1996.対中国問題について



米中間の問題が浮き彫りになっている。その検討。  Fより

先週の1989.中国への逆襲で述べたように、米国の中国への不
信感がより大きくなっている。これに対して中国はロシアとの関係
を増強したり、米国内親中派を動かしたりしている。この様子を見
てみよう。

中国の経済発展が世界の貢献に役立つ方向でないと言う論調が目立
ってきている。歴史家のロバート・ケーガンはワシントン・ポスト
で中国を「操作できる」と思うのは幻想であると論調している。

1870年代のドイツが発展して第1次大戦になったように、また
1860年代から発展した日本が第2次大戦を引き起こしたように
、中国の経済発展も注意が必要である。中国が世界システムに参加
して、そのルールに従い、かつ国内体制を民主主義に変更すれば、
問題は起きないと思うが、今の中国の指導者は民主化をしようとし
ないし、米国を敵と思い、東アジアから米国・日本を追い出して、
中国が米国に成り代わろうとする可能性がある。

この時に中国を世界システムの中に留めておけなくなる。この部分
について、今から十分注意をする必要がある。特に中国軍の増強や
ナシュナリズムの高揚について、神経質なくらいに注意をする必要
があると。

この論文の通りに米国は、中国人の民主化運動家を支援し、かつ中
国の人民元切り上げを要求し始めている。中国が元の変動相場制移
行を拒否したために、対中セーフガードの発動に動いている。中国
が、北朝鮮の核問題で有効な動きをしなかったとも米国は思ってい
る。このため、米国は、中国の北朝鮮代理交渉を諦めて、韓国の代
理交渉や米国直接交渉に戦術を転換している。その分中国の比重は
落ちている。

このように米国の中国敵視政策が発動したことを中国サイドも感知
して、キッシンジャー元米国務長官を北京に呼んで、「良好な米中
関係は世界の平和と発展、繁栄につながる」と述べさせて親中派を
巻き込んで、対米関係を友好的な状態に維持しようとしている。

勿論、中国は元の変動相場制には反対しながらですよ。そして、セ
ーフガードで関税を取られるならと、中国は繊維74品目の輸出関税
を上げて、セーフガードの緩和を志向するようである。グリーンス
パン議長も、米国の物価を上昇させると懸念を表明している。中国
が変動相場制になると、海外企業がベトナムなどにシフトすること
を中国は知っている。このため、容易に変動相場制にするとは言え
ない。

しかし、ブッシュ政権は、イラクで12月に大統領選挙をして、イ
ラク軍を増強して、イラク内戦にして、米軍を引き上げてイラク戦
争を終結させようとしている。このため、日本や欧州にイラク内戦
や国内復興を押し付けて、米国は次の展開をする必要があると欧州
や日本に言っているのです。

ロシア周辺諸国の民主化はソロスなどの金融・石油資本家の金でで
きると見ている。米軍の出動はなくても民主化できると踏んでいる。
イラク以外の中東諸国でも米軍の出動なしに民主化しようと画策し
ているし、ダボス会議が今年、ヨルダンの死海で開幕されて、中東
民主化構想もその中で話し合われることになっている。クウィート
では女性に普通選挙権を付与するなど、この会議を見越して実施し
ている。

それと、どうもトルコが米国の金を使って、中央アジアでの民主化
を支援しているようだ。中央アジアのトルコ系民族をイスタンブー
ルで多く見かけることでも分かる。中央アジア諸国の宗主国はロシ
アではなくて、トルコのような気がする。横に逸れた。

このように米軍がそろそろ、イラク戦争を終わり、空くことになる
。しかし、米軍を取り巻く軍サービス会社の次の利権を確保する必
要がでてくる。今、米軍の米国内、海外基地がどんどん閉鎖されて
いる。このため、米軍にサービスを提供する会社は軍が縮小すると
企業規模を縮小することになる。ブッシュ政権の資金は軍サービス
会社からの献金で成り立っている、このため、新しい戦争状態(戦
争はしないかもしれないが基地の増強、兵備の増強など)がどうし
ても必要になるのです。そのターゲットが中国ということになりそ
うなのです。

