この本は、ルトワック氏の論文と奥山さんからルトワック氏へのイ ンタビューで構成されている。最初の話が、「戦争にチャンスを与 えよ」の論文とインタビューで、戦争に介入して、停戦に持ち込む と、戦争にも平和にもならない中途半端な状態が出現するので、戦 争を始めたら、最後まで行わせる。それの方が平和になるのが早い という。 また、難民を故郷の近くに留めると、その地域の安定を失うから、 難民キャンプを作らずに、難民化した人たちを全然違う場所に移動 させて、そこで自活させた方が良いともいう。NGOが食料を与え て難民を自活させず、難民がゲリラとして内戦の戦士になっている ので、故郷近くの難民キャンプは止めるべきであるという。 トランプ政権のバノン氏は、中東に今後一切、介入しないことが正 しいし、国務省予算を削減してNGOにも予算を付けないことを主 張している。 丸で、ルトワック氏は、トランプ政権でのバノン上級戦略官と同じ ようなことを言っているが、ルトワック氏から聞くと、うなずける 面がある。詳しくは20日に発行される本を読んでください。 このコラムでは、第2次朝鮮戦争への道程を書いたが、北朝鮮を、 どうするのかということも論じている。 日本は、4つの選択肢があり、降伏、先制攻撃、防衛、抑止という が、今の日本は「まあ大丈夫だろう」と問題を先送りしているが、 それが一番問題であるという。これはオバマ政権にも言えることで あり、トランプ政権は、とうとうルトワック氏のいう先制攻撃に出 るようである。 ルトワック氏がトランプ政権の顧問のような気がするが、バノン氏 排除に動いているのが、政権の元軍幹部たちである。ルトワック流 の考え方は、現在の米軍幹部には、面白くないような気がする。 ということで、正統ではないかもしれないが、一理あるルトワック 流の考え方を、このサイトでも考えたいですね。 ============================== ▼目次 日本の読者へ──日本の新たな独立状態と平和 1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」 2 論文「戦争にチャンスを与えよ」 3 尖閣に武装人員を常駐させろ──中国論 4 対中包囲網のつくり方──東アジア論 5 平和が戦争につながる──北朝鮮論 6 パラドキシカル・ロジックとは何か──戦略論 7 「同盟」がすべてを制す──戦国武将論 8 戦争から見たヨーロッパ──「戦士の文化」の喪失と人口減少 9 もしも私が米国大統領顧問だったら──ビザンティン帝国の戦略論 10 日本が国連常任理事国になる方法 訳者解説