1390.日米関係について



米国の現状と日本の行動を検討しよう。    Fより

米国ブッシュは、ラムズフェルドなどのネオコンからパウエル、
アーミテッジなどの国際協調派に乗り換えた。しかし、イスラエル
のシャロンからの圧力でアラファトの追放では、国際協調派の意見
が押し戻されている。

米国はとうとう、イラク占領を費用面から維持できなくなっている
。帝国主義の植民地政策は、それに見合う経済的な利益を持たない
と財政的に無理がある。このため、インド支配を英国が諦めたので
す。この同じことが、現代の米国のイラク支配に起こっているだけ
である。どうして、このような歴史的な事実も知らない人が、覇権
国家の米国の政策要人なのか不思議な気がします。

今のイラク支配による利益がほとんどなく、かつゲリラ活動で毎日、
駐留軍の数人が死んでいる。これでは戦争支持層の支持率が持たな
い。石油の輸出で経費を賄うことになっていたが、その石油積み出
しもパイプライン破壊でうまくいっていない。

米国の大統領選挙が来年に控え、ブッシュは経済問題とイラク問題
、北朝鮮問題で身動きが出来ない。この突破口として、日本に助け
を求めることのようだ。日本は米国国債をこの1年間で8兆円以上
買っている。これで、イラク戦費を賄ったはず。しかし、そのよう
な間接的な援助ではなく、直接的なイラク支配経費を出せと言うこ
とのようである。

イラクの民主化を米国ブッシュ政権はしない。イスラエルがイラク
を民主化すると、反イスラエルになるため、米国に民主化をしない
ように要求しているのである。国連の干渉をされたくないのも、こ
の不純な動機があるからです。

このため、イラクに反イスラエルのフランスの軍隊を入れたくない
と、イスラエルから米国ブッシュは圧力を掛けられたようだ。その
圧力を押さえつけら得ない。なんとしても再選しようと思うと、ユ
ダヤ人たちの選挙資金供出をお願いしないといけないため弱い。

フランスはユダヤ人のロスチャイルド家が支配しているのに、イス
ラエルの現在の政策に反対している。アラブと協調しないとイスラ
エル自体が無くなると考えている。このようにユダヤ人たちの考え
方も割れている。

もう1つ、選挙資金の出所であるサウジが、選挙資金を出さない可
能性が高まっている。このように、ブッシュは今までのサウジから
の資金がなくなるが、シャロンの政策に共鳴しているキリスト教右
派の支持を得たいために、中東の平和共存のサウジの要求を聞くこ
とができない。

どちらにしても、苦しい時の日本頼みでブッシュ大統領が日本来る
ようである。日本は基本的に米国と同盟国であり、米国の希望は聞
く必要があるが、条件をつけるべきである。イラク問題を国連に任
せて、イラクから手を抜いて北朝鮮問題を解決するように誘導する
べきである。

毎年3000億円以上の米軍の駐留経費を支払っている。これは暴
力団国家・北朝鮮からの用心棒代として米国に支払っている経費と
思う。もう少し用心棒代の経費分の貢献を米国はするべきである。

日本は、米国に現在の駐留経費相当分の要求をしているのであろう
か、非常に疑問である。もし、イラクの支配経費を分担するなら、
国連中心の仕組みを作ることや、北朝鮮の横暴を止めるための米国
の貢献を明確にするべきである。

この米国に要求することと、日本も防衛思想を転換するべきで、北
朝鮮がミサイルを発射させる時に、相手国を爆撃できる防衛行動が
出来るように憲法を改正するべきである。このような対応をすれば
、米国の軍隊がいなくてもいい状態にできるため、交渉力がつくこ
とになる。

同盟関係があっても、自国の防衛や経済に有利なことを条件に交渉
する必要がある。米国のいいなりは相手からも評価されないことを
銘記するべきである。

日米ともに選挙のシーズンであり、国内政治の延長で外交があるこ
とになり、身動きができない季節にであり、それぞれの国内に目が
行くことになる。さあ、どうなりますか??
==============================
米大統領、イラク復興での貢献期待 日米首脳が電話協議 (ASAHI)

 小泉首相は19日夜、ブッシュ米大統領と電話で約10分間協議
し、イラクとアフガニスタンの復興で日米両国が協力していく考え
で一致した。大統領は「アフガニスタン、イラクの復興では、今後
大きな仕事が待ち受けている。世界全体の利益の視点から両国で協
力していきたい」と日本の貢献への期待を伝えた。首相は「テロと
の戦いとイラク復興について大統領と志を共有している。支援を今
後とも行っていく決意だ」と応じた。 

