2794.ミトコンドリアDNAから探る日本古代史



ミトコンドリアDNAから日本人の祖先を知ることができる。
                           Fより

土曜日のNHK教育のサイエンスゼロは面白かった。ここに紹介す
る。

ミトコンドリアDNAは母系遺伝をするので、女性の祖先の系図を
調べることはできる。DNA配列が短期間に変化しやすいので分岐
の時期が詳細に分かるという特徴もある。

世界には80パターンの人のタイプがあるが、日本人は16のパタ
ーンのDNAが確認されている。D4が日本人の30%と多いが、
そのD4タイプは、中国北部で生まれ、朝鮮半島を経由して日本に
入ってきたと考えられるグループである。B4は10%、F5%な
どは、東南アジアから日本に入ってきたと考えられるグループ、
M7a3%は日本特有なグループ、Aなどのシベリアなどの北方か
ら入ってきたと考えられるグループに大別できる。また、B4は中
国南部からの人たちが日本に入ってきたと考えられる。

ミトコンドリアDNAの解析は、現代人のみならず遺跡から発掘さ
れる太古の骨からも可能だ。 これによると、縄文人と弥生人のミト
コンドリアDNAの分布は大きく違う。しかし、N9aなどの日本
固有パターンは縄文人しかないことも分かった。このため、縄文人
と弥生人の混血で現在の日本人を形作っていることが分かる。縄文
人と渡来人の遺伝子を一対二の割合でもっていると言われる。


16のDNAパターン:A、B4、B5、C、D4、D5、F、G
           M7a、M7b、M7c、M8a、M10
           N9a、N9b、Z
==============================
ミトコンドリアDNA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ミトコンドリアDNAとは、細胞小器官であるミトコンドリア内にある
DNAのこと。ミトコンドリアが細胞内共生由来であるとする立場から
、ミトコンドリアゲノムと呼ぶ場合もある。

1.概要
ミトコンドリア DNA は、ミトコンドリアの持つたんぱく質などに関
する情報が主に含まれており、ミトコンドリアが分裂する際に複製
が行われる。ミトコンドリアに必要な情報の一部は核DNAに含まれて
おり、ミトコンドリアは細胞の外で単体では存在できない。また逆
に細胞が必要とするエネルギーを酸素から作り出せるのはミトコン
ドリアの働きによっており、細胞それ自体もミトコンドリアなしに
は生存できない。これらのことはミトコンドリアが細胞内共生由来
であるという仮説の傍証となっている。

一般にミトコンドリア病と呼ばれるミトコンドリアの異常によって
起こる疾病も、ミトコンドリアDNAの異常に起因するものと、核DNA
の異常に起因するものとがある。 ミトコンドリアDNAの遺伝子多型
は、肥満しやすさの個体差に関係していると考えられている。

2.伝達様式
ミトコンドリアは卵子の細胞質に約25万存在する。精子鞭毛基部に
もわずかに存在するが、精子が卵子の中に核DNAを渡したあと鞭毛ご
と切り捨てられるなど、一般的に精子由来の物は受精前後に何らか
の形で排除される。そのためもともとの卵子の中にあったミトコン
ドリアのみが細胞分裂後も引き継がれることになり、ミトコンドリ
アDNAは常に母性遺伝すると考えられる。父親から受け継いだという
例も一例報告されている(Schwartz and Vissing, 2002)が、その
患者はミトコンドリア酵素複合体の不足と重い運動機能障害を抱え
ている。

哺乳類の精子に含まれるミトコンドリアは、一般に受精後卵細胞の
中で死滅してしまうとされる。精子由来のミトコンドリア(ミトコ
ンドリアDNAを含む)は、後で胚の中で破壊されるようにユビキチン
による印が付けられることが1999年に報告されている
(Sutovsky et. al. 1999)。

3.ミトコンドリアDNAを利用した研究など
母親から子に受け継がれる特性を生かして、ミトコンドリアDNAは、
家系を追跡するための研究に利用される。


コラム目次に戻る
トップページに戻る