4948.クルミア併合で米露が睨み合い



クルミア半島の帰属がどうなるかで米露は、経済的軍事的な脅しと
位置づけを巡って、交渉しているようである。この検討をしよう。
                津田より

0.経緯
2月末に複数のデモ隊の死者が出て、ヤヌコビッチ政権が崩壊、親
欧米派の暫定政権ができた。それと同時に、ヤヌコビッチ大統領が
首都キエフを離れた。そして、ロシアのプーチン大統領は1日、親
ロシア政権が崩壊したウクライナ領内で自国民保護を理由に、ロシ
ア軍を活動させることへの承認をロシア上院に求めた。上院はこれ
を承認。ロシアの侵攻作戦が始まった。まず、クリミア半島のセバ
ストポリで武装集団が空港などを占拠し、ロシアは16000人の
ロシア軍をクリミア半島に投入した。

これに対して、北大西洋条約機構(NATO)は2日、ブリュッセ
ルで開いた大使級の緊急理事会で、ウクライナとロシア双方に「対
話を通じた平和解決を直ちに模索するよう求める」との声明を採択
、発表した。「ロシアの対ウクライナ軍事行動は国際法違反だ」と
して、ロシアに部隊撤収を要求。国連安保理か欧州安保協力機構(
OSCE)主導の「国際監視団」派遣を通じた危機の解決も呼び掛
けた。

それと米国と欧州は、経済制裁とソチでのG8サミットの欠席、ま
たはG8からロシアを追放する方向で検討した。まず、欧米の投資
家が地政学リスクとして、ロシア市場から撤退を開始した。3日の
ロシア金融市場は、株安、債券高、新興国資産の一段安という典型
的な安全逃避に見舞われた。だが、最も厳しい評価が下されたのは
ロシアの資産だった。ロシア株式市場ではドル建て取引を扱うRTS指
数が日中取引で12.01%安と急落。ドル建てのロシア国債は下落し、
ルーブルはドルに対して大幅安となった。そして、1日に1000億ド
ルの資金がロシアから流出した。これはかなり、プーチンには効い
たようである。

その上に、オバマ米大統領は4日、ロシアのプーチン大統領が治安
上の懸念を理由にウクライナ南部クリミア半島への軍事介入を正当
化したことに対して「誰もだまされない。ロシアが周辺国に利害を
有しているのは承知しているが、影響力を強める手段として武力を
用いる権利はない」と非難し、対抗処置をとる方向であることを明
確化した。

これに対して、ロシアのプーチン大統領は4日、自国内に保護して
いるウクライナのヤヌコビッチ前大統領がロシアに武力の使用を要
請していたことを明らかにし、かつ、ウクライナでの武力行使は「
完全に最後の手段」と述べ、ウクライナとの国境付近で実施されて
いたロシアの軍事演習の参加部隊に撤収命令が発せられ、軍事衝突
をめぐる市場の懸念が後退させた。

経済の混乱の回避と自国民保護という名目を補強しようとしたよう
である。ロシアのプーチン大統領も大幅に譲歩したことになる。

この段階で、ほぼ、クリミア半島の帰属問題に焦点が絞られること
になる。

5日、NATOはロシアとの事務レベル会合を当面見合わせるほか
、シリアの化学兵器を洋上処理する米艦船の共同護衛のため、これ
まで調整を進めていた計画を中止する。ただ「政治対話」の扉は開
いておくため、大使級のNATOロシア理事会は維持する。これに
対して、ロシアの大使は理事会後、「NATOは依然、ロシアに対
して冷戦の固定観念を適用している」と批判した。

米海軍は6日、ウクライナなどに近い黒海にイージス駆逐艦1隻を
送ると発表した。また、トルコに対して、空母「ジョージ・ブッシ
ュ」とその艦隊群、及びマウント・ホイットニー司令艦を黒海に入
れるために、ボスボラス海峡の通貨許可を取ったようである。

しかし、7日現時点、空母「ジョージ・ブッシュ」とその艦隊群は
ギリシャにいる。米軍はまた、F16戦闘機12機と要員300人
を今週、ウクライナの隣国ポーランドへ派遣する。

このように、米国は軍事的な脅しを準備したことになる。

1.米露首脳会談
この準備が揃ったことで、オバマ米大統領は6日、ロシアへの編入
を問うウクライナ南部クリミア自治共和国での住民投票について、
「ウクライナ憲法や国際法に違反する」と批判し、「ウクライナの
将来に関する議論は、正統な政府を含めて行わなければいけない」
と述べた。ウクライナ憲法は、領土問題はウクライナ全土での国民
投票で決めると規定。国連憲章は、紛争の平和的解決や国家の領土
保全などを定めており、今回の住民投票がこれらに反するとした。

ロシアがクリミア半島を事実上自国編入させようとする動きを禁止
すると宣言したのだ。

米国が軍事的な準備が出来たことで、オバマ米大統領とプーチン・
ロシア大統領は7日、電話会談をした。プーチン大統領は「米ロ関
係は世界の安定と安全保障にとって重要であり、ウクライナ問題を
めぐる不和で損なわれるべきではない」と訴え、米国による対ロ制
裁を批判した。

プーチン大統領は、憲法に違反してヤヌコビッチ政権を転覆した親
欧州連合(EU)派の新政権が、ロシア系住民の多いウクライナ南
東部やクリミア半島で違法な決定を押し付けていると非難。ロシア
は半島住民の保護要請に基づいて「適正かつ合法的に行動している
」と述べ、軍事占領と実効支配を正当化した。

これに対して、米国は、同国の主権侵害を理由とした対ロシア制裁
発動を直接伝え、ウクライナ新政府との対話開始、国際監視団受け
入れやクリミアにある基地へのロシア軍撤収の必要性に言及した。
ここで軍事的脅しを使ったはずである。そのための軍事的な事前準
備をしていたのであるから。

この欧米の制裁や脅しに対して、中国外務省は7日、「中国は国際
関係の中で一貫して、何かというとすぐ制裁を行ったり、制裁で威
嚇しあうことに反対している」と述べ、制裁を支持しない立場を表
明した。

