6080.中東戦争の可能性が出てきた



米中交渉は暫定合意の方向ということで、日経平均株価が20,400円
台から22,000円直前と大幅高になっているが、イエメンのフーシ派
よるサウジ石油施設爆撃で状況は一変した。今後を検討しよう。
                    津田より

0.日米株価
NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが
、その後下落して、9月3日26,000ドルになっていたが、中国と米国
共に米中協議を10月に始め、かつ暫定合意を目指すとしたことで、
9月13日27,219ドルと最高株価まで180ドルになっている。景気後退
の兆候は大きくなく消費も伸び、リスクオン相場になっている。ナ
スダックは横バイであり、大型株の買いが目立っている。

リスクオン相場になり、10年米国国債の金利は、1.4%から1.9%に上
昇したことで、逆イールドも解消している。そして、バブルが一段
と膨らんだ状態になっている。日経のPERは12倍であるが、NYダウの
PERは17倍を超えている。非常に高い水準にある。

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、
12月26日18,948円と暴落し、8月26日20,173円までになってしたが、
その後、10月始めに米中閣僚級通商交渉で暫定合意すると報道され
て、1ドル108円と円安に振れて、9月13日には9日続伸で21,988円に
なった。

しかし、日本の場合は、空売りの買戻しのような気がする。海外投
資家も空売りをしていたが、その巻き戻しが中心であるが、週後半
は、買いが入ったようだ。このため、想定外の大幅な株高になった
。特に配当利回りがよい銀行株などの大型株の値上がりが顕著であ
る。

その上に、ECBは、12日マイナス金利での利下げを行い、金利を-0.5%
にし、量的緩和の行うとした。そして、米国は、このような最高株
価水準にあるにもかかわらず、17ー18日のFOMCでは、-0.25%の利下げ
を行う方向である。しかし、トランプ大統領は、FRBに対して、株価
が最高水準でもQE4を要求している。

今までの想定する株動向シナリオは、2019年半ばに一度株価を下げ
て、QE4を行い、2020年後半に株価を最高値にするという方向と見て
いたが、トランプ大統領の株価シナリオは、このまま株価を高いま
まで2020年11月を迎えるようだ。

そして、イエメン・フーシ派のドローン攻撃でサウジの石油施設が
爆撃された。このため、石油高騰により、月曜日のNYダウは値上が
りし、火曜日の東京市場は、大暴落することになる。突然の地政学
リスクが起きて、月曜日の世界市場は大混乱が起き、東京市場は、
火曜日になり、より一層の暴落が起きる。1,000円程度の暴落もあり
得る。しかし、石油高騰は米国にとっては良いことである。

1.米中通商交渉
米国が9月1日から関税UPの第4弾をしたことで、中国は関税を9月以
前に戻さないと交渉しないとしていたが、10月初旬に閣僚級会議を
行い、暫定合意を目指し、9月中旬からは事務方の協議を始めるとし
たことで、日米中の株価は大幅な上昇をしている。

10月1日に中国建国70周年の記念行事があり、米国は、10月1日から
始まる追加関税を15日に延期し、中国は米国産大豆と豚肉の輸入を
開始した。中国企業の4割が赤字になり、かつ豚肉の高騰が起きて、
中国国民の不満が限界にきて、政府としても米国産豚肉の輸入を開
始し、雑貨を中心とした中国企業の業績を回復する必要が出てきた。

中国は国民の不満を抑えるために、大豆、豚肉などの米農畜産物の
輸入をすることが重要であり、国家体制の大幅な変更を伴う産業育
成補助金などの問題を避けるために、通商交渉の範囲を貿易、知的
財産保護などに絞り、合意に持っていきたいようだ。

一方、米国としても、米農家の倒産が増えて、農家の不満で選挙戦
に入ると、トランプ再選は無くなる。このため、中国とどこかで納
める必要もあったが、中国から譲歩してきたので、米国も暫定合意
する必要になっている。

米中の両国で、米中貿易戦争の悪影響が出て来て、トランプ大統領
も、強気の交渉では、合意に達しないことを人生で始めて体験して
、やっと、強気の交渉をするボルトン補佐官を止めさせて、柔軟な
交渉で前に進ませるようである。強気ディール失敗をやっと認めて
、方向に変えたようである。

しかし、中国強硬派ピーター・ナバロ通商製造業政策局長は、まだ
健在であるので、中国との交渉は諦めないようである。このため、
暫定合意ということになる。

暫定合意としては、中国は、米国産農産物を買い、米国は、生活用
品の関税を上げないとし、中国は、知的財産権の保護をすることで
合意し、今後も協議を続けることにするというものになると見る。

2.トランプ再選活動としての政策
トランプ政権は、今後、再選を目指して中間層の減税を打ち出し、
公約であるメキシコ国境の壁を国防費から支出することにしている
。日本が支払う沖縄からグアムへの移転費用の内、450億円も壁建設
費用に回すという。

そして、ボルトン補佐官の辞任は、北朝鮮やイランへの過度な要求
が原因であり、ボルトン補佐官辞任で、北朝鮮との交渉が進むこと
になる。

北朝鮮が核兵器をこれ以上作らないこと、とICBMを作らない代わり
に、朝鮮戦争を終戦して、在韓米軍の撤退を行う方向で、韓国と北
朝鮮の統一を促進させることになる。この米朝和平に寄り、ノーベ
ル平和賞を取り、トランプ大統領のレガシーにしたいようである。
再選の目玉にしたいのであろう。

イランとは、無条件で話し合い、制裁緩和も行うとした。アフガン
では、タリバンとの交渉を中断したが、再交渉を行うようにタリバ
ンが要請し始めている。ボルトン補佐官が辞任して、交渉が進むと
見たようである。このように米国の中東からの撤退が加速しそうで
あった。軍産複合体の利益代表のボルトン補佐官の辞任で、トラン
プ大統領は、軍の縮小化を進めて、国家財政の民生シフトを計画し
たが、軍産複合体は大胆な方法で、それにストップを掛けたようで
ある。