 電話協議は大統領の求めで行われた。イラクとアフガンの復興に
ついて、大統領は7日の演説で「欧州、日本、中東」を列挙して復
興への協力を求めている。 

 また、北朝鮮問題について大統領は「6者協議のプロセスを通じ
、正しい国際社会のメッセージを北朝鮮に伝えていくことが重要だ
」と述べ、6者協議をはじめ対話の枠組みを通じた解決を模索して
いく考えを示した。首相は「今後とも日米間で緊密に連携していき
たい」と応じた。 (09/20 00:05) 
==============================
イラク復興追加予算、週明けから本格審議 (nikkei)

 【ワシントン=森安健】ブッシュ米大統領が議会に要求した870
億ドル(約10兆円)のイラク追加予算が週明けから本格審議に入る
。ブレマー文民行政官とアビザイド米中央軍司令官は22日、上院歳
出委員会に出席し議員らの理解を求める。国内経済が芳しくない中
での巨額な出費には、与野党双方から不満の声が出ている。

 ブッシュ大統領は17日、870億ドルの詳細を議会に提出し、審議
入りを正式に要請した。同日、説明に訪れたウルフォウィッツ国防
副長官とボルテン行政管理予算局(OMB)局長に対して与党・共
和党のボイノビッチ上院議員は「何らかの形でイラク人に将来返済
してもらうべきだ。多くの議員がそう思っている」と注文を付けた
。無償資金援助ではなく融資とし、石油輸出が軌道に乗ったら段
階的に返してもらうべきだという。

 民主党のバイデン上院議員は大統領の「目玉政策」である減税
を最富裕層1%に限って中止すれば870億ドルは調達可能と提案し
ている。 (9/22 07:00) 
==============================
■■世界週報■■ メールマガジン vol.104   
ブッシュ大統領の対北朝鮮・作戦計画
  ──「外交」が行き詰まれば第2の朝鮮戦争も

元米国務省北朝鮮担当官
ケネス・キノネス
 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の開催は、北東アジアの緊張
を幾分和らげた。
しかし、わずか1年前の状況を思い出した方がいい。2002年9月、
小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日労働党総書記の日朝首脳会談が実
現し、日朝国交正常化が間近に迫ったとの期待を抱かせた。だが、
結局そうした期待は見事に裏切られ、怒りと一層の不信感があふれ
た。米国も昨年10月に似たような経験をした。米代表団が平壌に派
遣されたが、北朝鮮が新たな核開発計画を認めたため、期待感は
フラストレーションに変わり、緊張が高まった。

 6カ国協議開催を称賛するのは時期尚早であり、協議の結果につ
いては率直かつ現実的であるべきであろう。参加各国とその関係に
は、50年にわたる対立と不信がつきまとう。わずか1回の外交交渉
の場でこうした負の遺産を帳消しにすることは不可能だ。昨年の一
時期高まった期待がいかに早くしぼみ、新たな核危機に陥ったかを
肝に銘じておくべきである。また、1993年から94年にかけて行われ
た複雑な米朝協議も思い起こすべきであろう。6カ国が関与する外
交プロセスは、それよりもはるかに複雑であり、破綻しやすい。

 それは、何層もの交渉を必要とする。まず第一に、米国と北朝鮮
双方の強硬派と穏健派が、交渉戦略や戦術、譲歩をめぐり論議しな
ければならない。次に、両国は、友好国・同盟国とも協議しなけれ
ばならない。北朝鮮は自国の思惑と中国、ロシアの思惑を検討しな
ければならないし、米国は韓国、日本と調整しなければならない。
そうした手続きを踏んで初めて、6カ国協議が始まるのであり、同協
議は結局、何も解決できないかもしれない。

 ブッシュ米大統領は、北朝鮮の大量破壊兵器の放棄が外交的手法
で実現できない場合に備え、「強力なムチ」を用意するよう国防総
省に指示している。前回のリポート「ブッシュ大統領の対北朝鮮軍
事オプション」(本誌9月2日号)では、ブッシュ政権の「大量破
壊兵器拡散防止イニシアチブ」(PSI)、在韓米軍の増強、それに対
する北朝鮮の反応について論じたが、今回は未来の予測に移りたい。
ブッシュ政権の軍事的緊急対応計画を綿密に分析することにより、
同政権の意図を解析する。

