1920.日韓関係について



韓国の盧武鉉大統領は対日外交を最悪にする演説をした。この考察。
                  Fより

日本と韓国は米国との同盟関係にあるが、北朝鮮の核問題や拉致問
題で米国・日本と韓国の見解は違っている。日本は北朝鮮に対して
経済制裁を予定している。韓国は北朝鮮に経済支援を継続するとい
う。

韓国は日本が行った戦後補償についても不十分と、戦後行った韓国
との外交交渉で決着したことを反故にするとも言及している。これ
に対しては、日本の新聞各紙も反発している。

そして、竹島問題で再度、紛糾している。このような状態で日韓ト
ップ外交を中止した。日本の皇太子御訪問を予定していたが、これ
も中止になるでしょうね。日本と韓国の友好ムードは一気に破壊さ
れたようだ。

皇太子ご訪問に合わせて、日本では「冬のソナタ」などの韓流ブー
ムを起こし、韓国は日本のTV番組や映画の公開が出来るようにな
り、日本と韓国は一層の友好関係を築けると思ったが、無理であっ
たのでしょうね。

それも、韓国と日本の外交政策があまりにも違い過ぎることによる
と思う。韓国と日米の政策が違うために在韓米軍を徐々に引き上げ
る方向にあり、米国は米防衛ラインを日本からグアムに引き下げる
ことにしている。今までは東アジアの防衛ラインを日本・台湾にラ
インを引いていたが、日本から空軍主要米部隊をグアムに移して、
グアムを米国の防衛ラインとするようである。

しかし、日本重視と米国は表明している。それと在日米軍への資金
援助を日本がしているために在日米軍は世界で一番安い経費の軍に
なっている。このため、司令部だけを日本に置き実行部隊をグアム
すると表明している。司令部機能は直ぐにグアムに移駐できるため
、戦時には日本から司令部をグアムに移すことが明確である。

このグアムへ主流移駐のため、韓国への戦争時の補給は難しくなる。
韓国は米軍の守りから徐々に離れるしかない状態になり、自国防衛
を真剣に考えることが必要になっている。このため、中国や北朝鮮
へ接近し始めている。この接近により米国は韓国への軍派遣を考え
直す必要に迫られてた。この米国の雰囲気を感じて、韓国はイラク
への派遣を増強して、米国との同盟関係をキープしたいようである
が、対北朝鮮政策が日米を違うために、米国の雰囲気は最悪な状態
になっている。

そして、さらに韓国の経済状態がどんどん悪くなっている。勿論、
三星や現代など世界的な企業もあるが、多くの韓国企業は中国企業
との安値競争に負けて、世界市場から敗退している。韓国国内市場
は高が4000万人しかいないために、市場が狭すぎる。この中国
に奪われた安値を取り戻そうと北朝鮮の自由貿易地域である開城に
工場を建てたが、ガス・電気などの供給を止められて、追加の支援
資金が必要になっている。北朝鮮の手に乗せられて、大損を強いら
れているように感じる。

このように韓国は経済的に息詰っている。このため、日本叩きをし
て、国民の支持を得ようと韓国政府と盧武鉉大統領は賠償問題に出
してきた。韓国が日本を嫌いであると、日本人は韓国を嫌いになる
ように思う。このため、元気が良い映画産業もダメになるような気
がする。感情的な問題は感情的な問題を再生産して膨れ上がってい
く。日韓関係は最悪になるような感じである。そして、韓国はより
経済的な環境を損なうのでしょうね。
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<韓国>潘基文氏、訪日を無期延期 国内での反日感情に配慮

 【ソウル堀信一郎】韓国政府は4日、潘基文(バンギムン)外交
通商相が予定していた11〜13日の訪日を無期延期することを決
めた。外交通商省幹部は4日、韓国人記者との懇談で「時期が適切
でない」と述べ、島根県議会の「竹島の日」制定の動きや、高野紀
元・駐韓日本大使が「竹島は日本の領土」と明言したことに対し、
韓国国内で反日感情が高まっていることに配慮したことを明らかに
した。
 潘外交通商相の訪日計画は「日韓外相の定例的な往来の一環」(
在韓日本大使館幹部)だった。
 今後の訪日計画について同幹部は「今後の推移を見守りながら検
討したい」と語り、日本側が竹島問題で誠意ある対応を見せない限
り、当面、外相レベルの交流再開は難しいとの考えを示唆した。
 一方、「日韓友情の年」を記念する各種行事への影響について外
交通商省幹部は「政府として介入するのは適切ではない」と述べた。
(毎日新聞) - 3月4日22時27分更
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3月3日付・読売社説(2)
 [盧武鉉演説]「日韓関係を阻害する発言だ」 

