5968.トランプ弾劾でバブル崩壊と第2次朝鮮戦争へ



フリン元大統領補佐官の証言でトランプ大統領の弾劾が近いかもし
れない。しかし、それによる悪影響を考えられる。さあ、どうなる
のでしょうか?             津田より

0.フリン元補佐官の証言
フリン前大統領補佐官が当時の駐米ロシア大使と接触したのは、娘
婿のクシュナー氏の指示を受けていたからであると証言するようで
ある。そして、モラー特別検察官が進める「ロシアゲート」を巡る
捜査で罪を認めるのはフリン氏が初めてとなる。ロシアゲート事件
の突破口が開かれることになる。

しかし、トランプ大統領の指示が明らかになっても、通常の罪には
問われないが、議会における弾劾裁判で辞任させられる。上院で弾
劾裁判を開始するが、上院議会・共和党がトランプ大統領を守れる
のかが問題である。法人税減税までは上院共和党はそれでも一緒に
いるが、トランプが嫌いな共和党上院議員も多い。

このため、豊島逸夫氏によると、トランプ関連情勢急展開で、万が一
、弾劾も視野に入るほど劇的材料出ると12月利上げどころではなく
なる可能性も絵空事ではない。日本にとっては円高リスク。私も全く
想定してなかった年末のトランプ・サプライズ。このため、12月1
日のNYダウは、一時350ドルほど急落している。

トランプ大統領の弾劾裁判が近くなると、その影響はいろいろなと
ころに波及することが考えられることになる。

1.バブル崩壊
米国株式市場のPER(株価収益率)は22倍を超えていて、明らかに買わ
れすぎのレベルにある。企業の利益が増加しているが、この増加の
原因は中国の経済成長が「一帯一路」などで7%程度に伸びている
からであるが、無理な成長を行ってきたことで、企業の借入金が増
えて、債券市場は急減速になってきた。このため、中国の経済成長
は止まることが予想できる。

米国の企業収益も減少に転換することが予想できるが、現時点は皆
が買うからとの理由で買い上げている状態である。当然バブルの状
態と見える。

事実、ゴールドマンは、「株式と債券、クレジット市場の強気相場
の長期化に伴い、平均的バリュエーション(評価)を示す指標が、
1900年以来で最も高い水準となっており、ある時点で投資家にとっ
て痛みに変わる条件が整いつつある」と述べている。

1900年以降ということは、1929年の大恐慌を超えたレベルというこ
とになる。いつ、バブル崩壊が起きてもおかしくない状況なのであ
る。

日本市場のPER(株価収益率)は16倍程度であり、米国ほどには高くな
いが、米国市場がバブル崩壊したら、日本でも株価は暴落する。

バブル崩壊のトリガーは何かを市場も心配している状況であり、そ
こにトランプ弾劾裁判が始まったら、それをトリガーにバブル崩壊
が起きる可能性も無視できない。政治的な混乱は市場には大きなマ
イナスと映ることになるからである。

しかし、市場関係者によると、トランプ大統領の役割は終わったの
で辞任後、マイク・ペンス大統領の方が経済的には良いという意見
もある。このため、バブルが崩壊した後、株価は上昇になるようで
はある。

2.朝鮮戦争
北朝鮮が米本土に到達可能な新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「
火星(ファソン)15」を完成させたことで、米国も北朝鮮に一層の
制裁を加える方向であり、中国に石油供給を止めるように要求して
いる。

それと、北朝鮮との対話を重視するティラーソン国務長官を中央情
報局(CIA)のマイク・ポンペイオ長官に交代させて、より戦争に積
極的な人事を行おうとしたが、それは現時点の発表ではまずいと、
ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官は、ティラーソン
氏は「引き続き国務省を指揮している」と述べ、また、国務省のヘ
ザー・ナウアート報道官も、報道は「事実と異なる」と否定した。

米国のマティス国防長官も30日、北朝鮮問題への対応で外交努力
は機能すると引き続き信じており、米国は国連を通じた取り組みを
続けると述べた。外交交渉を指向している間は、ティラーソン国務
長官の方がよいということのようである。

しかし、北朝鮮が対話を望むようになる中国の石油供給禁止などの
処置ができなければ、交代する可能性が高くなるし、もう1つ、ト
ランプ大統領の弾劾裁判が始めれば、国民の目を戦争に向けさせる
ために、第2次朝鮮戦争に踏み切る前提での交代もありえるとみる。