事前にプーチン大統領と習近平国家主席が電話会談でロシアを支持
することが決まり、中国外務省は自国領土保全という原則を変えず
に、小手先での制裁反対を述べたことになる。

2.ロシアの窮地が鮮明に
米国オバマ大統領が今までの米国と違い、強く出てきたので、ロシ
アのプーチン大統領は大きな誤算をしたようである。クリミア自治
共和国議会のロシアへの編入要請決議と住民投票で、真っ向から対
立することになり、プーチンの思い描いたシナリオは、ますます危
険な賭けになり、不測の結果を招く可能性が出てきた。

プーチン大統領は、統一経済圏を形成して少なくとも旧ソ連の版図
の一部でも再統合しようという夢を持っている。これまでのところ
は、ロシアによる統一経済圏に向けた完全同盟に加わったのはカザ
フスタンとベラルーシの2カ国しかない。しかし、現時点では、こ
れを拡大することは危険の大きい戦略になってきた。

このため、プーチンは弱気になり始めた可能性もある。クリミア半
島に展開しているロシア軍が、空港などから撤収する動きを見せて
いる。米国と欧州各国でつくる全欧安保協力機構(OSCE)が同
半島に軍事監視団を派遣した日で、ロシアのプーチン政権が監視の
目を逃れようと、一時的に退却させた可能性がある。そして、この
全欧安保協力機構(OSCE)は6日、現地視察で「ロシア系住民
への脅威の証拠は見つからなかった」との見解を表明した。

しかし、クリミア自治共和国の議会がロシアへの編入を決議したこ
とで、ロシアの「クリミア併合」が現実味を帯びてきた。ロシア系
住民の「自警団」は7日までにメディアを完全に掌握。ウクライナ
国境警備隊当局者は、クリミア半島に約3万人のロシア兵が展開し
ているとみられると伝えた。ロシア側は着々と既成事実を重ねてい
る。

米オバマ大統領は7日、独メルケル首相と電話で会談し、事態の鎮
静化に向けて、ロシアが軍の部隊を撤収させてクリミア半島への国
際監視団の派遣を受け入れるとともに、速やかにウクライナとの直
接対話に応じることが必要と認識で一致した。

これを受けて、独メルケル首相がクリミア自治共和国のロシア編入
の是非を問う住民投票が実施されれば、6月にソチで開かれるG8
首脳会議を欠席するとした。欧州で一番ロシア寄りのドイツが、ク
ルミア併合を拒否したことで、プーチンは、交渉仲介者を無くすこ
とになった。

英仏伊首脳と米オバマ大統領との電話会談でもクリミア自治共和国
で16日に予定されているロシア編入の是非を問う住民投票を「拒
否」する姿勢を明確にした。欧米諸国は足並みを揃えたことになる。

このような欧米の一致を見たことで、ケリー米国務長官は8日、ロ
シアのラブロフ外相との電話協議で、南部クリミアのロシア編入の
動きや軍事圧力がさらに続けば、外交による問題解決の余地を閉ざ
すことになると強く警告した。ケリー氏はロシアに「最高度の自制
」を求めた上で、同国とウクライナとの直接対話をあらためて要請
。両外相は協議を数日内に再開することで合意したが、ロシアに最
後通告をしたのである。

もし、拒否なら、空母「ジョージ・ブッシュ」艦隊群が黒海に入り
、作戦行動に入る可能性が高まる。それでもロシアが強行すると、
戦争状態になる可能性も出るのだ。

この状況で、中国は自国の立ち位置が変更するようだ。
中国の王毅外相は8日、ウクライナ情勢について「中国は関係国と
の意思疎通を続け、政治解決のために建設的な役割を果たしたい」
と述べた。状況の改善に向けて「慎重な対応が必要だ」とも指摘。
関係国が政治対話による危機収束を目指すよう促した。
しかし、同時に「ウクライナ情勢を巡っては、中国は公平で客観的
な立場だ」とした。

ロシアのクリミア実効支配を急いでいる。ロシア側部隊は7日夜、
半島の軍港セバストポリ郊外のウクライナ軍防空部隊などに現れて
投降を求めたが、軍はこれを拒否したが、ロシアの封鎖を受けて、
後数日しか持たないとみて、包囲した状態のままである。また、セ
バストポリで7日夜、ロシア軍がウクライナ軍のミサイル基地に押
し入り、制圧した。

また、欧州安保協力機構(OSCE)の監視要員らが8日、半島の
入り口で「自警団」の警告射撃を受け、進入を阻止された。失敗は
3日連続となる。

プーチンは、クリミアを手離さないようでもある。ロシア側から6
日以降にケルチ海峡を渡って軍用車両100台以上が到着し、半島
東部の数カ所に移動したと述べた。ロシア側が軍備を増強している
可能性がある。

このように、米国とロシアの戦争になる可能性も出てきたことにな
る。

3.日本はどうするの?
安倍晋三首相は8日、ウクライナ情勢に関する日本の立場を説明す
るため、谷内(やち)正太郎国家安全保障局長を近くロシアに派遣
する意向を表明した。「日米の考え方、オバマ大統領の考え方、日
・米・EU(欧州連合)の統一的な考え方を、プーチン大統領はじ
めロシア側に伝えていきたい」と述べた。

しかし、ロシアは強行的手段も辞さずと決めている可能性もある。
ここで、日本は仲介者という立場を確保できれば、それはロシアに
大きな借りを作ることができる。

しかし、プーチンが本気で戦争も辞さないと決めていると、難しい
ことになる。日本は立場をしっかりさせて、米国とロシアの仲介に
入ることを覚悟して、谷内さんをロシアに派遣することである。

さあ、どうなりますか?


