2684.日本独立で苦難の道へ



皆様の洞察力にはいつも驚いております。

世の流れを知らない私には、大変勉強になります。これからも、世
の見えない感じる部分を鋭く斬ってください。いつも興味深く見て
おります。

平野
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コラム:2682.日米関係の転換点(ライスの勝ち)
   
 いつも洞察力のあるコラム読ませていただいています。今回のア
メリカの慰安婦決議は戦前の絶対排日移民法を通したときに似てい
ませんか。

あの時も、日米紳士協定で日本からの移民はアメリカへはほとんど
行っていなく法案などは必要ありませんでした。さらにはワシント
ン会議の後であのような法案を通すとはほとんど日本に対する嫌が
らせにしか思えません。

おかげで日本のアメリカに対する感情はそれまでと全然違うものと
なってしまいました。今回も慰安婦法案が通れば、おっしゃるとお
り日本の対米感情は悪化するでしょう。親米安倍政権への打撃にな
るのでしょうか。

            久保田よりFさんへ
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ワシントン・ポストの広告の波紋       日比野

F様、先月から、こちらに投稿させていただいております日比野と
申します。

ワシントン・ポストの広告ですが、仰るとおり予想以上におおきな
影響を及ぼすと思います。

日本の世論はこれから「土下座してでも親米でいくべきだ派」と
「独立していくべき派」におおきく二分するのではないかと思って
います。私は、日本国民の意識には、大東亜戦争の敗戦のショック
があまりにも大きなトラウマとなって残っており、アメリカに歯向
かうと滅ぼされてしまうという深層心理下の恐れがあるのではない
かと考えています。

だからこれまでは、生き延びるために土下座でも何でもして兎に角
、親米でいくべきだという考えが現実主義としてあって、いわゆる
土下座外交で事を荒立てず過ごしてきたと思っています。

ところが、近年のアメリカの東アジアにおける軍事プレゼンスが低
下して、国防意識の高まりとともに、独立していくべきだという
ある種の理想主義、「尊王攘夷」運動が起こってきていると見てい
ます。

要は、町人・商売人として節を曲げてでも生き延びるか、武士らし
く死ぬかのどちらを選ぶかという意味での世論の分裂があるのでは
ないかと。

いままで、深層意識化に隠してきたものと対峙しつつ、現実的に
国際政治を司っていかなくてはならず、舵取りが難しくなるのは間
違いない。いずれにせよ、国内世論を早く固めないといろいろと混
乱が起きそうで心配です。
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 めまぐるしく事態は急転していますね
>とうとう、日米関係に大きな転換点を作ったことになった。この広
>告は歴史上のマイルストーン的な位置づけになると見る。

私はこれが米国の狙いであると見る。従軍慰安婦問題は米国が作り
、米国があおったのである。それを忘れてはならない。

日本は「言いがかり」と無視をしておけばいいものを、まともに反
論している。
米国の正義と日本の正義が対立点を含むことは当たり前のことであ
って、それが国際関係というものである。

そこは沈黙しておけばいいのだ。何せ相手は世界最強の暴力団のよ
うな連中である。
言質をとらせないことが外交の基本といえる。
日本のおかれた立場は聖徳太子の時代から非常に難しいのだ。

それはさておき
いまさら戻せないので、唯一可能な策は、自立生存権の確保である。

#1 エネルギー自立のための技術開発を行う
#2 食糧自給の体制を整える。
#3 自衛軍の指揮権を回復する(9条を変えない)。
ことになるだろう。

日本は軍事だけでは守れないことが第2次大戦で証明されている。
外交は#1、#2、#3の補完として構築すべきである。
問題はいまの指導層がこれとまったく逆のことを行っていることで
ある。

これをどうするか?
団塊君

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そもそも            猿マシーン 

日本は相当に難しい時期にいるわけで。
明治維新、敗戦、そして現在はおそらく日本政治史上非常に重要な
ターニングポイントになると思います。

ごく単純な話を申し上げれば、少子高齢化です。
人口のピラミッド構造が「逆」になるなど、人類史上例がない、
いわば前人未到の時代です。
少ない税収でいかに国を回すのか、という単純なようでいて非常に
難しい問題に直面しています。
当然福祉を必要とする人口は増加しますので、福祉をうたい文句に
するのは当然の選挙戦略になります。
福祉負担の増大は、経済振興政策にどの程度の圧迫を与えるのかは
、統計をとっていないのでわかりませんが、少なくとも圧迫する可
能性はあると言ってもいいでしょう。
ここで問題になってくるのは、以下の点です。