報道によると、国務長官交代はジョン・ケリー大統領首席補佐官に
よる国家安全保障担当の大幅な人事刷新の一環で、早ければ12月中
か1月中に行われる見通し。ポンペイオCIA長官の後任には、共和党
のトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出)が予定されてい
るという。弾劾裁判開始とともに、戦争政権になる可能性があると
いうことになる。

3.日本への影響
トランプ大統領が弾劾裁判開始になると、米国でのバブル崩壊で、
日本も円高・株安になり、景気も停滞することが予想できる。トラ
ンプ大統領辞任になり、ペンス大統領になるまでの間が6か月以上
かかることも予想できるので、2018年は経済面では厳しくなる
可能性も考えておくことである。

バブル崩壊で、世界的な景気も落ちるので、日本企業の収益も落ち
ることになる。日銀は再度、量的緩和を強化することになるが、国
債の市場での買取量を増やそうとしても国債自体がないので無理が
ある。国の予算を増やして、その増分をすべて日銀直接買取にする
しかないように見る。また、ETFの買取量を増やすことになる。これ
らは財政ファイナンスであり、円安になる。最初は円高になり、そ
の後、国債の日銀直接買取になると超円安になるようだ。

その間に、朝鮮戦争になり核戦争になると、日本も核ミサイル攻撃
を受ける可能性が出てくる。ミサイル防衛が機能することを祈るし
かないが、核シェルターの設備がない日本で、この防衛網を抜けて
きた核ミサイルから国民を守ることはできない。多くの犠牲者が出
ないことを祈るしかない。

もし、東京に核が落ちたら、200万人以上が死ぬことになり、大
幅な円安になるが、東京・大阪など大都市でない地域に落ちると円
高になる可能性もある。

核ミサイルが落ちずに、通常戦争レベルでは、戦争特需が期待でき
るので、景気は良くなり、株価は上昇することになる。

というように、経済面では、大きな景気の振れがあるので、今後の
動向をきめ細かく見る必要がある。この有料版では、この動向を追
いかけるので、皆さんは、この有料版メルマガを継続的に見ていた
だければ、良いことになる。

さあ、どうなりますか?