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クリミア半島の歴史や軍事的重要性
2014年 03月 7日 13:45 JST
[6日 ロイター] -ウクライナ南部クリミア半島をめぐり、同地
で実効支配を強めるロシアと欧米諸国の対立が、東西冷戦以来の深
刻な局面を迎えている。
クリミア半島の概要は以下の通り。
<歴史>
18世紀、多くのウクライナ系住民とともにエカテリーナ2世統治
下のロシア帝国に併合。その直後に南東部セバストポリにロシア黒
海艦隊の基地が置かれる。
英・仏が支持するオスマン帝国とロシア帝国が戦った1853─56
年のクリミア戦争では、50万人以上が犠牲となった。この戦いで
欧州の勢力図が塗りかえられ、後の第一次世界大戦へとつながった。
1921年、主にタタール人の居住地だったクリミア半島はソ連領
ロシア共和国1921年10月18日になった。第二次世界大戦末期、スタ
ーリン政権は、イスラム教徒であるタタール人をナチス協力者とし
てクリミアから集団追放した。クリミアはウクライナに帰属替えす
る1954年まで、ソ連に属するロシア共和国の一部だった。
1991年のソ連崩壊後、クリミアの帰属をめぐるロシアとウクラ
イナ間の政治的な争いが断続的に起きている。
<軍事的重要性>
ロシア黒海艦隊のセバストポリ基地は、ロシアの地中海へのアクセ
ス面で利点がある。ウクライナ海軍の基地もセバストポリにある。
ロシアはウクライナとの租借協定に基づき、セバストポリに黒海艦
隊を駐留させている。2010年の合意では、ロシアからのガス供
給価格を割り引くことと引き換えに、2042年までの租借が認め
られた。
ロシアは黒海沿岸にあるロシア領のノボロシースク港を軍艦が利用
できるように整備した。
<地理>
クリミア半島はウクライナ本土から南側の黒海に突き出た、山がち
の半島。東部はケルチ海峡を挟んでロシア領のタマン半島と向かい
合う。ロシアはこの海峡上に橋の建設を計画している。
面積は2万7000平方キロメートルで、ベルギーよりやや小さい
。クリミア自治共和国はウクライナが唯一正式に認める自治共和国
で、首都はシンフェロポリ。セバストポリはウクライナの特別市で
クリミア自治共和国には属さない。
<人口>
約200万人。2001年の国勢調査では、約58%がロシア系、
24%がウクライナ人、12%が親EU派のウクライナ暫定政府を
支持するタタール人とされる。
<経済>
温暖な気候を目当てにウクライナ人やロシア人が集まる観光地。特
に、ソ連・米・英の首脳が第二次世界大戦後の処理を協議したヤル
タは有名。
ウクライナの国内総生産(GDP)の3%を占め、このうち6割が
サービス業による。
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クリミア、ロから軍車両100台 軍備増強の可能性
 【シンフェロポリ共同】ウクライナ南部クリミア半島の東端ケル
チのウクライナ軍当局者は8日、ロシア側から6日以降にケルチ海
峡を渡って軍用車両100台以上が到着し、半島東部の数カ所に移
動したと述べた。ロシア側が軍備を増強している可能性がある。
 同当局者によると、車両が船で運ばれるのを国境警備隊が確認し
たという。
2014/03/08 22:20   【共同通信】
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ウクライナ軍のミサイル基地を制圧 ロシア軍か
朝日新聞デジタル  |  執筆者: 朝日新聞提供
更新: 2014年03月08日 20時13分 JST
ウクライナ南部クリミア半島のセバストポリで7日夜、ロシア軍と
みられる武装部隊がウクライナ軍のミサイル基地に押し入り、制圧
した。英BBCはウクライナ国境警備隊の推計として、クリミアに
展開するロシア兵は1週間で倍増して3万人になったと伝えている。
ロイター通信などによると、ロシア海軍の黒海艦隊所属と見られる
トラックが基地の門をこじ開けるとともに、周囲にいた数十人の兵
士が基地内に侵入した。ウクライナ側は立てこもったが、「交渉の
末に明け渡しを決めた」という。閃光(せんこう)弾が投じられた
が、発砲などはなかったとされる。
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クリミア監視要員に警告射撃=3日連続入境失敗−ウクライナ南部
 【セバストポリ(ウクライナ)時事】ウクライナ南部クリミア半
島を視察するため、現地入りしようとした欧州安保協力機構(OS
CE)の監視要員らが8日、半島の入り口で「自警団」の警告射撃
を受け、進入を阻止された。失敗は3日連続。AFP通信が伝えた。
 監視要員らが乗った車両は半島につながる西ルートの検問所でロ
シア兵とみられる約40人の「自警団」に止められ、引き返すよう
求められたという。数発の警告射撃があった。けが人はない。
(2014/03/09-01:00)
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「武装集団」出現から1週間 実効支配進めるロシア側部隊 一部
はなお抵抗
2014.3.9 01:11sankei
 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)=内藤泰朗】ウクライナ南
部クリミア自治共和国に親ロシア派の武装集団が出現して1週間以
上が経過した。ロシア側部隊は7日夜、半島の軍港セバストポリ郊
外のウクライナ軍防空部隊に現れて投降を求めたが、軍はこれを拒
否した。ロシア側は圧倒的な武力で威嚇し実効支配を進めているが
、一部のウクライナ軍は抵抗を続けている。
 セバストポリからの報道では、自動小銃などで武装したロシア側
部隊20人がロシアナンバーの軍用トラック2台に分乗し、ミサイ
ル防空部隊2355に乗り付けた。ロシア側部隊は警備のウクライ
ナ軍兵士と押し問答の末、施設内に突入。隊長に武装解除し、基地
を明け渡すよう求めたが、拒否されて立ち去った。
 銃撃戦にはならなかったが、入り口で取材陣が殴られるなど緊迫
した状況になったという。同基地はウクライナ軍の重要な防空拠点
の一つとされる。
 ウクライナ軍は電撃的に出現したロシア側部隊に包囲され、身動
きが取れない状態だ。ウクライナ空軍基地はすでに占拠されたほか
、海軍参謀本部もロシア側部隊が掌握した。
 しかし、セバストポリの海軍の艦船の乗組員らもまだ投降してい
ない。自治共和国側に寝返り、ウクライナ軍を解任されたベレゾフ