中国は民主化が難しい。もし、民主化すると国が分裂すると共産党
幹部は思っている。このため反日教育をして愛国心を醸成して、国
の分裂を防ごうとしているが、反共活動がインターネットや携帯電
話の普及で徐々に拡大しているようである。このため、経済の自由
化はするが、政治の民主化をしないと秀才型の胡錦濤国家主席は考
えているようだ。しかし、これは世界が望んでいることではない。

このため、中国は当然のように反民主化のロシアと組むしかないこ
とになる。ロシアも民主化をして混乱状態になったことで国家集中
主義に変更をしている。経済界もKGBが支配し始めている。この
ように両者の体制の意見は一致している。このため、ロシアと中国
の国境線画定をして友好関係を確立することが必要になり、折衷方
式で国境問題を解決した。

インドは現時点でも民主主義国家であるが、米国との関係を疎遠に
して第三勢力としての位置を確保するために、ロシアの兵器を使用
している。しかし、近年インドは欧米との経済関係を緊密化してき
ている。このため、米国はインドとの関係を良好にしたいと外交攻
勢を掛けている。しかし、ロシアや中国もインドとの関係は重要で
ある。中国は外交攻勢を掛けて、国境問題の解決を志向している。

このように中国の動向を注視する必要が日本にもありそうなのです。
このコラムでも中国の記事を増えることになりそうである。
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FRB議長「人民元切り上げ、米物価上昇の可能性」

 【ワシントン20日共同】米連邦準備制度理事会(FRB)のグリ
ーンスパン議長は20日、ドルに事実上固定されている人民元を中国
が切り上げた場合、輸入品の価格上昇で米国内物価が上昇する可能
性があると指摘した。巨額の米貿易赤字の削減につながらないとの
見解も示し、人民元改革に対する米国内の過剰な期待に水を差した。 

 ニューヨーク市内で講演後、会場からの質問に答えた。 

 議長は、秋までの改革を迫る米財務省などの「強い圧力」を背景
に人民元が「いずれ切り上げられる」と語ったが、時期などは分か
らないとした。貿易収支との関連では、中国からの輸入が減っても
「他国から輸入することになる」と赤字が減らない理由を説明した。 

 金融政策では、景気や物価に中立的とされる政策金利の水準に
ついては「あいまいな概念だ」と強調、明言を避けた。  (08:41) 
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ダボス会議臨時年次総会が開幕・議題に米の中東民主化構想(nikkei)

 【死海(ヨルダン)=森安健】世界経済フォーラム(ダボス会議
)が毎年中東で開く臨時年次総会が20日、ヨルダンの死海で開幕し
、政治やビジネスのリーダー1200人が集まった。中東への投資促進
など恒例の議題に加え「中東におけるブッシュ大統領のレガシー(
遺産)を予測する」と題した討論会も登場。大統領の掲げる中東民
主化構想が中心議題となる。 

 ホスト役のアブドラ国王は開会式で「いまほど変化の手応えがあ
ったことはない」とあいさつした。イラクに関する分科会では主権
移譲にかかわったブラヒミ国連事務総長特別代表が「戦争に対する
賛否は過去の問題。8月の憲法起草がイラクの未来にとって死活的に
重要だ」と述べた。
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中国、繊維74品目の輸出関税上げ・摩擦緩和へ来月から(nikkei)

 【北京=吉田忠則】中国政府は20日、74種類の繊維・衣料品につ
いて6月1日から輸出関税を引き上げると発表した。大部分の品目で
関税額は現在の5倍になる。欧米との間で高まっている貿易摩擦を和
らげることを狙っている。 

 中国の繊維・衣料品の輸出関税は価格ではなく数量にかかる。綿
メリヤスのスーツや化学繊維を編んだ子供用のズボンなど五十数品
目は1着当たりの関税を0.2元(約2.6円)から1元に引き上げる。女
性用の綿製コートは0.3元から4元に引き上げる。
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米、対中セーフガード追加発動へ・シャツなど4品目(nikkei)