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2017年12月2日 / 01:53 / 4時間前更新
「トランプ氏からロシア接触指示」、フリン氏が証言意向=報道
[ワシントン 1日 ロイター] - トランプ米大統領とロシアとの
不透明な関係を巡る疑惑で米連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述を
したとして訴追されたフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)
は1日、虚偽供述を認めた。
検察当局が明らかにした。検察当局はフリン氏が当時の駐米ロシア
大使と接触する前にトランプ大統領の政権移行チームの意見を求め
たとしている。
フリン氏は2016年の米大統領選挙にロシアが介入したとされる
疑惑の中心人物の1人。ワシントンの裁判所に出廷し、トランプ大
統領の今年1月の就任前に当時のロシアの駐米大使だったルセゲイ
・キスリャク氏との接触についてFBIに虚偽の供述を行ったこと
を認めた。
モラー特別検察官が進める「ロシアゲート」を巡る捜査で罪を認め
るのはフリン氏が初めて。同氏は最大で禁固5年の刑を受ける可能
性がある。
ABCニュースはこの件に関し、フリン氏はトランプ氏自身が大統
領に就任する前にロシア側と接触するよう指示したと証言する意向
を持っていると報じた。ABCの報道を受け、米株価と米ドルは急
落。米債券利回りも低下した。
トランプ氏はロシアとの癒着を巡る疑惑を否定しており、ロシアも
米大統領選挙でトランプ氏が有利になるよう介入したとの疑惑を否
定。フリン氏がモラー特別検察官が進める捜査に協力することを決
めたことは、同疑惑を巡る捜査の大きな山場となる。
ホワイトハウスはフリン氏による虚偽供述の認知は同氏のみに関す
るものとする声明を発表している。
ABCニュースの報道の通りにフリン氏がトランプ氏の指示に従っ
てロシア側と接触したと証言した場合、それ自体は必ずしも罪には
ならない公算が大きいが、トランプ氏がフリン氏にFBIに虚偽の
供述を行うように指示したと証明されれば罪となる可能性がある。
ただ法曹関係者の間では現役の大統領を起訴できるかどうか意見が
分かれており、罪に問われた大統領に対する措置は議会による弾劾
以外にないとの見方が大勢となっている。
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麻生幾?2017/12/01 
ニューヨークタイムズ報道。ティラーソン国務大臣の交代、かつ、
安全保障チームの入れ替えと。戦争政権への移行ではないかと危惧
する。
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2017年12月1日 / 08:57 / 1日前
米国防長官、北朝鮮問題での外交努力は機能すると確信
[ワシントン 30日 ロイター] - 米国のマティス国防長官は
30日、北朝鮮問題への対応で外交努力は機能すると引き続き信じ
ており、米国は国連を通じた取り組みを続けると述べた。
長官は「(北朝鮮問題で)外交が機能していないと言うつもりはな
い。米国は外交努力を継続し、国連と安保理を通じた取り組みを続
ける。その姿勢が揺らぐことはない」と発言。
「われわれは軍事的選択肢を有しているため、米国の外交官は強い
立場から発言することになる」とも述べた。
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豊島逸夫? 2017/12/02
トランプ ピンチ! 元幹部フリン氏、ロシア疑惑で偽証認める方向。
トランプ陣営のロシアへの工作が暴露されそう。娘婿クシュナー氏の
関与も明らかになる可能性。足元火がついてきた。市場も大騒ぎ。ダウ
一時350ほど急落。税制改革期待で持ち返すヨーヨー相場。12月
相場はロシア疑惑で大荒れ予感
トランプ関連情勢急展開で、万が一、弾劾も視野に入るほど劇的材料
出ると12月利上げどころではなくなる可能性も絵空事ではない。日
本にとっては円高リスク。私も全く想定してなかった年末のトランプ
サプライズ。トランプ去ったほうが市場は安定して株は上がるとの議
論も。侃々諤々だよ(≡・x・≡)
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北向け海上輸送防止が重要…日米韓当局TV会議
2017年12月01日 19時32分
特集 北朝鮮 
 日米韓3か国の防衛当局は1日、北朝鮮による新型大陸間弾道ミ
サイル(ICBM)「火星15」の発射を受け、局長級によるテレ
ビ会議を開いた。
 3か国は、国連安全保障理事会の制裁決議などに違反する北朝鮮
向け物資の海上輸送を防止することが重要だとの認識で一致した。
北朝鮮に核・ミサイル開発計画を放棄させるため、最大限の圧力を
かける方針も改めて確認した。
2017年12月01日 19時32分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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2017年12月1日
米政府、ティラーソン国務長官交代の報道を否定
BBC News 
米政府は30日、レックス・ティラーソン国務長官(65)が近く交代
させられるという一部報道について、内容を否定した。
ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官は、ティラーソン
氏は「引き続き国務省を指揮している」と述べた。国務省のヘザー