スキー前海軍総司令官も自らに同調するよう部下たちに呼びかけた
が、応じた軍人はいなかったようだ。
 自治共和国政府のアクショノフ首相はすでに、ウクライナ軍を「
違法外国軍」と呼んで揺さぶりをかけている。だが、ヘーゲル米国
防長官は7日、ウクライナ軍がそんな挑発に乗らず、「抑制した行
動をとっている」と称賛した。首都キエフでは、ウクライナ軍への
志願者も急増しているという。
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対ロ制裁強化、EU足並みそろわず ウクライナ危機 
経済で相互依存、対抗措置に警戒
2014/3/9 0:30日経
 【ベルリン=赤川省吾】ウクライナ南部クリミア半島の実効支配
を強めるロシアに対し欧州連合(EU)は6日に査証(ビザ)の撤
廃交渉凍結など段階的な制裁措置を決めたが、追加制裁を巡り域内
で意見が割れている。圧力を強めるため米国と足並みをそろえてロ
シア企業の資産凍結に踏み込むべきだとの意見も出ている。一方、
ロシアからの対抗措置で「経済戦争」になれば、相互依存が深い欧
ロ経済は大きな打撃を受けるとの懸念が広がる。
 欧州各国の保守系政党が6〜7日にアイルランド・ダブリンで開
いた会合に、親欧派で知られるウクライナのティモシェンコ元首相
が出席した。
 「なにもしなければ高い代償を払うことになる」。求めたのはロ
シアへの追加制裁だ。経済関係の深いEUだからこそ強力な制裁措
置を打ち出してほしいとの思いがにじむ。
 EU内でも、いまの制裁内容は甘すぎると声があがる。旧ソ連に
圧迫されてきた歴史を持つバルト3国やポーランド、それに1960年
代の民主化運動「プラハの春」を軍事介入で鎮圧されたチェコがロ
シア批判の急先鋒(せんぽう)に立つ。
 EUの会合では強硬策を主張。ロシア企業・富裕層の資産凍結や
渡航制限を訴え、原発建設など公共事業の発注停止をちらつかせる。
ガスの輸入停止も選択肢のひとつだ。
 今年は暖冬だったため、暖房に使うガスの消費量が少なかった。
EU各国はガス備蓄を増やしており、数カ月ならロシア産ガスがな
くても乗り切れるとの判断がある。
 だが独仏英などEU主要国は慎重だ。この10年間でEUの対ロ輸
出は3.6倍に増え、シェアは7%超に膨らんだ。対抗措置としてロシ
アがEUからの輸入を制限すれば景気への影響は計り知れない。
 例えば6000社がロシアビジネスに携わるドイツ。対ロ輸出の内訳
を見ると機械が全体の23%、自動車が22%を占める。投資家は欧州
景気を支えるドイツ企業の業績への影響を警戒し、株価は上値が重
くなってきた。
 制裁でロシア経済が沈めば、それも欧州に打撃となる。ラブロフ
外相は「ブーメランのように返る」と発言している。
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中国「公平な立場」強調 ウクライナ情勢 
2014/3/8 21:34日経
 【北京=島田学】中国の王毅外相は8日の全国人民代表大会(全
人代、国会に相当)に合わせた記者会見で、ウクライナ情勢につい
て「中国は関係国との意思疎通を続け、政治解決のために建設的な
役割を果たしたい」と述べた。状況の改善に向けて「慎重な対応が
必要だ」とも指摘。関係国が政治対話による危機収束を目指すよう
促した。
 「ウクライナ情勢を巡っては、中国は公平で客観的な立場だ」。
王外相は中国に仲介役を求める声が上がっていないにも関わらず、
ロシアと欧米との仲介役を果たす意思を示した。これは中国自身の
立場を明確に示す事態を避けるためだ。
 中国はウクライナ情勢を巡り、欧米の対ロシア制裁には反対を表
明したものの、一貫してロシア支持への明言を避けている。ロシア
とは友好関係にあるが、国内で少数民族の独立問題を抱える中国と
しては、ウクライナ南部のクリミア自治共和国の分離の動きは決し
て歓迎できない事態だ。王外相の記者会見は、外交と内政で板挟み
となっている中国外務省の苦しい立場を浮き彫りにした。
 「中国は責任ある大国だ」。李克強首相は5日の政府活動報告で
、国際社会の問題解決に積極的に取り組む意欲を示したばかり。ウ
クライナ情勢では空回りを余儀なくされ、仲介役を果たすのに必要
な国際社会からの信頼感もまだ低い。
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ウクライナ情勢:谷内局長、訪露へ 首相「日米欧の考え伝達」
毎日新聞 2014年03月09日 東京朝刊
 安倍晋三首相は8日、ウクライナ情勢に関する日本の立場を説明
するため、谷内(やち)正太郎国家安全保障局長を近くロシアに派
遣する意向を表明した。「日米の考え方、オバマ大統領の考え方、
日・米・EU(欧州連合)の統一的な考え方を、プーチン大統領は
じめロシア側に伝えていきたい」と述べた。視察先の福島県田村市
で記者団に語った。
 首相はオバマ米大統領との7日の電話協議を踏まえ、「日本、米
国、EUがしっかりと協力し、平和的に外交によって解決していき
たい。特にG7(主要8カ国からロシアを除いた7カ国)で共同歩
調を取っていくことが大切だ」と強調。問題の平和的、外交的解決
に向け「日本としても協力し、役割を果たしていきたい」と述べた
。【水脇友輔】
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米長官「外交閉ざす」とロに警告 ウクライナ情勢で
 【ワシントン、モスクワ共同】ケリー米国務長官は8日、ロシア
のラブロフ外相との電話協議で、南部クリミアのロシア編入の動き
や軍事圧力がさらに続けば、外交による問題解決の余地を閉ざすこ
とになると強く警告した。米国務省が明らかにした。
 ケリー氏はロシアに「最高度の自制」を求めた上で、同国とウク
ライナとの直接対話をあらためて要請。両外相は協議を数日内に再
開することで合意した。
 オバマ米大統領は同日、休暇先の南部フロリダ州からキャメロン
英首相、フランスのオランド大統領らと相次いで電話協議。「ウク
ライナの主権と領土の一体性を支持する」ことを再確認した。
2014/03/09 05:55   【共同通信】
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独首相、G8欠席か クリミア住民投票実施なら
 【ベルリン共同】ドイツ週刊誌シュピーゲル(電子版)は8日、
メルケル首相がウクライナ情勢をめぐり、クリミア自治共和国のロ
シア編入の是非を問う住民投票が実施されれば、6月にロシア南部
