1326.イラクの状況と世界



イラク状況を見て、世界を大きく見てみよう。    Fより

イラク駐留米軍兵士はイラク解放したら、帰国できると思っていた
が、今まで継続して3ケ月もイラクに留まっている。そして、ゲリ
ラ戦に遭遇して、疲労している。解放後も30名以上の米国兵士が
殺されている。戦争は簡単に終わり、直ぐに帰国できるという約束
が履行されていないと感じている。

そして、とうとうABC放送のインタビューで、気持ちが爆発した。
ラムズフェルドの辞任を要求する。しかし、米国の政治家たちでも
ネオコンに騙されたという思いを抱く人が増えている。大量破壊兵
器も発見できない。CIAの情報も捏造であったことが判明してい
る。騙されて、米軍の兵士はイラク侵攻をしたが、イラクでゲリラ
戦に遭遇して苦戦の状態にある。このため、国家財政も逼迫してい
る。

ブッシュ大統領は、正義の戦いと言うが、3ケ月も経ってからイラ
ク人の暫定政府「統治評議会」を作った。そして、その評議会の中
心である亡命イラク人がイラク社会に受け入れられない。イラクを
治めるためには、多くのイラク人から、信頼されている人物が必要
であるが、そのような人物は親米派の亡命イラク人にはいないよう
だ。

それなら、旧イラク政府で人望ある元情報大臣などのような人をト
ップにすればいいのであるが、ほとんどの人はバース党員であるか
ら、いつ寝返るかわからないということのようである。この考え方
がある限り、米国はイラク人から見放される。

ブッシュもこのようなイラクの状態には手を焼いている。このため
、国民の関心をイラクから北朝鮮やアフリカに移したいのであろう
。そのため、北朝鮮の核再処理は丁度良い時期の重大事である。
しかし、北朝鮮への戦争は韓国という米国の同盟国が、邪魔をする。
中国の方が米国寄りであり、韓国より益しである。日本は、自力で
事態を展開できない。アジアでの日本の限界は見えている。

このため、米国は韓国・日本より中国を重要視せざるを得ない。
アジアの盟主は中国である。中国も米国の見方の変化に即応して、
日本・アジアとの外交関係を見直している。新思考外交である。

中国包囲網として日本・ASEAN諸国を見ていた立場から、アジ
アの利益代表者として中国がこの諸国をまとめていくようなことに
なる前提で、国間の関係を調整をし始めた。日本も中国の下である
から、靖国神社参拝ぐらいで騒ぐ必要がないと。

日本は自国で、情報を取ろうしないし、軍事力の行使もできないよ
うにしている。このため、外交を自分でできないようにしている。
中国はアジアに散らばる華僑などの情報もあり、大軍備を持ってい
るため、アジア諸国は中国の影響を強く受けることになる。ここが
日本人には分からない。情報と軍備の両方を持たないと、マトモな
外交ができなことを。

マトモな外交が出来ないから、米国の属国で我慢しろと評論家は言
うが、何か違う。マトモな国になることを、どうして放棄するので
あろうか??? 親米派の評論家の怪しい所である。日本の自立が
先で、その後の同盟関係であるはず。米国に意見も言える関係を構
築するべきだ。それが真の友好であろう。

米国と中国の関係を見れば分かると思う。中国の外務次官が、米国
要人と長い時間協議できる。それは中国サイドに高い情報収拾・分
析能力があるため、米国の方針を決めるためには、どうしても中国
が必要なことであるのだ。日本はその面では無価値である。
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件名:イラクめぐり正念場の米国  

暫定政府「統治評議会」が発足・連日、米軍への攻撃
 イラクでの最近の出来事は、イラクを自由で民主的な国家として
再建しようとしたブッシュ米政権の目標が大きな壁に阻まれている
ように見える。フセイン元大統領の行方が分からず、大量破壊兵器
に関する確たる証拠も発見できない中、旧フセイン政権残存勢力が
ほぼ連日ゲリラ戦を仕掛け、情報操作の疑いから米国世論も大統領
への支持率を下げるなど、米政権はまさに正念場に立たされている
感がある。その中で、希望と見えるイラク人による初の暫定政府、
「統治評議会」が発足したが、これがどこまで山積する諸問題を解
決する主体として成長し得るのか、いまだ不透明だ。
(カイロ・鈴木眞吉・世界日報)

