5217.民間予測の10〜12月プラス成長は変



内閣府が8日に発表した11月の景気ウォッチャー調査は、景気の
現状判断DIが41.5で、前月比2.5ポイント低下し、2カ月
連続の低下となった。横ばいを示す50の水準は4カ月連続で下回
った。

企業動向関連、雇用関連、家計動向関連でいずれも低下した。
内閣府は、景気ウォッチャー調査の判断の表現を「このところ回復
に弱さがみられる。先行きについては物価上昇への懸念などがみら
れる」とし、前月の判断の中にあった「緩やかな回復が続いている
」との文言を削除した。

しかし、民間予測は、この内閣府の景気ウォッチャー調査とは、逆
に民間調査機関約40社の10〜12月の実質GDPの予測平均は、前期
比で年率3.25%増と持ち直しを見込んでいる。

日本のGDPの6割が個人消費であることを、民間調査機関は知ってい
るのであろうか。円安の恩恵を受ける大企業が主導する形で景気の
持ち直しが見込んでいるようであるが、限定的であることは間違え
ない。企業動向関連もマイナスであることでわかる。また、政府に
気兼ねして、調査会社は自民党・政府に気を使っているようだ。

幹線道路の交通量や混雑状況の変化がかなり景気動向を反映してい
るが、幹線道路の交通量でいえば、11月も、12月にはいってもまだ
道路は空いたままです。巷で耳に入ってくる景気の感触もよくあり
ません。