@産業構造をどうシフトするのか
この問題は非常に重要でして、例えば「ものづくり大国」なるもの
は残念ながら幻覚に帰す可能性が高いわけです。
近年の「ものづくり」なるものは、風呂桶を作ったり、町工場を意
味するのではないという前提があります。
高度先進技術を取り入れた高付加価値生産品の開発、というのがも
のづくりの意味です。
これを開発できるのは、高等教育を受けた層に限られますし、また
それらの知的財産の保護のために、リーガルトレーニングを受けた
層も必要になります。国内市場はもとより、諸外国に輸出しなけれ
ば利益を生み出せないので、国際的な交渉力を持った人材、つまり
国外事情を分析できる人材も求められます。
日本がものづくり立国なるものを目指すのであれば、知的な面に
おける「国家総動員」が必要なのです。
高等専門教育を受けさせる機関である大学にどれだけの人材を供給
し、鍛え上げることができるのかが重要な問題になります。
しかしながら、万人が万人、高度な専門教育に耐えうる頭脳を持っ
ているわけではないのです。
よくも悪くも人間には向き不向きがありますので、仕方がないこと
ではあります。

では、これら専門教育に不向きだった人々はどう生活すればいいの
かが問題となります。
単純労働者層として生きるにしても、製造工場などは海外に移転傾
向にあります。だれが彼(女)たちを雇用するのでしょうか。
ただでさえ国際競争力のあるものを作らなければならない状況で、
国内に工場を設立するということになりますと、そこで働く労働者
たちの待遇がどうなるか、興味深いところです。企業はオートメー
ション化された設備投資を中心に行うでしょうから、派遣労働者な
どが中心になるのではないかな、と思います。
派遣労働者やパートタイマー労働者は、近年まさに格差社会の象徴
と見られがちですが、そもそも産業構造上(というか日本の立国上
)現れないほうがどうかしているわけです。
彼らのためにセーフティ・ネットを設ける、とよく言われますが、
一体何が彼らにとってベターなセーフティ・ネットになるのでしょ
うか。小手先の技術をつけさせるような再教育システムを作った
ところで、自給100円高い労働者になれるのでしょうか?
機会の平等などと謳ったところで、行政行為で機会の付与などでき
るのでしょうか。とても難しい問題です。

国内事情はなかなか厳しい状況ですが、国外事情も相当厳しい状況
です。
この国内情勢で、アーミテージ・レポートが提唱するような日米関
係は構築できるのでしょうか。
そもそも、国際社会に信頼できる国家などないのですが、信頼でき
る国家と同盟は別の問題です。
お互いに提供できる利益があるかどうかが問題なのです。
アメリカは日本にとって最大の顧客ですし、逆もまた然りです。
この利益関係を壊さないようにしましょう、というのが同盟なのです。
国際社会で毅然と振舞うということは、あくまで「それにメリット
がある」からやるだけに過ぎません。
テロ組織に毅然とした態度で振る舞い、交渉しないのは、より最大
多数の幸福を守るためです。
アメリカ追従はけしからん、という発想の「けしからん」というの
は残念なことに価値観です。
価値観で同盟は結べません。
ここで重要なのは、逆説的ですが、「同盟は信用できない」のです。
なぜならあくまで利益関係だから。
ですが、利益関係を維持するのは国家存続上必要不可欠です。結局
利益関係国とは当然同盟を結ぶこととなります。
つまり外交とは、頭を下げながら心でソロバンを弾くことになります。
以上のことから、侵略されない国家とは、「攻めるのが困難」かつ
「友好関係のほうが利益が多い」ことになります。
「攻めるのが困難」とは、対象国の利害関係国がどれほどの深度の
利害関係を有しているかということです。例えば日本が他国に与え
る利益が大きければ大きいほど、他国は日本をパートナーとしてお
きたい、深度の深い利害関係国となります。
また、日本から得られる利益に比して、日本を守るためにかかるコ
ストが高すぎる場合はもちろん裏切られます。七年戦争あたりが
ちょうど参考になります。

では、日米同盟をどうするのか。
利害関係が深いことから、同盟は当然ということになります(何度
も言うように、信頼できるかどうかは無関係)。
ただし、注意しておくことは、あくまで国が富んでいることが前提
になっています。国富無くして外交はないのです。

つまり、昨今の「日米同盟論争」だの「対中・朝鮮半島論争」だの
は、国内政治(国富)が未曾有の転換期に入っていることへの不安
感から来ています。
このような時期に必要なのは、官僚と政治家が大衆の反応を「無視
」して信じる外交を行うことでしょう。
外交を世論で行う国は、それだけでリスクの値が高くなり、利害関
係国との関係がか細いものになります。
昨今の官僚バッシングで憔悴しきってしまった官僚たちと、「政治
家=権力=悪」みたいなトンデモナイ公式で見られがちな政治家た
ちが、真に活躍する時がきたようです。 


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