5865.日本の価値を上げた原因を探る



森友学園の教育に感動して、安倍首相は奥様を名誉校長にしたが、
明治の教育が、日本の価値を上げたわけではない。それでは何が、
日本人の性格を決定したのであろうか?それを探る。津田より

0.日本人の高潔さが世界的に評価されている
中国人観光客が日本を訪れ日本人の高潔さ、時間の正確さ、街の綺
麗さ、人の礼儀正しさなどに感動している。

欧米人も同様のことを言っていたが、今までは論語を教育されてい
る中国、韓国も同様であろうと、勝手に想像していたし、論語は中
国の孔子が書いたので、中国の方が上と考える人も多かった。

しかし、中国人観光客が日本に来て、日本の方が論語を体現してい
ると言っている。この原因は何か、日本は江戸時代に論語を寺子屋
で教えていたが、中国は論語を大夫の教えとして、庶民には教育し
なかった。それに対して、日本では寺子屋で教育された率は、江戸
市民の80%以上と論語が社会に浸透したことで、庶民の教えとな
ったのである。

それを戦後教育で禁止したことで、徐々に倫理観がない人が増えた
が、それでもまだ、その考え方が社会に浸透しているので、今は維
持されているのだ。

もう1つ、中国から入れたのが道教である。自然が豊かで、その自
然をそのままに維持しているのは、道教を卑弥呼が取り入れて、そ
れを日本古来の自然崇拝と統合して神道にしたことで、日本の縄文
人からの自然観も維持できたようである。昔の自然信仰に宗教的な
色を獲たことで、今に残ったようだ。

時代が下がって、南宋が潰れた時に、貴族が亡命してきたが、この
時入れたのが「内倹の心」である。きらびやかではなく、内心を落
ち着かせ、ゆったりした心を体現することであるが、鎌倉五山、京
都五山文化として坐禅と庭園、書院作りの文化を取り入れ、わび・
さびというキンピカではない文化を確立した。これが、今の日本を
落ち着いた文明にしている。

このように、漢民族の良さを日本はよりよく取り入れている。しか
し、南宋以後、漢民族ではなく異民族支配になり、漢民族が持って
いた優れた文化が、中国では失われている。異民族の強引さがない
と潰されるという感じが強い。礼儀より武力という感覚である。

1.摩訶止観
日本の武道の精神修養は、天台宗の摩訶止観の常行三昧から出てい
る。摩訶止観には、夢想の境地に達する方法として、常座三昧(座
禅)、半座半行三昧(称名念仏)、常行三昧(繰り返しの運動)の
3つの方法があると教えている。称名念仏として、日蓮宗と浄土真
宗が出てくるし、常行三昧としては天理教が出てくる。しかし、常
行三昧は、武道に大きな影響を与えた。

この摩訶止観の三昧がやっと、脳科学でも評価されて、マインドフ
ルネスと健康に良いことであると世界的な権威が推奨し始めている。

そのマインドフルネス自体を、日本ではいろいろな実験を重ねて、
座禅や念仏や武道などと多種多様な精神修養にしているのである。

そして、江戸時代の武士であった鈴木正三が農民になり、農業も繰
り返しの作業で、武道の精神修養であるから仏行であるとした。そ
れを石田梅岩が商業も工業も繰り返しの作業であり、論語の精神で
行えば、正しい行いであり、その労働から得る利潤も正しいと石門
心学で教えた。この石門心学が二宮尊徳や松下幸之助の哲学に発展
する。

このため、日本の仕事は精神修行となり、サラリーマン道やラーメ
ン道などと精神修行としたのであるが、この思想も徐々に論語と石
門心学が廃れて、西洋の合理主義が幅をきかせてきて、仕事を悪と
考えはじめている。そうしないとプレミアム・フライデーなどとい
うことが出てこない。

日本では、残虐な事件が少ない原因は、この精神修養のためである
と思われる。それも多くの人がサラリーマンになり、サラリーマン
道という修行をしているからである。

しかし、現在、仕事は自発性のものであり、強制されて行うことで
はなく、自分の考えで行うことであるという精神修行性を放棄して
、欧米と同じような命令や強制が強くなっていることで、昔の仕事
とは違うことになっているのであろう。

