4992.ウクライナ分裂の開始



ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力の政府機関占拠が収まらない
ので、暫定政権のトゥルチノフ大統領代行は22日、軍・治安機関
に対し、武装した親ロシア派が庁舎占拠を続ける東部での「対テロ
作戦」を再開するよう命じた。

ロシアは23日、ウクライナの緊張緩和に向けた同国と欧米ロの4
者合意をめぐり、ウクライナと米国は合意をゆがめていると批判し
た。合意は非合法な武装集団の武装解除を求めているとしながらも
、ウクライナと欧米は、南東部のロシア系住民の武装解除の必要性
ばかりを強調し、極右勢力による挑発行為に目をつぶっているとし
た。

そして、ラブロフ外相は24日、ウクライナをめぐるジュネーブ合
意に関して、間もなく具体的に履行されると表明した。

ドネツク州のタルタ州知事は23日、州内のイナキエボ、マリウポ
リ、マキエフカの3都市について、「(庁舎を占拠する)親ロシア
派が自主的な退去に合意した」と語った。

このような動きがあるが、暫定政権は24日、東部スラビャンスク
で軍が展開している武装勢力の制圧作戦で、親ロシア派の5人が死
亡した。これに対してロシアは国境付近で軍事演習を実施すると表
明、両国間の軍事的緊張が一層高まっている。

ロシアのプーチン大統領は同日、「もしウクライナ政権が国民に対
する武力行使に踏み切ったとすれば、極めて重大な犯罪であること
は間違いない」と警告した。

直後にロシアのショイグ国防相は、ウクライナ南東部での事態に対
応して同日から国境付近で軍事演習を実施すると表明。「このよう
な状況の展開には対応せざるを得ない」と述べている。

トゥルチノフ大統領代行の強気は、国内強硬派の有力候補ペトロ・
ポロシェンコ氏の影響を受けている。

どちらにしても、特殊部隊の戦争から正規軍部隊の正規戦になる確
率が高くなっている。

米国は、ロシア抑制のために、経済制裁を用意しているが、それで
は戦争を止められない。

ウクライナ国内をロシアは軍事力で押さえ込んだ時点で、ウクライ
ナは昔のようなロシアへ併合されるか、ロシアの要求に従い連邦制
になるのか、ウクライナを東西に分裂するか、どれかと選択するこ
とになると見る。

元首相のユリア・ティモシェンコ氏は、政権時代にロシアとの関係
に苦労したので、重要なのはウクライナが平静を保つことであり、
プーチン大統領の挑発に乗ってはならないと訴える。「ウクライナ
は、軍事侵攻を止めるために、切り札もなければ、有効な主張もで
きない。キエフとモスクワの間で交渉が行われるとしたら、それは
無条件降伏についての話にしかならないだろう」と予言したが、こ
の予言は現実化しそうである。

さあ、どうなりますか?


