6301.東洋思想の基本について



この頃、人間の生き方に対する評論や放送がなくなっていることに
、大きな違和感を感じている。西洋的な心理学を基盤とした考え方
が中心であり、それでは、日本人を形作る基盤が崩壊してきたよう
に思う。

東洋思想は、人間の生き方を規定している中国の人間のあるべき姿
を考察した中国思想の見方と、人間の根本は何かを見極める仏教的
な見方の2つに割れるが、どちらも人間の生き方を規定している。

この2つの思想が衰退して、末法の世になり、世界的な混乱の時代
に突入したように感じている。

東洋思想の現代化が必要な気がする。指導者層の使命感や帝王学の
不足を感じている。中国思想も仏教思想も巨大すぎて、取っつきに
くい。

その内、仏教思想については、このコラムでは考察しているので、
そちらを見てほしい。しかし、中国思想については、あまり触れて
いなかった。仏教は修行が必要であるが、中国思想は思想であり、
理論である。人間が持つべき資質や考え方を述べている。

ここでは、中国思想の見方を中心に、あるべき指導者の姿を見たい
と思う。

仏教では、人間は神の指令でこのように生まれ、誰でも自分が行う
べき使命があるとみるが、中国思想でも同じで天命を知ることであ
り、自分が何をするべきかを知ることが重要という。天命を知るこ
とを知命と言い、立命で、その天命を行うことである。

混乱の世から秩序ある世界にする基本は、孔子によると「徳」であ
るという。

「徳」とは、仁、義、礼、智、信の整った状態であり、この「徳」
を持った人が指導者になり、秩序を作るべきだというのである。

仁は、「人を愛すること」や「己れに克(か)ち(己れを克(よ)くし
)礼に復(かえ)る」ともいう。前者は外に対しての行為、後者は自
己の内なる修養をさす。具体的な心構えとしては、「己れの欲せざ
るところ、これを人に施すなかれ」(顔淵篇)というのがもっとも
わかりやすい。つまり思いやりの心で万人を愛するとともに、利己
的欲望を抑え礼儀を履行すること。

義は、人としてふみ行うべき道。利欲を捨て、道理にしたがって行
動すること。

礼は、人のふみ行うべき道。社会生活上の定まった形式。制度・文
物・儀式・作法等

智は、物事を考える能力。正しい道を自分で見つけられる力。

信は、まこと。いつわりがない。しんじること。お互いの信用を大
事にする。これがないと、資本主義が成り立たない。







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