969.イラク攻撃にはトルコが必要



米国、ロシア、中東情勢を見る視点として、トルコが最大の重要な
ポイントになっている。この動向を見よう。  Fより

英国のブレア首相がイラク攻撃がまだできないと発言している。
この理由はトルコがイラク攻撃支援を渋っているためで、クウェー
トでは、イラクからの攻撃に防御できないし、大きく安全な飛行場
がないため、大規模な陸軍の設備を構築できない。クウェート内に
野営用のテント村はできたようであるが、補給ができない。もちろ
ん、クルド族のイラク内自治区でも大規模な軍の集積には無理があ
る。
すると、この条件に合っていて、米国のイラク攻撃に賛成しそうな
のは、トルコしかない。

このため、ウォルフォウィッツがトルコの賛成を得るために、トル
コを訪問した。クルド族の国家を否定してまでトルコの支持を得よ
うとした。このため、もう少しでトルコは、イラク攻撃に賛成する
所であったが、イスラエルのガザ空爆という暴挙をしでかしたため
に、トルコも考えを変更しているようだ。この裏にロシアとEUの
両方からの介入もあった可能性もある。トルコも米国よりEU、
ロシアにシフトしている。

このため、米国も無条件にイスラエルの支持ができなくなっている
。イラク攻撃にはアラブ諸国の支持が不可欠と言っているパウエル
国務長官は、それ見たことかという感じになっている。このため、
パウエルを無視したシャロン首相が、パウエルから反撃を受ける立
場になっている。それが、米国はイスラエルを監視するという発言
になっている。

また、今までシャロンが頼りにしているチェイニーやラムズフェル
ドの力が落ちている。ラムズフェルドは、国防省内部の制服組の
不平分子を抑えることができないでいる。
イラク攻撃を強引に実施しようとする強硬派長官の言うことを制服
組は論理的に聞けない。反対に制服組は長官を説得しているが、軍
事的な論理を聞かない。このため、国防省内部の文書が直ぐにリー
クされることになる。まだ、ウォルフォウィッツの方がまだいいと
、制服組は思っているようだ。ただ勇ましいだけではなく、論理的
な施策を打つためのようですね。

それとラムズフェルドの庇護者であるチェイニーはバリバートン社
の不正経理問題で、動けない。

ブッシュも中間選挙に向けて、軍事より経済の方が重要になってい
る。もちろん、イラク攻撃をしたいが、軍事的な準備ができていな
い。この見通しも軍人でもあるパウエルの方がチェイニーやラムズ
フェルドより正しかったようです。

しかし、イスラエル支持の米軍背広組強硬派はトルコ基地を使えな
いため、25万人規模の万全の体制ではないクウェートやカタール
からの5万人規模の攻撃をしようと推進しているようだ。ブッシュ
も経済の低迷で早期にイラクへの軍事行動がほしい。
もちろん、米軍制服組は反対で、何べんも、この案を反対している
。それでもまた、持ち出している。それだけ、大統領は焦っている
のかもしれないが、この作戦は失敗の可能性が高いと軍制服組は、
考えている。このため、大きな犠牲を出すと、一挙にブッシュの
支持率は下がることになるが、博打を打つしかない状態に陥ってい
るのでしょうね。
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一読者です。いつもコメント・記事を真剣に読んでおります。アメ
リカのイラク攻撃の可能性、カシミール情勢悪化、中東情勢悪化等
の状況は原油価格をさらに上げるでしょうか?また、原油購入のた
め、ドルが必要になり、ドル高要因となるでしょうか?それとも、
アメリカは不正経理処理問題の解決に手間取り、ドル高どころの騒
ぎではないでしょうか?不正経理処理疑惑が一段落すれば、アメリ
カの景気は持ち直すでしょうか? 敬具 
名古屋の山田
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(Fのコメント)
中東の石油が来なくなれば、石油価格は上昇します。しかし、ロシ
アの増産があり、現時点では、むしろ石油価格は低下しているよう
です。イラク攻撃は、現時点ではまだ準備ができていない。このた
め無理でしょうね。しかし、イラクは米国攻撃の準備をしている。
国連の監査も受け入れないと表明しているため、いつかは戦争にな
るでしょうね。

米国はバブル崩壊して、当分米国経済は下降線になるでしょうから
ブッシュとしては、国民の目を海外に向けさせたいのでしょうね。
ドルの動向ですが、ドルのみの基軸通貨から、ユーロ・ドルの基軸
通貨制に世界はシフトしますから、ドルの重みが軽くなると思いま
す。
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イラクに対する攻撃は差し迫った事態にはない=英首相
  
 [ロンドン 25日 ロイター] ブレア英首相は、イラクに対
する攻撃は差し迫った事態にはない、との見解を表明した。 
 同首相は執務室で記者団に、「(イラクに対する攻撃は)差し迫
った事態にはなく、なんらかの決断を下すべき局面にも至っていな
い。決断を下すまでに多くの要因について検討を加える必要がある
」と述べた。(ロイター)
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米国製武器の使用を監視 ガザ空爆で米国務長官

 パウエル米国務長官は25日、パレスチナ自治区ガザで多数の民
間人が犠牲になったイスラエル空軍の空爆で米国製戦闘機F16が
使われたことに関連し、「我われは米国が供与した装備の使用状況
を常に監視している」と記者団に語った。

 「自衛目的」での使用を定めた武器輸出管理法違反の疑いがある
との声がメディアなどから出ているためだが、違反するかどうかに
ついては言及を避けた。

 イスラエルは国際的な批判をかわすため、自治区の封鎖緩和など
をすでに決めており、こうした対応策を一層引き出すことが長官発
言の狙いと見られる。

 同法によると、米国製武器の使用で「重大な違反」があると判断
した場合、国務省はそれを議会に報告し、軍事援助の停止に踏み切
ることもできる。

 ただ、11月の中間選挙を控え、イスラエル・ロビーの影響力が
強い米議会の反発を覚悟で、ブッシュ政権が同法違反の認定に踏み
切ることは至難の業と見られる。(19:13) 
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IRAQ ISSUE EXPECTED TO TOP RUSSIAN DIPLOMAT'S VISIT

  Russian Deputy Foreign Minister Alexander Saltanov will 
arrive in Turkey on Monday as part of a round of Middle East 
region visits expected to focus on the Iraq issue. 
During his visit, Turkey and Russia, whose reservations 
about US intervention in Iraq are well known, will likely 
discuss common ways to defuse the situation peacefully 
through the United Nations and other political means. 
While Saltanov will stress Moscow's opposition to military 
intervention, Turkey will tell how it has briefed the US 
extensively on problems that intervention risks creating.
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対イラク攻撃:米地上軍、10月にも侵攻か 英紙報道
[毎日新聞7月27日] ( 2002-07-27-10:28 ) 

27日付の英紙ガーディアンは、米政府高官の話として、イラクに
対する米地上軍の電撃的な攻撃が、早ければ10月にも行われる可
能性が出てきたと報じた。
同紙によると、これまで検討されていた25万人規模の大規模な地
上軍投入だと最低3カ月間の準備が必要。新たに浮上した選択肢は
、米地上軍の兵力を最大5万人におさえ、クウェートとカタールか
ら侵攻し一挙に首都バグダッドを目指す作戦。「危険も大きいが成
功すれば効果的」という。(ロンドン共同) 


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