1193.象徴的事件とそのメッセージ



象徴的事件とそのメッセージ〜シャトル墜落事故の真意を考える〜
                               MN
ものをタイムリーに書くというのは、なかなか難しいことである。
特に、私のような立場のものは尚更である。私は、世相を見出す象
徴的事件というのにいつも注目する。あの2月1日のシャトル墜落事
件の後、しばらくメディアを見ていると「むむむっ?いよいよか!
」という気になってきた。というのも、今回の一件ほど分かりやす
かった象徴的事件はないのだ。ということで、遅ればせながら筆を
執りたい。

1、2月1日という日付
  毎年、2月1日は「節分」という日に当たり、世相の節目を表す
ことから大変重要な日柄である。今年2003年の干支は癸未(みずの
とみ)であり、これは「社会の構造が複雑で生い茂り過ぎたが故に
、自然と枝葉がばらばらと落ちる様」を表す。そして、2月1日は
丙午(ひのえうま)であった。丙午は縁起の悪い干支で有名だが、
本来は「在来勢力が頂点に達しながらも既に衰退期に入っており新
興勢力の突き上げにあう世相」を表す。歴史的には、丙午の年には
、大抵、在来勢力が衰えはじめ、世相も大きく揺れる。つまり、
この2003年2月1日は、極めて重要な日柄であったのだ。そこに、
あの惨劇が起こった。

2、コロンビア号が背負うメッセージ@−米国
  まず、事故は墜落時に起きた。この点からも、これはそこに関
わる存在が今後凋落していく様を表している。次に、シャトルであ
る。私は、これは老朽化した米国経済そのものだと考えている。
もの凄い速さで上昇し、高度な構造を持ちながらも、実態は何度も
つぎはぎと手術を繰り返してきたシステムであり、たった一つの部
品がおかしくなっただけで瞬く間に崩壊していく。資本主義社会が
作り出した豊かさは絶大である。現在の一般市民の生活は、中世の
王侯貴族の数倍は豊かな生活を送っており、それを我々は人類文明
史4000年の内、たった200年で作り上げたのだ。そして、ここでい
う、つぎはぎと手術とはデリバティブに他ならない。人々は、この
事実を知らない。世界のGDPが30兆ドルしかないのに、米国の投資
銀行中心に保有されるデリバティブは111兆ドルもあることを。
そして、その大半が、米国債中心に組まれたものであることを。
金融デリバティブ市場は、80年代、米国の長期債務が短期債務を越
えた段階から急激に拡大していった。そして、その米国は、1990年
代歴史的繁栄を手にした正に在来勢力の象徴である。そして、「エ
ンロン」がその欠けた部品の一部である。
  ウォール街の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、株式を
保有するBerkshire Hathaway社へ宛てた手紙(3月4日付、英フィナ
ンシャル・タイムズ紙)の中に、次のように語っている。
−再保険とデリバティブは金融市場における"weapons of mass 
destruction"であり、"like Hell, both are easy to enter and 
almost impossible to exit"である、と。

3、メッセージA−イスラエル問題とインド・パレスチナ問題
  コロンビア号には、イスラエルの軍人イラン・ラモン(48)さ
ん、インドの女性科学者カルパナ・チャウラさんがお乗りなられて
いた(ご冥福をお祈りします)。これは、テキサスに落ちたという
ことのみならず、今後、米国がこの2国がかかえる問題を背負いなが
ら、これが足かせとなって崩壊していくことに他ならない。米国の
政治の中枢部には、ご存知、現国防省副長官のポール・ウォルホウ
ィッツ氏を筆頭に親イスラエルの戦略家が集っており、中東戦略に
おいて同国に対しては常に支援的立場を取る。米国は、その内部に
抱える政治的構造もあり、この問題を第2次大戦後、英国から引き継
いで以来全く解決できていない。重要なのは、この中東問題が、今
、正に米国株式市場とドル売りを加速させており、更に、現在進行
する米国債への資金逃避が加速すればするほど、長期金利低下に伴
い海外資本が常にファイナンスし続けるという構造的性質を持つ米
国経済からの資本逃避の将来的反動が大きくなることを意味してい
ることだ。そして、このドル本位制の危機は、デリバティヴを梃子
にしながら、かつて我々が経験したことのない世界の通貨危機・経
済危機へと波及する。お偉いさん方は、今回の事態を世界的リフレ
ーションで、乗り切ろうとしているようだが、今回はニクソン・シ
ョックの時ほど上手くいかないと言っておこう。
  また、インド・パレスチナの問題も今後、もう一度台頭してく
る可能性が高い。科学者の方が乗られていたということは、核問題
で再発する可能性が高いだろうし、これは、もちろん核=北朝鮮と
も取れる。ダブル・スタンダードは、所詮、不可能だと言うことだ。

