5615.リーマンショクの数倍の規模の崩壊に



心配していたように、東京市場は大幅続落になってしまった。世界
経済が下降している時に、日本企業だけが好成績ということはない。

中国の景気後退の影響を受けることになる。しかし、日本は米利上
げの直接的な影響を受けていないから、この程度で済んでいるので
ある。日本は、伊藤元重先生のようなのんびりしたことを言えるの
である。

米投資機関が投資した新興国は大変である。企業がドル建て借金し
た場合は、自国通貨安と利率UPという二重の重りを背負うことにな
る。中国・韓国企業や資源のあるブラジル企業などの新興国企業だ。

企業の借入金が非常に多く、景気後退で米ファンドから借りた利子
を返せないことで、倒産の危機に直面している。また、貸した米フ
ァンドの閉鎖なども、これから起こることになる。

新興国バブルの崩壊に向けて、速力をつけて向かっているような気
がする。米国の量的緩和で400兆円以上が世界に散蒔かれた。

この回収はできるのであろうか?

おそらくできないように思う。

その時、リーマンショクの数倍の規模の崩壊が起きることになる。

さあ、どうなりますか?


==============================
東証終値559円安
2016年2月3日 15時06分
3日の東京株式市場の日経平均株価(225種)終値は、前日比559円安
の1万7191円25銭だった。
==============================
2016.2.3 09:43産経
【正論】
日本経済は五右衛門風呂状態 マイナス金利は強い決意の現れ デ
フレ脱却へ投資拡大急げ 東大大学院教授・伊藤元重
 20年以上続いた経済停滞から日本経済を再生させるのは容易な
ことではない。国民も企業もいまだにデフレマインドにどっぷりと
漬かり、本格的に回復する兆しを見せない。国民の多くはまだデフ
レ脱却に懐疑的である。消費を増やすよりは、老後に備えて貯蓄に
回す人が多い。企業はアベノミクスのおかげで手元に潤沢な資金を
蓄積してきた。市場から資金を調達しようとすれば、かつてないほ
どの低金利で調達できる。それでも国内への投資は増えていかない。
五右衛門風呂状態の日本経済
 人口減を考えると、5年後、10年後の日本経済の市場規模が拡
大するとは思われない。そう考えている経営者も少なくないようだ
。このように冷え切った消費や投資を拡大させていくことは容易で
はない。しかし、消費や投資が増えていかない限り、経済が拡大し
ていくこともないのだ。
 アベノミクスの効果がなかったわけではない。この3年の成果を
みると、為替レートは円高修正を果たし、株価や企業収益も大幅に
改善している。政府の税収も3割以上増大し、雇用にいたっては過
去23年で有効求人倍率が最高の水準になるまで改善を続けている。
 これだけの数字を並べれば、アベノミクスの効果がなかったとは
言えないはずだ。ただ、それでも肝心な消費や投資が増えていかな
いので、景気が回復したという実感が持てないのだ。
 日本経済は例えて言えば、五右衛門風呂状態にあるようだ。金属
でできた風呂釜は下から温めて熱くなっている。しかし、中に入っ
ている肝心の水はなかなか温まっていないのだ。風呂釜は株価や企
業収益や雇用の数字であり、中の冷え切った水は消費や投資を意味
している。風呂釜を熱くすることには成功したが、中の水を温める
のは簡単ではないということだ。バブル崩壊後の失われた20年の
影響はそれほど大きい。また、少子高齢化と人口減少という構造的
要因の影響も非常に大きい。
企業が動くことが重要だ
 アベノミクスのデフレ脱却は第2ステージに入っている。風呂釜
を温めるのが第1ステージであれば、中の水を温めるのが第2ステ
ージだ。その鍵を握るのは、政府の議論の中でもしばしば出てくる
ように、賃金と投資なのである。
 賃金が上昇していくことは、持続的な物価上昇につながるだけで
なく、消費を拡大させる要因ともなる。企業が投資を拡大させてい
くことは、需要面から重要であるだけでなく、持続的な成長を支え
る生産性向上やイノベーションという供給面からも重要となる。
 企業の手元の資金がないのであれば仕方ないが、潤沢な資金があ
っても国内投資を控えているということは、日本経済全体にとって
大きな損失となっている。難しいのは、賃上げも投資も、その決定
権は政府ではなく、企業にあるということだ。企業が自ら動かない
かぎりは、何も変わらない。
 政府は賃上げや投資拡大を促すようにいろいろな対応を続けてい
る。こうした努力を続けることは重要ではあるが、最終的には企業
が動かないかぎりは意味がない。
 ここで注目したいのは、経済の自律的な動きだ。風呂釜が熱けれ
ば、中の水にも熱が伝わるはずだ。それが何であるのか考えてみる
必要がある。
 私は労働市場の動きに注目している。アベノミクスの成果のひと
つが雇用の改善だ。少子高齢化ということも、労働市場をさらにタ
イトにする要因となるだろう。
 ここまで労働市場がタイトになれば、賃金が上昇しないはずはな
い。賃金上昇が本格的に起これば、賃金コストに見合っただけの労
働生産性を上げられない企業は存続できないことになる。要するに
、タイトになった労働市場が産業の構造調整を促すのだ。
強い決意示した「マイナス金利」
 日本の生産性が伸びていかない大きな理由は、デフレ時代に日本
の企業が人的資源への投資を怠ってきたという指摘もある。労働力
が希少になるほど、労働者のスキルを引き上げるような投資が求め
られる。そうした人的投資が進むことも期待したい。投資の対象は
設備だけではないのだ。
 私がもう一つ注目しているのは、物価の動きだ。インフレ率が今
後上昇していくなら、実質金利はマイナス圏に突入する。名目金利
が0に近い水準でインフレ率が1%であるとき、実質金利はマイナ
ス1%であるという。実質金利が大幅なマイナスとなれば投資は刺
激されるだろう。そもそも、デフレ脱却で穏やかなインフレにもっ
ていく理由の一つは、実質金利を大幅に下げることであった。原油
価格の下落などの外的要因によってこうした動きが遅れている。
 先日の日本銀行によるマイナス金利の導入は、日本の物価を引き
上げるという強い決意を市場に知らせる結果となった。原油価格由
来以外の部分では、日本の物価は着実に上昇を続けている。今後の
経済回復の重要な注目点は、物価が本格的に動きはじめ、実質金利
が十分にマイナス圏で下がっていくかどうかだ。
(いとう もとしげ)


コラム目次に戻る
トップページに戻る