 韓国の盧武鉉大統領が、植民地時代の独立運動を記念した式典で
、日本に、「謝罪」と「賠償」を求めた。 

 看過できない問題だ。日韓関係を阻害する発言である。 

 盧大統領は、日韓関係の発展には「日本政府と国民の真摯(しん
し)な努力が必要だ」と前置きし、「過去の真実を糾明し、心から
謝罪し、賠償するものがあれば賠償して、和解せねばならない」と
述べた。 

 「謝罪」について言えば、日本は、歴代の首相が「痛切な反省と
心からのお詫(わ)び」を表明してきた。大統領は、村山首相談話
などに触れ、「相当な進展があった」と述べているが、まだ足りな
いということなのか。理解に苦しむ。 

 昨年7月、大統領は日韓首脳会談後の記者会見で、過去の歴史問
題は「任期中には公式に争点として提起しない」と明言した。その
際、「韓国政府が取り上げれば、日本国民の間に『何回謝罪すれば
いいのか』と反発を招く可能性がある」と述べた。この説明と全く
矛盾する。 

 さらに問題なのは、今回、謝罪に続いて「賠償」を求めた点だ。
賠償は、交戦国間の損害への補償問題で使われる用語だ。植民地時
代の被害への、いわゆる過去の補償には、あてはまらない。そのた
め、両国の国会が批准した日韓条約にも使われていない。 

 韓国の元首である大統領が今ごろ、なぜ、いかなる意図から発言
したのか。過去の補償問題で、追加の支払いを日本に求めたのだと
すれば、論外である。 

 補償問題は、40年前の国交正常化の際に決着済みだ。日本政府
が5億ドルの経済協力をすることで、請求権問題は、「完全かつ最
終的に解決された」ことが日韓条約で確認されている。 

 韓国人への被害補償の支払いは、韓国政府が責任を持つことは、
先に公開された韓国の外交文書でも再確認された。 

 解決ずみの話を蒸し返すような発言はきわめて遺憾だ。日本政府
も、きちんと反論すべきである。 

 日本人拉致事件に関する大統領の発言も疑問だ。「日本国民の怒
りを十分に理解する」としながらも、「日本も相手の立場で考える
べきだ」と述べ、「日帝36年間に、数千、数万倍の苦痛を受けた
韓国民の怒りを理解すべきだ」とした。 

 北朝鮮を糾弾するどころか、北朝鮮のすりかえ論法に通じる言い
方だ。日韓離間工作にも利用されかねない。 

 韓国では、植民地時代の「反民族行為の真相糾明」のための特別
法が施行されて、過去の追及が盛んだ。その矛先が日本に向けば、
日韓関係に影響する。盧政権の政治姿勢は危惧(きぐ)せざるを得
ない。 

(2005/3/3/01:23 読売新聞)
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真の謝罪と反省は「まだ」の認識=日本に誠意ある措置要求へ
−韓国外相

 【ソウル2日時事】韓国の潘基文外交通商相は2日の記者会見で
、盧武鉉大統領が1日の独立運動記念日の演説で、植民地支配に関
する謝罪や賠償に日本が自主的に取り組むよう求める発言をしたこ
とに関し、「日本の政治指導者が無責任な発言を繰り返す状況で、
韓国国民の中に、真の謝罪と反省は行われていないとの認識が消え
ていないのは事実」と述べ、植民地支配を一部肯定するなどの日本
の政治家の発言を批判した。
 潘外相は「犠牲者や遺族の苦痛と悲しみを癒やすため、人類普遍
の倫理と隣国の信頼回復の見地から、日本のより誠意ある措置が必
要」と主張。謝罪や賠償に関し、日本側と協議し、誠意ある措置を
求める意向を明らかにした。 
(時事通信) - 3月2日16時0分更新
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盧武鉉大統領の3・1節記念辞(日本関連部分のみ)   
   