 【ワシントン=小竹洋之】米政府は18日、男性用シャツなど中国
製の繊維・衣料4品目を対象に緊急輸入制限(セーフガード)を発動
すると発表した。13日に発表した3品目に続く追加措置で、近く正式
に発動する。17日には半年以内という期限を区切って人民元改革を
促す報告書を議会に提出しており、米政府の対中圧力が一段と強ま
ってきた。

 セーフガードの対象となるのは男性用の綿製・合繊製シャツ、合
繊製ニットシャツ・ブラウスなど。これら4品目の1―3月期の輸入量
は前年同期の2.2―4.3倍に増えている。

 米政府は輸入抑制のための協議を中国政府に申し入れるが、中国
側が対応策を示さない場合にはセーフガードを当面継続し、対象製
品の今年の輸入量を前年実績の7.5%増以内に制限する。

 繊維製品の国際的な輸入割当(クオータ)制度が1月に撤廃され、
中国製繊維の米国向け輸出が急増。米繊維業界は「大きな被害を受
けている」と主張し、セーフガードの発動を求めていた。 (10:10) 
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ロシア下院、中国との国境協定批准=外相、北方領土での折半方式
否定

 【モスクワ20日時事】ロシア下院は20日、中ロ間で未解決だ
った3つの川中島の領有権問題を折半方式で解決することをうたっ
た中ロ国境追加協定の批准問題を審議し、賛成307、反対80で
承認した。上院の可決も確実。ラブロフ外相は、批准により、中ロ
間の法的国境が初めて確定すると歓迎した。
 30日に訪日する同外相は批准審議で、北方領土問題に触れ、中
ロ間と同様のアプローチは取らないとし、折半方式を暗に拒否。「
日ロ関係が質的に新しい段階に達して初めて突破口を開くことが可
能になる」と述べ、解決に時間を要することを指摘した。 
(時事通信) - 5月20日21時1分更新
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米共和党政策委員会、北朝鮮問題で中国に警告

 [ワシントン 20日 ロイター] 米共和党上院議員の諮問機
関である共和党政策委員会は、北朝鮮による核実験を回避すること
は可能だが、中国政府が、米国などとともに北朝鮮の孤立化を進め
る必要がある、との報告書をまとめた。 
 19日公表の報告書は、北朝鮮が核実験を強行すれば、国際安全
保障体制に大きな影響が出ることは避けられず、危機を平和的に解
決できるかどうか、中国の力量が試されることになる、と指摘。 
 北朝鮮が核実験に踏み切れば、米国とアジア同盟国のミサイル防
衛協力加速や、アジアの米軍駐留恒久化といった反応が予想される
、としている。
(ロイター) - 5月20日17時56分更新
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「人民元が世界経済に歪み」 米財務省報告、中国の改革に強い圧力

 【ワシントン=気仙英郎】米財務省は十七日、半年ごとの為替報
告書(二〇〇四年七月−十二月が対象)を公表した。報告書は、「
主要貿易相手国で法律上為替操作と認定できる国はなかった」とし
て、中国などの市場介入が為替操作にあたらないとしながらも、中
国が早期に人民元の切り上げに動かない場合は、半年後の報告書で
中国政府を「為替操作を行っている国として認定することになるだ
ろう」と警告した。

 報告書は「中国の為替システムは中国の貿易相手国や世界経済全
体に歪(ゆが)みを生じさせる結果になっている」と批判し、「中
国が市場に根ざしたより柔軟な為替制度に移行すべき時期にあるこ
とは広く認識されている」と中国政府に早期決断を要求した。

