6159.バイデン政権誕生



1月20日に無事バイデン政権が誕生した。このバイデン政権で経済は
どうなるのであろうか検討しよう。         津田より

0.米国および世界の状況
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NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇が、コロナで3月23日18,591
ドルまで急落し、2021年1月8日31,097ドルで最高値更新。1月15
日は30,814ドルで、18日は休、19日は116ドル高の30930ドル、20日
は257ドル高の31,188ドルで最高値更新、21日は12ドル安の31,176ド
ル、22日は179ドル安の30,996円。

1月20日には、厳戒態勢のワシントンで無事にバイデン大統領の就任
式ができた。ご祝儀相場で1月20日は3指数ともに過去最高の株価に
なっている。早速、トランプ大統領の政策をひっくり返し、パリ協
定復帰、WHO脱退停止、移民の受け入れなどの大統領令に署名し
た。

22日に、NYダウもバイデン政権ができて、下落基調になっている。
その理由として、2兆ドルの追加経済対策に対して、上院民主党議員
の数名が反対とわかり、早期成立に不透明感が出たことや、イエレ
ン財務長官が、仮想通貨に対して違法取引に使われていると発言し
、仮想通貨ビットコインなどが急落したし、金融規制強化が来ると
みられたことによる。IBMなどの決算が予想より悪かったことも起因
している

ということで、追加経済対策が遅れるので、バイデン大統領は貧困
層への迅速な現金支給と学校給食を受けられなくなった子どもへの
食糧支援拡大を命じる大統領令を発出した。

10年国債金利が1.2%に上昇しているが、FRBの次期議長と言われるブ
レナード理事も、テパーリングを12月雇用統計で12万人減という現
段階ではおこなわないと述べ、相場に安心感を与えている。物価上
昇率が2%以上になるまで放置のようだ。

1.日本の状況
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日経平均株価は、2018年10月02日24,270円で、コロナで3月19日
16,358円まで下げ、2021年1月15日は28,519円になり30年ぶりの高値
を更新し、18日は276円安の28,242円、19日は391円高の28,633円、
20日は110円安の28,523円、21日は233円高の28,756円で高値更新、
22日は125円安の28,631円。

1月21日はバイデン政権誕生で、ご祝儀相場で1990年8月以来の高値
更新になった。しかし、29,000円に行かずに22日は下落した。

このため、21日が転換点になったような気がする。当分、NYダウ
下落で調整が続くことになる可能性が出た。大型株の急上昇など、
バブル末期の現象も出ているので、警戒が必要な相場になってきた。

特に1月31日から2月21日まで水星逆行で、相場が荒れると予想する
評論家が多い。しかし、日経インバースの買い残1兆円以上もあり、
この買い戻しがあると、一層の株価上昇も起こりえるという。

もう1つ、心配なのが消費者物価が4年ぶりにマイナス2%になりデフ
レになったことだ。日米の実質金利差が逆転することで、円高にな
る可能性がある。

2.バイデン政権の誕生
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州兵2万5,000人が集められ厳戒態勢を敷き、ワシントンD.C.はまる
で要塞化した中で就任式をした。その出席者は、議員とそのゲスト
1名とし1,000人に限定。トランプ前大統領は就任式に出席せず、パ
レードは行わず、15丁目からエスコート付きの徒歩でホワイトハウ
ス入りした。また、この米大統領就任式に、台湾の駐米代表が正式
に招待され出席した。

そして、次の大統領令を発出した。
・政府施設や航空機など公共輸送機関でのマスク着用義務化
・パリ協定復帰
・環境規制の強化
・キーストーンXLパイプラインの建設認可取り消し
・イスラム圏からの入国禁止の解除
・WHOの脱退撤回
・ロビー活動厳格制限
・メキシコ国境の壁建設を停止

