5179.メルボルン;驚くべき路面電車ネットワーク



メルボルン;驚くべき路面電車ネットワーク
                   平成26年(2014)11月1日(土)
                   「地球に謙虚に運動」代表
                    仲津 英治
 まず、10月13日付の小生の発信文「原発に代わる代替電気エネルギー源
はあるか」とそれに対する36名の方々のコメントなどを、「地球に謙虚に
運動」ホームページの代表発信欄とメッセージ欄に掲載させて頂きました
ので、ご関心ある方はご覧になって下さい。

 さて、本年10月中旬頃、留学中の娘を訪ねて、オーストラリアの南部の
都市、メルボルンとその近郊を巡って参りました。セット旅行であり、
最大都市シドニーもそのメニューの中に入っておりました。

オーストラリアは、大陸国家で面積が広大(769万平方■=日本の約20倍)
かつ人口が少ない(2,193万人(2008)=日本の約6分の1)ところ、都市も
アメリカに似て道路交通で成り立っている国と言うイメージを持ってお
りましたが、メルボルンは、路面電車(Tram)のネットワークが驚くほど
発達しており、シドニーは地下鉄が充実した街でありました。

そして人口はヴィクトリア州の州都メルボルンが435万人(2013年)、
ニューサウスウェールズ州の州都シドニーの人口は463万人(2011年)
です。何と両市合わせると898万人で全人口の4割を超えます。大変な
大都市集中型国家ですね。

私は繁栄する都市の条件としては、公共交通機関が発達・維持されている
こと、という考えを持っており、中でも路面電車を発達させ、維持してい
る街が賑やかさを失なわないという確信を持つに至っております。
というのは、路面電車は高齢者に優しく、自動車の持てない大学生、運転
免許の持てない小中高生もよく利用できるからです。地下鉄も素晴らしい
都市交通機関なのですが、地下駅との往復に階段等があり、時間を取られ、
体力を消耗するのです。

メルボルンは2002年と2004年 の二度、エコノミスト誌の「世界で最も
暮らしやすい都市」ランキングで、140都市の内1位を獲得し、2011〜
2013年と3年連続1位を維持しているとのこと、むべなるかなと思いまし
た。交通条件は、暮らしやすさの一つの指標でしょう。高齢者が住みた
くなる街、それは路面電車が行交う街ではありませんか。旅行者にも
路面電車は便利ですね。気軽に乗れますので、観光面でも大いにプラス
になるでしょう。

世界一と言われるメルボルンの路面電車網は、インターネットで拝見
させて頂いた大野雅人氏の情報に拠れば、24ルートもあり、路線長は
250kmに及び、停留所の数は何と1763箇所にもなるとのことです。
メルボルン都心を流れる川の名称を取って、Yarra Tramsと呼ばれてい
ます。

暮らしやすさのランクは条件如何によって変わるでしょうが、日本の
大都市でも路面電車の復活、拡充が検討されて良いでしょう。上述の
暮らしやすさ10位以内に、日本の都市は入っていないようです。

メルボルンの古式豊かな小豆色の35番路線「シティ・サークル・トラム」
は無料で、都心の南北1キロ、東西2.5■の長方形路線を走っています。
新型の5両連節のトラムも走っていました。
 
路面電車の路線網は下記URLをご覧ください。
http://ptv.vic.gov.au/assets/PDFs/Maps/Network-maps/TramNetworkMapPTVA4.pdf#search='%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%B3++tram

路線構成は長方形のシティ・サークルを中心に郊外に向かう路面電車
が放射状に走っており、郊外では10-15分間隔の電車が、都心部では
共通線路を走ることにより、数分間隔で運転されています。サークル
内を貫通する路線もほぼ同様で数路線が一本のレールの上を走って
います。特にメインストリートの南北のSwanstone通りには8路線が
乗り入れており、1分程度の間隔で運転されていました。

州営鉄道も郊外路線の3線が都心の環状線に乗り入れており、1-2分
間隔の高頻度運転を実現しています。ヴィクトリア博物館の前で人と
待合せしているとき、高架橋の上をひっきりなしに州営鉄道の6両
編成の電車が行き交うのを目にしました。

メルボルンに着いた時、私はまず、小豆色の無料の35番電車に乗って、
南北1キロ、東西2.5キロの長方形路線を1周してみて、観光目的地を数カ
所決めました。

ビクトリア州政府は、2015年1月1日よりメルボルン市内中心区域等
の全てのトラム(路面電車)の乗車が無料にすることを正式に発表
しています。観光重視の政策でしょうか。

車両は、前述の大野雅人氏の情報によれば、オーストラリアの
Comeng社の他、フランス、ドイツ、カナダなどのメーカーが入って
いるようです。

最後に大事な運賃です。単券運賃は結構高く、都心のゾーン1で
4.4ドル=¥440円もします。全体の運賃は下表のとおりです。
ちょっと大衆交通機関とは言えぬ運賃ですね。 

もっとも通常は、割引のある前払い制のIcocaのような電子マネー
カードMykipassが使われており、それを使えば、2時間以内なら何度
でも乗れて3.58ドルとのこと、これは郊外電車(州営鉄道)にも共用
されています。娘がMykipassを友人から借りて用意してくれました。

下の運賃一覧に記されているConcession(割引)は老人や子供、学割
以外に兵役経験者、戦争未亡人などを対象にしているとのことです。

単券料金  http://ptv.vic.gov.au/tickets/myki/myki-pass/ 
1$≒\100-(今回旅行時のレート)
Daily rate for 28 〜 365 day pass(単券運賃) 	
	       Zone 1	 Zone 2 	Zone 1 + 2	
Full fare(普通運賃)  $4.40	  $2.92	 $6.80	
Concession(割引)	  $2.20	  $1.46    $3.40	

Weekly rate 7 day pass(週間定期券)	
	              Zone 1	  Zone 2	Zone 1 + 2	
Full fare(普通運賃)	 $35.80        $24.80	 $60.60	
Concession(割引)	 $17.90	   $12.40	 $30.30	

二つ目の都市、シドニーで路面電車に乗った時のことです。早速車掌
が検札に来ました。二人で何と9.2ドル=約920円、「高くて済まない
ですねえ」というような言い方で切符を売っていました。願わくば、
割安な切符、例として、旅行者などに一日券などがあれば、もっと
利用されるのではないかなと思いました。
                                                      以上                               

「地球に謙虚に運動」代表



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