 ペリー元米国防長官が最近、米国民に想起させてくれたように、
ケネディ元大統領はかつてこう言ったことがある。「恐怖におびえ
た立場で決して交渉してはならない。しかし、交渉することを決し
て恐れてはならない」

 ブッシュ大統領が朝鮮半島をめぐる軍事オプションを保持し、
強化していることは、ケネディ大統領のアドバイスの前段と合致し
ている。ブッシュ大統領がアドバイスの後段を最終的に受け入れる
かどうかは、まだ分からない。しかし、北朝鮮を交渉のテーブルに
引き出すだけでなく、北東アジアの平和維持のためにも、強い立場
で北朝鮮に対処することは絶対不可欠である。
==============================
件名:反ブッシュで結束するリベラル  

大統領選に「イラク戦争」を利用・冷静なケリーか情熱のディーン
か戦後の情勢を見て方向転換

 ジョン・ケリーは二日に大統領選出馬の意向を再表明したが、そ
の際、選挙運動に向けて方針を再修正、さらに、イラク戦争に関す
る主張にも修正を加えた。出馬表明のスピーチで彼は、イラク戦争
決議に賛成したのはただ、戦争の脅威を知らせるためだった、と主
張した。奇妙な話だ。これで、賛成票を投じた理由になるのだろう
か。決議は、大統領が望んだ時に戦争を開始する権限を大統領に与
えるものであるということは、明白だ。

 議会が戦争開始を承認する、ということは確かに脅しにはなる。
だが、それ以上に重大な意味を持つ。つまり、戦争権限承認決議は
絶対のものであり、大統領は、戦争開始後四十八時間以内に議会に
通告する必要がなくなる。戦争開始が通告されるのは、ケリーが
テレビで戦争が始まったのを見始めてから四十八時間後、というこ
とだ。

 ケリーがこの戦争に関して路線修正したのは、戦後の情勢がうま
くいっていないことをごまかすためのものであり、ディック・ゲッ
パートがイラクに関して最近、方向転換したのと同じ理由だ。
さらにケリーが、まったく最初から、この問題に関してはっきりと
した考えは持っていなかったことを表すものでもある。彼は武力行
使に賛成票を投じた。
 だが、大統領が「戦争へまっしぐらに進む」ことに対しては繰り
返し批判し、苦悩を明らかにしてきたのだ。この点も奇妙なことと
言わざるを得ない。イラク戦ほど準備に長い時間をかけ、じっくり
と考え抜いた戦争というものがあるとは考えにくいからだ。

 ケリーのはっきりしない態度は、大統領候補としてはプラス要因
とはならなかった。彼は、最有力候補とみられていた。出身地マサ
チューセッツに近いニューハンプシャーの本命となると考えられて
いた。ところが、最近の世論調査ではなんと、ハワード・ディーン
候補に20ポイントも後れを取っている。

大統領を攻撃するのが目標

 一見すると、ケリーは候補として必要なものはすべて持っている
。上院議員としての評価、名家との姻戚関係、角張ったあご、りっ
ぱな軍歴。出馬表明のスピーチで軍での功績は、これ見よがしに発
表された。一方で欠けているものがある。それは熱意だ。熱意は、
現在の民主党予備選キャンペーンで必要とされているものだ。

 しっかりと計画を立て、慎重に判断を下す、このような堅実さを
示す資質は、現職の対抗馬がいない時は有効だ。レーガン大統領が
一九八八年に、クリントン大統領が二〇〇〇年に引退した時、民主
党は慎重で、冷静で、(ケリーのように)情熱的なものを感じさせ
ない候補を選出した。

 しかし、二〇〇四年大統領選は再選をめぐる選挙だ。民主党の予
備選活動家やリベラル派は、現職の共和党大統領打倒への熱意を強
力な原動力としている。これほどまでに現職大統領に対して侮辱、
怒りを表明したり、強い憎しみをあからさまにぶつけたりしたのは
、ニクソン政権でピークを迎えて以来のことだ。

 選挙運動を進める活動家やリベラル派は、ブッシュ政権を倒そう
と必死だ。もちろん目標は選挙で打ち負かすことだが、民主党陣営
が何よりも望んでいることは、ブッシュ大統領を攻撃することだ。
そのための武器がディーンだ。