政権発足初日に、トランプ政権の中心的な政策をオバマ政権時代の
政策に戻した。それと米国で40万人が死んでいるコロナ対策である。

最もバイデン政権で力を入れる経済政策として、GDPの8.9%に当たる
総額1.9兆ドルの追加経済対策で、その内容は、
1.失業手当は週378ドルに400ドル上乗せ(21年9月まで)。
2.現金給付は1人1400ドル。20年12月支給の600㌦と合わせ2000ドル
この2つの支給額で、1.は週8万円。2.は合計21万円近くなる。

しかし、これだと働くより失業した方が給与が高いために、就業者
が増えないことになるし、働いてもらうには賃金UPが必要になる。
このため、上院民主党議員数名が反対の意向といわれている。上院
は、50対50の均衡状態であり、追加経済対策が通るか微妙になって
いる。

サキ大統領報道官は、「いずれにせよ現時点では、大統領の関心は
米国の中間層の暮らしを良くするために全力を尽くすことにある。
今後数カ月はそれが焦点になる」と強調。当面は、コロナ禍に苦し
む国内の経済再建に力を注ぐ姿勢を示した。
行で資金を調達する利点はあるとした。

しかしこの政策をすれば、おのずからドル安になる。このことで、
金利上昇が起きて、10年国債金利が1.2%になり、金利上昇でドル売
りからドル買い戻しが起きて、102円台から103円台後半にドル高円
安になった。しかし、米国では物価上昇が起きている。

日本はドル円の為替レートを100円以上にする実質的な管理政策を取
っている。ドルベースで見ると食料・エネルギーなど基礎資材が、
上昇することになる。円はドルとヘッジしているので、円ベースで
も上昇することになる。悪いインフレが起きることになる。

逆に人民元は価値を上昇させている。このベースでは価格が高騰し
ていないことになる。どうも、経済的な物差しを当分、人民元で考
えた方がよい可能性もある。日本は物資の獲得で、中国に競り負け
ることが多くなることを意味する。その良い例がLNGであろう。

イエレン財務長官も、ドル安政策を取らないと明言したが、積極的
な財政政策を取り、FRBの金融緩和と合わせて、景気刺激策を取って
経済をサポートするとした。財政出動の原資として、50年国債の発

また、「中国はおぞましい人権侵害を犯している」と述べ、米国に
とり「中国は最大の戦略的競争者だ」と指摘。中国による知的財産
権侵害や技術移転強要などに「積極的に対抗する必要性がある」と
話し、同盟国と連携して対処する方針を示した。

イエレン氏の政治的な発言を聞き、政治家になったことを確認した
。FRB議長当時は、政治的な発言をしなかったので、そこに興味
がないと思っていた。

ブリンケン国務長官は、上院公聴会で中国政府が新疆ウイグル自治
区でジェノサイド(民族大量虐殺)を犯したとのトランプ政権によ
る認定に「同意する」と述べた。

というように、相当に中国に対して厳しい対応を取るのであろう。
バイデン大統領は、これまで台湾政策について明言を避けてきたが
、台湾代表を就任式に呼んだことで、中国へのけん制をしている。
オバマ政権末期の人権外交に戻る印象を受ける。

一方、中国から米国電力網への投資を禁止したトランプの大統領令
を取り消した。中国からの投資などは許可するようだ。

与党になった民主党内では、左派と中道派の意見対立が激しく、そ
の上、左派の有力者ウォーレンやサンダースを要職につけないこと
で、左派の不満がたまっている。この調整ができるかどうかも今後
の政権運営に重要なポイントになる。

そして、退任式を終えてフロリダの私邸に戻ったトランプ氏は、上
院での弾劾裁判が始まり、有罪になると今後、被選挙権がないこと
になり、2024年の大統領選挙には出られなくなる。

しかし、トランプ支持者たちの声を代弁する人を立てる可能性があ
る。共和党は上院の弾劾裁判でトランプ派と反トランプ派に割れて
いる。共和党分裂の危機でもある。共和党の動向が見物だ。