ソチで開かれる主要国(G8)首脳会議を欠席する可能性が高いと
報じた。政府関係者の話としている。
 ドイツを含む日米欧の先進7カ国(G7)はG8準備会合への参
加を既に見合わせているが首脳会議への出欠方針は明確にしていな
い。ドイツは経済的なつながりが強いロシアへの制裁に慎重だった
が、同国が妥協の構えを見せないため強硬姿勢に転じ始めた可能性
がある。
2014/03/09 06:11   【共同通信】
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クリミア住民投票を拒否=英仏伊首脳らと協議−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は8日、英仏伊3カ国首脳と
個別に電話会談し、ウクライナ情勢への対応をめぐって意見交換し
た。大統領と各国首脳は、ウクライナ南部のクリミア自治共和国で
16日に予定されているロシア編入の是非を問う住民投票を「拒否
」する姿勢を明確にした。
 ホワイトハウスの発表によると、大統領はバルト3国(エストニ
ア、ラトビア、リトアニア)首脳とも電話会議を開催。大統領はこ
の中で、北大西洋条約に基づく集団安全保障体制を確認した。
(2014/03/09-06:08)
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米独首脳 ロシアはウクライナと直接対話を
3月8日 14時28分NHK
ウクライナ情勢を巡り、アメリカのオバマ大統領は7日、ドイツの
メルケル首相と電話で会談しました。
ホワイトハウスによりますと、両首脳は「ロシアは、ウクライナに
軍事介入し、明確に国際法に違反している」として、改めて重大な
懸念を示したということです。
そしてオバマ大統領は、EU=ヨーロッパ連合がロシアとのビザ自
由化交渉を停止するという制裁措置を決めたことを歓迎しました。
そのうえで両首脳は、事態の鎮静化に向けて、ロシアが軍の部隊を
撤収させてクリミア半島への国際監視団の派遣を受け入れるととも
に、速やかにウクライナとの直接対話に応じることが必要だという
認識で一致したということです。
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ウクライナ:OSCE視察「ロシア系への脅威見つからず」
毎日新聞 2014年03月08日 11時59分
 【キエフ樋口直樹】ウクライナ南部クリミア半島の情勢を巡り、
欧州の安全保障機関「全欧安保協力機構」(OSCE)は6日、現
地視察で「ロシア系住民への脅威の証拠は見つからなかった」との
見解を表明した。クリミアの実情把握に訪れた国連特使やOSCE
の軍事監視団が実力で排除される事態も重なり、ロシアによるクリ
ミア自治共和国介入の大義名分となっている「ロシア系住民の保護
」との主張の信ぴょう性は著しく低下している。
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クリミア併合、現実味 露が既成事実
産経新聞 3月8日(土)7時55分配信
 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)=内藤泰朗】ウクライナ南
部クリミア自治共和国の議会がロシアへの編入を決議したことで、
ロシアの「クリミア併合」が現実味を帯びてきた。ロシア系住民の
「自警団」は7日までにメディアを完全に掌握。ロイター通信はウ
クライナ国境警備隊当局者の話として、クリミア半島に約3万人の
ロシア兵が展開しているとみられると伝えた。ロシア側は着々と既
成事実を重ねている。
 ウクライナ民間テレビ「第5チャンネル」のクリミア中継所は6
日朝、迷彩服の集団に占拠され、放送がロシア国営のニュース専門
テレビ「ロシア24」に切り替わった。親ロシアの「国営クリミア
放送」の建物も同日、占拠された。
 欧州安保協力機構(OSCE)の監視団を乗せてクリミア半島に
入ろうとしたバスが通行を阻止され、引き返した。フランス通信(
AFP)が伝えた。
 インタファクス通信によると、ウクライナ暫定政権のトゥルチノ
フ大統領代行は6日、自治共和国が今月16日に予定するロシア編
入の是非を問う住民投票の中止を命じる政令に署名。自治共和国は
予定通り住民投票を実施する計画だ。
 ロシア上院のマトビエンコ議長は7日、住民投票でロシア編入が
決まれば、「ロシアの他の自治体と平等な権利を持つ自治体」とし
て受け入れると語った。
 一方、ウクライナの東部ドネツクでは6日、ドネツク州庁舎を3
日に占拠した親露派住民を警察当局が排除し、首謀者を国家転覆容
疑で逮捕した。暫定政権が同州の新知事に任命したタルタ氏は6日
、「2週間ほどで国内の状況は大きく変わるだろう」との見通しを
示した。
 ドネツク以外で続いていた反暫定政権のデモも収束したもようだ。
 クリミア自治共和国が住民投票を今月30日から16日に前倒し
したことに、ドネツクの事態が影響を及ぼしている可能性がある。
西側外交筋は「(準備期間が)10日では公平な選挙は行えない。
長引けば、ドネツクと同じく、結果が読めなくなるので焦っている
のだろう」と指摘した。
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クリミア「露軍」姿消す…欧米監視団の派遣後に
 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)=佐藤昌宏】ウクライナ南
部クリミア半島に展開しているロシア軍とみられる武装集団が5日
夜以降、空港などから撤収する動きを見せている。
 同日は、米国と欧州各国でつくる全欧安保協力機構(OSCE)
が同半島に軍事監視団を派遣した日と重なり、ロシアのプーチン政
権が監視の目を逃れようと、一時的に退却させた可能性がある。
 2月28日未明から最新型の自動小銃などで武装した軍服の集団
が展開していたシンフェロポリ国際空港。6日に同空港を訪れると
、集団の姿は消えていた。武装集団と共に「空港警備」にあたって
いた「自警団」の腕章を付けたアンドレイと名乗る男性(38)は
「今日来たら、(集団が)いなくなっていたので私も驚いた。きっ
と役目を終えてどこかへ帰ったのだろう」などととぼけた調子で話
した。シンフェロポリ市中心部の建物に駐屯していた別の武装集団
も消えていた。
(2014年3月8日00時04分  読売新聞)