4、宿命と運命
  私が資本主義を大嫌いだと思っているかもしれない。しかし、
それは間違いだ。複雑な気持ちではあるが、大好きなのだ。それは
、これが世界で対立する宗教紛争・民族紛争を解決するかもしれな
い潜在性を内在しているからである。先進国の若者に顕著に見られ
るのは物質的欲求を過多に追及したが故、上記の問題に全く関心が
ないことである。逆に、長年の資本蓄積が生み出したコンピュータ
ーとインターネットは、彼らの最大の関心事であり、これが生み出
すネットワークが、ラブロックが「ガイア理論」で語るように、巨
大な一つの頭脳(インフォ・スフィア)を作り出し、互いの異文化
、価値観の違い、様々な偏見少しずつ埋めながら、全く新しい価値
観を創造している。それは、私には平和的に見えてならない。
一部の人々、そう米国におけるキリスト教原理主義者や、ユダヤ教
の信望者、世界中にいるアセンションの運動家たちは、これから起
こることを「宿命」だとする。つまり、予め定められていたと。
そうかもしれない。物質的な欲求の集大成の先に、新たな精神時代
の幕開けを彼等は予言する。しかし、それは正確には違うように思
える。宇宙はあらゆる可能性を秘めた存在であり、これは「運命」
に他ならないと考える。自分で決めることができる。だから、メッ
セージが送られてくるのだ。「早く、事の真意を理解しろ」と。祈
ってばかりでは問題は解決しない。干支は、陰と陽の二つの性質を
持つ。それは、対処を間違わなければ乗り切れることを意味する。
今回の事件は、正に我々の世界が抱える最も重要な問題を提示して
きた。それは、その解決の仕方によって、将来が変わってくること
に他ならない。2月15日に反戦運動をされたようだが、日柄があまり
よろしくない。これからは、日に「辛」と「庚」が付く干支の日を
お勧めする。特に、8月(庚辰)・9月(辛巳)の該当日はお勧めで
ある。

5、目指すべき未来
無責任な終わり方はしたくない。人類は自然界との衝突を繰り返す
ことから、環境技術を発達させているし、繰り返す金融市場の恐慌
から、ゲゼル理論による「土に返る」通貨概念を育てている。英語
が広まることは、相互理解が広まることだ。また、長らく続く景気
低迷により、日本経済は構造的にデフレ社会(=低成長社会)に向
かいつつあるのかもしれない。人間というのは、動物と違い、遺伝
子による情報伝達以外に、自らに、学習作用があり、情報伝達作用
を保有しているのである。これは、過去地球上から栄え滅びた、恐
竜や大量発生した微生物郡とは、全く異なっている。しかし、多く
の人間は、まだ、線形的思考をしているようだ。単純に、ものの原
因と結果ばかりを追っているし、究極的な存在を外部的に追求ばか
りしている。なぜ、地球が丸いかを考えてみよう。なぜ、自然界の
ホメオスタシスが、多様性によって維持されているのか考えてみよ
う。「循環」というの発想がどれだけ、貴重で維持するのに大変か
。上に挙げたことは、すべてが繋がっているのだ。人は、非線形思
考というものの関連性をしっかりと理解していく考え方に移行する
時期に来ているように思える。キリストの大切な教えに「隣人愛」
という言葉がある。周りの人への愛情が、次の人、また、その次の
人へと伝わり、自分に戻って来るというものだ。つまり、「循環」
である。彼は、これが言いたかったのだ。それは、キリスト教を信
仰する者たちなら、なおのこと分かるはずである。
私は、人類の未来に期待してやまない。まさにコロンビア号の墜落
事故は、明確な機会に生じた、目に見える象徴であった。しかし、
今後も事件はあるメッセージを内包しながら起こり続けるだろう。
少しでも多くの人にその「真意」を気付かせるために。

注:「真意」とは、「神意」に通ずる言葉です。

【参考記事一覧】
本間宗究相場金言集「空中分解」
http://www.amri.jp/information/honma/honma_backnumber.html#030205
キリスト教原理主義の危険な旅立ち
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141118.htm
不吉なイラク戦  期待される平和構想
http://www.yorozubp.com/0302/030208.htm
宇宙からのメッセージに耳を傾けよ――スペースシャトル事故と迫
り来るイラク攻撃
http://thank-water.net/japanese/article/nakazawa1.htm


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