6127.新型コロナで第2波が起こるか?



7月10日、東京で243人の新規感染者が分かるなど、コロナ新規感染
者が増えている。この動向と今後を検討しよう。   津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、6月26日は25,015ドルで、7月2日は25,827ドルで、7月6日は459ド
ル高の26,287ドル、7日は396ドル安の25,890ドル、8日は177ドル高
の26,067ドル、9日は361ドル安の25,706ドル、10日は369ドル高の
26,075ドル。

ナスダックは10,617ポイントで、3日連続で最高値を更新しているが、
NYダウは26,000ドル前後で動く膠着相場になっている。

新規失業者申請件数は131万件と先週143万件より少なくなっている
が、米国全体でコロナ新規感染者数が1日6万人にもなり、米感染者
300万人超えた。

しかし、クドロー米NEC委員長は、再び全国的なロックダウンを
実施するのは「大きな誤り」とした。ロックダウンは、企業の健全
性や米国民の幸福に悪影響を及ぼすと。

もう1つ、ムニューシン財務長官は、「コロナ前の収入より失業保
険受取額が高い事例は是正」と8月以降の特別給付を止め、失業保険
支給額を正常化するとした。これにより、8月以降の失業率を下げた
いようである。しかし、失業が続くと、生活費として株を売る必要
にもなる。このため、株価が下落する可能性もある。

一方、中国の上海株価が、政府の呼びかけで、個人投資家が群がり
急上昇した。中国も政府が株価市場に介入し始めているが、あまり
にも急騰して、政府系投資会社は、一転売りに出て、株価の急騰を
抑える動きをしている。

もう1つ、中国の華南地域で長く続く大雨で、揚子江流域が広範に
洪水の被害が出ている。このため、揚子江の上流のダムは、満杯で
放流をしているが、中流にある三峡ダムは、最大限の放流するが上
流から流入する水量の方が多く、警戒水位を3メートルも超えている
という。

このため、中国水利部の葉建春次官は、「ブラックスワン」の可能
性を言い始めている。これは、三峡ダムの崩壊のことなのか?

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げ、6月10日は
23,124円まで戻したが、7月3日は22,306円で、6日は407円高の22,714
円、7日は99円安の22,614円、8日は176円安の22,438円、9日は90円
高の22,529円、10日は238円安の22,290円。

日経平均株価は、22,500円前後を上下に動く膠着相場が続いている。

第1四半期決算が出てくるが、大幅減益になることが想像できる。こ
のため、当分下げる確率が高い。この上に、日本でもコロナ感染者
再拡大で、経済活動の自粛が起こると、より大きく株価は下落方向
になる。もう1つ、日経平均はNYダウに連動するので、米国の1-6月
の半期決算報告にも注意が必要である。

2.トランプ大統領とバイデン候補のダメさ加減の戦い
トランプ大統領は、コロナ感染拡大を止められなく、中国は止めた
実績で優位に立っている。この対比から中国は勝ったとの思いから、
しかし、内情は特別給付もなくコロナで店などを失った多くの国民
の不満もあり、海外に対して強気に出て、愛国心で国をまとめよう
としている。

もう1つ、ロシアがアフガニスタンのタリバンに対して、米軍兵士
を殺したら報奨金を出していたと米情報機関は、大統領に報告して
いたが、トランプ大統領は、ロシアがそのようなことするはずがな
いと発言した。

このように中露を敵としないで、トランプ大統領は、11月の再選に
向けて、海外の敵ではなく国内に敵を作り、分断を大きくしても自
分の支持層をまとめて勝とうと方針を変更したようだ。このため、
黒人の抗議デモを共産主義者とか、無政府主義者とかと言い、それ
を打倒することが必要と演説している。

黒人デモで警察解体と叫んだが、警察力を削いだ都市では、犯罪が
多くなり、白人層から不満が出ているので、この不満を味方にしよ
うとしている。このため、益々、米国の分断は大きくなっている。

トランプ大統領は、今までは中国を敵として、それに勝とうと演説
していたが、中国は、農産物の輸入などを確約した米中貿易交渉の
第1段階合意の履行を中止して、米国の出方を見ている。

このため、中国の許容範囲であろうと思われるウイグル人イスラム
教徒に対する人権侵害阻止として、同自治区の高官5人に制裁を科し
た。自治区トップの陳全国党書記を含む3人に対しては、米国内の資
産凍結に加え、米国ビザの発給拒否の措置が取られた。しかし、実
害はないようである。