 米国製造業やその圧力を受けた米国議会は、中国が市場介入によ
って人民元相場を実勢より低く維持しているため、米国の製造業が
打撃を受けていると批判を強めている。

 今回の報告書は、米国内で高まるこうした対中強硬論を背景に、
従来より強い表現となった。
 報告書は年二回、米国の通商相手国が為替操作を実施しているか
どうかに関して財務省がまとめ、議会に提出することが義務付けら
れている。今回は一カ月以上も公表が遅れ、報告書が中国の為替操
作の是非にどのような判断を示すかが注目されていた。
 今回の報告書に対しシューマー、グラハム両上院議員らが会見し
、「中国を為替操作国でないとしながら、中国の為替制度が世界経
済にとってリスクというのは矛盾だ」と批判、報告書の根拠である
「為替レートと国際経済政策関係法」を改正する考えも示した。
 ■人民元 中国の通貨。1994年、政府管理の「公定レート」
を需給で決まる「市場レート」に統合、一定範囲の変動を認める管
理フロート制に移行した。対ドル相場を前日水準に比べ上下0・3
%以内に収める事実上の固定相場で、現在の水準は1ドル=8・277
元前後。レートを不当に低い水準に設定し、輸出を増加させている
として、人民元の制度改革を迫る法案が米国で提出されるなど、
欧米諸国が批判を強めている。こうした中、中国政府が相場の切り
上げや変動幅の拡大に踏み切る可能性が日増しに高まっている。
(産経新聞) - 5月18日15時51分更新
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「米中関係は発展方向」 胡主席とキッシンジャー氏

 【北京17日共同】新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席と
キッシンジャー元米国務長官は十七日、北京で会談し、米中関係は
発展方向にあるとの認識で一致した。
 胡主席は会談で、米国の対中政策に長年かかわってきたキッシン
ジャー氏の役割について「米中関係の改善、発展に大きな貢献をさ
れた」と高く評価。「良好な米中関係は世界の平和と発展、繁栄に
つながる」と述べ、両国の連携強化の必要性を訴えた。
 一方、キッシンジャー氏も「米中両国はさまざまな分野で共通利
益がある。一層の関係緊密化を期待する」と応じた。
20050518 0010
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米朝実務者が接触、13日にNYで(nikkei)

 【ワシントン=秋田浩之】米国の外交当局者が13日、ニューヨー
クで北朝鮮側と接触し、6カ国協議への復帰を促していたことが明ら
かになった。米政府筋が19日、明らかにした。米朝の実務者接触は
昨年12月以来。

 同筋は「ニューヨークの対話チャンネルはこれまでもそうであっ
たように政策を伝える場であり、交渉ではない」と説明した。米側
は北朝鮮を主権国家と認めるほか、攻撃の意図がないとの原則を再
確認した。

 国務省は記者会見で、ニューヨークの対話チャンネルが現在も有
効であることを公表しており、接触自体は目新しい政策転換ではな
い。13日の接触には北朝鮮に協議復帰を促すため、柔軟な姿勢を示
す意味合いがあったとみられる。 (00:58) 
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米、中国台頭に警戒感・将来見据え戦略探る(nikkei)

 【ワシントン=秋田浩之】人民元の切り上げ要求、北朝鮮問題を
巡る相次ぐ注文、そして強まる民主化圧力。中国に対する米国の態
度がにわかに険しくなってきた。米国を動かしているのは目先の計
算だけでなく、中国の台頭がもたらす「将来地図」への警戒感だ。

 米国防総省で超長期の国家戦略を立案する部署の一室には、特注
の世界地図が張られているという。中心にあるのは中国とインド。
欧州はほとんど描かれていない。「長期的に米国の国益を左右する
のは中国」とみる同省は軍事・経済力だけでなく、人口動態から世
論の動向まで調べ上げ「中国が米国の優位性を脅かすかどうか」の
検討を進めている。 (07:01)
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信頼なき隣国との宿命関係   
   
 比較国民性の視点から/将来も中国の反日消失せず
北欧文化協会理事長 武田 龍夫
誇大化と残虐性含む政治体質 (世界日報)掲載許可

 先般来の中国での反日破壊デモではすでに多数の論評が出ており、筆者もこの問題を避
 けるわけにはゆかない。しかし説得力ある分析ないし判断も多いので、私は本質論の立
 場から視点を変えた分析的解釈を述べてみたい。もっとも紙幅の関係から考えるヒント
 の一つとしての示唆にとどまらざるを得ないのは当然である。