それが日本の良さを放棄しているように感じる。ブラック企業の根
本は、社長が論語や石門心学を学んでいないことによるようだ。仕
事を精神修養にしたほうが、成績が上がるということを知らないよ
うである。もちろん、数値化や作業の学習方法はある程度、文書化
して、見える化したほうが良いが、全てを見える化できないので、
精神修養的な部分も残すことである。それを各個人の工夫という。

MBAなどに日本企業が出てくるが、その根本は、仕事を修行とし
て行うことで、製品に魂が乗り移ることであると思う。そして、作
業所をキレイにするという行動もそこから出てくる。しかし、仕事
を修行とはMBAでは言わない。宗教的な色彩を拒否しているから
で、そのため、仕事場をキレイにするという現象を説明することに
なるが、それでは不足している。このため、本当に仕事ができるの
が日本人しかいないことになる。

このため、日本企業は日本人を世界に送り、作業指導をすることに
なる。仕事は修行という精神修養であると自社社員だけに伝えるた
めである。

2.明治より江戸時代に
このように、江戸時代に日本の文化の基礎はできたのに、今の保守
派は、明治憲法に戻れと西洋文化を絶対と考えた明治の時代に戻ろ
うとしている。

明治の時代が日本にとっては特殊な時代であり、西洋文化を取り入
れないと植民地化される可能性があったから、西洋文明を善悪を考
えずに取り入れたのである。その大きなものが国家君主制度であり
、天皇を絶対的な存在にしたことである。平安時代以前の昔にしか
存在しない制度であり、日本には馴染まない。

江戸時代までは、天皇は権威、将軍が権力、町人は財力と力の分散
を図り、安定した社会を作っていた。しかし、権力と権威と財力を
すべて明治政府が握り、そのため、腐敗や権力闘争が激化すること
になる。最後には軍部が支配して、戦争で日本を潰してしまうこと
になる。明治体制は、大失敗な組織体制であることがハッキリして
いる。

江戸時代は権力者である武士は貧乏であり、精神性だけで農民や市
民を支配していた。

現在も徐々に統制経済や独裁主義的な政治に世界がなってきたこと
で、日本も同じような方向に向けようとしているように感じるが、
それは間違いである。明治ではなく江戸時代に戻る必要があるのだ。

町人の代表者である町年寄りが江戸の町を幕府の意向とは違い、干
渉されずに、町人が望む仕組みを作り、お互いが助け合い暮らす町
にしたのが江戸時代である。これが理想だ。

町人は幕府から干渉を受けなかった。もちろん、時々、改革と称し
て商家の贅沢を懲らしめたが、一般の町人には関係がなかった。農
本主義がおかしいと商業からも税金を取ろうとした田沼意次が失脚
したことで、江戸時代は終わったように感じる。

3.今の日本の問題は
江戸時代が終わった原因は、幕府に金がなかったことによる。今の
政府と同じである。税金の取り方や使い方が歪になると、その政府
は、いつか潰れる。しかし、潰れると庶民にも大きな不の影響を与
えるので、早く、経済成長するモデルに変更する必要があるが、国
民は、ジャパン・ファーストと移民モデルを拒否している。

中国は膨張主義になり、アジア諸国を昔の冊封体制に戻す動きをし
ている。この動きを止めるには、経済成長モデルを取り、余裕ある
予算にして、予算の一部を軍事力の増強に向けないといけないが、
安倍政権でも移民政策を大胆には取れずに、ジリ貧の状態である。

日本文化の根本を知った日本人が世界に出て、それを世界が受け入
れられるような仕組みにして、世界を住みやすい社会にすることが
、我々日本人に与えられた使命である。

その使命を実行するためにも、早く経済成長モデルを作り、使命を
実現するような予算が組める社会に変革しないとダメである。

小手先の金融の量的緩和政策では、そのような経済成長モデルでは
ない。どうか、早く気が付いて欲しいものである。

さあ、どうなりますか?



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