783−1.環境問題について



NO.778−1持続的開発について
> (Fのコメント)
> 得丸さんの回答ですと、解がないということように聞こえますが、

おそらく「解はない」ですね。すぐに成果の得られる妙案はない。

とくに地球温暖化と海洋汚染は、人類が今の人口を保ち続けるかぎ
り、絶対に食い止めることができない。これからますます異常気象
現象が起きるでしょうし、魚介類のダイオキシンやPCBによる汚染
も問題化するでしょう。

−1− 人間の尊厳を失わないこと
私たちにできることは、どんなひどい状況になっても、人間の尊厳
を失わないで生きていくことくらいでしょう。そのためには、マス
コミ報道に惑わされてはいけません。自分だけ助かろうと抜け駆け
してはいけません。世界人類と自分を一体化して考え行動するくら
いの気構えを平素から養っておかなければならないと思います。

たとえば、狂牛病の問題が取りざたされれば、病気の問題もさるこ
とながら、肉牛を飼っておられる農家の方々の立場も思いやり、
むしろ当面のところは積極的に牛肉を食べてあげるくらいの心のゆ
とりがほしいですね。牛を無益に殺すくらいなら、ともに病気にな
ってもいいから食べてあげるくらいの気持ちが欲しい。

−2− 代替エネルギーの夢を語るのではなく現実の省エネを
水素エネルギーやその他の代替エネルギーは、まだ話だけのものば
かりですし、仮に実現しても、けっして化石燃料に全面代替できる
ものではありません。使わないことですね。国をあげて省エネ社会
にするのが第一ではないでしょうか。

−3− 人間中心主義を捨てること
戦争は、なんら解決を導かないと思います。戦争ではそんなにたく
さん死なない、殺せない。

むしろ希望は、晩婚化や少子化が進んでいること、環境ホルモンの
影響で精子数が減少していることかな。それらが世界人口を減らす
因子であることは確かです。

あとは、人間が一番偉いと考える「人間中心主義」の思想をいかに
早く捨てるかにかかっているように思います。とにかく地球環境問
題とは人口問題なんですから。人間が、森林を切り開き、農薬や殺
虫剤を撒き、他の動物や植物の生命を犠牲にして、自分たちだけが
食べていく地球にしてしまったから、世界はおかしくなったのです。

得丸久文
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1月18日号の環境問題について意見を書きたいと思います。

> コメントありがとうございます。
> かつて私もそのように考えていた頃があります。
> しかし、事態は深刻です。62億人の人間の存在が重たいのです。
得丸さんの意見には賛成できません。
というのは、地球上で先進国に住む住民は10億人くらいしかいない
からです。残りの50億人は発展途上国の人たちです。
そして先進国の消費は発展途上国の100倍にもなります。

テレビ番組などでは途上国の環境問題がクローズアップされること
もありますが、主に環境を破壊しているのは言うまでもなく先進国
です。
得丸さんの言葉を正しく言い換えるなら、「10億の先進国の人間の
存在が地球には重い」とするべきでしょう。

・どのような対応が考えられるか?
地球環境問題は深刻ですが、どのような対応が考えられるのでしょ
うか?
1、先進国が発展途上国並に生活レベルを下げる。
   発展途上国の100倍消費し、さらに経済成長を目指す先進国の
10億人が、消費を100分の1にすれば地球は長生きできるでしょう。

しかし、先進国にそのようなことができるでしょうか?
日本は世界一豊かな生活をし、欧米のジャーナリストからも「経済
紙を読まずに日本にくれば、とても不況だとは思えない」といわれ
ています。

それでもさらなる発展を目指しています。
欧米からも「日本はしっかり構造改革して経済を軌道に乗せろ!」
とプレッシャーをかけられています。常識的に考えればこの案は不
可能です。

2、発展途上国の人間を殺す
先進国の人間がリッチな生活をしながら暮らす方法がこれです。
嘘かホントか人口削減計画の陰謀という話も耳にします。

例えばエイズというのはアメリカの研究所で「人減らし」目的で開
発されたとか言うものです。
人口を削減させる為には2つの有効な方法が考えられます。
一つは疫病を流行らせること。
もう一つは戦争を起こして殺しまくるというものです。
しかし、両方とも現実性はとぼしいようです。
というのは疫病を流行らせて人口を減らすとすれば、流行らせた本
人の命も危険にさらされるからです。
戦争を起こすのもいいのですが、やられる側の抵抗があるでしょう
し、戦争によって環境破壊が進むことにもなります。

例えばアメリカが、アラブ人と中国人を殺して人減らしを画策した
とします。
当然アラブや中国は抵抗するでしょう。アメリカ国内にいるアラブ
人や中国人は、化学兵器や生物兵器、時には核兵器も使って反撃す
るに違いありません。