 イラク駐留米軍に対する旧フセイン残存勢力の攻撃が表面化した
のは五月下旬からだが、六月中旬、石油パイプラインがたびたび爆
破され、下旬には英兵への攻撃が行われた。
 七月初旬にはイラク警察など米軍支持のイラク人勢力へも攻撃が
拡大され、フセイン元大統領と名乗る人物の音声テープがアラブ主
要メディアで流された。それ以降ほぼ連日のように米軍への攻撃が
続けられ、ブッシュ大統領が五月一日に大規模戦闘終結を宣言して
から米軍の犠牲者はすでに三十四人に達した。

 十六日には、米軍輸送機に向けて地対空ミサイルが発射され、
親米市長親子も射殺された。米中央軍司令官はついに、対米軍攻撃
をゲリラ戦と認識、バース党の中堅層や共和国特別防衛隊などが
地域レベルで組織的に連携していることを確認した。

 ブッシュ大統領は、これらは予想された出来事として冷静に対処
していく方針を明示している。四月九日、首都バグダッドがあまり
にあっけなく陥落したさまを見て、「サダム・フェダイーン(挺身
隊)」などの民兵組織が、地下に潜伏して勢力を温存し、時を狙っ
てゲリラ活動に出る可能性を指摘する人も少なくはなかった。
連合軍による暫定行政当局(CPA)のブレマー米文民行政官は、
戦前からの戦闘計画が今行われていると語った。実際、動きやすい
少人数グループで敵を攻撃するようにとの指示は、元大統領自らが
戦前に出したものだ。

 連合国側にとって、マイナスが重なったこの事態を打開する希望
の一つは、今月十三日に正式発足した「統治評議会」だが、滑り出
しは順調なようだ。第一回会議で、バース党の記念日を全廃、フセ
イン政権崩壊の四月九日を祝日とした。十四日の第二回会議では、
国連にイラク代表団を送ることを議決、パチャチ元外相ら代表三人
が、二十二日にアナン国連事務総長らと会談して、同評議会が暫定
的にイラクを代表することを国内外に確認する。

 十五日の第三回会議では、フセイン元大統領を含む旧政権幹部の
人道犯罪を裁く特別法廷の設置を決めた。

 今後の課題は、評議会議長の選出、暫定閣僚や外交官の任命、
憲法起草委員会の選出など、人事問題を混乱なく処理することだが
、イスラム教スンニ派が、シーア派からの評議員数に比較し議席数
が少ないことに不満を表明するなど、今後の運営に少なからぬ不安
定要因のあることが表面化している。

 CPAのブレマー行政官は十五日、次のステップは新憲法起草と
し、その後、完全な自由選挙を経てイラクが主権国家となればわれ
われは一日たりとも必要以上の長居をしないと述べたが、「滞在の
長短はイラク人次第」とも語り、状況次第では長期化する可能性を
示唆した。

 大量破壊兵器については、捜索チームの責任者デビッド・ケイ氏
が十五日、米軍はすでに多数の書類を押収し、今後の半年で分析が
完了すれば、大量破壊兵器保有が証明される、と自信を示した。

 六千人以上の政治犯、十八万人のクルド人、六百人のクウェート
人捕虜、十万人のイスラム教シーア派住民を処刑・虐殺する一方、
豪華な大統領宮殿を無数に建設した独裁者フセイン元大統領の残虐
な政治からやっと解放されて、自由と民主主義を目指す新生イラク
を創建する千載一遇のチャンスを得たイラク国民を、今誰よりも先
導すべきは、自由と民主主義を先に歩んだ欧米諸国をはじめとする
全世界の自由民主主義国家だろう。

<イラクをめぐる最近の動き>
2003年
4月9日 首都バグダッドの陥落によるフセイン政権崩壊
  10日 バグダッド中心部でイラク戦争が始まって以来初の自爆
     テロ、米海兵隊員1人が死亡、3人が重傷
  15日 イラク暫定政権発足に向けた暫定統治機構の1回目の準
     備会合
  30日 フセイン大統領のものとみられる書簡がアラブ紙に掲載

