5633.米選挙を見ると第2次大戦前と同じ思想状況に



米国の大統領選挙で、米国民の怒りが極端な候補を選択する可能性
が出ている。しかし、その感覚が世界に伝播してきた。丸で第2次
大戦前の思想状況に似てきている。それを検討する。 津田より

0.有力米大統領候補の思想
民主党のバーニー・サンダース上院議員で大統領候補は、民主社会
主義者と自分のことを称している。公立大学の授業料無償と最低賃
金を15ドル/時、社会福祉政策の充実などで、ウォール・ストリ
ートの金持ちから資金を出させて実現すると公約にして、リボシュ
ーション(革命)と言っている。

銀行を潰すとも言っている。もし、サンダース政権ができると、独
裁政権でないと実行できない公約であり、これは次のクーデター的
な行動が必要になると見る。米国が独裁政権になる可能性がある。

オバマ大統領がチェンジ(変化)と言って、クリントンを下したが
、そのオバマは十分なチェンジができず、貧富の差が拡大したこと
で、チャンジではダメで、リボシューションしかないということの
ようである。

クリントンは前回、チェンジで負け、今回負けると今後はリボシュ
ーションで負けることになる。このため、クリントンもサンダース
の公約の一部を自分の公約にしている。最低賃金の上昇や国内企業
保護や貿易保護政策に軸足を移し始めている。

このように、サンダース候補が出てきたことで、クリントンの公約
もより保護主義的になってきた。

サウスカロライナ州の予備選挙でクリントンが勝ち、今後南部州で
の予備選挙でもクリントンが優位であり、クリントンが民主党の候
補になると思うが、その間に保護主義的な政策が公約化することは
確実で、民主党はどちらにしても社会主義的な政策になる。このた
め、TPPには反対となる。

対する共和党では、トランプ氏がダントツの優位にあり、スーパー
チューズデイ後は、共和党候補になると思われている。クルーズ候
補、ルビオ候補がいるが、保守本流の一部もトランプ氏に靡いてい
るので、逆転は難しいと思われている。公約は、移民排斥、強いア
メリカであるが片務的な日米関係を嫌い、対外的には米国優先であ
り世界の警察とは違う。

どうも、最初の対外政策アドバイザーとしては強烈なネオコンであ
るジョン・ボルト氏に依頼するようであるので、その意味では頼も
しい米国にはなるかもしれない。しかし、日本も準備が必要である。
そして、TPPは残念ながら、発効できなくなるようだ。トランプ
候補の公約は、ヒットラーを思い出す。要するに、現代に蘇った国
家社会主義である。

民主サンダース候補や共和トランプ候補が大統領になると、米国が
独裁政権化して、ロシアのプーチン政権とは、お友達になる可能性
が出てきたのである。

1.世界は、3つの思想になる
この2つは、第2次大戦前のロシアとドイツにあった思想であり、
貧富の差が極端に大きくなると、この2つの思想が蘇ることが米国
の大統領選挙を見るとわかる。

そして、この思想は米国だけではなく、世界に影響し始めている。
この思想に染まらないのは、民主主義国家でも社会保障が充実した
わりと裕福な貧富の差が比較的に少ない日本や西欧諸国である。

独裁主義的になっているのが、中国などであり、中国は社会主義に
戻る動きをしている。ロシアも同様である。

フランスのルベン氏は国家社会主義的な公約を掲げているが、まだ
有力な政党にはなっていないが、ポーランドなど東欧諸国では、国
家社会主義的な政党が政権を取り始めている。というように、東欧
諸国は、ここでも危機的な状況になり民主主義を制限し始めている
ようだ。

またもや、世界は三つの思想に分裂した状況になることが確実にな
り始めている。

そして、社会主義、国家社会主義などの独裁国家と、民主主義・資
本主義の国家群である。そして、その成立過程を見ると貧富の差が
開くと、どうしても、低所得者層の不満が出てきて、それを抑える
為に社会主義や国家社会主義的な独裁国家になり安いことが分かる。

この貧富の差が開くのは、バブル崩壊で社会的に資金の偏りができ
るためで、この資金の偏りを修正する政治的な仕組みがないと、米
国のように、富者に有利な政策、富者に資金を回したほうが社会的
にはうまくいくというトリクルダウンという思想を作り、そのよう
にしたことで貧富の差が極端に開いたのである。

残念ながら、トリクルダウンは起こらずに、貧富の差が拡大しただ
けの結果に現在なっている。米国では1%の富者が、米国の全資産
の50%以上を持っているという状況になっている。

そして、日本も小泉政権時代に竹中さんが、トリクルダウンが重要
として、累進課税制度を壊し、その後日銀の金融緩和で資産家が得
する資金の流れを作り、日本も貧富の差が拡大している。

