2815.中東和平とその裏側について



米国が主導で中東和平に乗り出している。この検討。  Fより

米国は、イラクでの治安維持に成功し始めている。この結果、撤退
計画の第1弾として5000名の兵士を帰国させる。増派した3万
名の兵を徐々に撤退させる計画である。

これはアルカイダを支援しているサウジや湾岸諸国の有力者やモサ
ドなどが、イラクから米軍が居なくなって、イランが支援するシー
ア派勢力が湾岸諸国に広がるのを恐れて、アルカイダに資金を渡さ
なくなったためである。

サウジやクウェートから来たアルカイダのゲリラ兵たちには給与が
支払われている。このため、イラク人ではないスンニ派ゲリラがイ
ラクに存在したし、逆に、シーア派にはイラン革命防衛隊のゲリラ
兵がいるのだ。

この給与が支払われないために、ゲリラ兵は自国に帰ったように感
じる。必ずしも米軍のテロリスト攻撃が成功したわけではない。

イラクが安定したので、米軍はイラク駐留を恒久化する方向にシフ
トしている。サウジや湾岸諸国、イスラエルはホッとしている。シ
ーア派を支援し、核武装するイランへの対策を打つ余裕が米国にも
出てきたようである。

米国は当初、シリアを攻めてレバノンからの補給ラインを確保しよ
うとしたが、イランが核武装を志向し、かつ原油があるイランへの
攻撃の方が米国にとっては利益がある。

これに対して、イランはトルコからクルド人分離独立を進めるクル
ド労働党(PKK)を支援して、イラク米軍への補給ラインであるトルコ
からの補給線を断ち、イランへの圧力を緩和さるためにシリアへの
攻撃を米国に志向させようとしたが、成功しなかった。

クルド自治政府がクルド労働党を積極的に支援しなかったことと、
米軍は偵察機を飛ばしてその情報をトルコ軍に渡したために、クル
ド労働党も活動を少し沈静化させている。クルド自治政府としても
米軍のイラク駐留は得である。

そして、米国とEUは核開発を進めるイランに焦点を合わせた。ロ
シアとはMD交渉でロシアに譲歩し、中国にはイラク原油の開発権
を与えて、米国はイラン支援を行う両国をイランから離そうとして
いるが、中ロはまだイランを支援している。

最後に、二正面にならないように、シリアを中東和平会議に呼んで
、イランとシリアを引き離し、サウジが要求する中東和平を実現し
て、対イランでアラブ諸国をまとめる方向に米国は動いている。

シリアを押さえると、レバノンにいるヒズボラは動けない。補給が
できないために、前回のようなことにはならない。シリアもイラン
が米軍へのトルコ補給ラインを切り、米軍をシリアに向かわせよう
としていることを知っているために、アラブ諸国の脅しを受け付け
たようだ。

この関連で、東アジアでの紛争を押さえるために、北朝鮮に対して
譲歩している。全ての持てる力を米国は中東に集中するようである。
この中東の仕組み作りにライス国務長官は専念している。

日本の福田首相が米国に行ったが、結局拉致問題解決まで北朝鮮へ
のテロ支援国解除を見送って欲しいと頼んだが、聞き入れられなか
ったようである。民主党の反対でインド洋での給油もできず、交渉
上の交換できるカードなしでは無理だ。

11月23日の中東和平会議で、オルメルト首相と自治政府のアッ
バス議長は中東和平交渉の開始を宣言している。イスラエルも米国
がだんだん覇権国家から普通の大国になり、海外への関心が無くな
る前に、生存権を中東に確立する必要があるし、アッバス議長もハ
マスの反対を押し切り、経済的な自立を勝ち取るには、イスラエル
との共存を目指すしかないのだ。しかし、双方の利害は根強い不信
もあり、調整が難しい。米国も国連安保理への決議案を撤回するな
ど、調整に手間取っている。しかし、米国は進めることが必要と見
ている。

イランは核開発でEUソラナ代表と交渉していたが、不調に終わり
、和平会議にも呼ばれず孤立化している。米国とEUは共同で覇権
を守る方向であり、その試金石がイラン核問題や昨日話題にした中
国の人民元改革問題なのかもしれない。

