2041.「ゆきゆきて神軍」



*** 磯部、三島、奥崎 ***

今朝の毎日新聞に、
「映画「ゆきゆきて神軍」の奥崎謙三さん死去85歳」
という記事が出ていました。

私は映画「ゆきゆきて神軍」を見て、それから「ヤマザキ、天皇を
撃て!」をよみ、エキセントリックな彼の生きかたをどうとらえれば
よいのだろうかと、1987年当時、そこそこ躊躇しておりました。

エキセントリックだけど、なぜか憎めない。それは何故なのか、不
思議でした。

しかしながら、その後、三島の「英霊の声」を読んだり、J・ダワー
の「敗北を抱きしめて」を読む中で、昭和天皇がいかに責任を逃れ
てアメリカの思う壺の象徴天皇として生き恥をさらしたかを、徐々に
感じてきました。

奥崎の叫びや行動は、声なき民の代表として、貴重であったのでは
と思うようになりました。

新聞記事によると、奥崎は「死ぬ直前まで院内で『バカ野郎』と叫ん
でいた」そうです。何に対して? 誰に対して?

バカ野郎は、現代を生きているすべての日本人、もしかしたらすべて
の人類に向けられるべき言葉だったのかもしれません。

戦後のじゃぶじゃぶに平和で豊かな日本において、それに異を唱え
ていた数少ない日本人として、奥崎謙三は稀有な役割を果たした
のではないでしょうか。

ご冥福をお祈りします。

得丸久文
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お久しぶりです   
   
  昨年、私のpcには、色々なことがありました。まず、落雷でモデム
を駄目にしてしまった。雲行きも怪しく遠雷が聞こえてきたのでコンセ
ントの電源を切ったので大丈夫と思っていたら、電器店の説明では、
コンセントは、電源を切っても、完全に切られた状態ではないとのこと。
pc専門店で1番安いモデムを買った。秋葉原へ行けば、3、4千円位
で売っているよと聞いたのですが、8千円程した。秋葉原では≠ニ
言ったら、じゃ、秋葉原で買ってきたら≠ニ言われてしまった。取り
付け代金は、やはり8千円とのこと。私は、目を白黒させながら、自分
で取り付けた。

 次は、娘がadslを薦めるので、まず、Windows 98にした。
娘が来る度にdionのコミコミライトは、1万円を越えてしまうのだ。この際、
adslにすべきであると思った。このadslもなかなか順調に滑り出さ
なかった。

 その次は、娘の夫がPCをくれた。以前のPCより、相当、高機能だ
そうだ。相当、グレードアップしたらしいが、私には、何ら関係ない。
もう、本当に付いて行けない、って感じ。ホンマにシンドイ。
 メールマガジンの登録もみんな消えてしまった。私の投稿を掲載
してくれていた本誌だけは、何とか登録できた。しかし、土日以外は、
殆ど、届かない。 

 昨年は、PCの性にする訳ではないが、結構、PCにエネルギーを
費やした。元来、弱視傾向にあるので、画面を読んでいると、眠気が
してきて、本当にいやはやと言ったところだ。

 物臭傾向にある私は、昨年の衣替えをしなかった。原因は、スーパ
ーで純毛のセーターが300円で買えたから。前回のしまい損ねた服
など着まわして、済ましてしまった。かって、当地で100円ショップが
出来た時、100円ショップが出来た≠ニ私は言い回った。最近は、
100円ショップはそれ程、安く思わなくなってしまった。

 物臭な私でも、済まされないことがある。官製談合≠ナある。談合
を告発しているが、検察は、動かない。100%で落札して、請負契約
の増額をするのだ。最初から、増額額で契約しているのだ。

 それから、住民監査請求そして、住民訴訟を提起となった。他人事の
ように思わないで頂きたい。自治体の交付税は、約40%である。
 庁内で村営詐欺団、村営窃盗団と声を張り上げて言っているが、彼
らは何らひるむ事もない、堂々たるものである。自分達には、権力が付
いているといったものを感じとれる。役場に用があって行くと村長は、出
て来て、休んでいけよ≠チて、自分を告発している人によく言えるも
のだ。