まだ、米国ほどには資産の偏りがないので、日本は国家社会主義的
な政策を掲げた政党が政権を取り、独裁政権化することはないとは
思うが、このままでよいはずがない。

2.世界の思想戦になる
第2次世界大戦では、民主主義+社会主義など国家領域保護勢力対
国家社会主義独裁政権で海外拡張主義勢力の戦いで、国家領域保護
勢力が勝ち、国家社会主義独裁政権は否定された。そして、1989
年にソビエト崩壊で社会主義独裁政権が民主主義国家に負けて、人
権の拡大が起きた。

中国は、社会主義から市場経済に移行した。このように民主主義の
勝利が確定したと思われたが、米国のリーマンショックにより、貧
富の差が拡大した。

人権拡大には国民にある程度の収入を保証して、貧富の差が極端に
開かない仕組みが必要であることを、米国現状を見ると分かる。

しかし、この米国の動き、思想的な考え方は、多くの国に影響を与
えることになる。世界の思想戦が始まり、特に中国とロシアは自国
の政治制度は優れていると宣伝することになると見る。

そして、自国と同じ政治制度を持つ国を支援して、まはもや、民主
主義群対独裁主義国家群ということになりはしないかと不安である。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
Clinton cruises to big win over Sanders in South Carolina 
http://bigstory.ap.org/a9df2bc3283d4d1d874ec3e7fee5ad33

The US Election and the Global Economy
http://www.project-syndicate.org/commentary/us-presidential-candidates-economic-proposals-by-michael-boskin-2016-02

7:56 - 2016年2月28日 ianbremmer 
Who will be first senior foreign policy advisor to sign on 
with Trump? Too neocon, but I'm going to say John Bolton.