イランも事態が戦争に傾いていることを感じて、革命防衛隊にペル
シャ湾での指揮権を海軍から移譲する処置をしている。米第5艦隊
と世界のタンカーがホルムズ海峡を航行しているが、この当たりで
何かあると石油価格は150ドル/Bまで行く可能性もあるし、日
本の石油の90%以上がペルシャ湾からの石油である。石油がなく
なる心配もしないといけない。

さあ、どうなりますか??
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米での中東和平会議、シリア、サウジが参加へ(ASAHI)
2007年11月24日03時05分

 アラブ諸国の臨時外相会議が23日、カイロで開かれ、米国アナ
ポリスで27日に開かれる中東和平国際会議に一致して参加するこ
とを決めた。これまで態度を明確にしていなかったサウジアラビア
、シリアもそろって外相が出席する。 

 ただ、会議後の記者会見でサウジのサウド外相は「気が進まなか
ったがアラブの統一を考えて参加する」と述べた。また、国際会議
に向けたパレスチナとイスラエルの共同声明案について「ユダヤ国
家の原則を強調するイスラエル案は受け入れられない」と牽制(け
んせい)した。 

 シリアは一貫してイスラエルに占領されたゴラン高原の返還問題
を協議しない限り参加しないとしてきた。外交筋によると、方針転
換は、ロシアが第2回の国際会議を年明けにも開催し、ゴラン高原
を議題に取り上げると提案したためという。 

 ロシアはこの提案をパレスチナ、イスラエル双方にも伝えた。米
国と対立するシリアの国際的孤立脱却を促しつつ、米国が主導権を
握ろうとしている中東和平への関与を強める狙いがあるとみられる。 

 米国は、シリアをアラブ連盟の一員としてアナポリスでの会議に
招いた。しかしシリアはイスラエルと領土問題を抱える当事国であ
り、「シリアはシリアとして招かれるべきだ」(ビラール情報相)
と主張してきた。 
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米大統領、「中東和平に積極関与」・交渉開始を宣言
(nikkei)
 【ワシントン=金沢浩明】ブッシュ大統領は28日、イスラエルの
オルメルト首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長とホワイトハ
ウスで再び3者会談を行い、27日に合意した中東和平交渉の開始を
宣言した。ライス国務長官は交渉を治安面から支援する中東治安問
題特使の新設を決め、ジョーンズ元北大西洋条約機構(NATO)
作戦連合軍最高司令官を任命した。

 7年ぶりの和平交渉再開のため大統領が主催した会合は終了し、
12月12日から実際の交渉が始まる。3者会談後、ブッシュ大統領は
「私も彼らも和平は可能だと信じている。米国は和平プロセスに積
極的に関与し、彼らを助けていく」と強調した。

 交渉再開の合意には、ガザ地区を制圧したイスラム原理主義組織
ハマスが強く反発しており、ハマスなど武装勢力による自治政府や
イスラエルへの攻撃防止が交渉成功の前提になる。ライス長官によ
ると、中東治安問題特使は自治政府の治安組織の強化などを担当、
新たな支援・協力計画を策定・実行する。(11:38) 
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米、安保理決議案を撤回・中東和平、関係国に不信感
 【ワシントン=加藤秀央】米政府は11月30日、先の中東和平国際
会議を受け、国連安全保障理事会に提出した和平交渉の合意を支援
する決議案を提示直後に撤回した。イスラエル、パレスチナ自治政
府双方への根回し不足が背景にあるとみられ、和平プロセスのもろ
さと関係国間の相互不信の根強さを早くも浮き彫りにした形だ。

 イスラエルとパレスチナ双方は米アナポリスで開いた中東和平国
際会議で「パレスチナ国家」樹立を目指す和平交渉を再開し、来年
末までの決着を目指すことで合意した。米国のハリルザド国連大使
はこれを支持し、29日夕、すべての国連加盟国に支援を求める内容
の決議案を安保理に提示した。

 しかし、米政府は30日午後になって決議案撤回を表明した。国連
外交筋の間では、安保理でパレスチナ寄りの文言が加わることを恐
れたイスラエルが決議採択に反対したなど様々な憶測が出ている。
(23:58) 
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NO・761豹変したシリア、イランとも距離(中東TODAY)
 散々にアナポリスで開催される中東和平会議をけなしていたシリ
アが、最後の段階で参加を決めたが、会議が終わった後は、会議に
出席することが重大だったと強調している。