 ディーンは、選挙運動を強烈に進める「ミスター・インテンシテ
ィー(激しさ)」だ。いつも腕まくりをし、顔をみれば、反ブッシ
ュ感情がにじみ出ている。関心を集めたのはそのためだろう。そし
て、イラク問題でつまずき、名が知られるようになった。

 正確には、イラク問題の方がディーンのところに来たと言うべき
だ。戦争が迫ってくるとディーンは、戦争の政治への影響の大きさ
に気づき、戦争に真正面から反対することで、戦争を見事に利用し
てみせた。

 他の候補者らは、民主党が湾岸戦争への対応で失敗したことを教
訓に、はっきりしない慎重な態度を取った。四月九日にフセイン像
が倒されたときディーンは、フセイン政権打倒は「たぶん」いいこ
とだ、と言った。慎重な態度を取ったことは賢明だったように見え
る。ディーンは賭けに負け、大きなダメージを受けた。ところが、
イラクでの米国の運勢は低下、米国でのディーンの運勢が上向いて
きた。

全米レベルまで進むのは誰か

 ということは、ディーンが民主党の大統領候補になる可能性が大
きいということか。違う。第一に、民主党指導部は、左傾化するデ
ィーンにより、がけっぷちに追いやられるのを望んでいないだろう
。ディーンがゲッパートの支持基盤アイオワ周辺で彼を負かし、さ
らにニューハンプシャーでケリーを負かせば、党指導部は南部で抵
抗するかもしれない。南部は、二〇〇〇年のジョン・マケイン、
一九八四年のゲリー・ハートのように、伝統的に共和・民主両党で
、予備選初期に外部からの反乱が起き、抑えられてきた場所だ。

 第二に、ディーンの情熱は、ほとんどが全米で各個撃破のスタイ
ルで行われる選挙運動初期にはうまくいくということ。民主党のリ
ベラル活動家らは熱気を帯び、ディーンの情熱的なやり方は、
一対一、タウンミーティングなど、小口のキャンペーンを進めてい
るこれまでは、完全にうまくいっている。

 ディーンにとって問題は、冷静な判断が下されるテレビだ。ディ
ーンはテレビでは失敗続きで、キャンペーン初期のサウスカロライ
ナ州での討論会は不調、「ミート・ザ・プレス」でのインタビュー
は皆の笑いものになった。短気とみなされたからだ。

 選挙運動が地方から全米に拡大していき、テレビ放映が増えてい
くと、ディーンは課題を抱えることになる。その点ケリーは有利だ
。熱気と情熱を欠いていることが原因で沈んでしまう前に、全米レ
ベルでの戦いにまで持ち込めれば、選挙戦をうまく進めることがで
きるだろう。
米コラムニスト チャールズ・クラウトハマー 世界日報 ▲掲載許
可済
Kenzo Yamaoka
==============================
件名:既存の制度が崩壊しつつある日本  
面白くなった政治劇はその象徴・カギ握る小沢一郎氏と公明党

公明票なければ自民は敗北
 政治が面白くなってきた。米朝の動向やテロリズムに向けられて
きた国民の関心も久しぶりに国内に戻ってこよう。喜ばしい限りで
ある。もちろん、火付け役は小沢一郎氏と公明党である。

 小沢氏の自由党解党、新民主党の結成という野党戦線構築のイン
パクトは大きい。これを野合と冷笑する人たちは政治と民衆心理の
かねあいが分からないのだと思う。埼玉県知事の上田清司八〇万票
のうち無党派47%の支持が意味するものは明らかに新党戦列への期
待度の表れとみてよい。

 しかも、小泉支持票は自民党県連推薦候補に結び付かなかった。
この傾向はすでに大分の地方統一選や徳島などの知事選に見られる
傾向でもある。底辺に流れている有権者の情念は官僚への反発と
ムラ社会的自民党体質への嫌悪である。

 たしかに小泉首相も官僚支配システムにメスを振るおうとしてい
るが、弱体化はできていない。少なくとも菅・小沢の政治路線の方
が自民党を「たたき壊し」「官僚打倒」を実行してくれるのではな
いかという想いの数値は高いに違いない。小泉改革へのある種の
失望感と閉塞感は新民主党ブームを呼ぶ可能性がある。