 私は、家の中にいると憂鬱で外仕事をすることが多い。農家の人は、
日除け対策を充分整えて、農作業に取り組んでいるが、私は、精々、
帽子を被る位で、随分と日焼けしたように思う。
國井 明子
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(Fのコメント)
ほんとうに、久しぶりですね。このような近況でもいいので、投稿
をお願いしますね。
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「英仏100年戦争」継続中   
   
  フランスのドゴール将軍が第二次大戦中にチャーチル英首相に、「両国は戦争をしてい
 ないときは同盟国です」と述べたことがある。欧州で千年にわたって君臨してきた英仏
 の密接な関係を明確に言い表した言葉だが、将軍が亡命先のロンドンから対独抵抗を呼
 びかけた一九四〇年六月十八日から六十五年後の同日、英仏は欧州連合(EU)の中期
 予算(二〇〇七−一三年)をめぐって激しく対立、ついに首脳会議は決裂した。
 フランスにとって「六月十八日」は第二次大戦の戦勝国入りのきっかけとなった歴史的
 な日だが、実は屈辱の日でもある。ナポレオンが一八一五年にワーテルローで英軍に敗
 北した日でもあるからだ。仏メディアは首脳会議での決裂をワーテルローの戦いになぞ
 らえ、仏敗北と伝えた。

 ブレア英首相が英国が特例として受け取っている還付金問題で一歩も譲らず、現状維持
 の凍結さえ拒否したのに対し、還付金の削減・廃止を要請していたシラク大統領が「凍
 結なら合意する用意がある」と譲歩の姿勢を示したからだ。もっとも大統領もフランス
 が最多の恩恵を受けている共通農業政策(CAP)の補助金削減では一歩も譲らなかっ
 た。

 「英仏百年戦争」と報じたメディアもあった。フランスの王位継承問題をきっかけに、
 英仏が十四世紀から十五世紀にかけて間欠的とはいえ一世紀にわたって戦った史実から、
 英仏の激しい対立ぶりを伝えたものだ。後半には聖女ジャンヌ・ダルクも登場した戦争
 は結局、英国の英仏合体王国創立の夢は砕かれ、英国は英国の、フランスはフランスの
 国民国家形成に向かう結果となった。

 EUの統合の歴史でも確かに内部分裂や激しい対立は英仏によって生じた例が多い。ド
 ゴール政権時代の一九六三年と六七年にフランスは続けて英国加盟に拒否権を行使した。
 英国は一斉にドゴール将軍を「六月十八日」の恩を忘れたと非難したが、将軍は英国の
 加盟は「トロイの木馬(ギリシャが木馬に兵を潜ませる奇計でトロイを滅亡させた)」
 と述べ、英国の背後にいる米国の欧州への影響を指摘した。

 今回の英仏対立の背後には英米と欧州大陸の間で根源的な社会に対するビジョンの相違、
 つまり英米的な自由競争社会を基盤とする「自由モデル」と、仏独など連帯や福祉を基
 盤とする欧州大陸的な「社会モデル」という相違が見えてくるだけに、将軍の拒否は現
 在を見据えた先見性に富んだものともいえそうだ。

 そもそも英国の還付金もサッチャー元首相が、英国の分担金に比較して農業小国の英国
 への補助金があまりに小額なのを不満として八四年に獲得したものだ。英国の主張の基
 本には、「払った金額に見合う払戻金があって当然」という極めて「自由モデル」型の
 発想がある。

 英国が欧州単一通貨ユーロに未加盟なのも、根は同じだ。英国をはじめデンマークや北
 欧のアングロサクソン系に欧州統合懐疑論が強く、英国、デンマーク、スウェーデンが
 欧州単一通貨ユーロに未加盟なのも偶然ではない。