戦争による人減らし計画は、計画した人の命をも危険にさらし、
計画が完遂されたとしても地球環境はかなり悪化するに違いありま
せん。

3、先進国も発展途上国も一緒に生活水準を下げる
私も様々な環境セミナーに参加し、「これがベストの選択ではない
か」と考えていた時期がありました。
ところが、その後いろいろな国の現状を見て「これは無理だ」とい
う結論に至りました。
というのは発展途上国の人は、本当に貧しい生活をしているのです。

例えば私が現在住むロシアでは「人口の約半分(7,000万人)が日々
現金を使わない生活をしている」との統計があります。要するに
自給自足で生活しているわけです。

また中央アジアのキルギスでは、米軍がやってきて「掃除おばさん
を月5ドルの給料で募集した」ところ、応募が殺到したそうです。
発展途上国の人が、アマゾンの原住民のように現状に満足し、「私
たちは自然と調和して生きているから幸せだ」と考えてくれれば
問題はないのですが、彼らは「もっともっと豊かになりたい」と考
えています。

彼らより既に100倍豊かに生きている私達が、「おまえらさ〜、
環境問題が深刻なんだよ。だから貧乏なままでいろよ!」と言える
でしょうか?
また彼らが「わかりました。貧乏なままでいます」と納得するでし
ょうか?

そして先進国の人々も既述のように、現在の生活レベルを維持する
ばかりでなく、「さらなる経済成長を」と走りつづけています。
小学生の多くが携帯電話を持つ世界で唯一の国、日本ですら「内需
拡大が最優先課題」などと言っています。

需要が拡大するということは買うものが増えるという意味ですが、
私達が買うものは全て直接間接に自然から取ってきたものです。
つまり、「内需を拡大しろ!」と言うことは、「自然をもっと破壊
しろ!」と主張しているのと同じです。

ここまでの結論ですが、環境問題とは
1、先進国も発展途上国もさらにリッチな生活を目指しており、
 これは止められない
2、人口はさらに増加し続けるし、これは止められない

という現実があるということを前提に話合わなければ全く無意味な
ものとなってしまいます。
「人口を減らせば」「経済発展をやめれば」環境は良くなると主張
する人は「どうやって?」という質問に現実的な回答をするべきで
しょう。

例えば小泉さんが明日、「地球環境問題を解決するために、経済を
縮小する必要がある」(つまり意図的に不況を続けることにする)
「地球環境問題を解決するために人口を減らす必要がある。よって
少子化はよいことだ!」と発言したら、その後何日首相でいられる
でしょうか?

「開発はいけない」と言うことは簡単です。しかし、その正論を
「どのように納得させるか?どのように現実化するか?」という所
まで突っ込まなければ国際戦略コラムとはいえないのではないで
しょうか?

・現実的対応策
環境問題に対する対応策をいちいち挙げると長くなりますので、
政府が取るべき方向性だけを書いておきます。
1、政府は、環境に優しい商品が儲かるシステムをつくるべき
環境を破壊するのは、主に企業と一般市民です。
企業は「利益を追求すること」が仕事ですので、環境には熱心にな
りにくいのです。
そこで政府は、「エコロジーを追求する方が儲かる制度」を作る必
要があります。

いくつか例を挙げます。
a)バージンタックスの導入
「リサイクル品は環境に優しい」と誰もが知っていますが、企業が
熱心になれないのは、リサイクル品が新品よりもコストがかかるか
らです。
企業は儲からないことはしませんので、リサイクル品は普及しません。

そこで、政府はリサイクル品を作った方が儲かるように新品に高い
税金をかけるのです。すると企業は、「新品を作るのはコストがか
かりすぎる」ということで一斉にリサイクル運動をはじめるでしょう。
するとCMなどで、「〜社は地球への優しさを追求しています」とか
言う企業が激増するはずです。

b)公共機関は無農薬野菜しか買わない
「農薬は体に悪い」ことは誰でも知っています。
ではなぜ農家は皆無農薬野菜を作らないのでしょうか?
答えは儲からないからです。

国はこれを儲かるようにする必要があります。
そこでまず、「公立学校の給食は3年後から、全部無農薬野菜、果物
にする」と法律で定めるのです。
反対があった場合、小泉さんが記者に「農薬は体に悪いですか?」
と問えば「悪いです」と答えざるを得ません。

そこで小泉さんが、「日本の将来を担う子供達に毒は食べさせられ
ません!」と言えば子供を持つ奥様方はみんな小泉首相に惚れてし
まうでしょう。この案には朝日新聞すら反対できないと思います。