5月1日 ブッシュ米大統領、対イラク大規模戦闘終結宣言

6月12日 フセイン政権残存勢力、トルコ向け石油パイプラインを
     爆破
  23日 シリアとの国境に近いイラク北西部の石油パイプライン
     が爆発炎上
  24日 イラク南部都市バスラから北方約200`地点のアルアマラ
     で、英軍部隊襲撃され、6人死亡、8人負傷。これ以降
     、連日のように米軍への攻撃
  29日 イラク駐留米軍、旧フセイン政権残存勢力掃討のための
     第3次作戦「ガラガラヘビ作戦」を開始

7月3日 フセイン情報に30億円の懸賞金、息子ウダイ氏とクサイ
     氏には約18億円
  4日 フセイン元大統領の肉声と思われる音声テープ、アルジ
     ャジーラが放送
  5日 バグダッド西方のラマディの警察施設で大規模爆発、イ
     ラク人警察官7人が死亡、514人が負傷
  13日 イラク人による暫定政府「統治評議会」発足、フセイン
     政権崩壊日を祝日に
  22日 イラク統治評議会代表、国連へ
 ▲掲載許可済みです。
Kenzo Yamaoka
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件名:米国は占領政策見直しを  

中東問題専門家アミール・ベアティ氏に聞く
米国は占領政策見直しを・省庁の解体は間違い
 イラクのフセイン政権が崩壊して三カ月が過ぎた。駐留米・英軍
に対する襲撃事件が後を絶たない一方、新生イラクの受け皿となる
べき暫定政権の発足が遅れている。そこで本紙はイラク出身の中東
問題専門家アミール・ベアティ氏と会見、イラクの現状と課題につ
いて質問した。(聞き手=ウィーン・小川 敏・世界日報)

――フセイン政権は崩壊したが、イラク情勢は依然不安定だ。米英
軍に対する襲撃事件が増えてきた。油田の放火やサボタージュも後
を絶たない。

「米国は最初の段階から間違いを犯した。もちろん、イラク国民は
フセイン政権とそのやからが消えうせたことに感謝しているが、米
国が犯したミステークは、重要な省庁を解体してしまったことだ。
国防省、内務省、外務省、情報省、石油省などだ。イラク国民の多
くがそれらの省庁に勤務、ないしは直接、間接的に関係してきた。
国連の制裁下で多くの失業者が出たが、米英軍の占領下ではその
数十倍の失業者が出た。耐えられない状況下に落ちたのだ。米国が
政府関係省を解体せず、フセイン政権崩壊後もその職務を履行させ
ていたならば、イラクは今日のようなカオス状況に陥ることはなか
ったはずだ。「ベルリンの壁」が崩壊した後も旧東独ではすべての
政府関係者はそのまま職務を遂行したように、イラクでもそうすべ
きだった」

――米英軍の駐留政策に問題があったということか。

「イラク国民は二十四時間、占領軍に監視されて生活することに耐
えられない民族なのだ。事前の警告もなく、大学、路上、住居で米
軍にコントロールされ、女性が米軍兵士にボディーチェックされる
のを見ることはやり切れないのだ。米国のやり方はイラクの国民性
、宗教性から見て容認できない。だから、米軍のやり方に対し、
批判と嫌悪感がますます醸成されることになるのだ。米軍がこれま
でと同じやり方を続ければ、米軍はけっしてイラク社会から歓迎さ
れないだろう」

――フセイン元大統領はメディアを通じて「異教徒を追放せよ」と
イラク国民に呼び掛けたが、イラク国民の中にはフセインの復権を
恐れ、米軍に協力することを拒否している面もあるのか。

「明確な点は、イラク国民はフセインの復権など考えてもいないと
いうことだ。フセイン政権は崩壊、フセインはもはや死んだと同様
だ。フセインに忠誠を誓う勢力は共和国防衛隊のほんの一握りにす
ぎない。だから、繰り返すが、米軍が現存するイラクの官僚機構と
協力して復興作業に取り掛かっていたならば、今日のような事態に
は直面しなかったはずだ。いずれにしても、イラク国民は外国勢力
の支配には屈しない民族だ」