  今年は韓国と日本の国交正常化四十周年となる特別な年だ。
 これまで韓日関係は法的、政治的に相当な進展を成し遂げてきた。九五年に村山・日本
 首相は「痛切な反省と謝罪」を行い、九八年には金大中大統領と小渕首相が新しい韓日
 関係パートナーシップを宣言した。二〇〇三年には私と小泉首相が「平和と繁栄の東北
 アジア時代のための共同声明」を発表した。

 韓日両国は東北アジアの未来をともに開いていくべき共同運命体だ。互いに協力して平
 和定着と共同繁栄の道に進まなくては国民の安全と幸福を保障できない条件の上に立っ
 ている。法的、政治的関係の進展だけで両国の未来を保障できないのだ。もしそうなら
 ば、やるべきことをやり尽くしたとは言えない。より実質的な和解と協力の努力が必要
 だ。

 真実と誠意によって両国国民の間を遮っている心の障壁を崩し、真の隣人として生まれ
 変わらなければならない。

 私はこれまでの両国関係の進展を尊重して過去の歴史問題を外交的な争点にしないと公
 言したことがある。そして、この考えは今も変わりがない。過去の歴史問題が提起され
 るたびに交流と協力の関係が停止し、両国間の対立が高潮することが未来のために役に
 立たないと思うからだ。

 しかし、われわれの一方的な努力だけで解決できることではない。両国関係の発展には
 日本政府と国民の真摯な努力が必要だ。過去の真実を究明して心から謝罪し、賠償する
 べきことがあれば賠償し、そして和解すべきだ。それが全世界が行っている過去の歴史
 清算の普遍的な方式だ。

 私は拉致問題による日本国民の憤りを十分に理解する。同じように、日本も相手の身に
 なって考えるべきだ。強制徴用から日本軍慰安婦問題に至るまで、日帝三十六年間、数
 千、数万倍の苦痛を受けたわれわれ国民の憤りを理解すべきだ。

 日本の知性にもう一度、訴える。真実な自己反省の土台の上で韓日間の感情的なしこり
 を取り除き、傷を癒やすために先頭に立ってもらいたい。それこそが先進国を自負する
 日本の知性らしい姿であるはずだ。そうでなくては過去の束縛から抜け出すことができ
 ない。いくら経済力が強く、軍備を強化しても、隣国の信頼を得て国際社会の指導的国
 家になるのは難しいはずだ。

 韓日協定と被害補償問題に関しては、政府も足らない点があったと思う。

 国交正常化自体はやむを得ないことだったと思う。いつまでも国交を断絶して暮らすこ
 ともできず、われわれの要求をすべて貫徹させることができなかった事情もあったはず
 だ。しかし、被害者たちとしては国民個々人の請求権を一方的に処分したことは納得し
 がたいはずだ。

 遅くなったが、今からでも政府はこの問題を解決するために積極的に努力するつもりだ。
 日本も法的な問題以前に、人類社会の普遍的な倫理、そして隣国間の信頼の問題という
 認識をもって積極的な姿勢を示すべきだ。世界日報 掲載許可
 
     Kenzo Yamaoka
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日韓友情の年に異常気流?   
   
 竹島(独島)問題に、歴史問題も加勢
 昨年来の「韓流」ブームの追い風を受けてスタートした「日韓友情の年」が早々と大き
 な暗礁にぶつかった。島根県の活発な動きで日韓関係のアキレス腱(けん)ともいえる
 竹島(韓国では独島)問題に火が付き、韓国の反日世論が高まる中で迎えた三月一日、
 日本統治時代の一九一九年に起こった3・1独立運動の記念式で、盧武鉉大統領が日本
 に対して自発的な「謝罪」や「賠償」を求めるに至ったためだ。(ソウル・武田滋樹)
 「(日韓)両国関係の発展には日本政府と国民の真摯(しんし)な努力が必要だ。過去
 の真実を究明して心から謝罪し、賠償するべきことがあれば賠償し、そして和解すべき
 だ。それが全世界が行っている過去の歴史清算の普遍的な方式だ」

 盧大統領の発言は、「普遍的な方式」を示す形を借りながら、日本にさらなる「謝罪」
 や新たな「賠償」を求める意味にも取れる。もし、そうならば六五年の日韓条約以来の、
 特に九五年村山発言以来の日韓関係を揺るがす大問題となるため、その真意がどこにあ
 るのか注目を集めた。