 EU予算は加盟国の国内総生産(GDP)の1%の分配金で基本的に成り立っている。
 域内でGDPの高い「金持ち国」がたくさん支払い、「貧困国」などに必要に応じて支
 給するという、まさに「社会モデル」の典型だ。予算の大部分は英仏独、オランダ、ス
 ウェーデン、オーストリアの六カ国で負担してきた。

 オランダ、スウェーデンが分担金の削減を要請して、英国の「自由モデル」に同調した
 のも当然だ。一方、スペイン、ポルトガルなどが補助金の増額を要請したが、予算の争
 奪戦の背後にも、この「社会モデル」と「自由モデル」の考え方の差異があり、欧州が
 基本的考え方で二分していることも鮮明になった。

 この差異は経済的考え方ばかりではなく、欧州の伝統的な考え方、つまりカトリックの
 寛容や慈悲の精神が第二次大戦後の欧州の社会民主主義的考え方と合致して形成されて
 いるだけに根は深い。「自由モデル」を標榜(ひょうぼう)するとされる欧州憲法がE
 Uの牽引(けんいん)力を自負してきたフランスで否決されたのは当然ともいえる。

 欧州の将来像をいったいどちらに置くのか。仏首脳筋は「EUは単なる共通市場ではな
 く政治的欧州」と定義したが、ブレア英首相も二十三日の欧州議会の演説で、「熱烈な
 欧州主義者」の自分は「社会モデル」を否定するのではなく「現代化」が願いだと主張。
 「統合欧州は政治的プロジェクトであり、経済的欧州ではない」と言明し、「侮辱合戦
 はやめよう」と訴えた。

 パリとロンドンは二〇一二年の夏季五輪開催地でも争っている。七月六日に国際オリン
 ピック委員会(IOC)総会が開かれるシンガポールには大統領も首相も駆けつけ応援
 活動を行う。勝者はだれ? 【緯度経度】パリ 山口昌子[産経新聞東京朝刊] 
       Kenzo Yamaoka
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危機感広がる宇宙産業   
   
 売り上げ・従業員共に3割強減
 わが国の宇宙産業に危機感が強まっている。産業の性格上、国の宇宙政策すなわち宇宙
 開発予算への依存度が高いが、その予算が年々減少しているからだ。このままでは技術
 の断絶も懸念される。国家安全保障にも絡む技術だけに、業界は信頼性の向上とコスト
 削減、宇宙利用産業の需要掘り起こしに懸命に取り組んでいるが、閉塞(へいそく)感
 から脱し切れないでいる。
(経済部・床井明男・世界日報掲載許可) 

「重点4分野並みの扱いを」
閉塞感打破へ新規需要開拓 
 H−UAロケット7号機の組み立て作業風景(JAXA広報から)  
 「宇宙開発予算の減少に歯止めを掛けなければ、日本の宇宙産業は成り立たなくなる恐
 れがある」――。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長は、日本の宇宙
 開発の現状に危機感を募らせる。
 わが国の宇宙開発予算は、一九九九年度の約二千三百億円から、現在の約千八百億円と
 減少の一途をたどっている。国防予算を除いても、米国の七分の一、欧州の三分の一程
 度だ。わが国の宇宙産業はその影響をまともに受けている。業界団体である日本航空宇
 宙工業会によると、ロケットや衛星、地上施設などの宇宙機器産業の売上高は二〇〇〇
 年度の三千六百九十九億円から〇三年度は二千四百七億円、昨年度は約二千三百億円程
 度と予想されており、この四年間で実に37・7%の大幅減少。

 また、宇宙機器産業の従業員数も九七年度の八千九百十八人から〇三年度は五千八百四
 十人となり、六年間で34・5%の三千人強が宇宙機器産業から去った。ここ数年間で
 いずれも三分の一強、縮小する形になっている。