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 THE PAGE2016年02月27日 17:10
 トランプ氏、クリントン氏抜け出すか? 「スーパーチューズデー
」見どころ  
 2月1日のアイオワ州党員集会から本格的にスタートした米大統領
選の候補者指名争い。現段階で、共和党はトランプ氏、クルーズ氏
、ルビオ氏ら5人の争い、民主党はクリントン氏、サンダース氏の一
騎打ちの情勢になっています。
  各候補とも、党の代表候補としての指名を勝ち取るために、それ
ぞれの党内で過半数の代議員獲得を目指して(※1)、全米各州を巡
る長いレースを戦っている最中ですが、その最大のヤマ場となるの
が3月1日の火曜日(※2)に行われる「スーパーチューズデー」です。
  スーパーチューズデーは候補者指名争いレースの中でなぜ重要な
意味を持つのか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺
靖氏に、歴史を振り返りながら解説してもらいました。
サンダース氏、クルーズ氏は正念場
 11月の米大統領選に向けた共和・民主両党の候補者指名争いの最
大のヤマ場となる「スーパーチューズデー」が3月1日に開催される
(大勢判明は日本時間の2日)。各候補にとっては1日で最多の代議
員を獲得できる大一番の火曜日だ。
  もともとは1988年の民主党の候補者指名争いの際に名称で、南部
諸州が地域の意向を反映させるべく結束したことに由来する。2月〜
3月上旬の火曜日に開催され、今回は両党ともに10以上の州で予備選
が行われ、南部16州のうち7州が参加する。
  「スーパーチューズデー」は2つの点で重要だ。
 まず、第1に、各候補が全米レベルの戦いに耐え得る人物か試され
る点だ。2月1日のアイオワを皮切りに、これまでニューハンプシャ
ー、サウスカロライナ、ネバダと4つの州で別々の日に予備選が行わ
れてきた。各候補は1つ1つの州に何十回と足を運び、ドブ板選挙を
繰り広げ、テレビ広告に資金を重点投下することができた。1州だけ
の戦いであれば、たとえ知名度・資金力・組織力に乏しくとも、戦
術面で補うことも不可能ではない。しかし、10以上の州にまたがる
広大かつ多様な地域で同時開催される「スーパーチューズデー」と
なるとそうはいかない。
  例えば、民主党のバーニー・サンダース上院議員が3月1日に地元
バーモント州や隣のマサチューセッツ州しか取れないとなると「所
詮、革新的な白人が多く暮らす小さな州しか取れない候補」と見限
られることになろう。あるいは、共和党のテッド・クルーズ上院議
員が自らの拠り所であるキリスト教保守派(福音派)の多い南部諸
州で大躍進できなければ、3月上旬以降、より穏健派の多い州へと戦
いの舞台が移るにつれ勝算はますます遠のく。万一、3月1日に地元
テキサス州を落とすことになれば致命的だ。僅差での勝利なら事実
上の敗北に等しい。
クリントン氏が事実上の決着つける?
 第2に、この点とも関連するが、「スーパーチューズデー」の結果
を受けて有力候補へのバンドワゴン(勝ち馬に乗ること)が加速す
る点だ。その分、候補者指名争いの時間を短縮し、11月の本戦へ向
け体力を温存することができる。
  例えば、3月1日にヒラリー・クリントン元国務長官が圧勝すれば
、各州の予備選の得票率に応じて比例配分される 「一般代議員 」
のみならず、特別枠の「特別代議員 」も一気に上積みされるはずだ
。特別代議員とは連邦議員や州知事、歴代の正副大統領、党幹部ら
を指し、代議員全体(4763人)の約15%を占める。一般代議員とは
異なり、各州の予備選の結果に拘束されずに7月25〜28日の民主党全
国党大会(於:ペンシルバニア州フィラデルフィア市)で自由に投
票できる。党大会での正式な指名獲得には代議員全体の過半数(2382
人)が必要だが、クリントン氏はすでに712人いる特別代議員のうち
453人から支持表明を受けている(サンダース氏は20人)。
  3月1日に選出される一般代議員は878人(それまでの4州で選出さ
れた156人と合わせると一般代議員全体の約26%となる)。民主党は
「比例配分方式」を用いているため、実際に獲得代議員数が過半数
に到達するのは早くても4月下旬以降になると思われるが、3月1日に
事実上クリントン氏が決着をつけてしまう可能性は高い。ちなみに
2008年に同氏と大接戦を繰り広げたバラク・オバマ上院議員(当時
)が過半数を制したのは6月3日である。
残された時間は少ないルビオ氏
 一方、共和党の場合、2012年の予備選でミット・ロムニー氏が過
半数に到達したのは6月5日と遅く、民主党内の予備選で不戦勝状態
だった現職のオバマ大統領との戦いに向けた準備が疎かになってし
まった。また、予備選を前倒して存在感を高めようとした州が多か
ったこともあり、今回から3月15日以降の予備選に関しては各州の判
断で従来の「比例配分方式」に代わって「勝者総取り方式」の導入
も可能になった。「勝者総取り方式」なら注目度も増し、かつ早期
決着を促すことにもなる。
  不動産王ドナルド・トランプ氏とすれば、3月1日に首位の座を不
動のものとし、15日以降、一気に代議員全体(2472人)の過半数
(1237人)を固めてしまいところだろう。
  逆に、主流派(穏健派=エスタブリッシュメント)の支持を集め
るマルコ・ルビオ上院議員とすれば、3月1日に同じ主流派のジョン
・ケーシック知事と保守派のクルーズ氏を圧倒し、15日までに反ト
ランプ票の唯一の受け皿になりたいところだろう。トランプ氏の党
内支持率は約35%と決して高くない。しかし、残りの約65%を3、4
人の候補で分け合っているようではトランプ氏の優位は揺るがない。
ルビオ氏に残された時間はさほど多くない。2月10日に予備選から撤
退した主流派のクリス・クリスティ知事は26日、ルビオ氏ではなく
、トランプ氏への支持表明を明らかにしている。
  ちなみに3月1日に選出される共和党の代議員は661人(それまで
の4州で選出された133人と合わせると代議員全体の約32%となる)
。共和党にも特別代議員はいるが全体の約7%と少なく、かつ各州の