 まず「ホモポリティカス」としての中国人の端倪(たんげい)すべからざる政治体質で
 ある。例えばコミンテルン・ソ連と米国ならびに西欧列強の中国支配あるいは分割ない
 し植民地化という帝国主義時代の中で、日本との協力を排して「以夷征夷」「遠交近攻」
 政策によって日本を挟撃せしめてこれを自滅させた過去を想起しても明白だろう。そし
 てこれは副次的な伝統的特徴を伴う。虚言癖による宣伝広報がその一例である。いわゆ
 る「白髪三千丈」的誇大化虚言症徴候群であり南京大虐殺、田中上奏文など幾らでもあ
 る。しかもそれは時を追って変化増大する。(日中戦争の死者数、損失額などその代表
 例)。

 もう一つは残虐文化の伝統である。例の伍子胥の話は誰でも知るところだ。敵の国王を
 墓地から掘り出し「笞打つこと三百」(史記)の話である。恨みは五十年たっても百年
 たっても忘れない民族なのだ。それは必然に「五刑三千」という残酷な刑罰史となる。
 詳細を説明する余裕はないが、宦官、纏足、人肉食の習慣ともなる。

 かかる背景の下に大中華としての周辺国支配による現代覇権国としての目標が内在する。
 そしてその最大の障害が日本であり、これに対して利用し得る最大有効なカードが日本
 の原罪糾弾なのだ。

一党独裁に歴史の真実はない

 それが歴史認識であり靖国、教科書問題である。しかし、ならば言いたい。日中平和友
 好条約第二条では「内政に関する相互不干渉」に合意し、共同声明でも重ねて「内政に
 関する相互不干渉」を約したのではないのか?

 そこで三点のみ述べよう。靖国問題は日本人の死生観の問題であり、日本人は敵であっ
 ても死ねばカミ、ホトケとして慰霊する国民である(米兵と戦友のために墓をつくり慰
 霊した例その他多数の事例あり)。そして神道は教団も教祖も教義もない祖霊崇拝の習
 俗である(国家神道はすでに消滅している)。

 またA級戦犯は独立回復後国会で「法務死」とされている。また東京軍事裁判は勝者の
 敗者に対する裁きであり、戦勝国が敗戦国を公正中立に裁けるわけがないことは中学生
 にも分かることである。現にあの無法を犯したソ連が判検事の席に座ったのではなかっ
 たか? また米国の非武装市民の大量無差別殺戮(原爆、無差別爆撃)は裁かれたか?
  そして南京大虐殺では一般判決で死者二十万人、個別判決では十万人―といういい加
 減さではないか! そして「正しい歴史認識」とは日本側は捏造、虚偽、歪曲、隠蔽、
 誇大化された中国の歴史教科書に合わせろ―ということである。そこには「日本はすで
 に友人である。ブッシュ大統領(父)」「先の戦争は日本と米国両方の責任である」
 (カーター元大統領)といった態度はない。また米国が靖国や教科書に内政干渉したこ
 ともない。

 結局すべては政治に帰着するのである。一党独裁国家に歴史の真実はない。そして日本
 側には政治家の無知に乗じて反日、自罰の対外発信に狂奔する巨大メディアあるいは組
 織や学者、知識人たちの「ユダの系譜」が存在する。他方、中国では言論の自由はなく、
 すべてが政治的に操作、誘導、煽動される。

謝罪し続けるのは友好に非ず

 そして日本側にとって最大の問題は中国の要求通り謝罪し続ければそれで友好関係が築
 けると思いこむナイーブな日本的な人の良さという―美徳という名の悪徳にある。現に
 不当な主張に対して反論する政府広報パンフ一つない現状ではないか―。ここには常に
 受け身で消極的―そして言うべきことは言う国家、国民の誇りも主体性もない。そして
 国際政治に対する驚くべき現実感覚の欠如!(憲法改正論を見ても分かるではないか―)
 。

 国際政治とは国益の激突する修羅場である。中国の反日はその起伏はあれ、将来にわた
 って消失することはないだろう。つまり中国はその独裁体制が存続する限り、信頼でき
 ない宿命の隣国だということである。そして国内経済と独裁体制と世代、地域間格差の
 社会的耐性が中国で失われる時期が来るとき―それは日本に重大な影響を与えるかも知
 れない。何れにせよ日本への国家的禍(わざわい)が三度あるとすれば、それは無論大
 陸からでしかあり得ないのである。
    Kenzo Yamaoka

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