 これには、国の財政事情が非常に厳しいという現実がある。加えて、〇三年十一月のH
 −UAロケット6号機の打ち上げ失敗や「のぞみ」「みどり」「みどりU」などの大型
 衛星が打ち上げ後の軌道上において運用不能となったことなどが、技術の信頼性を損ね
 る結果を招いてしまった。

 そんな中で、今年二月二十六日、H−UA・7号機が打ち上げに成功。このとき搭載さ
 れた衛星が「ひまわり6号」として、間もなく気象データの送信など運用を本格開始す
 る。
 今年度は、X線天文衛星をはじめ、国内とアジア太平洋地域などの地図作製や災害防止
 ・予防、環境保全などのために地表を高分解能で観測できる陸域観測技術衛星、赤外線
 天文衛星、情報収集衛星など五つの打ち上げが予定されている。日本航空宇宙工業会の
 田中俊二常務理事は「これによって、少しは閉塞感から抜け出したい」と期待を膨らま
 す。この十四日には、フランスの航空宇宙業界と次世代の超音速旅客機(SST)の共
 同研究を行うことで合意。これにはJAXAも加わるという。

 工業会としては、「一層の信頼性の向上とコスト低減」(田中常務理事)により国際競
 争力の強化に努める一方、機器産業だけでは拡大が容易でないため、衛星を利用した新
 しいビジネスの創造など宇宙利用産業の新規分野の開拓にも、積極的に取り組んでいる。
  
 とはいえ、売り上げの大部分を国家予算に依存している体質上、産業界の発展には予算
 の増加や国の助成が不可欠。JAXAが「長期ビジョン」を四月に発表したのも「産業
 界では熟練技術者の維持や製造設備の維持・更新が困難となりつつあり、宇宙機器製造
 における品質の劣化、宇宙開発プロジェクトの信頼性の低下などの恐れが増大している」
 (長期ビジョン)という危機感からだ。

 長期ビジョンは、国の宇宙政策とは別に、独自に宇宙航空分野について明確な今後二十
 年までの将来像を示すもの。特に、国が策定する国家戦略、各種政策などにも反映され、
 ひいては宇宙産業の基幹産業化に貢献したい、としている。

 具体的には、(1)世界最高の信頼性と競争力のあるロケットや衛星の開発(2)トッ
 プサイエンスを推進、独自の有人宇宙活動や月の利用への準備(3)マッハ5クラスの
 極超音速実験機の実証――などが目標だ。

 立川理事長がこの長期ビジョンについて外国人特派員協会で会見した際、外国人記者か
 らは長期ビジョンの内容そのものよりも、その中で示された、減少傾向が続く予算関連
 に質問が集中した。

 長期ビジョンでは、その実現に前半の十年間では年平均二千五百億−二千八百億円の資
 金が必要としている。「世界第二位の経済大国として、宇宙開発の分野でも応分の貢献
 をしたい。(国には)過大な要求はしていないつもり。財政健全化に早くめどを付けて
 もらいたい」と立川理事長。

 宇宙開発を含め、わが国の科学技術行政の方向性を決めているのが、内閣府主管の総合
 科学技術会議が策定している科学技術基本計画だ。

 同計画は科学技術投資の効果的・効率的推進を目指して戦略的重点化を図り、特に重視
 すべき「重点四分野」を定めているが、現在は(1)ライフサイエンス(2)情報通信
 (3)環境(4)ナノテク・材料――の四つ。宇宙開発はこの重点四分野には入ってい
 ない。「重点四分野並みの扱いを」というのが、業界の悲願になっている。

 十六日には〇六年度からの第三期基本計画(期間五カ年)の基本方針が発表されたが、
 宇宙は依然、重点四分野には含まれないものの、「国家基幹技術」として最終的取りま
 とめ(十二月)に向けた作業の中で検討を行うとしている。これが、今後予算査定にど
 う影響するのか業界は注視している。