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首相、米大統領に露制裁支持を表明…電話会談
読売新聞 3月7日(金)18時49分配信
 安倍首相は7日昼、オバマ米大統領とウクライナ情勢について約
40分間電話会談し、米国の対応を支持する考えを伝えた。
 会談は米側の要請で行われ、大統領は、ウクライナ南部クリミア
自治共和国へのロシアの軍事介入を受け、米国内の資産凍結や入国
制限などの制裁を発動したことなどを説明。これに対し、首相は「
大統領の努力を支持し、日本としてもウクライナ情勢の早期改善を
期待する」と応じた。
 両首脳は、ウクライナの主権、領土の一体性を尊重し、引き続き
日米両国が緊密に意思疎通を図っていくことでも一致。ウクライナ
の経済・政治改革を支援していくことに同意した。また、4月下旬
の大統領来日に向け、準備を加速させていくことを確認した。菅官
房長官は7日夕の記者会見で、大統領から首相に対して日本の制裁
発動を求める発言はなかったと説明した。
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焦点:プーチン大統領の危険な賭け、西側との対立で不測の事態も
2014年 03月 7日 14:39 JST
[モスクワ 6日 ロイター] -ロシアのプーチン大統領が、クリ
ミア自治共和国議会によるロシアへの編入要請決議に至る動きを裏
で操っているのはほぼ間違いない。しかしこれで西側諸国と真っ向
から対立することになったプーチン氏のやり方はますます危険な賭
けの様相を呈し、不測の結果を招く可能性もある。
プーチン氏は、今回の決議でクリミアの掌握という面ではウクライ
ナに対して優位に立った一方、ウクライナの親欧米の指導者から反
感を買う恐れがある。これらの指導者は、南部や東部のロシア系住
民に対してはこれまで武力行使や緊張を高めるような行為を厳に慎
んできたのだ。
ロシアの政治活動顧問を務めたグレブ・パブロフスキー氏は「われ
われは非常に危うい地点に位置しており、政治危機が軍事的な事態
につながる恐れがある」と指摘した。
ウクライナの指導者は、ロシア編入の是非について住民投票を16
日に実施すると決めたことなどを含めたクリミア側の一連の動きの
背後には、プーチン氏がいると確信。トゥルチノフ大統領代行は「
これは住民投票ではなく、ロシアの軍事力によって仕組まれたウク
ライナに対する茶番、欺瞞、犯罪だ」と切り捨てた。
ただ欧米諸国としては、プーチン氏に対して行ってきた主張がそっ
くり跳ね返ってきたことになる。つまり、ウクライナのヤヌコビッ
チ前大統領の退陣は国民の意思だから受け入れなければならない、
と主張してきた以上、クリミア住民の意思も認める必要が出てくる。
プーチン氏は6日の安全保障会議では泰然自若とした様子で、ロシ
アの金融市場の混乱やウクライナがクリミアの住民投票は非合法だ
と主張していることに無関心であるように見受けられる。
プーチン氏からすれば、すべてのカードは自分が握っていると考え
ているようだ。
<支配強化に向けた演出>
過去数日間にクリミアの支配強化に向けてロシアが見せた動きは、
完璧な振り付けがなされていた。
ウクライナ南部のロシア系住民を西部の「過激派」から守るという
名目で、ロシア議会ではロシア語を話す人々への市民権申請手続き
を迅速化する法案が提出された。これにより旧ソ連時代の1954
年、当時のフルシチョフ書記長がウクライナに渡したクリミアを再
びロシアが支配する上でより有利な態勢が整った。
一方、あるロシアの安全保障関係筋は「プーチン氏は、戦争を欲し
ていない。彼はそうした決定をした場合に起きるあらゆる問題や生
じる影響を十分に承知している。だがもし事態が悪化の一途をたど
ったなら、他にどうしようがあるのか。武力行使はほかの手段がす
べてつぶされた際にのみ検討されるだろうが、取り得る選択肢の1
つではある」と強調した。
<危険の大きい戦略>
ロシア専門家は、たとえ黒海艦隊の基地があるといってもプーチン
氏がクリミアを併合したがっているかどうかは疑わしいとの見方を
している。
もっともプーチン氏は、西側諸国がヤヌコビッチ氏の失脚に至った
一連の騒乱を主導してきた武装市民を支持していることへの相応の
対抗策として、武力行使をちらつかせる可能性があるというのが専
門家の声だ。
プーチン氏はそれによってあらためて自身の権威を確立するととも
に、統一経済圏を形成して少なくとも旧ソ連の版図の一部でも再統
合しようという夢を将来につなぐことができる。これまでのところ
は、ロシアによる統一経済圏に向けた完全同盟に加わったのはカザ
フスタンとベラルーシの2カ国しかない。
それでもこれは危険の大きい戦略だ。
米政府は、ウクライナの民主的な枠組みに打撃を与えている同国や
ロシアの一部当局者へのビザ発給禁止といった制裁を発動する対応
を示した。米国防総省もポーランドにおける大規模な空軍演習を発
表し、これについて駐ポーランド米大使は、ウクライナ危機を受け
て関係地域における同盟国を安心させるために規模を拡大したと説
明した。
さらにロシアの資産価格が急落して脆弱な経済を圧迫し、通貨ルー
ブルの下落で多くのロシア国民が窮迫を感じている。格付け会社ム
ーディーズは、ウクライナ問題はロシアの信用力にマイナスだと表
明した。
(Elizabeth Piper記者)
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オバマ大統領、プーチン氏に対ロ制裁を直接伝える
2014.3.7 15:49
 オバマ米大統領は6日、ロシアのプーチン大統領と約1時間にわ
たり電話会談、ウクライナ南部クリミア半島での同国の主権侵害を
理由とした対ロシア制裁発動を直接伝え、ウクライナ新政府との対
話開始、国際監視団受け入れやクリミアにある基地へのロシア軍撤
収の必要性に言及した。ホワイトハウスが発表した。
 ロシアがウクライナ南部クリミア半島で実効支配の動きを強めた
後、両首脳による電話会談は2回目。オバマ氏は外交的解決の必要
性を訴えた。
 タス通信によると、プーチン氏は、正統性のないウクライナ新政
権がロシア系住民の多いクリミア半島などで不当な権限を行使して
いると強調。現地からの支援要請は無視できず、ロシアの行動は「
国際法に完全に一致している」と反論した。(共同)
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制裁を批判=「クリミアで合法的に行動」−ロシア大統領
 【モスクワ時事】オバマ米大統領とプーチン・ロシア大統領は7