――亡命イラク組織の指導者が次々と帰国した。彼らは新生イラク
の発足に重要な役割を果たすものと期待されていたが、彼らの存在
は今も影が薄い。

「私がイラク戦争前にも言ってきたことだ。米国も、亡命イラク指
導者がいかにいい加減な存在であり、その提供する情報がいかに
デタラメであったかを理解したはずだ。『イラク国民会議』のチャ
ラビ議長にせよ、『イラク・イスラム革命最高評議会』のハキム師
にしろ、新生イラクを指導できる人物ではない。チャラビ議長は
バグダッドをボディーガードなくして一人歩きすらできないのだ。
一人でいたら、イラク国民に殺されてしまうからだ。これが亡命
イラク組織の指導者の現実なのだ」

――米国はイランがイラクのシーア派を通じてさまざまな反米工作
をしているのではないかと懸念している。

「イランはイラクに強い関心があることは事実だ。イラク国民の
60%以上のシーア派を通じて影響力を行使している。最近、シーア
派とスンニ派は一体化して民主イラクの再建に取り組むことで一致
したという情報もある一方、イスラム教の一部過激派や民族主義グ
ループ、フセイン信奉者が反米活動を扇動していると聞く。また、
混乱に乗じて窃盗、強盗、拉致などをする犯罪グループ、通称イラ
ク・マフィアすら暗躍してきた。事態が取り返しがつかなくなる前
に、連合国暫定当局(CPA)のブレマー行政官はイラクの国民性を
早く学び、その占領政策を修正すべきだ」

――イラクにはフセイン政権後の国家を運営できる人材はいるのか。

「アフガニスタンとは異なり、イラクは文化国家であり、国家を指
導できる人材、知識人は多数いる。イラクにはカルザイ氏は必要な
い。米国が本当に解放軍であるならば、国家運営の主導権を早くイ
ラク国民に手渡すべきだ。アラブ系、クルド系、トルクメン系、
シーア派、スンニ派のすべての国民が一体化し、国家の復興に当た
れば可能だ。イラク国民にとって、治安の確保、食糧・水など日常
必需品の復旧、そして職場の確保が急務だ。新生イラク建設のプロ
セスでは、米軍は主役ではなく、あくまでも脇役に徹すべきだ」

――十三日に統治評議会が発足、イラク人主導の新政権へ第一歩を
踏み出したが、これを評価しているか。

「一歩前進ではあるが、米主導の政策にはなにも変わらない。すべ
ての権限はブレマー行政官が今も掌握している。その意味で、同評
議会は米国のマリオネットの域を越えていない。統治評議会発足に
対して、イラク国民を含むアラブ側の反応が冷ややかな理由もそこ
ら辺にあるのではないか。評議会メンバーの中にイラク国民から信
頼を受けている人物が少ないことも懸念材料だ」
▲掲載許可済みです。
Kenzo Yamaoka
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イラクに新規部隊派遣を検討=ゲリラ戦で兵士が疲労 
2003 年 7 月 18 日 

【ワシントン17日】米国はイラクでゲリラ戦に直面する一方で同
盟諸国がイラク情勢安定化のための部隊派遣に消極姿勢を取ってい
るため、戦闘に疲労したイラク駐留部隊を交代させることを検討し
ている。米国防情報センターの専門家マイケル・ドノバン氏は、
イラクで米国がベトナム戦争のような泥沼にはまる恐れはないが、
イラク戦争短期勝利後の楽観気分は消えうせたと指摘し、米軍に死
者が続出すれば米国民の士気が阻喪し、ブッシュ政権にとり、政治
的なマイナスになる可能性があると予想している。

イラクに駐留するある米兵は「ラムズフェルド国防長官がここにい
るなら、私は彼の辞任を要求する」と息巻いていた。アビザイド中
央軍司令官は16日、こうした兵士の不満発言について、軍服を着
ている者は国防長官を中傷することを言ってはならないと警告して
いる。

アビザイド司令官は、現在駐留している米軍を陸軍と海兵隊の新規
部隊と交代させる考えを明らかにし、イラクを平定するには新しい
米軍部隊をボスニアでのように年間単位で展開しなければならない
と述べた。