宇宙産業の現状と課題 
日本航空宇宙工業会常務理事 田中俊二氏に聞く
 わが国の宇宙産業の現状と課題について、日本航空宇宙工業会の田中俊二常務理事に聞
 いた。
(聞き手=床井明男) 
◇     ◇
世界市場へ官民共同で 
信頼性向上とコスト低減に全力
衛星利用ビジネスモデルも提示
 インタビューに応える日本航空宇宙工業会の田中俊二常務理事  
 ――宇宙産業の現状は。
 自動車、機械、電機などの産業は市場規模が数十兆円だが、それと比べると、私どもの
 産業は航空、宇宙合わせても一兆数千億円。売り上げ規模は非常に小さい。航空も宇宙
 も、国家安全保障に密接に結び付いているが、企業が単独でプロジェクトを計画したり
 するには非常にリスキーな面があり、ハイリスク・ローリターンな産業といわれる。

 宇宙産業は、どこの国もそうだが、国が主導して少しずつレベルアップし、その途中か
 ら商業的な使い方が出てきた。日本もJAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に研究
 開発が進められ、やっと衛星通信や衛星放送、カーナビの受信機などの産業的な側面が
 出てきた。

 ――日本の宇宙開発は、糸川英夫博士による一九五五年に二十センチほどのペンシルロ
 ケットの打ち上げが実質的なスタート。非常に遅かった。

 一九五七年にはソ連がスプートニクという初めての人工衛星を飛ばし、六一年には有人
 宇宙飛行をやっている。米国も六九年にはアポロで月に行っている。それらに比べると、
 非常に遅かったが、それ以降、追いつき追い越せと技術開発を進め、九四年には百パー
 セント国産化したH−Uを打ち上げ、現在のH−UAと発展してきた。約四十年で技術
 的にだいたい追いついた。

 技術的に追いついた今、問われているのは、H−UAの事故に見られたように、一つは
 日本の宇宙機器に対する信頼性。もう一つは、追いつき追い越せの時代は技術的な達成
 が重んじられて二の次だった世界市場におけるコスト競争力。この二つだ。そうしたこ
 とから、H−UA事業は民間の三菱重工に移管し、信頼性やコスト低減を図って、世界
 市場に向かっていこうとしている。

 今ある程度、商業化の時代になって、民もそれなりの努力が必要ということで、官民共
 同のプロジェクトが出ている。準天頂衛星システムやGXロケットという中小型ロケッ
 トなどがそうだ。

 先ほど、通信衛星や放送衛星の話をしたが、十二機ぐらい日本は保有しているが全部米
 国製。日本製はまだシステムとしての信頼性を一度も実証していないからだ。トラスポ
 ンダーや太陽電池、地球センサーなどといった衛星に搭載するコンポーネントでは非常
 に国際競争力のあるものもあるが、システムとなると、なかなかユーザーに買っていた
 だけない。ただ、三菱電機が二年前に、オーストラリアのオプタスという通信衛星を国
 際市場で受注、打ち上げられて、今、無事に働いており、そういう事例も少しずつ出て
 きた。

 ――そうはいっても、政府の予算に依存する割合が大きく、売り上げも従事者も大きく
 減っている。

 確かに売り上げは落ちている。ロケットや衛星、地上装置を造る、宇宙の産業を支える
 一番基本になる機器産業は大体三千六百億円ぐらい需要があったが、今は二千四百億円。
 ただ、宇宙を利用した産業は結構活発だ。宇宙機器産業とはダイレクトには関係してい
 ないが、衛星放送を受信するためのアンテナやチューナーといった機器産業も結構大き
 いし、タクシー業界などではカーナビを使うことで配車計画を効率化し、全体の売り上
 げを上げるということもある。細かく見ると、宇宙のインフラを利用して産業の拡大に
 役に立っている。

 ――宇宙機器産業そのものは。

 確かに今は厳しい。しかし、今年二月にH−UAが成功し、今年は五つぐらいの衛星が
 上がる予定で、われわれもこれによって、少しは閉塞(へいそく)感から抜け出したい
 と思っている。