 シリアの政府紙とも言えるテシュリーン紙は「この会議が失敗す
ればアラブだけではなく、世界にとって危険な状態が発生すること
が予想された」「シリアが平和を望む国家であることを世界にアピ
ールしたかった」「アラブの奪われた土地を取り戻すことを真剣に
考えた」「アラブのコンセンサスを崩したくなかった、」「アメリ
カの誠意を試したかった」といった内容で、シリアの出席したこと
を正当化しながら、他方ではイスラエルとアメリカに対する、いま
までと同じように非難を繰り返している。

 しかし、イスラエルやアメリカ対する非難は、あくまでも形式的
なものに過ぎないのではないか。シリアがアナポリス会議に出席し
たのは、トルコやエジプトの説得によろう。それは説得といえば聞
こえがいいが、実は脅しに近かったのではないかと思われる。

 トルコとエジプトは、アナポリスの和平会議に出席さえすれば、
アメリカがイスラエルに対して、シリア攻撃を思いとどまらせる、
と説明したのではないかと思われる。

 問題はこれだけではない。脅しはイランに対しても行われたもの
と思われる。アメリカ政府はアラブ諸国の代表を、個別にブッシュ
大統領に会わせ、ブッシュ大統領がイラン攻撃をすることを、アラ
ブ諸国に飲ませたという情報も流れているからだ。

 シリアは今回のアナポリス会議に出席したあと、シリアの首都ダ
マスカスに拠点を置くパレスチナ各派に対し、イランの招待でテヘ
ランを訪問することを止めたようだ。

 ダマスカスに拠点を置くパレスチナ各派が、スポンサーであるイ
ランの招待を断ったということは、シリアが止めたということ以外
に、納得の行く理由が浮かんでこないからだ。

 イランはこうしたシリアの豹変に驚いているようだ。同時に、そ
れはイランにとって危険の度合いが増したということでもあろう。
今回訪問したエジプトやドバイ(アラブ首長国連邦)でのアラブ人
との会話の中では、押しなべてアメリカのイラン攻撃が話題に上り
、ほとんど全員が「近い将来あるだろう」と語っていた。このこと
については後日報告することにする。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:50 | パーマリンク 
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イラン革命防衛隊にペルシャ湾の作戦指揮権移ると、米軍(CNN)
2007.11.30 Web posted at: 21:16 JST - CNN

ワシントン(CNN) マイク・マレン米統合参謀本部議長は30
日までに、イランの精鋭部隊、革命防衛隊がペルシャ湾で海軍から
作戦の指揮権を移譲されたことを明らかにした。ペンシルベニア州
にある陸軍戦争大学で学生との質疑応答で述べた。 

指揮権獲得の狙いなどは不明だが、革命防衛隊は海軍より強硬な反
米姿勢を見せ、ペルシャ湾で任務に当たる米海軍の懸念材料が増え
る結果となっている。米国はイランの核開発に反発、米国内では武
力行使論も出ているが、革命防衛隊では攻撃を受けた場合、ペルシ
ャ湾の船舶運航を麻痺させるとも威嚇している。 

米海軍当局者によると、同湾で遭遇する艦船が国籍などを伝える連
絡では、米海軍とイラン海軍との間では問題がほぼない状態だが、
革命防衛隊艦船は問い合わせを無視することが多いという。 

米政府は今年10月、テロ活動を支援しているとして革命防衛隊を
対象に経済制裁措置を発動している。米国は、革命防衛隊がイラク
、アフガニスタンの武装勢力への武器供給に関与していると疑って
いる。 

議長の発言後、中東バーレーンに本拠がある米海軍第5艦隊司令部
は、過去数カ月間のイラン軍の活動を踏まえ、海軍が哨戒任務をペ
ルシャ湾につながるホルムズ海峡やオマーン湾に移し、ペルシャ湾
の作戦は革命防衛隊の海軍に委ねているとの声明を発表した。 
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核問題でイラン責任者との協議に失望表明、EU代表
2007.12.01
Web posted at:  16:27  JST
- CNN/AP
ロンドン――イランの核開発問題で、欧州連合(EU)のソラナ共
通外交・安全保障上級代表は11月30日、ロンドンでイランの核
交渉責任者、ジャリリ最高安全保障委員会事務局長と会談後、「5
時間の折衝で成果を期待していたが失望した」と協議が不調に終わ
ったことを明らかにした。 