これで学校給食は皆無農薬野菜になり、子供達は健康になりますし
、儲かるので無農薬で作る農家が激増するでしょう。
さらに、公共機関の食堂は全部無農薬にする。公務員は健康になり
、無農薬で作る農家が増えます。

c)排気ガスを出すを多く出す車に重税を課し、エコカーは無税にする
これは説明もいらないでしょう。
排気ガスをたくさん出す車には異常に高い税金を課すのです。
すると企業は、「これは大変だ!」ということになり、環境に優し
い車の開発競争が激化するでしょう。今の数倍の速さで開発が進み
、環境に全く害のない車も数年で登場するはずです。

d)ダイオキシン問題への対応
ゴミ焼却場から出るダイオキシンが大問題になっていますが、850度
以上で完全燃焼させればダイオキシンは出ないそうです。
日本は不況、ゼネコンも不況なのですから、政府はどんどん高温焼
却炉を建設させるべきです。
そうすればダイオキシンもでなくなる。ゼネコンも儲かって景気が
良くなるで一石二鳥です。

e)水質を浄化する
水質汚染も非常に重要な問題になっていますが、浄水技術はかなり
進歩しています。
事実四万十川のように、浄水設備の充実によって水質が保たれてい
る川もあります。日本は不況ですので、公共事業としてどんどん
浄水設備を建設させればいいでしょう。
水もきれいになり、企業も儲かり、経済にもいい効果を及ぼします。

5つだけ例を挙げましたが方向性はおわかりいただけたと思います。
要は自由と豊かさを求める人間に、「これはやるな!」というのは
効果的でないということです。
それよりも国は「環境を良くしてください。そうすれば地球も良く
なるし、何よりもあなたの会社が儲かりますよ!」とする方が有効
なのです。

2、政府は、正しい知識を国民に伝えるべき
政府は環境問題について正しい知識を国民に伝える義務があります。
例えば環境ホルモンについて。
プラスチックからは環境ホルモンが出ることが知られていますが、
未だに学校給食ではプラスチックの容器が使われています。
そのせいか日本人の生殖能力、精子の数は激減しているのです。

その他、オゾン層破壊により、皮膚がんや失明が激増していますが
、日本人の多くがその事実を知りません。また、携帯電話、コンピ
ュータなどの電磁波の被害も知られていません。
これらの問題は、一般市民が正しい知識を得て自衛しなければなら
ない問題です。

例えば、プラスチックの容器は使わない、紫外線の被害を避けるた
めに外に出るときはローションを塗る等。
しかし、政府が正しい知識を教えていないことが原因で国民はどん
どん不健康になっているのです。

3、人口、食料、エネルギー問題について
得丸さんは60億人は地球には多すぎると考えておられるようですが
、私は正しい対応をすればまだまだ増えても大丈夫と考えています。
というか、上述のように人口を減らす方法がないのですから、増え
ると仮定して話しを進めるのが現実的です。

例えばロシアは日本の60倍の面積があり、住んでいるのは1億4,500
万人程度で、日本より少し多いくらいです。ロシアが日本のように
国土を有効利用すれば、少なくとも30億から40億の人間が住めるよ
うになるでしょう。

「人口が増えれば食料が不足するではないか?」と質問が出るでし
ょう。全くその通りです。
食料問題は既に大きな問題で、国連の報告によると年間1000万人が
餓死しており、飢餓人口は10億人にのぼっています。

しかし、世界には食料が無いわけではありません。
日本は輸入した食糧の半分以上を捨てており、それを捨てずに有効
利用するだけで、世界から飢餓がなくなるといわれているのです。
現在の食料問題とは要するに、分配の仕方が悪いというだけの話な
のです。

人口は今後も増えつづけることが確実なのですが、一体どうすれば
食料問題を解決できるのでしょうか?
既述のようにロシア人の半分は自給自足で生活しています。ロシア
は寒く、南部を除けば土地は肥沃とはいえません。しかし、彼らは
自分の食べる分は自分で作り、貧しいながらも自分達の力で生きて
います。

この例は、人間は本来自分で食べる分は自分で生産できるというこ
とを示しています。つまり人口が何十億増えても、理論的には問題
ないということです。

日本政府は毎年、発展途上国に莫大な資金援助を行っていますが、
今後は農業分野を重点的に支援するべきでしょう。
アフリカや南米は土地が肥沃で、農業生産は今の何百倍、何千倍に
なる潜在力を秘めています。
また、自給率30%の日本も安全保障のことを考え、「農業が儲かる
システム」を作り自給率を高める努力をするべきでしょう。これに
ついてはFさんなどが書いておられるので詳細にはふれません。