次の「香港自治法」は、北京の政府高官が対象になり、これにトラ
ンプ大統領が署名するかどうかが焦点となる。どちらにしても、ト
ランプ大統領は、今中国とは喧嘩ができない。農産物の輸出がなく
なると中南部州の農家の票をなくすことになる。

中国には実質的な被害がないことをしているが、仏のデジタル課税
の報復として、仏製品への25%関税UPを行うとして、依然、欧州の同
盟国には厳しい。

もう1つ、再選に向けて、黒人ラップ歌手のカニエ・ウェスト氏が
大統領選に立候補するが、黒人票をバイデン候補から奪い取ること
を目的としたトランプ大統領の援護射撃のようである。裏でトラン
プ陣営が動いているように感じる。

しかし、姪であるメアリー・トランプの暴露本の内容がNYタイムズ
に出て、そのハチャメチャな人生が明らかになっているし、米最高
裁は、トランプ氏の財務記録の提出拒否を認めないことで、今後、
脱税などが明らかになる。しかし、トランプ氏は、今までも多くの
不利なことを乗り越えてきたので、その2つが出ても支持する有権
者層には影響がない。

このトランプに対して、バイデン候補もやっと、本格的に公約を発
表し始めてきた。まず、コロナ不況対策として、0.75兆ドルの米国
製品購入で、500万人の雇用を生み出すとした。

法人税を21%から28%に戻し、最低賃金を7.5ドルから10ドルにして、
富裕税を増税して、高齢者医療保険開始を65歳から60歳に引き下げ
るなどを公約としている。これらのことから当選すると、企業収益
が大きく減り、NYダウが大きく下落することになると思われている。
このため、ウォール街では悲観的空気になっている。

しかし、最後まで指名争いをしたサンダース氏が掲げていた社会主
義的な公約を棚上げにしている。

バイデン大統領になれば、環境問題のパリ協定に戻り、WHOからの脱
退もなく、イランとの核合意にも復帰することになる。しかし、TPP
に復帰するかどうかはわからない。日米FTAで、実質TPP同等の条件
を得ているからだ。

このほかにも政策提言を出したが、その中に対中政策がない。そし
て、容中派のスーザン・ライス元大統領補佐官が副大統領候補に浮
上してきた。トランプ大統領より対中国では穏健な政策になる可能
性が出ている。

もう1つ、バイデン候補の弱点は、認知症の疑いがあると専門家か
らも見られ、事実、FOX記者の簡単な質問に応えられないとか、オバ
マ前大統領の名前が出ないなど、その兆候があることだ。77歳の年
から仕方がない部分もあるが、有権者がどう判断するかだ。

それと、黒人デモでの要求の警察解体で犯罪が多くなり、特に警察
力を削減したのが、民主党市長の都市であり、民主党全体への非難
も出ている。

というように、バイデン候補にも問題点があり、両候補ともに問題
児で、より少ない駄目さ加減を競うことになるようだ。

というように、現時点の支持率では負けているトランプ大統領にも
まだチャンスがあり、トランプ大統領がお得意の予想もしないよう
な何をすることで、逆転はあり得るようだ。

ということで、まだ、わからないことになってきた。

3.コロナ感染症の第2波はどうなるか?
7月10日には、東京で243人の新規感染者が出ている。全国でも400人
以上の感染者が出て、確実に感染が拡大している。勿論、夜の街の
関連が多くなっているが、ホストからホステスに移り、そのホステ
スが、夜の街に来るサラリーマンなどに移し、そのサラリーマンが
、職場の同僚や家族に移しているようである。徐々に広がってきた。

このため、徐々に陽性率が上がり、相談件数も増加傾向にある。20
代30代が多いが、徐々に40代50代の患者数も多くなってきている。

西浦准教授によると、このまま制限を掛けないと、最大10万人の死
亡者が出ると予測のようだ。日本の事情を反映した低い数値にして
いるというが、恐ろしいことを言う。

PCR検査の拡大は、東京で日に2500件、全体で日に2万件まで増加し
たが、PCR検査では、経団連の中西会長が日に20万件までPCR検査可
能数を増やしてほしいと要望したが、厚労省はその要求を拒否して
いる。

病状のない人への検査は必要がないというのが厚労省の見解である
が、海外への渡航条件に入国前にPCR検査で陰性を証明することとあ
り、これを厚労省は認めないという。このため、会社独自での検査
を行う必要が出ている。この需要に関連企業が参入している。