ヌリエル・ルービニ教授は、軍産複合体の動向を見ていたのか、地
政学リスクで原油価格が高騰して、世界はリセッション入りすると
言っていたが、イエメンのフーシ派がドローンでサウジ原油施設を
爆撃して、生産量半減の500万バレル減で、世界の石油供給の5%以上
に相当し、原油高騰が起きる。その上に、トランプ大統領は、イエ
メンの後ろ楯イランを名指しでイラン原油施設への反撃も示唆した。

そして、トランプ大統領は、サウジのムハンマド皇太子やイスラエ
ルのネタニエフ首相とも電話会談をして、今後の協議をしている。
これは大変なことになった。今後10年以上の中東戦争になる可能性
も出てきた。イランとロシアを巻き込んだ戦争になる。中東の石油
施設が広範に破壊され、ロシアと米国は石油高騰で、経済が活況を
呈することになる。軍産複合体で米ロは、裏でつながっている可能
性もある。

この影響を受けるのが、日本などの原油輸入国である。原油高騰で
経済に大きな打撃を受けるし、米軍の中東派遣になり、東アジアか
ら米軍はいなくなる。その上に、韓国と北朝鮮が統一すると、核ミ
サイルは、近距離に存在することになる。このため、危機的な状況
になると、日本の若者の75%が憲法改正の国民投票に賛成している。

トランプ大統領は、米国の農家が不支持になり、再選が難しくなっ
ていたが、中東戦争で石油高騰になり、経済活性化ができるのと強
い大統領を演出できるので、再選には有利になる。

3.韓国の暗い未来
韓国の将来は暗い。石油高騰が起こり、今でも苦しい経済は一層の
苦難に会う。それだけではないが、韓国国民は、暗い方向に文政権
が行っていることを認識していない。韓国検察庁は、曺国(チョ・
グク)法相に狙いを定めて、離米する文政権を打倒する方向である。

しかし、それが失敗すると、中東戦争に向かう米国が北朝鮮との交
渉で、ICBMや核だけの開発停止で合意し、朝鮮戦争を終結して、外
国軍隊の退去で米軍が韓国から撤退することで、韓国は、北朝鮮と
統一することができるようになる。文政権の目標が達成する。

最初は、一国二制度の国家になるが、反日を国是にすることで、日
本は、核の脅威に直面することにはなる。そして、国家統一の連合
政府トップに、金正恩委員長がなるはず。北朝鮮は選挙で金正恩に
100%投票するし、韓国与党は金正恩氏を推し、野党は別の候補にす
るが、得票数では金正恩氏になる。ということで国家のトップは、
金正恩氏になる。

この結果、中国の香港政策と同じで、徐々に一国二制度を壊して、
韓国の自由を奪い取ることになり、金王朝が朝鮮全土を支配するこ
とになる。このため、保守派の政治家や財閥企業関係者は、韓国に
いることができなくなる。このため、米国や日本に亡命してくる可
能性が高い。

北朝鮮への日本の戦後賠償は、拉致被害者の解放とバーターになる
が、北朝鮮は拉致被害者はいないとし、かつ日本は、敵国に経済援
助はできないので、日本を攻撃する中短距離核ミサイルの廃棄がな
い限り交渉しないとすることで、戦後賠償ができないことになる。

ということで、日朝交渉が暗礁に乗り上げて、日朝は敵対関係でい
ることになる。徐々に金王朝では、韓国の国民の自由もなくなり、
生活も貧しくなり、北朝鮮と同じレベルの生活になる。敵国なので
、日本は朝鮮統一地域に対して、経済制裁として海上封鎖を続ける
ことになる。

というように、韓国の将来を見通すことができる。韓国国民には、
かわいそうであるが、文政権を選んだ意味を近い将来、絶望と共に
知ることになる。このため、日本は韓国と無関係を通した方が良い
。手を出すと逆恨みを受けるので、韓国とは関係しないが正解であ
る。

4.世界の日本化で
このコラムでは、日本だけ量的緩和を続けると、円安でハイインフ
レになる可能性が高いと言ってきたが、その状況が変化した。

世界が金融緩和の方向に再度シフトして、MMT理論では、日本のよう
な経済金融政策が一番良いし、世界は日本の真似をするべきと言う
のである。30年間も緩和をしても、インフレが起きないし、景気も
良いとは言わないまでも、景気後退になっていないと。

というように、米国と欧州が日本化することで、円安への心配から
円高への心配に代わってしまった。日本は追加の金融緩和ができな
いことで、日本国債が一番金利が高いというのである。

米中貿易戦争で、世界経済が減速して景気後退を予防するために、
米国と欧州が利下げや量的緩和を行うことで、ハイインフレの心配
は、なくなったのである。米中貿易戦争は、デメリットもあるが、
日本に大きなメリットを提供している。

だが、世界の中央銀行がお札を無限大に印刷するので、通貨価値が
下がり、金利が安いことになり、預金から株や金に資金がシフトし
ている。このため、金買取価格が、1グラム18年4500円から直近5500
円まで上昇している。高利回りの株では3%程度の金利があり、大型
株では倒産の心配もないので、債券より株の方に資金が回り始めて
いる。

しかし、ここで石油高騰などの経済負担が増したことで、状況が一
変した。円安になりインフレになるのと、石油高騰で、太陽光など
の再可能エネルギーへの転換促進と再生可能エネルギー転換ができ
るまで、原発の再稼働を行う必要が出てきた。地政学リスクは突然
やってくる。

さあ、どうなりますか?



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