 青瓦台(大統領官邸)の金鍾民報道官によると、問題の発言は、盧大統領の「原則と所
 信を盛り込んだ」ものであり、「日本政府と知性(知識人)の努力を求める」ことが
 「核心」だという。「過去の歴史問題と韓日関係に対する基本的で原則的な問題に言及
 したもの」なので、特別に計画された今後の対策はなく、「懸案に対する対応や別途の
 政策は外交通商省を通して具体化される」という。

 これと関連し潘基文・外交通商相は二日、日韓条約問題に対し、「日韓条約自体を再交
 渉することは現実的でない」としながらも、「過去の歴史を究明するという次元で、ど
 んな方法で協議することがあるのか、外交当局者間で詳細に検討して協議する」と表明。
 「賠償」に対しては、「犠牲者および遺族の苦痛と悲しみを治癒するため、日本が責任
 意識を持ってより誠意ある措置を取っていく必要がある」と語り、個人被害に対する補
 償要求について余韻を残した。

 「謝罪」問題では、日本が公式謝罪を行ってきたことは認めながらも、「これまで日本
 の責任ある政治指導者たちが無責任な発言を多く行い、韓国国民にとってはいまだに本
 当の謝罪と反省はなされていないという認識が払拭(ふっしょく)されていない」とし
 ながら、大統領発言を擁護した。

 盧大統領の発言は現時点では、日本政府や知識人に対する勧告レベルにとどまっている
 が、国内で推進する「過去の歴史清算」との関連を否定できない。

 その最大のターゲットが日韓条約を締結した朴正熙政権であり、現在進行中の「真相究
 明」作業が政府・与党が主張する国民和解に向かうのか、朴政権下で疎外・弾圧された
 人々のうっぷん晴らしにつながるのか極めて流動的なだけに、日韓関係に与える影響も
 予断を許さない。

 これと関連し、与党・開かれたウリ党をはじめ政界では、条約締結過程で論議されなか
 った従軍慰安婦や、サハリン在住韓国・朝鮮人、原爆被害者に対する補償問題に関する
 追加交渉の可能性を模索しており、その行方が注目されている。

 大統領発言が飛び出す直接的な原因となったのは、二月になって急浮上した竹島(独島)
 領有権問題をめぐる動きだ。

 島根県が二月初めから竹島領有権を訴えるテレビコマーシャルを放映し始め、同二十三
 日には島根県議会に「竹島の日を定める条例」案が議員提出された。また、同二十五日
 には、高野駐韓大使が外信記者クラブで竹島が歴史的、国際法的に日本の領土と発言し、
 新たな「妄言」事件として大きな反発を呼んだ。

 このような一連の動きに対して、韓国では反日的な世論が強まっており、八九年に島根
 県と姉妹結縁を結んだ慶尚北道は二月四日に澄田信義・島根県知事に抗議書簡を送った
 のに続き、二十三日には「島根県が竹島の日制定と関連した一連の事態を撤回しない限
 り、交流を全面中断する」と宣言。外交通商省も報道官論評を通して、島根県の「独島
 の日」制定案議会提出に「深い遺憾」を表明した。

 また、慶尚北道市郡議会議長協議会や全国市道協議会も、島根県の竹島の日制定の動き
 に反対する決議案を採択。「独島」が行政区域内にある慶尚北道鬱陵郡の住民は三月一
 日、道の正式許可を得て独島(竹島)で歴史上初めて3・1独立運動記念日(3・1節)
 の記念式を行った。

 盧大統領としても、ただでさえ反日機運が高まる3・1節を契機に、日本に対して何ら
 かの警告を発する必要があったというわけだ。

 三日午後には韓国国会議員が、三十三人の同僚が署名した「日本の独島関連妄言糾弾お
 よび大韓民国独島領有権守護決議案」をもって日本大使館を抗議訪問。日本の議員団の
 訪韓延期だけでなく、日本人旅行客の訪韓キャンセル、逆に韓国の高校が修学旅行先を
 日本から中国・英語圏などに転換するなど、旅行・交流事業にも支障が出始めている。