日(米東部時間6日)、緊迫するウクライナ情勢をめぐって電話会
談した。ロシア大統領府によると、プーチン大統領は「米ロ関係は
世界の安定と安全保障にとって重要であり、ウクライナ問題をめぐ
る不和で損なわれるべきではない」と訴え、米国による対ロ制裁を
批判した。
 プーチン大統領は、憲法に違反してヤヌコビッチ政権を転覆した
親欧州連合(EU)派の新政権が、ロシア系住民の多いウクライナ
南東部やクリミア半島で違法な決定を押し付けていると非難。ロシ
アは半島住民の保護要請に基づいて「適正かつ合法的に行動してい
る」と述べ、軍事占領と実効支配を正当化した。
 電話会談は、ロシアが1日に軍事介入を決定してから2度目で、
オバマ大統領の申し出により約1時間行われた。ホワイトハウスに
よると、オバマ大統領はプーチン大統領に対して制裁の発動を伝達
。外交的解決を求め、ウクライナとの直接対話や国際監視団の受け
入れを促した。(2014/03/07-20:28)
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中国外務省、米・EUの対ロシア制裁に反対
2014.3.7 18:05 sankei[中国]
 中国外務省の秦剛報道官は7日の定例記者会見で、米国と欧州連
合(EU)がロシアに対する制裁発動などに踏み切ったことについ
て、「中国は国際関係の中で一貫して、何かというとすぐ制裁を行
ったり、制裁で威嚇しあうことに反対している」と述べ、制裁を支
持しない立場を表明した上で、報復措置の検討に入ったロシアに自
制を求めた。(北京 川越一)
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クリミア住民投票「憲法違反」と米大統領が批判
 【ワシントン=白川義和、キエフ=寺口亮一】オバマ米大統領は
6日、ロシアへの編入を問うウクライナ南部クリミア自治共和国で
の住民投票について、「ウクライナ憲法や国際法に違反する」と批
判した。
 ホワイトハウスで声明を読み上げた。
 オバマ氏は「ウクライナの将来に関する議論は、正統な政府を含
めて行わなければいけない」と述べた。ウクライナ憲法は、領土問
題はウクライナ全土での国民投票で決めると規定。国連憲章は、紛
争の平和的解決や国家の領土保全などを定めており、今回の住民投
票がこれらに反するとの見方を示したものだ。
 ホワイトハウスによると、オバマ氏は6日、プーチン露大統領と
約1時間、電話会談を行い、ロシアの行動が米国の対抗措置を招い
たと強調した。オバマ氏はプーチン氏に対し、〈1〉ウクライナ暫
定政府との直接対話〈2〉クリミアに展開するロシア軍の露軍基地
への撤収〈3〉クリミアへの国際監視団受け入れ――を求めた。
(2014年3月7日11時48分  読売新聞)
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黒海にイージス艦=ポーランドには戦闘機12機−米軍
 【ワシントン時事】米海軍は6日、ウクライナなどに近い黒海に
イージス駆逐艦1隻を送ると発表した。ロシアによるウクライナ南
部クリミア半島占領以前から予定していた動きだと説明しているが
、ロシア側は圧力と受け止める可能性がある。米軍はまた、F16
戦闘機12機と要員300人を来週、ウクライナの隣国ポーランド
へ派遣する。(2014/03/07-08:56)
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ウクライナ:IMF支援協力、岸田外相が表明 独英外相と協議
毎日新聞 2014年03月07日 東京朝刊
 岸田文雄外相は6日夜、ウクライナ情勢をめぐりドイツのシュタ
インマイヤー外相、イギリスのヘイグ外相と個別に電話で協議した。
3者は緊張緩和のための対話を重視する姿勢で一致。岸田外相はウ
クライナの財政危機に対して、国際通貨基金(IMF)が検討する
支援に日本も協力する考えを表明した。
 岸田外相は終了後、記者団に「状況は深刻だという点では一致し
た」と発言。日本のロシアに対する制裁発動に関しては「どう対応
するかは各国と連携しながら考えていく」と述べるにとどめた。
【竹島一登】
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米補佐官、中国国務委員とウクライナの領土尊重の重要性で一致
2014年 03月 6日 15:32 JST
[ワシントン 5日 ロイター] - ライス米大統領補佐官は、中国
の楊潔チ・国務委員とウクライナ情勢をめぐって協議し、ウクライ
ナの主権と領土は尊重されなければならないとの見解で一致した。
ホワイトハウスが5日声明で明らかにした。
中国はウクライナ問題について、他国の問題には干渉しないとの立
場を堅持しており、戦略的パートナーであるロシアへの批判を控え
ている。
声明によると、協議では「地域・世界の課題に対処すべく現実的な
協力」を深めることが、米中関係にとって重要との認識を再確認し
た。
ロシアとウクライナとの対立については「国際法にのっとり、かつ
、ウクライナの主権と領土保全を尊重するような平和的解決策を見
つける努力を支援することが、米中双方の利益にかなうとの点で合
意した」。
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NATO、対露協力関係見直し 「ロシアの行動は重大な結果をも
たらす」
2014.3.6 08:57sankei
 【ベルリン=宮下日出男】北大西洋条約機構(NATO)は5日
、ロシアがウクライナ南部クリミア半島掌握を進めるのを受け、ロ
シアとの協力関係を見直す方針を決めた。4月上旬に開かれるNA
TO外相級理事会で正式に決定する。一方でウクライナとの連携強
化を図っていくことを決定した。
 NATOは同日、ブリュッセルで大使級のNATOロシア理事会
を開催し、決定をロシアに伝えた。ラスムセン事務総長は理事会後
の記者会見で「ロシアの行動は重大な結果をもたらすとの明確なメ
ッセージだ」と強調。一方、決定が情勢の外交解決に寄与すること
に期待感を示した。
 NATOはロシアとの事務レベル会合を当面見合わせるほか、シ
リアの化学兵器を洋上処理する米艦船の共同護衛のため、これまで
調整を進めていた計画を中止する。ただ「政治対話」の扉は開いて
おくため、大使級のNATOロシア理事会は維持する。
 一方、ウクライナに対しては共同訓練・演習を拡大するなどし、
同国の軍事能力向上への取り組みを強化するとした。ロイター通信