 宇宙産業は、世界的に見て国内の需要だけで産業が育成できる規模があるのは米国だけ。
 欧州も日本と一緒で、国による需要はそれほど大きくない。だから、商業分野でなんと
 か、息をつながなければいけない。欧州は宇宙産業に対して補助をかなり出して育成し
 ている。日本もぜひ、国としての適切な支援をお願いしたい。

 ――業界として、どんな取り組みをしているか。

 機器産業だけでは、規模はなかなか拡大しない。だから、衛星を使った新しいビジネス
 を起こすといったことが必要だ。準天頂衛星は最初にビジネスモデルを勉強したのも私
 どもの工業会。それをいろんな所に宣伝して、宇宙を利用した産業を育成する。そうす
 ると、衛星やロケットに、さらなる需要が出てくる。

 ――中国は有人打ち上げに成功した。

 幾つかの点が考えられるが、中国は国威という観点から、かなり努力されたのだと思う。
 日本の場合は、そこまで一足飛びに行かない。信頼性を高めていかなければならず、そ
 のためにはまだやることがある。

 例えば、インターネット衛星。日本では津々浦々に光ファイバーがあって、地上系でイ
 ンターネットをやっているが、僻地(へきち)や、地震などの災害が起きるとネットワ
 ークが切断されてしまう。それを衛星を介してインターネット配信するというプロジェ
 クトだ。

 ――最後に、これからの展望について。

 今、日本の宇宙にかかわる技術レベルはトップハイグループには入っていると思う。だ
 から、そういったものをバックに信頼性とコスト競争力を向上して、民生の世界に打っ
 て出ていく。ただ、その時に、民間だけではやりにくい面があるので、官も適切に支援
 していただきたい。
      Kenzo Yamaoka
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常任理事国入りの険しい道   
  
 G4連合は正しい作戦/中韓との関係改善がカギに
経済評論家 鳴澤 宏英
拒否権制度は廃止されるべき  (世界日報掲載許可)

 国連改革の論点は多岐にわたるが、わが国にとっての最大関心事は、第一に長年の悲願
 である安保理常任理事国入りを果たすこと、そして第二がいわゆる旧敵国条項の削除で
 ある。後者はすでに死文化しており、国連憲章の改訂となれば、その一環として実現す
 るのはほぼ確実とみてよい。

 難題は、何と言っても第一の常任理事国入りである。創設以来六十年、第二次大戦の戦
 勝五カ国は、その特権的地位をいぜん独占している。この事態そのものが異常かつ時代
 おくれなのであり、わが国を含めその拡大は当然のこと、その正当性をあらためて議論
 するつもりはない。

 しかも常任理事国(P5)は、周知のごとく、拒否権(VETO)を保有している。憲
 章ではこの語は用いられていない。国際平和や安全の維持、新規加盟国の承認等の重要
 事項については「常任理事国の同意を含めて九理事国の賛成投票による」――と規定し
 ているのみ。理事国は十五カ国だから、数字的には60%の多数決だが、その中にP5の
 五票が入っていなければならない。一国でも欠ければ決議は成立しない。つまりP5は
 それぞれが拒否権を保有する。冷戦時代には米ソの対立が外交の表舞台を制しており、
 拒否権行使の頻度では旧ソ連が第一位、それに次ぐのが米国、そこに両国の対立構造が
 端的に反映している。そのため安保理の機能が正しく働かない結果をしばしば招いた。
 実はわが国の国連加盟も旧ソ連の拒否権行使で阻まれ、四年以上お預けとなる苦い経験
 をしている。