 もう一方の仕掛け人公明党は衆参同時選挙を嫌って参院選一千万
票獲得を目指している。政権与党はこれに同調した結果、総裁選と
衆議院選挙を一体化させてクリアしなくてはならなくなった。そこ
に派閥抗争が生じ、当落線上議員と落選中大物議員の阿鼻叫喚(あ
びきょうかん)が起こってしまった。

 今、私の手元に「××君の国政復帰を期する会」式の招待状が何
通も届いているが、ほとんどが閣僚級前議員である。この人たちは
公明票を手にできなければ確実に落選する。それだけではない。
公明基礎票の協力が得られるか否かによって自民党の小選挙区獲得
議席は一八二から三七減の一四五になってしまうという。比例区は
どうか。前回衆院選の自民の獲得が一七〇〇万票、民主・自由合計
二一六〇万票。明らかに自民が負ける。
 となれば、参院選での公明党の集めた八一九万票は垂涎(すいぜ
ん)の的となろう。どちらにせよ、自民党は公明票を“拝受”せず
には政権与党の地歩を守ることはできないのである。

都市部では自民離れが加速

 このようにして政治舞台は阿修羅(あしゅら)の観を呈してきて
いる。落選議員は木から落ちた猿だというが、今や化石になるか否
かの瀬戸際に立たされている。そこで自民のセンセイ方は、小泉か
亀井か、どちらが当選の「御利益」をもたらしてくれるかと、頭の
ハエを追うことに地獄の苦しみを味わっている。その間隙を縫って
森・野中・古賀という策士らが跳梁(ちょうりょう)し政治を面白
おかしくしている。

 しかし、この権力闘争も一歩間違えば、小泉総理、××総裁とい
う総々分離というハチャメチャな跛行現象を招きかねないし、いく
ら永田町の論理だからといって、それで衆院選に勝てると思うほど
愚かではあるまい。策謀の士で田中・竹下直伝の選挙プロ小沢一郎
にみすみすチャンスを与え、好餌(こうじ)到来とばかり本丸を乗
っ取られてよいなどと、マキャベリスト野中広務氏が考えるはずが
ない。

 だが、楽観は禁物である。既に地方の職能団体(医師会・農協等
)には二年前の拘束力はない。都市部でも自民離れはうねりを見せ
ている。さらに、大都市および周辺部の団塊の世代および四十代、
三十代の給与生活者の政権党への怨念は予想以上に強まっている。

 先般、ある一部上場企業幹部の研修会で「いまだに、日本の政治
はあの密室五人組たちに支配されているのかと思うと情けなくなり
ます」と中間管理職が語っていたが、この偽らざる心情がどのよう
に票の動向を決定していくか。しかも、そうした心情こそが実は二
年前、小泉首相を誕生させたのだが、総裁選の醜態は政治の論理と
基盤を歪め、結局は党利党略なのだという絶望感を味わわせている
ことも忘れてはなるまい。

 では、いかにしたらよいか。結局は小泉氏を再選し公明党の全面
協力を得てイチかバチか打って出るほかはあるまい。その場合いか
なる政策で民主との対決力が出せるか。小泉改革路線では勝てまい
。そこに場当たりでファジーな政治の歪曲が起こる。

主導権は企業と壮年世代に

 あらゆる面で日本は既存のレジュームが破産化しつつある。自民
党も民主党もそのメガトレンドを止めることはできない。主導権は
企業と壮年世代に移行しつつある。彼らは伝統的慣習と体制的モラ
ルを生活利益の次元から次々とスクラップ化していくだろう。
 社民党と保守新党は衰亡の道を確実にたどる。

 だから政治は面白くなっていくのである。世の一切は無常の理に
よって運ばれ、合成体は生存と滅亡を繰り返す。

 最近、寺院の倒産があり得るとの声が上がっている。間違いなく
存続すると信じている日本人の風習・習俗も皇室を除いて変質化し
つつあるのだ。いや、それとても過渡期かもしれない。今度の政治
劇はその象徴と言えよう。
評論家 高瀬 広居・世界日報 掲載許可済です
 Kenzo Yamaoka
==============================
元龍谷大教授・著述家、森本忠夫氏に聞く

活路求め対ロ関係強化へ・イラク戦争後、有利な状況に/米と対等
の立場狙う

鉄道網完成で利害一致/ロの石油・ガスを太平洋側へ

 北朝鮮問題は、同国と陸続きで歴史的にもつながりの深いロシア
と中国という両大国の存在を抜きにしては語れない。そこで、東西
冷戦時代に旧ソ連の崩壊を徹底分析し、今もロシアに太いパイプを
持つ元龍谷大教授で著述家の森本忠夫氏に、ロシアとの関係を軸に
北朝鮮の動向について聞いた。