このため、トランプ氏は「愛国者党」を結党して、4年後の大統領選
挙でトランピズム復活の活動を開始するようである。そして、バノ
ン氏を恩赦して、その活動の理論的な指導者にするようだ。

どちらにしても、米国の衰退が明確化して、今後、バイデン政権が
米国の威信を取り戻せるかどうかが焦点になるし、中国経済は米国
経済を抜き去る可能性が高くなり、米国はどう中国の台頭を抑える
のかが問題である。と同時に米国の分断をどう収めるのか、できな
いなら、どうするのかが問われている。

もし、分断が継続すると。4年後にはトランプ的な人が大統領になる
可能性が再度出てくることになる。

3.オリンピック開催はできるのか?
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オリンピック開催するためには、最低でも日本でコロナ感染拡大を
抑えて、西村担当相が言うように、1日東京の感染者数を500人以下
に抑えて、緊急事態宣言を解除する必要がある。最低でも、医療崩
壊中には東京五輪は開催できない。

このためには、ワクチンの接種を60%の人にして、感染拡大を納めな
いといけない。このため、7月に始まる東京五輪の準備などから、6
月までには60%の人にワクチン接種を終わって集団免疫獲得する必要
がある。ということで、1人に2回する必要があるので、1億2千回分
のワクチンが必要になる。

このため、このコロナワクチン準備担当相として、河野氏が急遽、
割り当てられた。今の自民党の中では、国民の期待度が高いのは、
河野氏と石破氏であり、次期政権トップにするなら、現政権の延長
上で安心できるのは、河野氏ということで起用されたのであろう。

しかし、2月下旬から医療従事者から始まり、5月から65歳以上の人
への接種を始めるとの報道に河野氏がクレームを出したが、それで
は東京五輪が開催できないことになるからだ。しかし、どちらにし
ても時間的に余裕がないことがわかる。

もし、万一、コロナ感染拡大が止まらずに、東京五輪中止になれば
、当然、菅首相は辞任することになる。

衆議院選挙を考えると、河野氏か石破氏しか、選挙で勝てない。自
民党のほかの人たちでは、支持率が最初から低くなるので、自民党
としては支持率が高い人しか、菅首相の代わりはできないのだ。選
挙が近いので仕方がない。岸田氏も候補であるが、国民からの期待
度が低い。

すると、河野氏が次の首相になるべき存在だとわかる。一部に安倍
前首相の再再任を期待する声があるが、それは無理がある。国民が
桜を見る会前夜祭の経費問題で、支持しない。国会で堂々とうそを
いう人を支持できないからだ。

しかし、このワクチンのスケジュールで問題が出ている。河野担当
相と坂井副官房長官で、坂井氏が6月までに全量の確保ができるとし
たが、河野担当相は、今の時点ではできていないと発言。田村厚労
相も「正式契約の内容は7200万人分を年内にとなっている」と発言
している。

それだけ、東京五輪の開催に、ワクチンの数量が重要なのである。
しかし、現時点では数量の確保が難しそうである。

一方、私が定期的に通う病院の医者は、その病院はコロナ患者を受
け入れていないにも拘わらず、今、病床は満床状態で、救急搬送も
受け入れられないという。

本当に東京は医療崩壊した状態で、コロナ以外での重症患者も収容
できる病院は、ないから重い病気や交通事故にも気を付けてほしい
と言われた。

他の病院から転送されてきた患者全員に肺のCTを取り、コロナに罹
っていないかチェックしているという。PCR検査でも疑似陰性が出る
ので、信用ができないからと明快。

この状態でも、街には多くの人が出て、昼間から酒を飲む人もいる
し、レストランも満席状態で、大丈夫かしらと思ってしまう。

どうも、東京五輪を開くという大きな願望と現状の国民行動の状態
とが、大きく離れているように感じてしまう。コロナ感染を警戒す
る感じが若者たちにはない。

さあ、どうなりますか?



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