 拒否権の制度自体、理想論として制限ないし廃止され、重要事項については限定多数決
 制とするのが正論だと思うが、現状では非現実的と断ぜざるを得ない。

米国案への追随はあり得ない

 わが国は志を同じくするドイツ、インド、ブラジルとの連合(G4と呼ぶ)を組み、六
 カ国(アフリカの二カ国を含む)の新規加入を目指して共闘を展開しつつある。また拒
 否権についても、P5と同等の責任と義務を有すべきとしながら、当面(十五年間)は
 行使しないとの妥協的な提案を示している。その背景として右に述べた「正論」の考え
 方が一役買っていると思う。

 目標である加盟国の三分の二(百二十八カ国)の支持を得るための戦いにおける第一の
 反対勢力は、G4の常任理事国入りを阻止するため、安保理拡大はすべて非常任理事国
 の十カ国増を前面に打ち出しているコンセンサス(総意)グループである。主唱者はド
 イツに反対するイタリア、インドを牽制するパキスタン、ブラジルに対抗するメキシコ、
 そしてわが国の前に立ちはだかる韓国の四カ国、その狙いは明らかである。さらにP5
 の中にもこれに近い立場をとる米国と中国がある。米国は本来常任理事国拡大に消極的、
 日本およびもう一カ国(途上国を念頭に置いている)の二カ国にとどめ、あと二―三カ
 国は非常任理事国とし、理事国総数は二十以下とする第三の案を提示し、情勢はますま
 す混迷の度を加えている。米国の影響力は大きいが、右の原案では所要の支持を集める
 のは至難であろう。

 わが国としては、米国案に乗って、G4の連合に背を向ける選択はあり得ない。むしろ
 国際世論の多数を敵に回す危険が大きい。日本はしょせん米国の追随者との認識を一段
 と強める結果が懸念されるからだ。ちなみに米国がドイツの加入に消極的なのは、イラ
 ク戦での対立も一因だが、重要なのは、統合を進めつつあるEUが英仏に加えて第三の
 椅子まで持つのはプレゼンス過大との判断である。なおP5の残り三カ国のうちG4案
 の共同提案国となる意向を示しているフランスはもちろん、英、ロの両国もG4に好意
 的である。ひとり中国はわが国にとり最大の反対勢力、反日PRをアフリカを中心に積
 極的に展開している有り様だ。

柔軟で複眼思考の国益外交を

 わが国の悲願達成の貴重な機会を無にしないためには、アジアの主要国である中韓両国
 をせめて中立ないし消極的賛成の立場に引き戻す必要がある。常任理事国の拡大には地
 域代表の考え方が強く働いているだけに、わが国のフランチャイズである東アジアの主
 要国である中国、韓国との現在の冷却した関係は何としても是正されねばならない。そ
 の点、日本の常任理事国入りという外交目標と対中、対韓外交の現状は明らかに整合性
 が欠如しているとの批判は的外れではない。歴史問題などのため対日感情が悪化してい
 る現状を改める外交努力は精力的に進められるべきだ。そのために残された時間は少な
 い。小泉外交の真価が問われている。目的とする国益のために柔軟かつ現実的な外交手
 段を選択するという複眼的な思考を望みたい。豪速球一本ではなく、変化球も視野に置
 きながら最善の結果をものにするのが外交の本領ではあるまいか。苦言とともにエール
 を送りたい。
       Kenzo Yamaoka
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モルドバのアンドレイ・ストラタン副首相兼外相に聞く   
   
 ドニエストル地域の民主化と非軍事化目指す
ロ駐留軍の早期撤退を要求/日本の積極的関与を歓迎
 欧州への統合に乗り出してきたモルドバは、ロシア軍が駐留するドニエストル地域問題
 の外交解決に向け、欧州連合(EU)、米国、ウクライナなどと連携、外交活動を活発
 化させてきた。本紙はウィーンを実務訪問した同国のアンドレイ・ストラタン副首相兼
 外相と市内で会見、ドニエストル地域問題の解決の見通し、旧ソ連圏の地域協力機構G
 UUAMグループの将来などについて質問した。同外相は「ドニエストル問題の解決は
 地域安全にとって重要課題だ。米、欧州連合(EU)、ウクライナなどの支援を受け、
 同地域の民主化、非軍事化に取り組む」と強調、ロシア駐留軍の早期撤退を要求した。
 (聞き手・ウィーン・小川敏・世界日報掲載許可)