米国での報道では、国防総省は今冬にも州兵最大1万人に動員をか
ける可能性があるという。〔AFP=時事〕
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イラク治安回復、この3か月がカギ…米調査団報告

【ワシントン=永田和男】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(
CSIS)は17日、ラムズフェルド国防長官らの依頼を受けて行
ったイラク復興に関する現地調査の報告書を発表した。

「米国は今後数年間はイラクにとどまる準備が必要だ」と指摘した
うえで「復興の成否は今後12か月で決まる。特に今後3か月は、
国内主要各都市で危機的状況にある治安の回復に死活的意味がある
」と述べ、早急に治安が回復されない場合、イラク国民が占領当局
への信頼を失い、占領は困難に直面すると警鐘を鳴らしている。

報告書は、同研究所のジョン・ハムリ所長を団長とする5人の専門
家チームが、同国防長官やブレマー連合国暫定当局(CPA)行政
官の依頼で、今月7日まで11日間行ったイラク各地の視察に基づ
くもの。

報告書は「バグダッド、モスルはじめ、あらゆる都市で恒常的に(
治安が)悪化し続けているというのが現地の一般的認識だ」と指摘
。米軍と他の連合国軍、さらに今後養成されるイラク警察も含め、
治安に当たる部隊の構成などを早急に見直す必要があり、民間警備
保障会社への外部委託も検討すべきだとしている。

また治安だけでなく、電気や水など基本的サービスの供給、イラク
人の政治参加も加速しないとイラク国民の不満が高まると指摘。
さらに、イラクで米国への反感が根強く残ることは避けられないと
して、攻撃に参加していない国も含めた「復興のための連合」を組
織し直すことも重要だとしている。(読売新聞)
[7月19日0時9分更新]
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イラクへの関与強化に消極姿勢=NATO

 【ブリュッセル16日時事】北大西洋条約機構(NATO)の
ロバートソン事務総長は16日、記者団に対し、「イラクへのさら
なる関与を検討する段階ではない」と述べ、イラク復興でのNATO
の役割強化を求める米議会の要求に対して消極的な姿勢を示した。
(時事通信)
[7月17日1時4分更新]
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    天下静謐執行権       Mond

織田信長の伝記を読んでいると「天下静謐執行権」というものが出
てくる。「世界平和秩序の実行権」とでもいうべきもので、織田信
長に逆らえば逆賊の烙印を押されてしまう。これを根拠に朝倉義景
追討軍を起こし、危うく浅井長政との挟み撃ちに遭うところを「釜
が崎の退き口」で秀吉の殿軍がよく戦い、命からがら信長が京に戻
れたという有名な話となる。

9.11ツインタワー攻撃崩壊事件後、アメリカ大統領ブッシュは
全世界に対して「アメリカの味方か、テロリストの味方であるか、
どちらであるのか」と踏み絵をさせて、中国、パキスタンですら
アメリカの味方であると表明させたのは記憶に新しい。

その後アフガニスタンを攻撃しタリバン政権を崩壊させ、次にイラ
クを攻撃してフセイン政権を崩壊させた。次は北朝鮮か、イランか
といわれる情勢になっている昨今である。

アメリカは一国行動主義といわれ、国連を無視し、曲がりなりにも
機能してきた国際法を逸脱した行動を取っている。これは「天下静
謐執行権」の行使ではないのだろうか。
「天下静謐執行権」の行使であるなら現代は「戦国時代」であるこ
とになる。事実、現代を戦国時代と思っていないのは極楽蜻蛉の日
本人くらいではないのだろうか。世界は統一される方向にある。
この時、戦争がないと思っているとしたら余程のアホだろう。必ず
戦争があり、それも戦火が我が身の及ぶことは一度ならずあり、
家族を含めて人生をまっとうできない場合があるということを覚悟
しなければならない。

しかし、統一するほどに機が熟しているかというとそうではない。
世界に異文明はいくつもあり、古代のヘレニズム化(ギリシャ文明
化)ほどには欧米文明化されてはいないのである。欧米文明は科学
工業技術を除けばそれほど秀でた文明ではなく、文化的には日本の
方が余程優秀で、絵画、工芸、アニメ、ファッションなどでは大活
躍である。精神文化では日本の禅の奥深さには到底他は追随出来な
いだろう。

