4802.米政治の機能不全でデフォルトか?



米国は、10月に来年度予算が始まるが、この予算が通らないこと
と10月にも到達する連邦債務上限で国債が発行できない事態にな
ることの2つで、共和党茶会派と民主党の間で、またまた政治混乱
の危険がある。

共和党が制する下院では、医療保険改革(オバマケア)への予算打
ち切りを盛り込んだ暫定予算案がすでに可決されており、これをめ
ぐる両院での民主・共和両党の駆け引きが本格化している。

しかし、医療保険改革(オバマケア)は、オバマ大統領と民主党が
公約していたことであり、上院のリード民主党院内総務は25日夜
、オバマケアの延期や予算打ち切りを予算案に盛り込むことは断固
として受け入れないとした。また、オバマ大統領は拒否権を使う意
向である。

月末が近くなり政府機関閉鎖の可能性が高まるなか、下院民主党幹
部は、閉鎖回避と債務上限をめぐり共和党指導部から接触されてい
ないとし、協議が進まずに政府機関が閉鎖されることに懸念を示し
た。

共和党のベイナー下院議長のスポークスマンは「上院で法案が通過
した時点で対応する。それよりも前にあれこれ推測しても意味がな
い」と語った。

10月の政府機関閉鎖回避に向けた暫定予算案をめぐり、上院では
25日、予算案の審議を進めるための動議が全会一致で可決された。
上院は28日に暫定予算案の採決を行う予定。

25日に公表されたニューヨーク・タイムズ/CBSの世論調査で
も、政府あるいは共和党が自らの目的を達成に向けて予算案で合意
できず、政府機関が閉鎖に追い込まれる事態について、10人中8
人が容認できないと答えた。

この事態をバーナンキFRB議長は見越して、債券買い入れ縮小の見送
りを決めた。

続いて、ルー米財務長官は、10月17日に政府の手元資金はわず
か300億ドル程度になるとして、債務上限を現在の16兆7000
億ドルから引き上げるよう求めた。下院共和党は債務上限引き上げ
の条件として、医療保険改革法の1年先送りを求めていく方針を明
らかにし、数日中に採決を行いたいとの意向を示している。

しかし、米民主党のリード上院院内総務は26日、医療保険改革法
(オバマケア)の先送りを盛り込んだ連邦債務上限の引き上げ法案
は拒否する考えを明らかにした。

野党共和党が債務上限引き上げの交換条件として大幅な歳出削減を
要求していることで、しかし、これは福祉分野以外のあらゆる歳出
が既に切り詰められている以上、実行には無理があるだろう。さら
に踏み込むには、議会が年金や高齢者向け医療費などの極めて神聖
な領域までも歳出を減らさなければならい。

また、オバマケアという国民保険を共和党茶会は、この機会に葬り
さろうとしているが、人口的には中産階級より下のオバマケアの恩
恵を受ける人の方が多く、共和党は墓穴を掘っているような状況で
ある。

このため、共和党の上院議員の間では、予算案を可決できずに政府
機関の多くが閉鎖される事態を避けるため、審議を進めるべきだと
する声が大勢。共和党茶会クルーズ議員は「上院が眠っていた間も
、国民は(医療保険改革がもたらす)悪夢から解放されなかった」
などと批判を続けたが、同僚の大多数は距離を置いた。

投資家向けに政治分析を行うハミルトン・プレース・ストラテジー
ズのトニー・フラット氏は「各種の材料を総合して考えれば、(デ
フォルト回避の)合意が成立する可能性はどんどん低下している。
厳しい選択肢しか存在しない」と指摘した。

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏も、米議会は債務上限の
引き上げで合意しなければ「そうとう愚かだ」と述べ、長引く与野
党間の対立は憂慮すべきとの見方を示した。
政治家の無分別な行動は一定期間に限られると市場が見込む可能性
が高いことから、「相場が崩れることはないだろう」と指摘。それ
でも債務上限をめぐる協議こう着の可能性は「憂慮すべきだ」と語
った。

このような政治の混乱で、米国民は専門家が米経済の成長加速を予
想しているにもかかわらず、景気回復に懐疑的である。

さあ、どうなりますか?