一方、ジャリリ氏は「良い会談だった」とソラナ氏とは裏腹の評価
を示し、来月に再び会うことで合意したとも述べた。しかし、ソラ
ナ氏は「新たな会談は設定されていない。来月に電話で話し合うこ
とだけが決まった」と述べた。 

イランは国連安保理による決議を無視しウラン濃縮活動を続行。安
保理の5常任理事国とドイツは今回のソラナ、ジャリリ両氏会談の
結果も踏まえ、パリで12月1日にイラン核問題を協議、追加の制
裁案などを検討する。 

ジャリリ氏は過去の国連制裁決議がイランに何の影響を与えなかっ
たと指摘し、新たな制裁案の意義を否定。逆に、イランはこの間、
(核技術開発で)大きな進展を得たと反論している。 
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イラン制裁6カ国会合、米英仏と中ロ対立

 【パリ=古谷茂久】対イラン制裁強化について協議する国連安保
理常任理事国とドイツの6カ国局長級会合が1日、パリで始まった。
3回目のイラン制裁決議採択について討議しており、追加制裁発動を
主張する米英仏と慎重姿勢の中国、ロシアが対立しているもよう。

 今回の会合は11月15日に国際原子力機関(IAEA)がイランの
核開発疑惑について報告書をまとめたことを受けて開かれた。報告
書は同国が軍事転用可能なウラン濃縮を進めていることを指摘。
国連安保理はすでに2度のイラン制裁決議を採択したが、米英仏は
さらに追加制裁決議が必要と主張している。

 一方、中ロはIAEAの報告書がイランの協力姿勢を評価してい
ることなどを根拠に「追加制裁は必要ない」との姿勢を崩していな
い。(01:47) 
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イラン大統領「中東和平会議は失敗」、孤立化に焦り?
 【ドバイ=加賀谷和樹】イランのアハマディネジャド大統領は28
日の閣議で、米国で開かれた中東和平国際会議を「失敗」と断言し
「これでイスラエルの立場が強くなると思うのは間違いだ」と非難
した。サウジアラビア、シリアを含む多くのアラブ諸国が同会議に
参加し、米国のイラン孤立政策を加速させる格好となったことに焦
りをみせたようだ。

 イランや同国が支援するパレスチナのイスラム原理主義組織ハマ
スは会議に招かれなかった。大統領は国内の保守派からも米欧やイ
スラエルとの過度な摩擦を招く言動をいさめられるケースが増えて
いる。(13:23) 
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イラク駐留米軍、最初の一旅団約5000人の撤退を27日から開始(AFP)

【11月25日 AFP】イラク駐留米軍は、ジョージ・W・ブッシュ米大統
領が発表した撤退計画の第1弾として、今月末に兵士約5000人を帰国
させる。イラク駐留米軍の報道官Gregory Smith海軍少将が24日、発
表した。

 バグダッド(Baghdad)で行った記者会見で、同報道官は「現況か
ら最初の一旅団の撤退を可能と判断し、27日から撤退を開始する」
と明らかにした。

 同旅団は情勢不安定なディヤラ(Diyala)州に派遣され、国際テ
ロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員を標的とした掃討作戦を展
開していた。

 同報道官によると、撤退する部隊の補充が行われる予定はなく、
今回の撤退はイラク国内の治安状況の改善、および同国治安部隊の
能力向上を示しているという。
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<米・イラク>長期駐留へ向け交渉開始 首脳会議で合意
11月27日18時28分配信 毎日新聞
 【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領とイラクのマリキ首相
は26日、テレビ会議を開き、両国間の長期的な関係構築に向けた
交渉を開始する「原則宣言」で合意した。イラク駐留米軍の規模や
駐留期間に関する交渉が柱となる。年明けから交渉を開始し、来年
7月までの2国間協定の合意を目指す。ホワイトハウスが発表した。

 合意によると、年末に駐留期限を迎える多国籍軍についてイラク
側は「1年延長」を求める意向。09年以降は駐留部隊の位置付け
は「多国籍軍」から「米軍」に移行する。ブッシュ政権が従来、主
張してきた在韓米軍をモデルとした長期駐留への転換点となる。

 ブッシュ政権は、現在の増派作戦で増員された米軍約3万人のう
ち戦闘部隊を来夏までに帰還させる方針を表明している。来夏以降
の削減計画については来春にペトレアス・イラク駐留米軍司令官の
報告を受けて検討する。


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