各文明はいまは表面上開国主義を取り、表向きは欧米文明に圧倒さ
れているかにしているものの、地下水脈は全く汚染されてはいない
。そうであれば、軍事的にアメリカが世界を圧倒して世界を統一す
るかに見えても、それは単に覇権を確立した程度のことであり、
アメリカの締め付けが弱まれば世界各地で大反乱が起き、いずれは
アッシリアの如く歴史上アメリカという国家が記憶からまでも抹殺
される時代が来る可能性も大いにあるのだ。

世界統一を願う日本人が多いのは事実で、それは世界平和が確立さ
れると思えばこそである。しかしながら、それまでには戦火のロー
ラーが地球上を二度三度と駆けめぐってからのことになりそうだ。
我々の子孫もどんな運命を辿るのか知れはしない。

何度もいうが、現代は世界的な戦国時代である。世界統一に向かう
傾向は間違いない。世界が統一されるまでの間には文明はもっと均
質化していくだろう。この間、世界は戦火のローラーが二度三度と
駆けめぐり、日本だってどうなるか解らない。

ではどうすればいいのだろうか。可哀想だから子孫は作らないこと
にするか?そんな馬鹿を言う奴は早く死ねばよい。当たり前のこと
だが、早く普通の国になることだ。どんな情勢になっても生き残る
国となり、民族となり、国民となることだ。まずは、一刻もはやく
普通の憲法を持つ普通の国となることだ。「こんな国は存在すべき
ではない」と思わせ、人口を減らさせ、教育水準、道徳水準を下げ
て愚民化を進める連中を一掃することだ。全精力をつぎ込んで、
どんな情勢にも対応できる、戦国時代に対応した体制にすることだ
。ただし、独裁化には反対する。 
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(Fのコメント)
国連がいらない時代になったような感じを受ける。世界の警察権を
米国が持った状態になっている。しかし、長くは続かない。国家予
算がそれでは持たない。そのような無謀なことをすると、ドルの大
暴落が数ケ月後に起こると予測できる。

国連では世界から予算を取り、そして協調して世界の問題を解決し
ましょうと、一国に掛かる経費を削減している。この面が今後重要
になるでしょうね。
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今後の日本外交戦略に関する提言 
日本の生きる道
 
 まず北朝鮮という危険極まりない独裁王朝の打倒が第一である。
だが、戦争となると日本、韓国共に被害が大きく、更に北の国民か
らの恨みを買うことになり得策ではない。戦闘自体は朝鮮で行われ
るだろうが、工作船や潜水艇を使って首都圏の電力をマヒさせる位
は朝飯前だろう。
 
 北朝鮮崩壊の要件は開国、自由化である。飢饉によって恐らく崩
壊寸前の金体制のカリスマを根本から崩すには外の世界の豊かさを
伝える事が最も大きい。江戸幕府は260年間続いてきたカリスマ
を黒船によって打ち破られて崩壊し、ソ連もペレストロイカで外の
情報が入ったあとに崩壊した。苦境にある人々が外の世界に豊かな
世界があることを認知すれば、現政権に対する信頼度はガタ落ちし
、誰も信用しなくなった政府は自壊せざるおえない。
 
そのためには北の核保有は絶対に阻止しなければならない。核兵器
の保持と大陸間弾道弾のセットは北朝鮮がアメリカ、ロシア、EU諸
国といった世界の大国に肩を並べることを意味する。外国に対する
コンプレックスを抱える朝鮮人にとってこれは歴史的な偉業であり
、民族の英雄としての金正日の地位が、いかに経済的に困窮したと
しても、確立することになってしまう。
 
北朝鮮の崩壊は第二の東西ドイツ統一を生み出すだろうが、東ドイ
ツよりも状態の悪い北朝鮮の吸収に韓国は耐え切れないだろう。
ここで日本が人、カネを惜しみなくつぎ込んで援助をする。
日本はここで自国の痛みを省みずに、経済に大きな爪跡を残すこと
になってもこれを行う。人々の感情というものは軍事力や経済力な
どよりも余程脅威である。