 (聞き手・池田年男・世界日報)

――今月九日に北朝鮮は建国五十五周年記念式典を盛大に行ったが
、強硬姿勢は打ち出さなかった。六カ国協議の継続を考え、アメリ
カなどを刺激する行動を控えたと見られる。最近の北にはどういう
思惑があるのだろうか。

 北の核問題が国際社会における最大の関心事で、先の六カ国協議
でも中心議題だった。実際に何発の核兵器を持っているかについて
アメリカは多分、知っているはずだが、具体的なことは重要機密だ
から知らないフリをしていると思う。私が最近得た情報では、ロシ
ア当局ははっきりつかんでいて、いつでも発射可能な核ミサイルを
六発保有している、ということだ。

 北は、核に頼る以外に自国を防衛する方法がないと信じきってい
る。そうなった原因はほかでもない、イラク戦争だ。北から見れば
、イラクのフセイン政権が短期間のうちに壊滅状況に追いやられた
のは、イラクが核を持っていなかったからで、少量でも対抗手段の
核兵器を持っていたら体制存続のための取引が保証されたはずだと
考えている。

 ただ、六カ国協議が持ち上がったころから、情勢は北にとって有
利に、逆にアメリカにとっては不利という状況に変わってきた。
周知のように、アメリカによるイラクの戦後復興はすべてが裏目に
出た。米軍が毎日のようにゲリラの襲撃を受けて死傷者が絶えない
という現状で、アメリカの占領政策が行き詰まり、展望が開けない
。アメリカはイラクから手を引けない状態だ。アメリカが北に軍事
行動を取るかもしれないという、イラク戦争の前とは情勢がかなり
変わった。

 さらにパレスチナ和平の問題がある。これがまた、複雑にこじれ
て、いつまでたっても解決の糸口が見つからない。当たり前のこと
で、現地に行ったこともあるが、中東和平の実現は至難の業としか
言いようがない。仲介役のアメリカがここでも苦労している。
 そして、最近はあまり報道されないが、アフガニスタンも不安定
な状況にあり、やはりアメリカがここに“拘束”されている。

 六カ国協議では、アメリカと日本は別としても、北からすれば、
ロシアと中国は味方になってくれる、と期待し、韓国も太陽政策が
あるから敵視政策は取らないだろうと。そうなると、下手をすれば
六カ国の中でアメリカが孤立する可能性も否定できない。そこで、
この会議を今後も継続していくことで、北にとって何か新しい有利
な情勢がさらに出てくるかもしれない。そういう方向へ持っていこ
うとしているはずだ。

――すると、北にとっての最終的な狙いは何か。

 結局、北はまずアメリカとの間で不可侵条約を勝ち取り、体制維
持への保証を取り付けた上で、次は日本に対して植民地支配の賠償
金(経済協力)を要求する。それでもって、今一番、北のアキレス
腱(けん)になっている経済危機を打開しようというもくろみだ。

 一年前の日朝首脳会談で拉致問題を認めて謝罪したのも、日本と
の国交を正常化して賠償金を手に入れるためだった。ちなみに、北
が求める賠償額について、専門家は同国の年間国民総生産程度、
つまり約一兆五千億円と分析している。私のロシア情報の内容とも
符合する数字で、これくらいの金が日本から入れば、あの国の経済
は何とか切り抜けられると思われる。

――それにしても、北の交渉態度は日本やアメリカに対してあまり
にも強硬だが。

 脅かしたり、挑発したりした方が相手が折れてくると本気で思っ
ているようだ。もっと常識的にやれば、事態は肯定的にスムーズに
運んでいくと思えるのに、非常に古いやり方と言わざるを得ない。

 だが、金正日総書記という男をロシアのプーチン大統領はどう見
ているか。そのことも念頭に入れておく必要がある。半年ほど前に
両者がウラジオストクで会った後、プーチン大統領は極東の学者た
ちと話し合った。その中の一人で私が長年付き合っている学者と
最近会って話しを聞いた。彼によるとプーチン大統領は「金総書記
は非常に現実的な思考をする人物で、情報もふんだんに得ている。
彼と交渉する時は、対等の立場にあることを示さねばならない」と
言った。金正日総書記は、相手が対等に取り扱ってくれると思わな
いと乗ってこない、というわけだ。だから核問題も、あくまでアメ
リカとの対等外交を実現するために利用している、ということにな
る。