しかし、心配なのが、軍事費のさらなる削減になり、米軍の能力が
大幅に制限されることである。このようなことになると日本にも大
きな影響を受けることになる。

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オバマケア先送り盛り込む米債務上限引き上げ法案は拒否=民主党
上院院内総務
2013年 09月 27日 04:40 JST
[ワシントン 26日 ロイター] - 米民主党のリード上院院内総
務は26日、医療保険改革法(オバマケア)の先送りを盛り込んだ
連邦債務上限の引き上げ法案は拒否する考えを明らかにした。記者
団に述べた。
下院共和党は債務上限引き上げの条件として、医療保険改革法の1
年先送りを求めていく方針を明らかにし、数日中に採決を行いたい
との意向を示している。
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米債務上限引き上げ27日にも下院採決、上院は暫定予算案で前進
2013年 09月 26日 14:39 JST
[ワシントン 25日 ロイター] - 共和党の下院指導部は所属議
員に対し、債務上限引き上げ法案の採決を27日にも行う可能性が
あると通知した。
一方、ルー米財務長官は、10月17日に政府の手元資金はわずか
300億ドル程度になるとして、債務上限を現在の16兆7000
億ドルから引き上げるよう求めた。
10月の政府機関閉鎖回避に向けた暫定予算案をめぐり、上院では
25日、予算案の審議を進めるための動議が全会一致で可決された。
上院は28日に暫定予算案の採決を行う予定。
共和党が制する下院では、医療保険改革(オバマケア)への予算打
ち切りを盛り込んだ暫定予算案がすでに可決されており、これをめ
ぐる両院での民主・共和両党の駆け引きが本格化する。
上院のリード民主党院内総務は25日夜の党の会合で、オバマケア
の延期や予算打ち切りを予算案に盛り込むことは断固として受け入
れない、との考えを改めて示した。
上院では暫定予算をめぐり保守運動ティーパーティ(茶会)系のク
ルーズ議員が前日から、オバマケア批判を中心に21時間19分に
わたりロングラン演説を行っていた。
月末が近くなり政府機関閉鎖の可能性が高まるなか、下院民主党幹
部は、閉鎖回避と債務上限をめぐり共和党指導部から接触されてい
ないとし、協議が進まずに政府機関が閉鎖されることに懸念を示し
た。
下院共和党は26日早くから、次の動きについて党内で協議すると
みられている。上院を通過した法案に下院がどのように対応するか
は不明。共和党のベイナー下院議長のスポークスマンは「上院で法
案が通過した時点で対応する。それよりも前にあれこれ推測しても
意味がない」と語った。
25日に公表されたニューヨーク・タイムズ/CBSの世論調査で
は、政府あるいは共和党が自らの目的を達成に向けて予算案で合意
できず、政府機関が閉鎖に追い込まれる事態について、10人中8
人が容認できないと答えた。
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米政治の機能不全、FRBが片棒を担ぐ
2013年 9月 26日 15:18 JST WSJ
 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は先週、政府機関
が閉鎖されれば「金融市場と経済に極めて深刻な結果をもたらしか
ねない」と述べ、債券買い入れ縮小の見送りを決めたのは予算案を
めぐる与野党対立の恐れが影響したことを明確にした。
 ただ、ワシントンにおける政治の機能不全や、それに伴う米国財
政の信認低下に、FRBが貢献していることについては触れなかった。
 それを認めるFRB高官はほとんどいないだろ …
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米債務「来月17日までに法定上限超え」
2013.9.26 13:10
 ルー米財務長官は25日、連邦政府が抱える債務について、一部
債券の発行停止など特別措置を続けても10月17日までに法定上
限を超える見通しを明らかにした。上限引き上げの権限を持つ議会
指導部への書簡で伝えた。上限を超えると米国債がデフォルト(債
務不履行)となり、世界の金融市場が大混乱に陥る懸念がある。書
簡によると、10月17日時点で手元資金は300億ドル(約3兆
円)未満となる見通し。政府が国債償還などの支払いができなくな
り「大惨事を招く」と指摘している。(ワシントン 共同)
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米野党議員、演説21時間=医療保険改革に反対