日本の日露戦争での勝利したや、インド独立、ベトナム戦争、そし
て現在のイスラム原理主義、すべて怨恨に根ざしている。軍事力の
優越や経済力の大きさは数十年の安全を保障するが、悪感情の払拭
は数百年の安全を保障する。だから今後起こりうる「文明の衝突」
に巻き込まれることは絶対に避けるべきで、イスラムの恨みを買わ
ない為にもイラクの油田開発で日本は進出すべきではない。
 
 新生朝鮮が生きてくれば東シベリアの地下資源の十分な利用は可
能であるし、極東の対立関係が緩和されれば海底資源の開発も問題
なく進む。そして東南アジア諸国との連携を強めてアジア版ECを形
成する。
 
 歴史的背景から朝鮮の人々の対日感情は極めて悪いが、この認識
を根本から変革する。朝鮮が親日的になることは、今後地域大国と
して拡大する中国に対する一定の抑止になる。国土、人口の面から
中国は確実に日本を追い抜くだろう。日本としては中国を中心とし
たアジア版ECの構想を描くべきである。これまでのようなアメリカ
陣営の最前線としての役割を捨てれば、日本を取り巻く緊張が緩和
する。
 
 日本が自国の安全保障に大きな脅威を感じていたのは日本が「最
前線」とされた位置にいたからで、「最前線」の位置を変えてしま
えば脅威はさほどでは無くなる。

歴史的に日本の位置を考察すると古代は白村江に見られるように
大陸の支配力から半ば独立していた。
その為、日本独自の国防のために多くの防人を動員し、国力は疲弊
し、律令国家は崩壊した。
 その後、中華文明の支配力の下に入って(遣唐使)安定した時期
に入る。再び大陸の支配力から離脱したのは元寇の時だが、このと
きは鎌倉幕府は滅亡。朝鮮出兵した豊臣政権も同じ運命だった。
 徳川時代は大陸の支配力のもとで国防に何ら不安を感じることな
くいたが、アヘン戦争によって清国の支配力が弱まると幕府は崩壊
した。
 明治に入ると日本は独自の国防政策を展開したが、大陸からの脅
威をいつも感じ、非常に緊張した時期を過ごした。そして大日本帝
国は大陸問題でのアメリカとの対立によって崩壊。
 戦後の日本は太平洋の対岸にあるアメリカの支配力の下に入って
大陸との脅威に常に対峙していた。
 
 そして現代、中華文明は現在最盛期を迎えつつある。地域大国と
しての中国の地位は非常に大きい。
このままアメリカの最前線として緊張して大陸と対峙するか、大陸
の支配力の下に入るかは大きな分かれ目になるだろう。
 
 アメリカの最前線としての日本は大陸との非常な近距離に位置し
ているが、大陸の周縁としての日本は間に横たわる太平洋が巨大な
障壁となりうる。
 
日米間にミゾが出来てもシベリアの資源とアジアの人口があれば
日本の弱点である自給体制の不備を無くせる。
更に中国の核と日本の技術の融合はアメリカにとって凄まじい脅威
でそれだけでもかなりの抑止力となる。
 
 中国は大陸国家で、海洋国家としての実績のある日本の存在は大
きいし、日本が自分の意志で外交政策の大転換を行ったということ
は、戦後のアメリカにレールを引かれた外交から独自外交への意識
改革にもなりえる。日本がアメリカ離れを行うことはその点に限っ
ても意味があることになるだろう。

大学2年のYより
rx-79@yt.catv.ne.jp 
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(Fのコメント)
経済面での弱さを北朝鮮は持っている。この面から日本や世界は、
北朝鮮にアクセスしようとしている。日本は当面、米国との関係を
続けることは仕方がない。日米で経済的な関係を大きい。中国との
関係も今後、大きくなる。

経済関係が米国程度に大きくなるためで、日本より裕福な人が多い。
この層が全人口の10%である1億人以上居る。この層の消費は、
日本人の上流階級より凄いし、金を持っている。

日本の弱点は軍事と情報などの政治力、外交力を支える視点が不足
している。このため、いつの時代でも2番手でいるしかない。
日本が中国の下になるような気がする。


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