・ナウアート報道官も、報道は「事実と異なる」と否定した。
これに先立ち米紙ニューヨーク・タイムズと米誌バニティ・フェア
は、複数の匿名政府筋の話として、政府はティラーソン氏を退任さ
せて、中央情報局(CIA)のマイク・ポンペイオ長官に交代させる計
画だと伝えていた。さらにこの後、AP通信とロイター通信が複数の
匿名ホワイトハウス関係者の話として、交代の方針を伝えている。
これに対してサンダース報道官は、「大統領が言ったばかりだが、
『レックスはここにいる』」と定例会見で述べた。「現時点で人事
の発表はない」と報道官は言い、「ティラーソン長官は引き続き国
務省を指揮している。全閣僚は、すばらしく成功したトランプ政権1
年目を最後まで見届けることに注力している」と団結を強調した。
一方で、報道によると、国務長官交代はジョン・ケリー大統領首席
補佐官による国家安全保障担当の大幅な人事刷新の一環で、早けれ
ば12月中か1月中に行われる見通し。ポンペイオCIA長官の後任には
、共和党のトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出)が予定
されているという。
ポンペイオ長官は国家安全保障上の問題でティラーソン氏より大統
領の立場に近く、コットン議員はイラン核合意についてトランプ氏
と同じように批判的な姿勢を示してきた。陸軍士官としてイラクと
アフガニスタンで戦闘を経験し表彰されているコットン議員は、国
防費拡大を目指すタカ派だとされている。
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トランプ氏、石油供給断つよう習氏に要求
2017/11/30 08:03
c一般社団法人共同通信社
トランプ大統領が中国の習近平国家主席に対し、北朝鮮への石油供
給を断つよう要求と米国のヘイリー国連大使。
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ゴールドマンが市場評価に警告−19世紀末以来水準、痛みに変わる
Christopher Anstey
2017年11月30日 8:58 JST
更新日時  2017年11月30日 11:34 JST
株式と債券 、クレジット市場の強気相場の長期化に伴い、平均的バ
リュエーション(評価)を示す指標が1900年以来で最も高い水準と
なっており、ある時点で投資家にとって痛みに変わる条件が整いつ
つあると、米銀ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。
  クリスチャン・ミュラーグリスマン氏をはじめとするゴールド
マン・サックス・インターナショナルのストラテジストらは今週の
リポートで、「株式と債券 、クレジットが同じように同時に高くな
る状況はめったになく、『活況の1920年代と黄金の50年代』のケー
スだけだった」と分析し、「楽しいことには必ず終わりがやって来
る。弱気相場がやがて訪れるだろう」と予想した。
  複数の中央銀行が量的緩和(QE)を縮小し、長めの債券保有
で投資家が求める上乗せ利回り(プレミアム)が上昇する中で、中
期的なリターンが「さまざまな資産で低下する可能性が高い」とア
ナリストらは予測。さらに確率は比較的低いものの、2番目のリス
クシナリオの下では、マイナス成長ショックか、あるいはインフレ
加速に伴う成長ショックが引き金になるかによって比重は異なるだ
ろうが、株式と債券のバリュエーションが共に打撃を受けることで
、「急な痛み」が起きるとの見通しを明らかにした。
  ストラテジストらは「高く押し上げられたバリュエーションは
、ショックを吸収するバッファーが少ないという単純な理由でドロ
ーダウン(水位低下)を招くリスクを高める。米国の株式と債券、
クレジットの平均バリュエーションパーセンタイル値は90%と過去
最も高い水準にある」との分析を示した。
  ゴールドマンの計算によれば、S&P500種株価指数の構成銘柄
60%と米国の10年国債40%というポートフォリオを組んだ場合、 
1985年以降のインフレ調整後のリターンは7.1%、20世紀全体では
4.8%となり、ハイテクバブルの崩壊と世界的な金融危機の2つが記
録に汚点を残す。
  リポートは、1920年代と50年代に経済成長を伴いそうであった
ように現在も低インフレが定着しており、「債券と株式の両方が打
撃を受ける高インフレとインフレ加速は、リセッション(景気後退
)を別とすれば、60/40%のポートフォリオにとって、最悪の結果
になる」と指摘。物価圧力が引き金となる政策金利の引き上げが「
マルチアセットポートフォリオにとって引き続き主要なリスク」で
あり、「債券市場のデュレーション(残存期間)リスクは今回のサ
イクルの方がはるかに高い」と主張した。
  ゴールドマンのストラテジストらは、比較的低いがプラスのリ
ターンが期待できるメインシナリオの下で、リスク調整後のリター
ンを高める方向で株式への投資を増やし、債券のデューレーション
を縮小するよう勧めている。
原題:Goldman Warns Highest Valuations Since 1900 Mean Pain Is Coming(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ
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米大統領が中国に警告 北朝鮮へ原油供給停止なき場合、米国が状
況の舵をとる 
2017年11月30日 15:46(アップデート 2017年11月30日 16:04) スプートニク日本