 ――モルドバは欧州統合への参加、民主化を表明したが、ロシア軍が駐留するドニエス
 トル地域問題の解決見通しはどうか。

 ドニエストル問題の解決は非常に現実味を帯びてきた。その理由の一つは、ウクライナ、
 グルジアの民主革命後、ドニエストル問題を取り巻く政治環境が急速に改善してきたこ
 とだ。ウクライナのユーシェンコ大統領がドニエストル問題の解決案を提示したが、そ
 れはわれわれに同問題解決への勇気を鼓舞してくれている。それを受け、モルドバ議会
 も六月十日、ウクライナの提案に関する一連の政治文書を採択した。具体的には、わが
 政府はウクライナの政治イニシアチブを支持、歓迎するとともに、ドニエストル地域の
 民主化と非軍事化を明記した二つの文書を採択した。

 ――ロシアの反応はどうか。モスクワは過去何度かドニエストル駐留ロシア軍の撤退を
 約束したが、今日まで実行されていない。

 グルジアは駐留ロシア軍の撤退問題を解決したが、モルドバとしてもロシア軍の早期撤
 退を求めていく。そのためにも、米国やEU諸国からの支援が重要となる。私がウィー
 ンを訪問した目的もそこにある。われわれはウクライナの政治イニシアチブに対するロ
 シア側の立場を知りたいと願っている。

 ――ドニエストル地域の最終地位問題はどうか。

 議会が、ドニエストルの特別地位について草案を作成しているところだ。わが国は既に
 自治州の特別地位を許可している。わが国の憲法にも明記されていることだ。自治州が
 認可され既に十年以上が過ぎたが、機能している。それ以上の特別な地位を考え出すこ
 とは不可能だ。ドニエストル問題の解決は地域安全にとって重要だ。モルドバは国内の
 再統一を実現するためドニエストル問題の解決を最優先課題としている。 

 ――「GUUAM」(グルジア、ウクライナ、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、モ
 ルドバで構成)の将来について聞きたい。ウズベキスタンが五月、GUUAMグループ
 の親米、反ロシア傾向に反発して脱退通告したばかりだ。

 モルドバは現在、GUUAMグループの議長国だ。私は欧州安保協力機構(OSCE)
 の安全問題再検証会議で二十一日、GUUAMグループの地域安全問題について報告し
 たばかりだ。GUUAMグループは地域の安全強化のほか、政治、経済の連携を主目的
 としている。今年四月、モルドバの首都キシニョフで首脳会談を開催したが、ルーマニ
 ア、リトアニアの両国大統領も出席した。GUUAMグループは将来、欧州大陸で重要
 な地域に発展できる潜在的なパワーを有している。われわれは、南東欧安定協定の進行
 中のプロジェクトとGUUAMグループが提案している計画との連携を模索していると
 ころだ。

 ――日本とモルドバ両国関係はどうか。

 日本もロシアと領土問題を抱えていることを知っている。モルドバとしては日本がドニ
 エストル問題解決のためにさまざまな国際政治舞台を利用して積極的に関与してくれる
 ことを歓迎する。国連安保理拡大問題で先週、キシニョフ駐在の日本大使と会談したが、
 同大使から安保理改革に関する小泉首相の書簡を受け取った。わが国としては、日本側
 の要請を慎重に検討して返答したいと考えている。わが国と日本は地理的にはかけ離れ
 ているが、両国関係は非常に良好だ。日本はわが国に対し、さまざまなプロジェクトを
 通じて財政、技術支援をしてくれている主要国家の一つだ。その支援の幅も毎年拡大し
 ている。
    Kenzo Yamaoka


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