5632.原油価格の攻防



米国のシェールオイル企業には残酷な話になるが、、サウジアラビ
アのヌアイミ石油鉱物資源相は、ロシアやイランとの生産調整をし
ても、サウジとしては減産はしないとしていた。

米国のシェールオイル企業が倒産するのを待つと、米ヒューストン
で開かれた会議で、原油の安値環境から救われることを望む企業幹
部らに厳しいメッセージを送った。

このため、投資会社リバーストーン・ホールディングスのパートナ
ーを務めるマーク・パパ氏は、同日の公開討論会で、再編と破綻が
相次ぐ中、テキサス州やノースダコタ州のシェール企業は向こう数
カ月間に「大幅に淘汰(とうた)される」と予想した。

米国のシェールオイルがやっと輸出されるようになったが、いつま
でシェール企業が持つのかである。

というように米国の原油生産量は、今後、減少することになる。

ということで、IEA=国際エネルギー機関は22日、原油市場の
先行きに関する報告書を発表し、原油価格の低迷でアメリカで生産
量の減少が見込まれることなどから原油の供給が過剰な状態は来年
には解消されるという見通しを示した。

石油戦争は、完全にサウジの勝ちが決まったようである。
ということは、シェールオイルに投資した資金の回収はできていな
いので、欧米の金融業界に、どのような影響が出るのであろうか?

さあ、どうなりますか?

==============================
サウジ石油相から米石油業界へメッセージ:コスト削減もしくは撤
退を 
2016/02/24 13:00 JST
   (ブルームバーグ):世界で最も影響力のある「オイルマン
」、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は米ヒューストンで
開かれた会議で、原油の安値環境から救われることを望む企業幹部
らに厳しいメッセージを送った。それは、高コストの生産会社は「
コスト削減か現金借り入れ、もしくは事業を清算する」必要がある
というものだ。 

ヌアイミ石油相が「IHS・CERAウイーク」会議で石油業界幹
部数千人に対して発したこのメッセージは、さらなる支出と人員の
削減やリグ(掘削装置)の稼働停止を意味する。 

同石油相は23日、「厳しく聞こえるかもしれないが、残念ながら市
場を再び均衡させるためにはそれが最も効率的だ」と述べた。ムー
ディーズ・インベスターズ・サービスによると、北米の石油生産会
社74社は債務の維持がかなり困難な状況に陥っている。 

10年余り前にシェール業界の誕生を支援したEOGリソーシズの元
最高経営責任者(CEO)で現在はプライベートエクイティ(PE
、未公開株) 投資会社リバーストーン・ホールディングスのパート
ナーを務めるマーク・パパ氏は同日の公開討論会で、再編と破綻が
相次ぐ中、テキサス州やノースダコタ州のシェール企業は向こう数
カ月間に「大幅に淘汰(とうた)される」と予想。生き残る企業は
より保守的になるだろうとの見方を示した。 

広がる痛み 
支出減少や債務増加、人員削減の影響が拡大し始め、オクラホマ州
の地方銀行や厳しい財政運営を迫られているベネズエラとブラジル
の経済にも波及する中、ヌアイミ石油相のメッセージは米国のエネ
ルギー業界以外にも広がると予想される。 

ヌアイミ石油相はヒューストンに集まった企業幹部らに対し、サウ
ジはロシアと合意した増産凍結で市場の均衡には十分だと考えてい
ると表明。高コスト生産会社はいずれ破綻し、需要拡大に伴って供
給過剰が徐々に縮小するとの見通しを示した。国際エネルギー機関
(IEA)は、これは原油安がさらに2年間続くことを意味すると
指摘している。 

同石油相は増産凍結合意について、「減産ではない。減産が実施さ
れることはないだろう」と述べた。 
ヌアイミ石油相がヒューストンで対峙(たいじ)したのは、サウジ
がまさしく破綻に追い込もうとしている企業の幹部らだ。ノースダ
コタ州のシェール企業やカナダのタールサンド採掘企業、ブラジル
沖合の深海油田の開発を手掛けるこれらの企業が利益を上げるため
には、原油価格が現行水準を大幅に上回る必要がある。これらの企
業は石油輸出国機構(OPEC)が2014年11月に高コスト生産者に
価格戦争に仕掛けてから1年余りの間、生き残りをかけて闘ってい
る。同石油相はこの時以降、米国では公の場で話していなかった。 

「高コストの供給を援助するため低コストの原油を減産することは
、避けられない決着を遅らせるだけだ」との見方を示した。 
==============================
IEA 原油の供給過剰 来年には解消の見通し
2月23日 10時37分NHK
IEA=国際エネルギー機関は22日、原油市場の先行きに関する
報告書を発表し、原油価格の低迷でアメリカで生産量の減少が見込
まれることなどから原油の供給が過剰な状態は来年には解消される
という見通しを示しました。
IEA=国際エネルギー機関は22日、原油市場の中期的な見通し
の報告書を発表し、アメリカ南部テキサス州のヒューストンで記者
会見を開きました。
報告書では、シェール革命で世界最大の産油国となったアメリカの
原油の生産量は、価格の低迷を受けてことしは日量で60万バレル
、来年はさらに20万バレル減少するとしています。
また、世界的に原油を生産するための投資が減っていることから世
界の供給量の伸びが鈍化するとしたうえで、ことしは供給が需要を
上回る状態が続くものの、来年には需要とほぼ同じになり供給過剰
な状態が解消されるとしています。
原油価格の見通しについて、IEAのビロル事務局長は「ことしは
まだ低迷が続くが来年には上昇し、2020年には1バレル=80
ドルに達するだろう。原油を安定的に供給するために新たな生産へ
の投資を継続することが大切だ」と話していました。 




コラム目次に戻る
トップページに戻る