――かつてソ連の崩壊を事前に予測するなど専門的に分析した立場
から見ると、北朝鮮の瓦解(がかい)も近いと思うか。

 北では経済の破綻(はたん)から脱却するため、一年ほど前から
ヤミ市場を認めたり、月給を上げたり、いろんな手を打っている。
旧ソ連崩壊の最終段階で出てきたペレストロイカ政策の時と同じや
り方だ。だが、インフレが進み、国民生活の窮乏化も深刻化してい
る。財政がひっ迫してどうにもならないから、なりふり構わずミサ
イル、麻薬、偽造通貨を輸出する一方で、国債を発行している。
制御不能なインフレと、生産水準が停滞する中で国債を発行すると
、かつて移行期経済のソ連で見られたように、国債の債務不履行を
引き起こし、国家的未払い問題、つまり金融パニックという事態に
つながっていく。

 ただ、ロシアの場合には、高い水準の潜在的な生産力があり、
都会の人間たちも郊外にダーチャと呼ばれる別荘を持っていて、そ
こで家畜を飼ったりジャガイモを生産したりしている。それに加え
て、当時、高水準な国際石油価格が持続し、石油による外貨獲得が
増えて急場をしのぐことができた。

 その点が今の北とは異なる。北の場合は、打てる手だてが全くな
い。財源がないから、ソ連の時よりもずっとひどい状況だ。こうい
う苦境を打開するために、金正日総書記は何とかして市場経済化を
しなければ、と考えていることは間違いない。そういう経済システ
ムを構築しないと、日本からの賠償金を手に入れたとしても、それ
を有効に生かせないと、よく分かっているからだ。

――活路を開こうと必死になっている北に対して、ロシアはどうか
かわっているのか。

 これは既定の事実として、北と韓国の鉄道の連結および、北とそ
こから先のシベリア鉄道との連結事業がある。これを実現すると、
当然のことだが、ヨーロッパ側への非常に大きな幹線ルートができ
る。船舶よりも輸送のスピードも速い。

 問題は、それじゃ貨物はどうするのか、ということだが、韓国の
貨物だけでは十分ではない。ロシアの貨物もそうだ。結局、その荷
主は日本をはじめ東南アジアの国々ということになり、オーストラ
リアも加えていい。ニーズももちろんある。連結する場合にレール
の幅の違いをどうするかという技術的な課題はあるが、この鉄道連
結事業はロシアにとっても非常に有利なことだ。北がこういう、鉄
道ネットワークを完成させることで経済的利益を共有しようという
現実的な経済戦略も進めていることを見落としてはいけない。

 もう一つ、それはロシアのバイカル湖周辺の石油、天然ガスだ。
これをロシアは大慶かナホトカに持っていきたい。ナホトカだと、
距離は長くコストは高くつくが、何しろ、ロシアは昔から太平洋側
へ進出したいというのが伝統的な願望だ。ナホトカへ進出できれば
、市場は非常に広い。

 私の得た情報では、ロシアでは最も現実的かつ有利なこととして
、そっちの方にパイプラインを延長させるという方向で進んでいる
。そうすると、イルクーツクの近くからナホトカへパイプラインを
引くとしたら、その間に支線が引ける。北は今、燃料事情にも困っ
ているのだから、その支線を北まで持ってくることを期待している
。ロシアにとっても北にとっても好都合な事業だ。

 こうしたシナリオが現実のものになれば、核問題にも展望が開け
、六カ国の政治的、経済的関係は肯定的なものに変貌(へんぼう)
していくだろう。東北アジアの情勢が一挙に好転するという可能性
もある。

 森本忠夫 昭和元(1926)年、京都市生まれ。京都大経済学
部卒。東レ研究所所長、龍谷大経済学部教授などを経て現在著述家
。同46年夏、ピョンヤン訪問。著書に『ニッポン商人 赤い国を行
く』『ソ連はいつ立ち直れるか』『ロシア経済改革の失敗』『魔性
の歴史』『破局への戦略』など多数。現在、ライフワークとして、
米軍機密史料を基に太平洋戦史を執筆中。最初の著作としてガダル
カナル島会戦史論を刊行予定。掲載許可済です
Kenzo Yamaoka


コラム目次に戻る
トップページに戻る