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追加制裁の発動警告=「全く行動せず」とロシア非難−米国務長官
 【ワシントン時事】ケリー米国務長官は24日、国務省で記者会
見し、ウクライナ情勢に関し「ロシアの方針変更を待つ時間はなく
なりつつある。われわれの準備は整っている」と述べ、ロシアに追
加制裁の発動を強く警告した。
 長官は、ウクライナの緊張緩和に向けた米ロとウクライナ暫定政
権、欧州連合(EU)によるジュネーブ合意から1週間がたつのに
、「ロシアは正しい方向への具体的措置を何一つ取ろうとしてこな
かった」といら立ちを表明。ロシアは政府庁舎を占拠する親ロ派に
退去を呼び掛けず、逆に資金提供を続けているなどと厳しく批判し
た。
 長官はその上で、「プーチン大統領とロシアは選択しなければな
らない。緊張緩和の道を選ぶなら歓迎するが、そうでなければ、世
界はロシアにより高い代償を払わせるまでだ」と強調した。
(2014/04/25-08:50)
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親ロシア派に死者、軍事的緊張高まる ウクライナ
2014.04.25 Fri posted at 09:57 JST
キエフ(CNN) ウクライナ暫定政権は24日、東部スラビャンス
クで軍が展開している武装勢力の制圧作戦で、親ロシア派の5人が
死亡したと発表した。これに対してロシアは国境付近で軍事演習を
実施すると表明、両国間の軍事的緊張が一層高まっている。
ロシアのプーチン大統領は同日、「もしウクライナ政権が国民に対
する武力行使に踏み切ったとすれば、極めて重大な犯罪であること
は間違いない」と警告した。
国営ノーボスチ通信によると、その直後にロシアのショイグ国防相
は、ウクライナ南東部での事態に対応して同日から国境付近で軍事
演習を実施すると表明。「このような状況の展開には対応せざるを
得ない」と述べている。
ウクライナ外務省はロシアに対し、48時間以内に軍事演習につい
て説明するよう要求したことを明らかにした。ロシアが要求に応じ
なかった場合の対応については明言していない。
ロシアはウクライナとの国境付近に推定4万人の部隊を集結させて
いたとされ、北大西洋条約機構(NATO)や米国が警戒を強めて
いた。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は同日、全関係者に対して暴
力や脅しを自制するよう促す談話を発表。「収集のつかない事態に
なり、予想もできない結果を招きかねない」「どのような代償を払
ってでも軍事行動は避けなければならない」と訴えた。
24日にスラビャンスクで起きた衝突の死傷者数については情報が
錯綜(さくそう)している。
ウクライナ政府によれば、武装勢力が設置した検問3カ所を破壊す
る作戦を実行し、軍が親ロシア派の民兵5人を殺害。警察官1人も
負傷した。
一方、同地を制圧している親ロシア派勢力の広報は、市郊外に設け
た検問所1カ所が攻撃されて親ロシア派の民兵1人が死亡し、負傷
者が出たと話している。
この検問所にいた親ロシア派の部隊はCNNの取材に対し、殺害さ
れたのは自警団のメンバーで、帰宅途中に銃撃されて1人が死亡、
もう1人が負傷したと語った。道路を封鎖している地点に装甲車は
来たが発砲はせず、地元住民がタイヤを燃やして装甲車の通過を阻
止したとしている。
来日中のオバマ大統領は同日、ウクライナの事態に対する軍事的解
決の可能性を改めて排除する一方で、17日のジュネーブ協議で米
ロなど4者が合意した内容にロシアが従わない場合、追加制裁を課
す用意があると強調した。
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右派セクター 露を敵視、深まる軋轢
2014.4.25 09:54 sankei
 混迷を深めるウクライナ情勢をめぐり、ヤヌコビッチ政権打倒運
動で頭角を現した過激民族主義勢力「右派セクター」の存在が焦点
のひとつとなっている。
 ウクライナ至上主義を掲げ、「敵国のロシアと戦う」と宣言する
右派セクターの存在を、プーチン露政権は、ウクライナ暫定政権の
「非合法性」を非難するプロパガンダ(政治宣伝)に利用。「過激
派からロシア系住民を守る」としてクリミア半島へ出兵する口実に
も用いられた。
 4月20日に東部ドネツク州内で起こり、親露派側に犠牲者3人
が出た銃撃戦についても、ロシアは真相解明を待たず、右派セクタ
ーの犯行と断定。行政庁舎を占拠する親露派武装勢力も武装解除に
応じない理由に、「右派セクターの襲来に備えるため」と述べる。
 右派セクター代表は東部出身のドミトロ・ヤロシ氏(42)。民
兵組織としてメンバーの訓練を行い、多数の武器を保有していると
公表しているが、実態はよく分かっていない。1万人以上のメンバ
ーがいるとの地元メディアの報道や、正規軍や治安部隊にも多くの
支持者がいるという情報もある。
 右派セクター側は否定しているが、思想信条からネオナチとの関
係も指摘されている。
 ヤロシ氏は地元メディアのインタビューに「独立後、ウクライナ
は外国勢力に占領された体制下にあった。祖国の領土一体性を守る
ために、あらゆる手段を用いる」と主張している。
 3月には、他の民族主義勢力や右翼団体を結集して政党登録。ヤ
ロシ氏は5月25日の大統領選への立候補を表明したが、大きな支
持は集められていない。
 23日には、ドネツク州内に、支持者800人規模の支部を創設
することを発表。親露派との軋轢(あつれき)がさらに深まること
が懸念されている。(佐々木正明)
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プーチン大統領が警告、軍事演習を再開−ウクライナは制圧強化
  4月24日(ブルームバーグ):ロシアのプーチン大統領は24日
、ウクライナ政府に対し、親ロシア派に対する攻撃継続には結果が
伴うと警告した。ウクライナ軍はこれより先、東部の掃討作戦で分
離主義者5人を殺害。ロシアはこの日ウクライナとの国境付近で新
たな軍事演習を開始した。
プーチン大統領はサンクトペテルブルクで開かれたメディアとの会
合で、「ウクライナ政権が国民に対して軍を差し向けたというのが
事実であれば、これは自国に対する重大な犯罪だ」とし、「そのよ
うな決定をした者には、ロシアとウクライナの関係悪化などの結果
