923.ヨハネスブルグ環境サミット−1



ヨハネスブルグ環境サミット NGOロジ担日記(その1)

1 サンシティー
はじまりは単純だった。
5月18日土曜日、富山駅前の居酒屋で白エビを肴に日本酒を飲みなが
ら。
 東京からセミナーの講師としていらしたヨハネスブルグ・サミッ
ト提言フォーラムの大月代表が、「会期中のホテルが取れなくてね
。今、旅行会社はサンシティーのホテルしか取れないっていうんだ」
 僕はこのヨハネスブルグ・サミット提言フォーラムの一会員だけ
ど、地方都市に住んでいることもあって、そこで何が議論されてい
るか、行なわれているかわからず、それまでのところ会員でありな
がらことのなりゆきを傍観しているだけだった。
 だけど、この「サンシティー」という言葉は、聞き捨てならない
ぞ、これはなんだっけ。自分の意識の奥底には、かつてアパルトヘ
イトのゼミ、アパルトヘイト反対の市民運動に参加していたときに
形成された部分がたしかにあるようだ。その部分が、一気に立ち上
がって、言葉を生んだ。
「大月さん、サンシティーはヨハネスブルグからすっごく遠いです
よ。それに、過去の経緯を知っている人間に言わせてもらえば、
南アで生まれた黒人をむりやり外国人に仕立て上げるために作られ
た人工傀儡国家ボプタツワナにあるサンシティーに日本のNGOが泊ま
るなんて、許せない」
「旅行代理店がほかにないっていうんだよ。仕方がないんだ」で、
その話は打ち切りになった。

 二次会は富山市荒町に最近オープンしたばかりのカフェ・バー 
ヴァタルーム。富山とは思えないセンスの良さに、東京から来た
若い女性事務局員も喜んでくれていた。
 自宅に帰ると、サンシティーのことが頭から離れない。

 僕は提言フォーラムのメーリングリストにこんな記事を書いた。

2 5/18 ML投稿原稿「安全を金で買うのは、NGOにとってはどうか
な?」得丸です。

富山地域セミナーは無事に終わったようです。私は別の学習会で
講師をしていて、質疑応答がのびたために、セミナーの最後の20分
だけ聞くだけに終わってしまって、とても残念です。

どなたか参加者から感想なり報告していただければと思います。

セミナーの後で、大月代表と日野さんと、八尾セミナーの実行委員
で時間の空いていたもの4名が参加して懇親会を開きました。けっこ
ういろいろ議論できて、とても楽しかったです。

ひとつだけ、どこかの旅行会社がサンシティーに宿泊するツアーを
NGOに提案しているという話には、ひっかかりましたので、ひとこと
言わせて下さい。

サンシティーは、南アフリカ共和国がバンツースタン計画(ホームラ
ンド計画)の一環で国内独立国として作ったボプタツワナにある町で
す。「独立」は1977年だったと思います。この国が独立した時点で
、南ア国内に居住していたすべてのボプタツワナ出身者が南ア国籍
をはく奪され、いながらにして外国人労働者になってしまったとい
ういわくつきの国でした。

1994年以前の南アフリカは、ポルノやカジノが禁止されていました
ので、サンシティーは、「外国」であることの特権を活かして、
カジノとポルノ、そしてゴルフリゾートとして傀儡国家に収益をも
たらしました。

私の書いた「アパルトヘイトの終焉」の中に「人種隔離の最終発展
段階」という記事があります。また、「ワヤワヤ、南アフリカ」の
中にボプタツワナの元外交官と飲み屋でいさかいをする場面があり
ます。どうかお目とおしください。

私は日本のNGOがWSSDに参加するに際して、サンシティーに宿泊する
ことは、あまり賛成ではありません。正直いって心が痛いです。
それは名誉なことではありません。
それは名誉白人として生きることになります。高い金を払って、
リゾート地に宿泊して、片道1時間半(とうかがいましたが?、おそ
らくもっと遠いはずです)もかけてサントンに通うというのも、あ
まり賛同できません。

安全が大事なのはわかります。でも、安全はお金で買うべきではな
く、現地のNGOや友人たちのネットワークを活性化して、それで保つ
べきではないでしょうか。

みなさま、どうか代案をお考えください。たとえば、アレキサンド
ラという黒人居住区はサントンに近かったのでは? 黒人居住区の
個人宅に分宿あるいは教会に宿泊し、送り迎えもそこに住んでいる
黒人たちの協力を得ることを、トライすべきではないでしょうか。

それと、サファリに行くのも、いいですが、その前に、南アフリカ
の黒人たちとの交流を行なうのが好ましいことではありませんか。

南アフリカにはいくつものNGOが拠点をもっていたはず。JVCとかも
。彼らの協力は得られないのですか。

NGOには、NGOなりの、心の交流をしていただきたいものだと思いま
す。そのための努力をしませんか。私にできることなら、なんでも
お手伝いします。

http://www.asahi-net.or.jp/~ug5m-ibsk/Components/apartindex.html

3 その翌朝、ロジ担当幹事に立候補するML投稿記事
得丸です。

昨晩は大変大変失礼しました。
以下の点、深く反省をいたします。

第一に、私はサンシティーそのものを自分の目で確かめたわけでは
ないのに、個人的な記憶に基づいて、その町をけなしたこと、

第二に、今すでに、事務局も幹事の皆様もいっぱいいっぱいで仕事
をしておられるのに、追加で仕事を考えて(南アで活動しているNGO
と連絡を取ること)、口に出したこと、

で、前言を撤回するかというと、それはしません。

というのは、やはり僕にとって、サンシティーに日本のNGOが宿泊し
て、サントンにバスで長時間かけて通うという事態は、名誉白人的
でもあるし、それに皆様にとっても肉体的にも大変なことであると
思うからです。

で、5月23日の臨時総会で新任幹事として立候補したいと思います。

仕事は、

1 南アフリカでの皆様のロジスティックスを安全で、なおかつ、
いろいろなことが学べるように計画をたてること。

2 日本のNGOが、物見遊山でやってくる金持ちの名誉白人だと思わ
れないように、現地事情についての事前教育資料を作成する。

3 そのために、現地に事務所をもつ日本のNGOの事務所(たとえば
樺山さん)や、旅行会社と相談する。昔働いていた会社の同期社員
もたしか南アにいたと思います。
メールのやり取りでしたら、東京からするのも、富山からするのも
、同じでしょう。

つまり、ロジ担当に徹する幹事として立候補します。商社の駐在員
としてロジはさんざんやりましたので、ロジは好きですし、得意で
す。どうかご信任ください。


4 という流れの中で

 1、2、3という流れの中で、なんと6月17日から南アにロジのた
めの下見ツアーにでかけることになってしまった。

 何が起こるか、何が見えるか、お楽しみ。

得 丸  久 文 2002.06.08


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