もう1つが、コロナ治療薬の承認が遅れていることである。アビガ
ンは、効果が確認できないと藤田医大が発表した。

しかし、英国などでは、ステロイド系薬である「デキサメタゾン」
や「シクレソニド」(商品名オルベスコ)が効果ありとしている。
この2つの薬は安価であり、抗ウイルス薬「レムデシビル」は1人分
35万円もするが、その薬と同程度に効果がある。

サイトカインストームを起こした重症者には、IL6の暴走を止める
関節リウマチ治療薬「アクテムラ」が効くようであるが、その承認
も早くしてほしい。米FDAでは、コロナ関連の薬を緊急承認してい
るが、それと同じような仕組みが日本にも必要であろう。

このように前回このコラムで話題にした時点では、いつできるかわ
からないワクチンを待つまでは、安い治療薬とPCR検査を拡充して
、コロナ感染しても軽症段階での治療が確立していれば問題がない
とした。しかし、残念ながら、まだ確立していない。1ケ月以上も経
っているが、実現できていないようである。

このため、予防を重点的にするしかない。重点的に夜の街対策を打
ち、接待を伴う飲食店は、全従業員に対して、月1回のPCR検査を義
務付けることが必要だ。昔の赤線で娼婦に週1回の検査を義務付けた
ことと同様な処置でもある。

事実、都医師会会長は、2週間繁華街での飲食を自粛してほしいと
都民に呼び掛けた。軽症者用ホテルの契約は6月末までで、ホテルに
軽症者が収容できずに、病院に収容したことで、空きベット数が少
なくなっている。都は、3000床を確保するよう病院に依頼している
が、コロナ患者を受け入れた病院は、大幅な赤字になっている。こ
のため、依頼するには、それ相当な見返りが必要になっている。

もう1つ、のどから気管支、肺のルートでの感染は、軽症で発見さ
れれば、ステロイド系薬などが有効であり、東京医科歯科の医者は
、積極的に投与して軽症者を重症化させないようにしていると言う。

これでこのルートの治療法が確立しているが、鼻から脳に行くルー
トでの感染には、悪くすると脳障害を起こすことになり、後遺症な
ども持続してしまう。味覚障害などもこのルートから脳にウィルス
が侵入して起こるようである。このルートの治療法の確立が必要な
気がする。

この状態で、経済活動を正常化して、人の移動を活発化させると、
再度、第2波の感染爆発を起こす可能性が高まる。重症者も出てくる
。60歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ人たちは、外出自粛が再度、
必要になる。

また、治療方法が確立されていない鼻から脳へのルートで感染する
ように、コロナウィルスの変異が起きた場合、再度、多数の死者を
出すことになりかねない。要注意である。

政府は、ウイズコロナの条件でも経済活性化が必要なので、60歳以
上の外出自粛を言わない。旅行需要の内、多くが60歳以上であり、
特に平日の観光地は60歳以上の人しかいない。

一番、コロナショックを受けているのが観光業であり、この立て直
しには、60歳以上の観光需要を回復させないといけない。このため
、GOTOトラベルで旅行代金を補助してくれるので、行きたい気持ち
は大きいが、60歳以上の人たちは、旅行をするにしても、三密を避
けた旅行をするしかない。

よって、コロナで重症化する可能性がある60歳以上の人たちは、旅
行をしないか、しても自分の車などで、空いている観光地に行くし
かないようだ。

20代・30代・40代の人たちは、ガンガン経済活動と消費行動を行っ
て、日本経済を活性化させることであり、コロナに感染したと思っ
たら、早くPCR検査を受けて、軽症の間に治すことだ。また、この年
代の人は、無症状者も多く、将来的には、このコロナウィルスは人
間と共存した常在菌化する可能性もある。

しかし、現在、60歳以上は、安い治療薬のない現状では、コロナに
罹らないように、注意深く行動するしかない。

政府と東京都は、再度、ホテルとの契約を結び、軽症者の入院でき
る体制を整える必要が出て来たし、ダメなら笹川財団が用意すると
した体育館の転用入院施設を、再度利用可能にするしかない。

もう1つ、重症者が増えた時点で、60歳以上の外出自粛宣言などを
政府は検討するべきである。それと、60歳以上の人と同居する若い
人たちにも注意を喚起する宣言を考えてほしいものだ。なるべく経
済を止めずに、どう感染を拡大させないか、その方法を検討するこ
とである。

さあ、どうなりますか?


コラム目次に戻る
トップページに戻る