1090.日本の再設計(6)



RE: 国際戦略コラム1081.日本の再設計(5)
一読者の小島と申します。何時も興味深く拝見しています。

石油価格が上昇したときの、不動産市場への影響について、お教え
ください。自分で思いついたものをあげてみます。
このうちいくつが実現するでしょう。また、相対的にどの要素の影
響が強いでしょう。(価格の動きを矢印で表現しました)

・従来の資本主義の生産性に預かって地価は上昇してきたから、石
油の減少で、従来のものさしでの生産物(国民所得)の減少により
、価格(絶対価格)は下がる↓
人口の減少も加速し、相対価値を下げる要因となる。↓

・輸送コストが当分は上昇するため、より都市と地方の価格の格差
が広がる←→
(利便性の高い都市部の土地の需要が高まる)

・逆に、都市において人口集積を必要とする産業が相対的に衰退し
、人口密度が平準化していく。これは、都市と地方の価格格差を減
少させる。→←
生産地は地方にあるため、輸送コストの上昇で、食料食費をはじめ
とする都市の生活コストが上がる。これも格差を減少させる。→←
通信、コミュニケーション技術は、不可逆的に需要があり、また移
動コストが高いままであれば、移動することなく社会活動をする必
要が高まるため、石油高騰に対応し、省エネルギー化を進めざるを
得ないと思われる。これも、格差を小さくする要素である。→←
(脱線しますが、従来程度でのコミュニケーション、通信方法では
、直接人間同士が会って行う社会活動に比べ、相当性能が悪く、
効果が小さく、技術そのものの需要が高まるという要素もあります)

・輸送コスト(輸入価格)の上昇で、国内農業の市場競争力が上が
り、農地需要が増える。↑
休耕地の復活、余剰地の農地化が行われるいまだ農地取引は農地法
で制限されているが(尤も、立法趣旨に照らせば有名無実の法律と
なっているが)自由化がもし行われれば、農地の価格が上昇する↑

・人的コストの上昇に伴い、建設費の上昇、中古建築物の価格上昇↑

こうやって見ていく限り、案外、地方の不動産を購入しておくと、
もしかすると有利かもしれません。いま、地方の不動産市場は非常
に苦しく、価格が安いです。
農業が盛んで、生産地に近い都市などはいいかもしれません
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(Fのコメント)
小島さん、いい分析ですね。私は土地価格についてはあまり検討し
てないので、正直分からない。燃料のガソリンが高くなり、自家用
車を使わなくなって、公共交通機関を使うようになるのでしょうか
ら、都市のほうが便利がいい。このため東京や大阪の不動産価格が
上昇するのではないですか。トラックより値段が相対的に安くなる
JR貨物がよくなるかもしれませんね。石油がほとんどの製品の原
料になるため、総じて値段は上昇することになる。デフレからイン
フレというかスタグフレーションにシフトするでしょうね。

石油価格上昇によって、植物繊維などの方が安くなる可能性が出て
くる。このため、農地が多く必要になる。休耕田などはなくなる。
雑草も作物になりえるため、農地の利用範囲も拡大する。今まで使
えないと思っていた荒地もそれに適切な植物がある。それを大量に
栽培すれば、加工工場が必要になり、その地域全体が潤うことにな
る。就職口もできる。このように、農地は将来上がる可能性が高い
。農業自由化もする必要もある。適地適作は自由な競争の上の企業
努力がないと見つからない。今のような農業保護では競争が無いた
め的確な作物を見つけるのが無理でしょうね。作物の加工方法の研
究も必要になる。

このように、自由化すれば、農村地域が全般的な生産拠点となるた
め、都市と農村の経済格差はなくなる。工場も農村からの原料で成
り立つため、都市から農村に素材工場はシフトする。これも江戸時
代と同様な状態になる。地方が豊かになるでしょうね。このために
は農作物を研究開発している企業を誘致する必要があるのですが。

しかし、世界的な農業地域からの素材の輸入をすれば、日本の方が
人件費が高いから、競争力がないとの反応を受けそうですね。
その答えは、日本の気候・風土が発酵に適しているため、発酵菌の
種類が多い。この菌利用が日本の強みになる可能性大だと思う。
この見解の説明は後で。