 【ワシントン時事】米野党共和党のテッド・クルーズ上院議員(
42)が、24日午後から25日にかけて議場で21時間超にわた
り演説し、オバマ大統領の進める医療保険改革に必要な資金を暫定
予算案に盛り込むべきではないと訴えた。記録が残っている1900
年以降、上院では4番目に長い演説となった。
 ただ、共和党の上院議員の間では、予算案を可決できずに政府機
関の多くが閉鎖される事態を避けるため、審議を進めるべきだとす
る声が大勢。クルーズ議員は「上院が眠っていた間も、国民は(医
療保険改革がもたらす)悪夢から解放されなかった」などと批判を
続けたが、同僚の大多数は距離を置いた。(2013/09/26-14:49)
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米国民は景気回復を疑問視、専門家の成長加速予想でも−BN
  9月24日(ブルームバーグ):米国民は専門家が米経済の成長
加速を予想しているにもかかわらず、景気回復に懐疑的であること
がブルームバーグの世論調査で分かった。
米景気拡大ペースが今後1年間により力強くなるとの回答は27%に
とどまり、3カ月前の39%を下回った。44%はほぼ同じと答え、28
%は悪化を予想した。
テキサス州デインジャーフィールドの傷痍軍人、クリス・サムズさ
ん(28)は「われわれにはまだ不況が続いている。終わったと言わ
れる理由が分からない」と話す。「1人当たりの所得が他の地域よ
りも高い首都ワシントンでは終了したかもしれないが、ここでは最
低賃金が最高の賃金だ」と語る。
9月20−23日の調査結果は米景気への国民の不満を浮き彫りにして
いる。ブルームバーグの集計データによれば、2009年6月のリセッ
ション(景気後退)終了以降の米経済成長率は平均2.1%と、過去50
年の平均を1ポイント下回っている。ブルームバーグのエコノミス
ト調査の予想中央値によると、今年は1.60%に減速し、来年は2.65
%に回復する見通し。
政治的対立
国民の経済に関する不満は、米国内の政治的対立への不信感増大に
もつながっている。回答者のうち米国が適切な軌道にあると答えた
のは25%と、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&
P)による米国の格下げから1カ月後の11年9月以来の低水準。68
%は誤った軌道に進んでいると答えた。
民主、共和両党は連邦予算や債務上限、医療保険改革法をめぐり論
争しており、政府閉鎖や債務不履行を引き起こしかねない状況だ。
こうした政治的混乱の中で、家計部門で大きな資金の動きを見込む
回答はほとんどなかった。
家計をやりくりするために負債を増やしたり資金を借りる計画はな
いとの回答が8割余りを占めた。また、経済的安定や家族の仕事の
保障、退職後の備え、投資、休暇や娯楽への支出に変化は見られな
いとの回答は4割を超えた。
今後1年の雇用情勢に関する楽観的な見方は6月調査時よりも後退
した。雇用改善の予想は36%で、前回調査の42%から減少。
住宅市場の改善の予測も減り、状況が良くなるとの回答は42%と、
3カ月前の調査の51%を下回った。
更新日時: 2013/09/25 09:59 JST
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焦点:現実味を増す米国のデフォルト懸念
2013年 09月 25日 12:40 JST
[ワシントン 24日 ロイター] - 米国では政治の機能不全によ
り、政府のデフォルト(債務不履行)という「考えられない」事態
が実現するのではないかとの不安が増しつつある。
議会が連邦政府債務の法定上限引き上げを承認しないと、来月にも
デフォルトが起きる可能性がある。議員らがそれが発生した場合に
どう乗り切るかを公然と語っているという今の状況に、古株の政府
関係者は驚きあきれている。
デフォルトが懸念されるのは、野党共和党が16兆7000億ドル
の債務上限引き上げの交換条件として大幅な歳出削減を要求してい
ることも理由の1つだ。これは福祉分野以外のあらゆる歳出が既に
切り詰められている以上、実行には無理があるだろう。さらに踏み
込むには、議会が年金や高齢者向け医療費などの極めて神聖な領域
までも歳出を減らさなければならず、一部の議員はいかにも気乗り
がしない様子を見せている。
投資家向けに政治分析を行うハミルトン・プレース・ストラテジー
ズのトニー・フラット氏は「各種の材料を総合して考えれば、(デ
フォルト回避の)合意が成立する可能性はどんどん低下している。
厳しい選択肢しか存在しない」と指摘した。
こうした中で最近数日の議会における議論は、債務上限問題に集中