がもたらされるだろう。ロシアは状況の展開を見守り、現地の実情
に基づいて結論を出す」と述べた。
ウクライナ内務省は24日、同省と軍が3つの検問所を撤去し、分離
主義者が掌握していたドネツク州スラビャンスクに入ったとウェブ
サイトで明らかにした。インタファクス通信によると、ロシアの最
新の軍事演習はウクライナ東部での展開に対応したもので、戦闘機
が参加しているとショイグ国防相が明らかにした。
反政府勢力の武装解除を決めた先週のジュネーブでのウクライナと
ロシア、欧州連合(EU)、米国の4者合意は崩壊の瀬戸際にある。
オバマ米大統領は24日、ロシア政府がまだ合意を順守していないた
め米国と同盟国はロシアに対する追加制裁の用意があると表明した。
チェコ共和国のゼマン大統領はプラハで開かれた東欧諸国の首脳会
議で、「ウクライナは外国からの侵略または内戦、あるいはその両
方のリスクにさらされている」と語った。
ウクライナは作戦継続
24日朝にはアバコフ内相が、ロシア国境に近いマリウポリの市庁舎
から分離主義者を排除したと明らかにしていた。ドネツクの北のア
ルテーミウシクでは、軍の基地が夜間に70人ほどの武装集団に襲撃
されたが撃退したという。
ウクライナのトゥルチノフ大統領代行はテレビ放映された演説で、
分離主義者掃討の作戦は「成功」だとして、作戦を継続すると表明
した。大統領代行はロシアに国境付近から軍を撤退させることを求
めた。
ロシアの権益が攻撃を受ければ報復すると前日に言明していたラブ
ロフ露外相はこの日モスクワで記者団に対し、ウクライナは軍を撤
退させ「違法行為」をやめるとともに、極右組織の武装解除に踏み
切るべきだと強調した。
プーチン大統領のペスコフ報道官はサンクトペテルブルクで、ウク
ライナ東部で起きた政府による攻撃は「犯罪」だと非難、5月25日
に予定されている大統領選挙について「非常に深刻な疑問」を生じ
させると述べた。
更新日時: 2014/04/25 02:24 JST
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反ロシア派が新部隊=悪循環、衝突の恐れも−ウクライナ東部
 【モスクワ時事】ウクライナの民族主義過激派「右派セクター」
の指導者ヤロシ氏は23日の記者会見で、親ロシア派に対抗し、東
部ドネツク州に新たな反ロシア派の武装部隊を創設する意向を明ら
かにした。現地メディアが伝えた。
 東部で親ロシア派が国際合意に基づく武装解除に一向に応じない
中、それに反発する反ロシア派が武装強化に動いた形で、悪循環に
陥っている。万が一双方が衝突すれば、ロシア系とウクライナ系の
民族対立が深刻化する恐れもある。(2014/04/24-14:43)
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ウクライナめぐるジュネーブ合意、間もなく履行=ロシア外相
2014年 04月 24日 16:06 JST
[モスクワ 24日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は24日
、ウクライナをめぐるジュネーブ合意に関して、間もなく具体的に
履行されると表明した。ロシアの通信社が報じた。
ロシア、ウクライナ、米国と欧州連合(EU)の4者は前週にジュ
ネーブで合意に達していたが、ロシア側と欧米諸国側は双方が合意
の履行を怠っていると非難していた。
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占拠庁舎、3都市で退去合意 ウクライナ東部ドネツク州
イナキエボ=渡辺志帆、キエフ=喜田尚2014年4月24日01時18分
 ウクライナ東部のドネツク州のタルタ州知事は23日、州内のイ
ナキエボ、マリウポリ、マキエフカの3都市について、「(庁舎を
占拠する)親ロシア派が自主的な退去に合意した」と語った。3市
の親ロシア派は武装しておらず、こうした都市では交渉が進展して
いる可能性がある。
 タルタ州知事が同日、同州の市長らを集めて開いた会議で明らか
にした。
 タルタ氏はこの日の会議で、3都市で庁舎が明け渡されると語る
一方で、親ロシア派が求める住民投票について「大統領選と同じ日
に行うことを提案したい」と述べた。知事は、住民投票に賛同する
ことで親ロシア派から妥協を引き出した可能性がある。
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ウクライナと米国、4者合意ゆがめている=ロシア
2014年 04月 24日 05:10 JST
[モスクワ 23日 ロイター] -ロシアは23日、ウクライナの
緊張緩和に向けた同国と欧米ロの4者合意をめぐり、ウクライナと
米国は合意をゆがめていると批判した。外務省が声明を発表した。
合意は非合法な武装集団の武装解除を求めているとしながらも、ウ
クライナと米国および欧州諸国の一部は、権利を守ろうとしている
ウクライナ南東部のロシア系住民の武装解除の必要性ばかりを依然
強調していると主張した。
またウクライナ政府は、極右勢力による挑発行為に目をつぶってい
ると批判した。
その上で、ウクライナ軍の南東部からの即時撤退とすべての勢力に
よる対話開始をあらためて求めた。
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東部の軍事作戦再開を命令=ウクライナ暫定政権
 【モスクワ時事】ウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行
は22日、軍・治安機関に対し、武装した親ロシア派が庁舎占拠を
続ける東部での「対テロ作戦」を再開するよう命じた。親ロシア派
は庁舎からの退去を拒否する構えで、緊張が高まりそうだ。
 ウクライナ軍は15日、東部で武装集団の強制排除に着手し、ク
ラマトルスクの空港を制圧。その後、ジュネーブで開かれた米ロ、
ウクライナ、欧州連合(EU)の4者協議で暴力停止や占拠解除な
どの合意が成立したことを受けて、暫定政権は作戦を一時停止して
いた。
 しかし、親ロシア派は庁舎からの退去や武装解除を拒否する一方
、暫定政権が民族過激派「右派セクター」の武装解除などに取り組
んでいないと非難している。(2014/04/23-07:59)



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