によると、ロシアの大使は理事会後、「NATOは依然、ロシアに
対して冷戦の固定観念を適用している」と批判した。
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ウクライナでの武力行使は「最後の手段」、ロシア大統領が見解
2014年 03月 5日 09:32 JST
[モスクワ 4日 ロイター] -ロシアのプーチン大統領は4日、
記者会見に臨み、ウクライナでの武力行使は「完全に最後の手段」
と述べた。この発言を受けてウクライナでの軍事衝突をめぐる市場
の懸念が後退した。
プーチン大統領は「(ロシア系の)同胞を守るためのあらゆる手段
を活用する権利がロシアにはある」と述べたが、現時点で武力行使
は必要ないとの立場も示した。
3日はロシアの債券と株式市場では売りが殺到したが、大統領発言
や、ウクライナとの国境付近で実施されていたロシアの軍事演習の
参加部隊に撤収命令が発せられたことが材料となり、持ち直した。
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ヤヌコビッチ前大統領がロシアに「派兵要請」
2014.3.5 01:29sankei
 【ウクライナ南部シンフェロポリ=遠藤良介】ロシアのプーチン
大統領は4日の記者会見で、自国内に保護しているウクライナのヤ
ヌコビッチ前大統領がロシアに武力の使用を要請していたことを明
らかにした。
 プーチン氏はヤヌコビッチ氏が政変後に実権を失ったと認めつつ
も、同氏が今も「合法的な大統領だ」と主張した。
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ロ大統領に「だまされない」=「侵略の口実」と批判−米
 【ワシントン、モスクワ時事】オバマ米大統領は4日、ロシアの
プーチン大統領が治安上の懸念を理由にウクライナ南部クリミア半
島への軍事介入を正当化したことに対して「誰もだまされない。ロ
シアが周辺国に利害を有しているのは承知しているが、影響力を強
める手段として武力を用いる権利はない」と非難した。ワシントン
市内で記者団に語った。
 大統領は「ウクライナのロシア系住民らが脅かされている実際の
証拠があれば、国際的なメカニズムを通して対処する方法はある」
と指摘。「プーチン氏が何を述べようと、ロシア部隊の展開は、彼
が(国際社会の)原則を守っていないことを示している」と訴えた。
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プーチン大統領の政治的野望、ロシア経済の急所を直撃か
By RICHARD BARLEY
2014年 3月 04日 10:21 JST  WSJ
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナで政治的・軍事的影響力
を誇示することに意欲的だ。このため、新興国市場への投資意欲を
失う投資家はさらに増えるとみられる。ウクライナ経済がすでに窮
地に追い込まれ、多くの資金運用担当者の対象外となるなか、失う
ものが最も大きい国はロシアにほかならないようだ。
 3日の金融市場は、株安、債券高、新興国資産の一段安という典型
的な安全逃避に見舞われた。だが、最も厳しい評価が下されたのは
ロシアの資産だった。ロシア株式市場ではドル建て取引を扱うRTS指
数が日中取引で12.01%安と急落。ドル建てのロシア国債は下落し、
ルーブルはドルに対して大幅安となった。
 ロシアの外貨準備高は4930億ドルに上るものの、ルーブルは特に
泣き所となっているようだ。ルーブルは今年に入って大幅な売り圧
力を受け、ドルに対して9%余り下落した。ロシア中銀は3日、1.5%
の緊急利上げを実施し、政策金利を7.0%とすることで通貨変動に対
応した。中銀はこれについて「一時的」な措置だとしている。
 だがロシア中銀は微妙な立場に置かれている。利上げはロシア経
済をリセッション(景気後退)に陥れる恐れがあるが、金融政策を
引き締めなければルーブルの急落やインフレの高進につながりかね
ない。中銀はより柔軟な為替相場へ移行するさなかにあるため、差
し当たりルーブルの一段安は回避できそうにない。
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「最後通告」でクリミア緊張=ロシア軍1万6000人投入−ウク
ライナ
 【モスクワ時事】ロシア軍の占領が続くウクライナ南部クリミア
半島では3日、ウクライナ軍に対する「最後通告」をめぐり一段と
緊張が高まった。欧米が対ロ制裁検討を本格化させる中、ロシア側
は新たな兵力を投入して実効支配を着実に進め、欧米との対決の構
図も鮮明になってきた。
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謎の武装集団、民間軍事会社所属か=ウクライナ空港占拠の一団
 親ロシア派住民の多いウクライナ南部クリミア半島に2月末、突
如出現し、空港などを占拠した謎の武装集団について、ロシア政府
と契約関係にある民間軍事会社の要員であるとの見方が米国内の報
道で出ている。(2014/03/02-23:29)
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ロシアとウクライナに対話促す=クリミア危機でNATO
 【ブリュッセル時事】北大西洋条約機構(NATO)は2日、ブ
リュッセルで開いた大使級の緊急理事会で、ウクライナとロシア双
方に「対話を通じた平和解決を直ちに模索するよう求める」との声
明を採択、発表した。
 声明は「ロシアの対ウクライナ軍事行動は国際法違反だ」として
、ロシアに部隊撤収を要求。国連安保理か欧州安保協力機構(OS
CE)主導の「国際監視団」派遣を通じた危機の解決も呼び掛けた
。(2014/03/03-07:17)
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ロシア、ウクライナに軍事介入へ クリミア掌握図る
2014年3月2日01時03分
 ロシアのプーチン大統領は1日、親ロシア政権が崩壊したウクラ
イナ領内でロシア軍を活動させることへの承認をロシア上院に求め
た。上院はこれを承認。ウクライナ南部クリミア半島を中心にロシ
アの軍事介入が本格化する見通しだ。ウクライナの新政権や欧米は
激しく反発している。



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