また、タクシーの運転士にこの頃の景気を聞いたが、4月までは、
よかったが、5月からはダメで、現時点も良くないといっている。

というように複数の景気動向で、今も景気は良くなっていないのに
、民間調査機関だけが良くなると予測しているのである。

これはおかしい。

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景気、持ち直し探る 民間予測は10〜12月プラス成長に 
在庫減、輸出は増加
2014/12/9 0:12nikkei
 内閣府が8日発表した7〜9月の国内総生産(GDP)改定値は
物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%減(年率1.9%減)とな
った。速報段階から年率で0.3ポイントの下方修正となり、夏場の景
気の足踏みが確認された。ただ足元は企業の在庫調整が進んで輸出
も回復の兆しがあり、生産には薄日も差す。個人消費など内需の弱
含みが懸念材料だが、10〜12月はプラス成長に戻るとの見方が多い。
 GDPは4月の消費増税後、個人消費と設備投資が振るわず2四
半期続けてマイナス成長となった。企業の在庫が減ったことが実質
成長率を0.6ポイント押し下げ、マイナス成長の要因となった。ただ
在庫減少は増税後の生産調整の結果で、先行きの増産体制が整いつ
つあることも意味する。
 そのため民間調査機関約40社の10〜12月の実質GDPの予測平均
は、前期比で年率3.25%増と持ち直しを見込む。追い風の一つは輸
出だ。円安が1ドル=121円台まで進み、内閣府が算出する10月の輸
出数量指数は前月比2.1%増えた。伸び悩んでいる設備投資も、先行
指標とされる機械受注は7〜9月に2四半期ぶりに前の期の水準を
上回った。
 鉱工業生産も持ち直しの兆しがあり、経済産業省の予測調査では
11月に2.3%増、12月に0.4%増とみる。実現すれば9月から4カ月
連続の増加となり、景気は8月を底に上向きになったとみることが
できる。
 円安の恩恵を受ける大企業が主導する形で景気の持ち直しが見込
まれているが、不安もある。街角の景況感が曇っていることだ。
 内閣府が8日発表した11月の景気ウオッチャー調査によると、街
角の景況感を示す現状判断指数は前月比2.5ポイント低下の41.5と、
2カ月続けて前月を下回った。横ばいを示す50は4カ月続けて割り
込んでいる。2〜3カ月先の景気を見る先行き判断指数も44.0と、
前月を2.6ポイント下回った。
 景況感の重荷となっているのが「物価が高いという消費者の感覚
」(内閣府)だ。前年比で見た消費者物価の伸び率は少しずつ鈍っ
ているが、「電気代の値上げがある北海道や、燃料の購入費がかさ
む東北の景況感は良くない」(同)という。中小企業には円安に伴
う輸入資材の値上がりも響いている。
 今年の冬のボーナスは、大企業を中心に前年より増えそうだ。そ
のため家電量販店や大手百貨店の販売は盛り返しつつある。ボーナ
ス支給後の週末となった6〜7日は、前年並みか前年をやや上回る
水準で堅調な出足だ。三越伊勢丹は首都圏店舗の6〜7日の売上高
が、前年同期(休日だった7〜8日)比5%増だった。富裕層を中
心に、都市部では時計や貴金属など高額品の売れ行きが持ち直しつ
つある。
 ただ地方の店舗では客足が戻らず、厳しい状況が続いている。先
行きの景気の持続力を占うのは、大企業を中心に広がる賃金引き上
げの動きが地方や非正規社員にまで波及するかどうかだ。労働組合
は来年の春季労使交渉で賃金のベースアップを求め、経営側にも一
定の賃上げが必要との声がある。企業収益の持ち直しが賃上げにつ
ながって個人消費を伸ばしていく好循環が強まるかが重要になる。
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企業も家計も冷え込み、円安と物価高で=11月景気ウォッチャー
2014年 12月 8日 14:35 JST
[東京 8日 ロイター] - 内閣府が8日に発表した11月の景気
ウォッチャー調査は、景気の現状判断DIが41.5で、前月比
2.5ポイント低下し、2カ月連続の低下となった。横ばいを示す
50の水準は4カ月連続で下回った。
企業動向関連、雇用関連、家計動向関連でいずれも低下した。
内閣府は、景気ウォッチャー調査の判断の表現を「このところ回復
に弱さがみられる。先行きについては物価上昇への懸念などがみら
れる」とし、前月の判断の中にあった「緩やかな回復が続いている
」との文言を削除した。
現状判断の悪化内容をみると、家計動向関連DIは小売関連などが
低下したこと等から低下した。
「来客数が減り商談件数も減っている。特に女性客は物価が上がっ
ているという感覚が強く車に対する出費には抵抗感を示し、商談で
も核心にはなかなか入れない」(東海=乗用車販売店)など、物価
上昇の影響がみられる。
円安の悪影響も浮上しており 「国内旅行はやや前年を上回って動い
ているが、海外旅行の予約受付が非常に悪い。円安による割高感が
強まっているようである」(近畿=旅行代理店)といった現象も起
きている。
企業動向関連DIは、非製造業が弱含んだことから低下した。円安
の影響がプラス・マイナス両面で表れているが、原材料コスト上昇
の影響でマイナス面の方が大きく出たとみられる。
雇用関連DIは「新規求人数は前年に比べ増加しているものの、伸
び率は鈍化しており、横ばいになってきている」(南関東=職業安
定所)など、一服感がみられる。
2─3カ月先を見る先行き判断DIは44.0で、前月比2.6ポ
イント低下。50の水準を3カ月連続で下回った。
「消費税率10%への引上げが延期されたとはいえ、マインド的に
は非常に低い状況」(東北=スーパー)といった声や、選挙の実施
による景気への悪影響も指摘されている。また、円安によるコスト
増を懸念する声も多い。
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なぜエコノミストの予測は外れ、身近の感触は当たるのか
大西宏2014年12月08日 13:18BLOGOS
7-9月期の実質GDPの2次速報が発表されましたが、1次速報よりも下
方修正され、年率で1.9%減となり、景気の減速ぶりが浮き彫りにな
りました。10月末の民間調査機関7社の予測中央値は前期比0.5%増
、年率換算で2.0%増だったものが、1次速報では年率1.6%減という
結果でした。
7〜9月期GDPは何とマイナス1.6%。エコノミストの予想はなぜこう
も当たらないのか?
しかも、その後、ロイターがまとめた民間調査機関の予測では、2次
速報で年率0.5%減に上方修正されるはずだったのです。エコノミス
トの予測がまた外れてしまいました。
さて、先月末に、幹線道路の交通量や混雑状況の変化がかなり景気
動向を反映していることを書きました。その際に、高速道路の利用
状況のデータで見ても、日々の通勤時に利用している幹線道路の交
通量の感触でも、また内閣府の行なっている街角の景気判断などを
合わせても、どうも1次速報値が高めにでているのではないかと感じ
ていました。その通りになったということです。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 空いたままの幹線道路が
意味するもの
しかし考えれば当たり前の話で、日本の場合は内需、とくに家計消
費だけでもGDPに占める比率がおよそ6割と高く、しかも今日は、も
はやかつてのようにモノの輸出が日本の経済を大きく左右する時代
でありません。
国内消費が活性化しなければ、景気の好転は難しい状況になってい
ます。国内の消費に元気がなければ、荷動きも、取引も鈍くなって
くるのは当然なことです。
荷動きや取引が鈍くなると、道路も空いてきます。思った売上にな
らない、円安で調達コストも上昇したために、会社の経費も引き締
められ、タクシーの利用客も、飲食業を利用するサラリーマンの方
も減ります。
だからエコノミストが数字を見て机上で判断をするよりは、道路の
交通量や身近で感じる景況感のほうが当たるのです。
しかも幹線道路の交通量でいえば、11月も、12月にはいってもまだ
道路は空いたままです。巷で耳に入ってくる景気の感触もよくあり
ません。おそらく年末商戦に入れば少しは変わるのでしょうが、お
そらく、10〜12月期もたとえ成長率がプラスに転じたとしても、極
めて小幅なものになるのでしょう。
アベノミクスで金融緩和の博打ともいえそうな壮大な社会実験で、
円安となり、それが家計の負担になり、また国内産業を襲ってきて
いるのがアべノミクスの結果です。円安は、国内の中小企業には打
撃となるとよく書かれますが、中小企業だけではなく、たとえ大企
業でも、家計消費の動向で業績が左右される流通業や物流企業にも
直撃してきます。
問題発言が目立つ麻生副総理が、また「(結果を)出していないの
は、よほど運が悪いか、経営者に能力がないから」と発言されたよ
うですが、もう無茶苦茶です。自らの政策で経営の足をひっぱって
おいて、それはないでしょうと怒る経営者の方も少なくないはずで
す。
結果出ないのは経営者能力ない…麻生氏発言波紋 : 政治 : 読売新聞
しかも肝心の、新たなビジネスチャンスを生み出す成長戦略は、与
野党ともに、具体策がなく、海外メディアもアベノミクスにかなり
厳しい論調が増えてきました。
身近なところで、景気について質問されることが多くなってきまし
た。みなさん戸惑っていらっしゃるようです。景気の先行指標とい
われていた株価が上がっている、しかし足元はよくない、株価と自
らが感じる感触とがずいぶん違い、どちらが本当なのかがわからな
くなっているからでしょう。
景気は短期的にも変動しますが、金融緩和の出口がないので、しば
らくは円安が続きそうです。それは国内経済をじわじわと痛めつけ
ることになりそうです。それにしても人びとの我慢強さにも限界が
あることを政治家はもっと真剣に受け取めるべきだと感じます。






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