自動車もガソリン車とエタノール車とではその燃料費が大きく違い
、燃料費の安いエタノール車にシフトするでしょうから大きな需要
が発生する。エタノールは菜種やアルコールから精製できるため、
その栽培も盛んになるでしょうね。また、太陽電池、風力発電など
も盛んになるでしょうね。その普及で問題解決しなければならない
のが、直交流の変換ロスの問題とバッテリー寿命の問題です。

そして、燃料電池技術、水素発生技術が石油高騰で意外と早まる可
能性もある。それと、雑草を水に浸しただけで、水素は発生します
から水素発生菌培養の簡単な機器ができれば、家庭での燃料電池の
普及は、意外と簡単で早まるかもしれないですよ。

電気代がほとんどタダになる。都市部では紙、コピー用紙で水素が
発生する。都市部の家でも大麻やケナフなどの繊維質がある雑草が
栽培されるかもしれないですね。繊維質が多いものの方が、水素発
生が多いらしい。ベンゼンカンの分解酵素が水素を作るようだ。
この類の菌は酸素を嫌うため、その環境を人工的に作り出さないと
いけないが。

このように植物の炭水化物ができれば、それを分解していろいろな
物に加工できる。そのパスが短いほど、エネルギーが要らない。
それと同一性が強いほど、加工が単純であり加工しやすい。このた
め、廃棄物もなるべく、同一のものに分別する必要がある。このた
め、自治体や政府の介入が必要になるのです。住民の協力や企業努
力が必要になるのです。

そして、日本と世界が違うのは、化学的な処理が米国のバイオ燃料
の作り方でも中心であるが、日本のバイオマスのサイトは発酵菌分
解が中心になっている。ここが日米で大きく違う。発酵菌を使うと
、エネルギーを必要としない。
しかし、菌の発酵を促進する環境を整える必要がある。石油とのレ
シオも大幅に改善する。化学的な方法であると、石油から精製した
化学薬品を必要として、石油を前提とした仕組みであるが、発酵中
心にすると石油が前提ではない。

Carbohydrate Economy(炭水化物経済)というHPが米国にある。
このHPでは、MTBEの代わりにエタノールを使うように政府に
働きかけたり、エタノール車を増やすために施策をしたりしている
。また、米国のコーンを原料としたエタノールを精製する会社など
を紹介している。このサイトを見て、上の見解を作っている。参考
までに
http://www.carbohydrateeconomy.org/

日本の再設計シリーズ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141117.htm :5
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141111.htm :4
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141104.htm :3
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141027.htm :2
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141024.htm :1
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生物資源アルコール混合ガソリン普及に法改正へ

http://www.asahi.com/national/update/1124/001.html

 経済産業省は、木くずや廃材、間伐材などバイオマス(生物資源
)から取り出したアルコールをガソリンに混ぜた自動車燃料の普及
を促すため、03年の通常国会に揮発油等品質確保法改正案を提出
する方針を固めた。これまでアルコール混合燃料について特に規定
はなく、アルコールを多く含む燃料も売られていたが、新たに規制
対象に含める一方、省令で安全・環境の基準を定めることで、自動
車ユーザーが安心して使えるようにする。 

 経産省は法律を改正した後、03年秋をめどに販売可能なアルコ
ール濃度の基準も定める。0〜5%程度になる見通し。基準を超え
る燃料は販売禁止になるが、個別に審査して安全や環境面で問題が
ない場合には認可する制度も設ける。 

 海外では自動車燃料へのバイオマス利用が進んでいる。経産省に
よると、米国ではトウモロコシが原料のアルコールを10%混ぜた
ガソリンのシェアが約1割。ブラジルでは、サトウキビからつくる
アルコールを22%前後混ぜた燃料がシェア9割近くを占める。
ただし、両国で製造・輸入される自動車は、混合燃料が使えるよう
素材などが強化されている。 

 日本では、現在市販されている自動車にそのまま使えることを
前提に基準を決める。 

 日本ではまだ、バイオマス燃料開発の動きはあまり活発ではない
が、用途を増やすことで促進される可能性がある。有望なのは木材
で、経産省は05年に木材からアルコールを取り出す技術を開発す
るため、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通し
て大阪府立大学などに研究開発を委託している。 

 リサイクルだけでなく、木材の利用が増え植林が進めば、二酸化
炭素(CO2)の排出を抑えることにもつながるとの期待もある。 
(09:17) 


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