予備選の結果に拘束されるため、民主党に比べるとその影響力はは
るかに小さい。7月18〜21日の共和党全国党大会(於:オハイオ州ク
リーブランド市)までに代議員全体の過半数に到達した候補がいな
い場合は、全ての代議員に自由な投票を認めて党大会で決選投票を
行うなどの解決策がある。
候補者指名争いの「天王山」
 1992年の予備選では、序盤で低迷していたビル・クリントン知事
(当時)が「スーパーチューズデー」で起死回生を果たし、民主党
の候補者指名を獲得、さらには大統領の座も射止めた。今回の「ス
ーパーチューズデー」ではクリントン氏とトランプ氏がそれぞれ決
定打を放つことになるのか。あるいは驚きのカムバック劇が待って
いるのか。両党の天王山の行方に注目したい。
■渡辺靖(わたなべ・やすし) 1967年生まれ。1997年ハーバード
大学より博士号(社会人類学)取得、2005年より現職。主著に『ア
フター・アメリカ』(慶應義塾大学出版会、サントリー学芸賞受賞
)、『アメリカのジレンマ』(NHK出版)、『沈まぬアメリカ』(新
潮社)など
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ポーランドの「プーチン化」に怯えるEU
Poland's Right Turn Worries Brussels
まるで旧ソ連時代に戻るかのような強権化に、EUは初の「法治国家
度」審査を開始した
2016年2月26日(金)20時34分
アシシュ・クマール・セン(アトランティック・カウンシル)
 ポーランドは冷戦後長いこと、旧東欧における民主主義のお手本
として広く認められてきた。しかし、右派野党の「法と正義(PiS)
」が昨年10月の議会選挙で政権を奪取して以降、それが大きく変わ
ろうとしている。
 カチンスキ元首相率いるPiSは政権の座に就くや、行政、司法、メ
ディアに対する締め付けを強化。全土に大規模な抗議デモが広がっ
ただけでなく、欧州連合(EU)への警鐘にもなっている。だが、経
済的にも大きくNATO(北大西洋条約機構)の同盟国である国に対し
、欧州委員会が制裁措置を科す可能性はほとんどない。
 国際情勢を専門とするシンクタンク、アトランティック・カウン
シル主催の年次カンファレンスのポーランド理事長を務めるミカル
・コボスコによると、PiSは「秩序」を重視している。そして彼らに
よれば、ポーランドの歴代政権、とくに2007〜2015年まで政権を担
ったドナルド・トゥスク前首相の「市民プラットフォーム」はひど
過ぎたという。
 PiS政権は「革命的変化」の構想を持っていると、コボスコは言う。
 その構想に、欧州委員会は危機感を募らせている。なかでも衝撃
的だったのは、国営テレビおよびラジオの経営トップと憲法裁判所
の判事を政府が任命できるようにするという強権的な法案を、ドゥ
ダ大統領が承認したこと。欧州委員会は1月13日、「法による統治
」という民主主義の原則に反する可能性があるとして、EU加盟国に
対して初めてとなる審査を開始した。
試されるEU
 欧州委員会はポーランドに対する制裁として、全加盟国の首相・
大統領で構成する最高意思決定機関、欧州理事会におけるポーラン
ドの議決権を停止することもできる。だが、実際にはそううまくは
いかないだろう。
 EUによる制裁発動は、全会一致でなければならないが、既にハン
ガリーが、ポーランドを対象とするあらゆる制裁に拒否権を行使す
ると表明している。ポーランドのシドゥウォ首相は1月14日、EUは
制裁措置を発動しないだろうと述べた。ポーランドが法治国家か否
かについての最終的な判断は、EUの意思を試す大きな試金石になる。
 いくらEUが圧力をかけても、ポーランド政府が進路を変える見込
みはない。欧州委員会の審査には協力するだろうが、賛否を巻き起
こしている法案を取り下げる可能性は低い。
ポーランドとドイツの亀裂
 ポーランド政府のほうは、EUからの圧力に苛立ちを覚えている。
内政干渉と見なしているのだ。うしたいがみ合いの最大の犠牲者は
おそらく、対独関係だろう。
 4年前、ポーランドのシコルスキ外相はドイツを「不可欠の国」
と呼んだ。こうした好意的な姿勢はこれまで、ドイツのポーランド
に対する不満を和らげるのに役立ってきた。
 ドイツの政治家で欧州議会議員のマルティン・シュルツはポーラ
ンドの変わりようを「欧州政治における危険な『プーチン化現象』
」だと言う。
 ドイツがポーランドに指図をしているという反感は、第2次大戦中
の両国の歴史と重なって、さらにエスカレートする。右傾化したポ
ーランドのメディアは、ドイツ政府を非難する際にしばしば、ナチ
スを引き合いに出してきた。ポーランドの人気雑誌『Wprost』の最
近の号では、ナチスの制服を着たドイツ首相アンゲラ・メルケルが
表紙を飾っている。
ポーランドは右傾化しているのか?
 ポーランドで共産主義が崩壊してから20年あまりが経った。ポー
ランド政府の動きは、一部のアナリストが考えているように、右傾
化、あるいはソ連時代への回帰を示すものなのだろうか?
「PiS政権がやっていることは、ポーランドが共産主義国家だったと
きと同じ全体主義を目指しているように見える」と、コボスコは言
う。「メディアや司法制度を政府が支配し、人々を愛国主義へと煽
動する。これらは旧ソ連時代の政治の要素だった」
 ポーランドがどこまで右傾化するのはわからない。PiSは、カトリ
ック教会に深く根付いたEU懐疑派の保守政党だ。一方で、社会保障
の拡大と、労働組合との連携を探るPiSの経済プログラムは左派的な
政策に見えると、コボスコは指摘する。
「欧州全体で今後愛国主義、ポピュリズム、排外主義が勢いづいて
いくようだと、EUにおけるポーランドと似た者同士のハンガリーの
発言力はますます強くなるだろう」と、コボスコは言う。
 明らかなことは、ポーランドの取り扱いは非常に慎重でなければ
ならないということだ。
The article first appeared on the Atlantic Council site. 



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