月曜日有料版1章途中までをお送りします。 戦後の経済成長モデルが終焉しているし、米国の覇権崩壊で世界秩 序も混乱している。この状況で日本の次のグランド・デザインが必 要になっている。その検討をしよう。 津田より 1.日本の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして、高市首相は、補正予算の規模を20兆円程度にするような気 がする。物価対策、成長分野投資、熊対策などを矢継ぎ早に補正予 算化すると述べている。来年度予算では、減税が大きくなりそうで あり、赤字額は相当額になりそうだ。 この財源は、ほとんどを国債発行に頼ることで、10年国債金利は跳 ね上がることになる。現時点でも日銀が積極介入しても1.7%まで金 利が上昇している。 今後、20兆円以上の国債発行で10年国債金利は2%以上になることが 予想できる。国債費が50兆円以上になることも考えておく必要があ る。防衛費の5兆円増額より非常に大きいことになる。 そして、高市首相は赤字国債の発行量をコントロールできるのであ ろうか?今は期待値が大きいので、それを押さえることができない ことで、突然、超円安と長期金利上昇が同時に起きる可能性もある。 現時点も金利1.7%と上がったが、ドル円は155円でユーロ円は180円 の円安になっている。金利が上がり日米金利差が縮むと、普通は円 高になるはずが、円の信認が低下しているからだ。 石破政権では財政均衡化をするし、日銀は利上げ方向で、過度に円 を売ることはできないと思っていた世界の投資家が、高市政権は国 債発行を積極的に行うのに長期金利上昇を容認しないで、日銀の介 入が多発して、円札が大量に市場に出回ると見て、円を売る売買を したことが原因である。 財政維持には、投機家・投資家心理が重要であり、リフレ派がいう 債務GNP比を下げることではない。意図的に勘違いしている。 逆に、日銀が介入でも長期金利が上昇し、米国長期金利と差が少な くなると、円キャリー取引が20兆ドルもあるので、その円キャリー の巻き戻しが起きる可能性が高くなり、そうすると一気に超円高に なり、日本への資金の引き上げが起こり、世界の株式市場は崩壊す ることにもなる。(略) しかし、ここで考えなければならないのは、戦後の経済成長モデル から次のモデルを作ることであり、従来のモデルを破棄する必要が ある。 国家のグランド・デザインの変更を志向することである。日本の価 値を世界的な視野で考え、その目標をしっかり確立して、それに向 かって、戦略を立てることだとみる。 そうしないと、日本衰退が加速することになるし、世界経済も破壊 することになり、非常に心配な状況になっている。 ・グランド・デザイン 世界の中心がなくなり、トランプ政権は、中国との覇権争いに負け た。対中関税政策を破棄して、中国からの輸入品に低関税しかとら ないことにした。 その上、トランプ氏の関税政策で、多くの国は困ったが、ブラジル は大豆や牛肉などの農産物を大増産して、米国からの農産物の輸入 がなくても、ブラジルから輸入できることになり、米国への輸出な しでも、世界全体で補完できる仕組みを徐々に組み立ててきている。 ドルでの決済もしなくてよいように、アジア通貨基金などができる 方向で調整し始めている。中国、インド、ロシアなどは外貨準備を 米国債で持たないで、金や多数国の国債で持つようにし始めている。 このため、米国債は金利上昇に直面している。 このように、米国離れが加速している。米国の唯我独尊は、米国な し経済を世界に構築させてきた。 日本は米国の軍事力を必要としているので、大きくは離れないが、 それでもその影響を受けることになる。徐々に、米国の比重が少な くなると思われる。勿論、日本企業は米国に投資をするが、米国民 の消費力は、大きく落ちることになるとみる。AIによる雇用危機や トランプ関税のインフレで貧困層が多くなるからだ。 もう1つが、人口減少と投資力の問題で、日本の経済力の縮小が止 まらない。最先端分野に対する投資額が少なく、日本人の得意とす る分野である精密な加工分野と、すり合わせが必要な分野しか世界 に通用しない。AI分野、半導体製造分野は、後れを取っている。 ラピダスに期待したいし、すり合わせ分野でもあるためであるが、 スマホ、IT分野などは無理がある。 財政余力もない。高市首相は、経済成長を目指して財政出動をする が、これに失敗すると、もう後がない。国家破綻瀬戸際になる。 ということで、日本のグランド・デザインを新たにする必要がある。 戦後80年になり、明治期で欧米文化を取り込み、戦後は経済発展に 邁進し、しかし、その限界に直面して、今、次の目標が必要になっ ている。 それは、日本が世界の精神的な中心になることで、欧米的な戦いの 文化ではなく、お互いを尊重した文化で世界を変えることである。 以後は有料版を見てください。 0.米国の状況と世界情勢 1.日本の状況 2.ウクライナ戦争