トランプ米大統領は中国の習国家主席との電話会談で朝鮮民主主義
人民共和国(北朝鮮)への原油供給を中国は打ち切るべきだと語っ
た。米国のヘイリー国連大使は、トランプ氏は中国がこれが行わな
い場合は、米国が状況の舵をとると明言したことを明らかにしてい
る。
ヘイリー国連大使は国連安保理会議の席で、「トランプ大統領は今
朝、中国の首脳の習近平氏に電話をし、中国が原油供給を停止する
段階まで我々は到達したと語った」と発言した。
ヘイリー大使は中国は「主導的役割を示し、事を貫徹すべきである
」とし、「中国がこれを独自に行うか、それとも我々が原油状況の
舵取りを行う」と付け加えている。
30日にかけての深夜、日本の自衛隊と韓国軍は北朝鮮のミサイル
発射の事実を確認した。ミサイルは日本の沿岸から210キロの海
上に落下した。
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2017年11月29日
北朝鮮「核武力完成」を宣言 ICBM「火星15」発射成功と
BBC News 
北朝鮮の国営・朝鮮中央テレビ(KCNA)は29日正午(日本時間午後0
時半)、米本土に到達可能な新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「
火星(ファソン)15」の発射を同日未明に成功させたとする政府声
明を伝えた。
KCNAが「重大報道」として伝えた政府声明は、「核武力完成の歴史
的大業」を実現したと表明した。超大型重量級の核弾頭装着が可能
な「最強ミサイル」の「火星15」によって、米本土全域が攻撃でき
るようになったという。
最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長が発射命令を下し、29日未
明に現地を視察したという。
KCNAは、「ついに国の核武力の完成という歴史的大業、ロケット大
国建設の偉業が実現したと、(金委員長が)誇り高く宣言した」と
表明。さらに北朝鮮が「責任ある核保有国として、そして平和を愛
する国として」、「世界の平和と安定を守る高貴な目的に尽くすた
め、できる限りのあらゆる努力をする」と強調した。
北朝鮮は、自国の武装は「米帝国主義者の核による脅迫政策」に対
抗する防衛手段であり、北朝鮮の国益が侵害されない限り「いかな
る国に対しても脅威とはならない」ことを、「厳粛に宣言する」と
述べた。
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アメリカは核武装した北朝鮮との共存を選ぶ
U.S. Can Live With a Nuclear North Korea
2017年11月29日(水)19時26分NWJ
ロバート・E・ケリー(釜山国立大学准教授)
<核・ミサイル技術の進歩で北朝鮮の脅威はますます高まったが、
アメリカが北朝鮮を攻撃する可能性は依然として低い>
北朝鮮が核・ミサイル保有国として台頭したのは、間違いなく2017
年の重大ニュースだ。だが驚くほどのことではない。北朝鮮は遅く
とも1980年代から核兵器の保有を目指し、1990年代前半からは核開
発にのめり込んでいった。それでも、本当に核兵器保有国になるに
は、技術、調達、資金、知識などの面で、かなり高いハードルがあ
ると見られてきた。
北朝鮮は今、北米にミサイルを届かせる技術を獲得し、ドナルド・
トランプ米大統領は北朝鮮問題を外交の最優先課題に押し出した。
トランプは対北朝鮮で強硬発言を繰り返し、一時は核攻撃を行う可
能性にまで言及。米朝戦争が差し迫っているかのような警戒心と恐
怖感を煽った。
だが歴史を振り返ると、米朝戦争が本当に起こるという根拠はほと
んどない。筆者は韓国在住で、米朝戦争をめぐる噂話は尽きないが
、在韓米軍は増強もしていない。空爆のための爆撃機も入っていな
い。トランプが4月に朝鮮半島に送り込んだと言った無敵艦隊もまだ
到着しない。在韓米軍は、普段通りに休みを取っている。軍属も国
外退避しないまま。韓国の現実と米朝戦争を彷彿とさせるトランプ
のレトリックの間には、著しいギャップが存在するのだ。
ツイートに何を書こうと攻撃はしない
欧米メディアもいつの日か真実を理解し、トランプがどれほど大げ
さな発言をしても米朝戦争が起こる可能性は低いと報じ始めるだろ
う。事実、トランプは11月8日に韓国国会で行った演説で、韓国世論
を北朝鮮に対する先制攻撃支持に変えさせる絶好のチャンスをみす
みす見送った。北朝鮮を攻撃するなら韓国の協力が不可欠だ。攻撃
に必要な軍事物資の多くは韓国国内にあるし、北朝鮮の報復攻撃で
標的にされるのも韓国人だ。だがトランプは、北朝鮮との戦争はお
ろか限定空爆への支持すら取り付けようとしなかった。
代わりに、北朝鮮を封じ込め、抑止し、孤立させ、経済制裁を科す
という、数十年変わらないアメリカの対北外交を継続すると強調し
た。もしトランプが韓国の支持を得る努力をしないのなら、ツイッ
ターに何と書こうと、北朝鮮を攻撃しない可能性の方が高い。
なぜ攻撃しないのかと言えば、核武装した北朝鮮との共存は不可能
という主張とは裏腹に、共存は可能だからだ。アメリカは長年、ロ
シア、中国、パキスタンという3つの信用ならざる核兵器保有国の脅
威に耐えてきた。アメリカが軍事力で核兵器を放棄させようと考え
たのは、1962年に当時のソ連がキューバに核ミサイルを配備した「
キューバ危機」のときだけだ。結局核戦争は回避され、ミサイルは
撤去されたが、核戦争一歩手前の緊張はアメリカにとっても世界に
とっても耐えがたいものだった。



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