エネルギー問題についてもFさんやTさんが書いておられるので、触
れないでおきます。

最後に、私の考えをまとめておきます。
1、先進国も発展途上国もより豊かな生活を求めており、これを止め
ることはできない。
(観念論や理想論ではなく、これを止めさせる方法がある方は教え
てください)
2、人口は今後も増加し続け、これを止めることはできない。
(これも現実的に人口を減らす方法を知っている方は教えてください)
3、環境問題の解決は、上記2つの事実を踏まえて検討されるべきで
ある。
4、具体的な方策としては、政府が「環境を浄化することにより儲か
るシステム」を構築し、企業をそっちの方向に向けることが重要。

といったところでしょうか。
K:CITYLINE.RU
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公共土木工事と自然災害          とら丸
最近公共事業に関する議論が多く見られ、極端なのは悪玉論などが
ありますが、少し前に一言居士さんの意見などは冷静で参考になり
ました。そこで今後進行するであろう気候変化の面から防災分やに
限定して今後わが国の公共土木事業の一方針案を述べたいと思いま
す。

日本の国土は大部分が山地であり、人口の大部分、経済活動の中心
は沿岸部に集中している。中緯度に位置し気候は温暖多雨、毎年台
風が来襲し、集中豪雨の被害をもたらす。
日本は火山と地震の国であり、いたるところを断層が走り、山は崩
れやすい。一方沿岸部は軟弱な三角州が発達し、地盤沈下に悩まさ
れ、元々高潮や洪水の被害を受けやすい地勢である。

最近の気候は温暖化に向かっている。温暖化により、これ以降平均
海水面は15cm〜95cmの上昇が予測されている。ちなみに
縄文時代は現海面より約6m高かった。当時の海面まで上昇すると
日本の主要な三角州平野は水没する。縄文海進の速度は年間数cm
程度のスピードであったらしい。

たとえば海面が1m上昇するとどうなるだろうか。日本の主要な
平野部では、護岸の侵食・高潮と洪水による河川の氾濫・海岸低地
の水没・地下水の塩水化などが発生すると考えられている。
現在における危険地帯は約861平方kmで200万人が住み、
54兆円の資産がある(環境庁:地球環境の行方)。1m水位が
上昇すれば、被害想定面積は2、339平方kmの約2.7倍に膨
れ上がる。

一方土砂崩れの場合は、現在民家の危険ヶ所は5戸以上で77千ヶ
所、で整備率は30%程度である。5以下では約百倍の数になり
これらは未対策である。崖崩れは豪雨により発生する場合が多いの
で、温暖化により確実に増加するであろう。

また山崩れも同様であり、今後過疎化による荒廃や植生の変化や
雨量増加で山崩れや地すべりが増加する。崩れた土砂は谷を埋め
、谷水を混ざり土石流を発生させやくすなる。ふもとの民家は危険
にされされるであろう。
土石は河川に流入し、河川は氾濫しやすくなる。

そこで対策であるが、まず臨海部人口密集地帯の護岸かさ上げが必
要である。旧運輸省で試算した資料では、港湾施設のかさ上げや
補強の費用7兆9000億円。海岸の護岸や堤防の対策費11兆
5千億円である。
しかしこれは一時的な対策で、海面上昇は継続するとみなければな
らず、これと平行して、平野は以後の高台の開発と埋め立てかさ上
げをセットで行なう必要がある。現在の臨海部都市は水上商業都市
へと変貌するしかない。また遷都も視野にいれなければならない。

一方内陸部ではどんな事が起きるであろうか。山沿いでは山崩れや
土石流が頻発する。危険個所への宅地使用制限をすることとなろう
。現在の危険家屋は移転を迫られる。谷の出口付近に洪水調整機能
を持たせた砂防ダムを築き、流出した土砂を回収できるような施設
を作る。これらの土砂は埋め立てやコンクリート骨材として利用す
る。
河川は堤防を補強してこれらの資材を臨海部に運べるように資材運
搬優先道路とする。河川河口部は水はけが悪くなるので、川幅を広
くするか、河川の縦断勾配を操作して人工的に天井川を作らなけれ
ばならない。

次に住宅地裏山では何が起きるであろうか。ここでも崖崩れ・土砂
崩れが多発する。対策としては、従来の急傾斜対策では予算的に
対応しきれないだろう。従い危険個所への新築の規制・危険現存住
居の移転など、さらには、崖崩れ監視警報装置などで対処しなけれ
ばならない。このシステムで人命を守り、家屋は保険で守る。この
ために安価で取り扱いの容易な警報装置の開発を急ぐ必要がある。

防災は自己責任であると思います(海面上昇は別)。あくまでも
自分達の生命は自分達で守るという考えが基本であり、これに沿っ
た法整備を行なう必要があります。国はこれらの事態の研究と啓蒙
及び将来の広域的防災基本計画策定を責任をもって取り組む必要が
あります。

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