する状況からは程遠い。むしろ月末で予算手当てがなくなる大半の
政府機関を当面運営し続けるための法案を競って承認している。
本来ならばウォール街に信頼感を与えることが仕事の1つであるは
ずのルー財務長官さえ、連邦政府が債務返済能力を維持していける
かどうか不安な心情を吐露した。
長官は先週開催されたある企業フォーラムで「債務上限問題を瀬戸
際に持っていきたいという(政治的な)欲求があることで、わたし
は落ち着かない」と語った。
シンクタンクのバイパーティザン・ポリシー・センターのアナリス
トで共和党員であり、かつて上院予算委員会のディレクターを務め
たスティーブ・ベル氏は、自身の40年に及ぶワシントン生活でデ
フォルトが起きるかもしれないとこれほど不安になったことはない
と話す。
同センターは10月18日─11月5日の間に政府のデフォルトが
始まると予想している。
<2011年より厳しい状況>
連邦債務上限が前回問題になった2011年にも、米国はデフォル
ト寸前の状況に陥り、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)
によるトリプルA格付けの引き下げにつながった。
当時は議会とホワイトハウスが今年から実施されている大幅な歳出
削減で合意に達して危機を脱したが、社会保障年金やメディケア(
高齢者向け公的医療保険制度)などのいわゆる「エンタイトルメン
ト・プログラム」はほぼ手つかずだった。
しかしもはや簡単に減らせる支出はすべて減らしてしまった今回は
、国庫が資金不足となる前に新たな財政引き締め合意にこぎ着ける
のはずっと難しくなるだろう。
ベル氏は合意が形成されるかどうかについて「2011年よりも不
安感は大きい」と述べた。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、米国の債
務1000万ドルに対する向こう5年間の保証料は約2万8000
ドルと、11年7月につけた過去最高の約6万3000ドルよりも
まだずっと低い。
それでも一部の投資家はデフォルトリスクを再評価し始めている。
世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ
を創設したレイ・ダリオ氏はリポートに「互いに相容れない意見の
相違が強固になりつつあるので、議会と大統領は時間切れを迎える
前に債務上限引き上げに関して合意に達しない可能性が高まってい
る」と記した。
ルー財務長官の態度は、一貫してデフォルトは「考えられない」と
主張していた2011年当時のガイトナー前財務長官とは好対照だ。
共和党議員の多くは、もし国庫資金が不足した場合は、他の支払い
義務よりも債権者への返済を優先する計画を支持。ホワイトハウス
はこうした計画には拒否権を発動すると言明している。
ワシントン政界のベテランによると、過去の世代の政治家ならばデ
フォルトの見通しについて真剣に検討することさえしなかっただろ
うという。
こうした情勢の変化はつまり、投資家がかつてまったく抱かなった
不安を醸成させる。これまで何十年も、米国が支払い不能に陥るこ
となどあり得ず、債務が返済されないリスクはゼロだと考えられて
きたのだ。
クリントン政権下で行政管理予算局(OMB)局長を務めたアリス
・リブリン氏も、現在ほどデフォルトリスクが高まった局面は目に
したことがないと述べた。
リブリン氏は「数年前なら『馬鹿を言ってはいけない。もちろん債
務上限は引き上げられる』と断言できたところだが、もはやだれも
そんな風に言えなくなっている」と様変わりした事態を描写した。
(Jason Lange記者)
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米議会、債務上限引き上げで合意しなければ「愚か」─バフェット氏
2013年 09月 20日 22:38 JST
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米著名投資家のウォーレン
・バフェット氏は、20日に放送されたCNBCとのインタビュー
で、米議会は債務上限の引き上げで合意しなければ「そうとう愚か
だ」と述べ、長引く与野党間の対立は憂慮すべきとの見方を示した。
政治家の無分別な行動は一定期間に限られると市場が見込む可能性
が高いことから、「相場が崩れることはないだろう」と指摘。それ
でも債務上限をめぐる協議こう着の可能性は「憂慮すべきだ」と語
った。
共和党の一部議員の間では、債務上限引き上げの見返りに医療保険
改革法関連予算打ち切りなどの譲歩を引き出そうとする動きがで出
ている。


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