 竹島(独島)問題は、日韓両国とも譲歩できない領土問題だけにその潜在的な破壊力は
 計り知れない。島根県議会は今月十六日の本会議で条例案を可決する見通しだが、これ
 が予定通り議決されると、韓国側の反発はよりいっそう拡大するはずだ。

 日韓条約締結四十周年を「日韓友情の年」として、さらなる友好関係の強化を図った日
 韓両国だが、実際の状況は、現在まで曖昧(あいまい)にしてきた懸案が噴出する気配
 を見せている。日韓関係には越えるべき課題がまだまだたくさん残っている。
  (世界日報)掲載許可
      Kenzo Yamaoka
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韓国、日本へ新たな謝罪要求 北に同調、遠い歴史和解   
   
  韓国の盧武鉉大統領が一日行われた恒例の「三・一独立運動記念式典」の演説で、日本
 との過去の歴史に触れ日本にあらためて「謝罪」と「賠償」を求めた。また、日本人拉
 致問題にもわざわざ言及し、「(日本統治時代に)数千、数万倍の苦痛を受けたわが国
 民の怒りも理解すべきだ」と述べ、日本における北朝鮮非難の雰囲気を批判した。
 演説は拉致問題について「日本国民の怒りは十分理解する」としてはいるが、「過去の
 歴史」を持ち出し拉致問題での日本の世論を批判するというのは、北朝鮮の「居直り」
 的な日本非難の理屈と同じである。

 これは韓国がこの問題で間接的に北朝鮮に同調する立場を表明したに等しく、今後の日
 韓関係はもちろん北朝鮮をめぐる日米韓協調体制にも微妙な影響を与えそうだ。

 今年は盧大統領にとって就任後、二度目の演説だったが、演説のほとんどを歴史や日韓
 関係に費やし、その内容は直接的な日本批判という異例のものだった。従来は過去問題
 より民族的課題として南北統一や北朝鮮問題に触れることが多かったが、今回は南北関
 係にはまったく触れなかった。

 とくに日本との関係では、首脳会談などで表面的な友好、協力の姿勢や現実路線が語ら
 れる一方で、左派ないし革新派主導といわれる政権内部にかなり強い反日・民族主義が
 存在することをあらためて示したものとして注目される。

 過去の歴史をめぐる日本に対する新たな「謝罪」と「賠償」の要求は、これまで謝罪や
 反省を明確にした一九九五年の村山首相談話や一九九八年の金大中政権下の日韓共同宣
 言などを「かなりな進展」と述べた後、登場した。

 大統領自ら「過去の問題を外交的争点にはしないと公言した考えには変わりない」とし
 ながらも「われわれの一方的努力では解決されない。両国関係の発展には日本政府と国
 民の真摯(しんし)な努力が必要であり、過去の真実を究明し心から謝罪し、賠償すべ
 きものがあれば賠償して和解すべきだ」と述べた。

 「もう過去は問題にしない」といいつつも、実際は「さらに謝罪と賠償」を求めている
 のだ。金大中前大統領も小渕恵三首相(当時)との日韓共同宣言の後、「もう過去は問
 題にしない」といいながら“過去離れ”できなかった。

 「賠償」が具体的に何を意味するのか不明だが、過去の日本統治時代にかかわるいわゆ
 る補償問題(あるいは請求権問題)は最近、韓国で公開された外交文書により、四十年
 前の国交正常化の際に韓国政府が一括して日本政府から受け取った「請求権資金」です
 べて解決済みということが再確認されている。

 演説はまた、第二次大戦中にドイツに一時占領されたフランスの大統領が最近、大戦終
 結六十周年に際しドイツに対し「友人として歓迎する」と語った例を挙げ、「われわれ
 も日本にそうしたい」という。

 しかし、ここでも謝罪や賠償などで日本はドイツのような努力が足りないとして「いく
 ら経済力や軍備を強化しても国際社会の指導的国家にはなれない」と日本を批判してい
 る。近年、韓国でよく聞かれるドイツ美化の主張だが、一九四五年以前の日韓関係を第
 二次大戦時の独仏関係にあてはめるという歴史認識は国際的には通用しない。歴史認識
 の違いが続く中で日韓の“歴史和解”の道は依然、遠い。(ソウル支局長 黒田勝弘・
 産経) 
       Kenzo Yamaoka

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