チョン・セヒョン)元
統一部長官も、大祝典の期間中に訪朝問題を話し合う意思を示した。

 金前大統領の訪朝については、韓国と北朝鮮は先月29日に開いた
実務協議で、今月27日から4日間の日程で陸路を利用した訪朝に合意
したが、その翌週に予定されていた協議はいまだ行われていない。 
(YONHAP NEWS) - 6月16日9時26分更新


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