815−2.政治家と官僚の改革



◯ 「日本再生」    『国家戦略』 その11 
    ★△ 政治家と官僚の改革 △★

1、構造改革の現状は、不良債権処理や特殊法人の改組(民営化等)
が中心となっておりますが、日本の政治の舵取りを司っている中枢
、つまり、「政治家及び官僚」の意識・仕組み・行動規範を革命的
に改革しないと、「日本再生」は絶対に成功しません。政治改革が
極めて肝要だという事であります。

1-1、藤原一門が権力を握っていた平安末期(平家・源氏興隆の前)
の朝廷百官、江戸時代の老中を頂点とする幕閣体制、昭和初期から
1945年の敗戦に至る時代の軍人勢力、現在の国会議員及び官僚群の
大部分は、いずれも「国家・国益・国民の利益」の観念意識が極め
て薄く、国費(財政支出)を自分達の利益の為に徒に浪費し、財政危
機を招いております。(その典型例が外務省の不正支出であります。)
1-2、過去の権力機構は、武家革命、明治維新、敗戦という、強大な
圧力で強制的に改革が成し遂げられましたが、今回は、穏やかに・
平和裡に・武力を用いずに、改革を実施しようとしていますので、
最も困難であります。改革の先延ばしは、日本沈没・日本国実質消
滅(海外勢による実効支配)へ直結する道と、肝に銘ずるべきであり
ます。

2、構造改革は、国会とその議員が改革を率先実行しないと、官僚
・企業・国民は追従致しません。既に選挙制度の抜本改定を提言い
たしておりますが(日本再生2001年7月号と8月号ご参照)、現在でも
実行可能な改革を、以下に述べます。

2-1、大臣・副大臣・政務官を選任する場合、官僚が書いた政策や答
弁を朗読するのではなく、自分の言葉で発言できる人材に絞る事が
肝要であります。これが、官僚に対する政治の優位性を確保する(政
治主導の)根幹で、実力の伴わない中堅若手の国会議員を副大臣・政
務官に任命し、数だけ揃えただけでは、官僚から独立できず、面従
腹背される基となります。
2-2、国会議員の中に、前項の条件(官僚から乳離れできる事)に該当
する人材が見当たらなければ、国会外から任命すべきであります。
 現在は既に、政党・団体・企業・大学・官公庁等から離れ(直接の
影響を受けない)、野に下って現世欲や現世の利害は希薄ながら、高
所から世界の動向を見渡す能力を有し、国家国益のため頑張ろうと
の志(ココロザシ)に燃える人物が最適であります。

2-3、「△△委員会での一人の党代表質問に全大臣が並びます。同時
刻には衆参合わせて、たった一つの委員会しか開催できません。当
該委員会に出席していない多くの議員は、その時間帯は国政から離
れていますが、歳費はもらっています」。かかる仕組みは、非能率
で歳出の無駄使いであります。
 これに替えて、四百数十人の衆院・二百数十人の参院の議員全員
が、事前に自分の意見・主張を自分で書き電子メールに託して、他
の各議員・内閣官房・各官庁・マスメディア等々に送信します。
内閣等は、これに対して電子メールで回答(答弁)します。採決も電
子メールで十分可能であります。

2-4、議員全員の質問・意見開示・提言が可能となれば、常に国会議
事堂付近に居住する必要性が薄れますし、党を造って代表質問に頼
らないと、自分の主張・考えが伝わらない非効率さも無くなり、「
国家国益・国民の利益」の為多くの時間が取れるようになります。
政党を廃止すれば、議員は党の為に時間を削いたり党拘束で悩む事
は不要で、事案毎に弾力的対応が可能となり、改革を短時間で実現
し易くなります。
2-5、海外勢から見ますと、日本の政党の殆ど全部は、五十歩百歩で
大差ありません。同一コップの中の争いに過ぎません。言った言わ
ないで、予算員会等でお互いに足の引っ張り合いを続けるが如き論
争は、国費を浪費しない国会外でやるべき事であります。国会議員
がこんな態度では、日本沈没を早めるばかりであります。

2-6、大臣・副大臣・政務官や国会議員は、電子メール配信を希望す
る国民に、自分の国家国益に対する意見を、毎日の行動日誌と共に
常時送信して置きますと、国民との意思の疎通が図れますし、選挙
の際の有力資料となります。
2-7、大臣や国会議員は、日本国家全体の為に、活動して頂く必要が
あります。支持者(次の選挙で投票してくれそうな人々)の為に働く
存在に成り下がれば、族議員や政党団体の下僕になる外ありません。
 各国会議員の選挙区を選挙の度に、これまで利害の一切なかった
場所に変更し、政党等圧力団体の応援を一切禁止すれば、国益を忘
れて自分の地域に公共投資を誘導したり、自分の出身母体の為に国
費を流用するが如き弊害は一掃されます。

3、官僚(中堅幹部以上の公務員、中央官庁では課長補佐以上を指し
ます)は、私利私欲を一切捨てて頂く事が必要となります。国の中枢
(政治家と官僚)に、個人的・身内的・派閥的欲望の強い人物を選ん
でいては、日本国家の危機を招聘します。(日本再生2000年11月号―
政治指導者をご参照)
3-1、金銭の好きな公務員は、民間で事業活動をするか、タレント的
才能を生かすかとなります。私的権力欲の強い人は、自分で創業し
ワンマン社長を死ぬまで続けるか、権力欲の実現可能な発展途上地
域へ、移住して頑張るのが一番であります。いずれにしても、まず
我が国の官職を辞す事が前提であります。

3-2、一人前の官僚に昇進するには、その前5年間の行動日誌(国益に
如何に貢献して来たか)、今後の国家・国益に対する考え方・行動指
針を提出してもらい、日本国を支える中枢人材として体力・智力・
意力・胆力・徳力が適しているかを審査します。審査員は、日本国
を愛し世俗的欲望を離脱しており、大局的人物判断ができる人とす
る必要があります。
3-3、公務員試験成績優秀の効果は、一定枠内の能力が発揮できる係
長止まりとなります。学力優秀者であれば、前項の五つの「力」を
体得しなくとも、そのまま幹部までトコロテン式に成り上がる現在
の仕組みは、断固廃止すべきであります。


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