4793.シリアの化学兵器廃棄への米ロの動き



フランスは10日、シリアに化学兵器の国際管理と廃棄を求める決
議案を一部の安保理メンバー国に提示、協議を始めた。しかし、常
任理事国のロシアが反対する意向を示した。

決議案は、シリア政権が使用したことを前提として、化学兵器の完
全廃棄とそれまでの厳格管理、関連施設の国連への速やかな公開を
求め、従わない場合は軍事行動に道を開く「国連憲章7章に基づく
さらなる措置」を取ると警告した。また、決議案はシリア政府に対
し、採択から15日以内に保有する全ての化学兵器を国連事務総長
に報告するよう求めている。

ロシアはシリア政権が使用したことを認めないので、この決議案を
認めなく、拒否である。

このため、国連安保理の常任理事国を務める米英仏中露5カ国の代
表は、シリアの化学兵器の国際管理案をめぐり、11日にニューヨ
ークで協議した。

そして、シリアの化学兵器を国際管理するとしたロシア提案につい
て11日、「われわれは提案を米国側に提示した」と。

また、ロシアのプーチン大統領は11日の米紙ニューヨーク・タイ
ムズ(電子版)への寄稿で、国連安保理の承認を得ないで米国がシ
リアに対する軍事行動を起こすのは国際法違反であり「侵略」だと
主張し、シリアを攻撃しないよう米国民に直接訴えた。

これらの動きに対して、米国中央情報局(CIA)がシリア反体制
派への武器提供を始めた。米政府は6月、反体制派への直接軍事支
援を実施すると表明したが、武器供与の事実はこれまでしていなか
った。これで米国はシリア内戦への関与を大きく深めたことになる。

要するに、ルトワックが提案したシリア内戦激化戦略に米国はシフ
トしたこと示す。

そして、シリアのアサド大統領は12日、自国の化学兵器を国際管
理下に移すことに同意すると表明した。そこで「米国がわれわれの
地域での真の安定を望み、攻撃すると脅すことをやめ、テロリスト
に武器の供給をやめて初めて、われわれは必要なプロセスを取るこ
とができると確信できる」と述べた。

また、ロシアの提案に同意した理由についてアサド氏は、「ロシア
の努力によって受け入れた。米国の脅しはわれわれの決定には、ま
ったく影響していない」と説明した。

国連のハク報道官は12日、国連がシリアから化学兵器禁止条約(
CWC)の加盟に関する文書を受け取ったことを明らかにした。ハ
ク報道官は記者団に対し、「シリアによる化学兵器禁止条約加盟申
請となる文書を受理した」と述べた。

そして12日、シリアの化学兵器の国際管理を協議する米ロ外相会
談が2日間の日程で始まった。だが外交努力が実を結ばなかった場
合、武力行使が必要になる可能性があると主張するケリー米国務長
官に対し、軍事攻撃の可能性を排除したいラブロフ露外相の間で、
冒頭から立場の違いが浮き彫りとなった。

オバマ米大統領は12日、このところ対応に追われていたシリア問
題から国内問題へと政府の優先課題をシフトする考えを示した。
今後注力する国内の優先課題としては、予算案、移民問題、医療保
険改革の実施の3点を上げた。

ただ3つの問題ともに、共和党の激しい抵抗が予想され、前途は多
難だ。とりわけ予算協議は期限が迫っており、月内に法案可決に持
ち込まなければ新会計年度が始まる10月から政府機関の窓口が閉
鎖に追い込まれる恐れがある。また10月半ばまでに連邦債務の法
定上限を引き上げで合意できなけれは、米国債がデフォルト(債務
不履行)となるリスクもくすぶる。

米国債がデフォルトになると、経済に大きな影響を受けることにな
るので、こちらに目を向ける必要がある。もう1つが、FRBの量的緩
和も予定に上がり、米国国内問題が国際経済に影響を与えることに
なる。

安全保障問題は、経済問題より上位であり、このコラムも安全保障
問題が出たときは、どうしても経済問題が遠さがることになる。

今後は、少しは経済問題を取り上げられることになるのか、米国、
中国、中東に注視する必要がありそうである。

さあ、どうなりますか?

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米ロ外相会談は冒頭から溝、米長官「シリア攻撃排除せず」
2013年 09月 13日 06:25 JST
[ジュネーブ 12日 ロイター] - スイスのジュネーブで12日
、シリアの化学兵器の国際管理を協議する米ロ外相会談が2日間の
日程で始まった。だが外交努力が実を結ばなかった場合、武力行使
が必要になる可能性があると主張するケリー米国務長官に対し、軍
事攻撃の可能性を排除したいラブロフ露外相の間で、冒頭から立場
の違いが浮き彫りとなった。
ケリー長官は「オバマ大統領は、外交努力が失敗すればアサド政権
の(化学)兵器供給能力を抑制し低下させるために、武力が必要に
なる可能性もあると明確にしている」と述べた。
一方、ラブロフ外相は「われわれは、この問題の解決策がシリアへ
のいかなる攻撃も不要にするという事実から進める」と指摘。「オ
バマ米大統領も述べているように、米国はシリア問題について平和
的解決策を模索すべきとの立場であると確信している」と述べた。
ケリー長官は、米政府は外交的解決策を模索するものの、依然懐疑
的な姿勢を崩していないとの立場を明確にした。
「これは駆け引きではない。冒頭でラブロフ外相にも話したが、本
物でなければならない。包括的かつ検証可能であり、信頼できるも
のでなければならない。適切な時期に実施されるともに、実施され
ない場合には、その結果どうなるかが盛り込まれる必要がある」と
主張した。
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国連、シリアから化学兵器禁止条約の加盟文書を受理
2013年 09月 13日 04:58 JST
[国連 12日 ロイター] - 国連のハク報道官は12日、国連が
シリアから化学兵器禁止条約(CWC)の加盟に関する文書を受け
取ったことを明らかにした。
ハク報道官は記者団に対し、「シリアによる化学兵器禁止条約加盟
申請となる文書を受理した」と述べた。
シリアのアサド政権は、米国による軍事介入回避に向けた措置の一
環として同条約の加盟を確約している。同条約は加盟国に化学兵器
の完全撤廃を要求するもので、非加盟国はシリアを含め7カ国とな
っている。
米国務省のハーフ副報道官は、シリアが化学兵器禁止条約加盟文書
を提出したことは、非武装化の代替とはならないとの立場を示し、
シリアの化学兵器の国際管理下への移管をめぐるロシアとの協議が
続けられている間は、武力行使の選択肢は排除されないと述べた。
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米大統領がシリアから国内問題に軸足移す、 予算協議は喫緊課題
2013年 09月 13日 03:45 JST
[ワシントン 12日 ロイター] - オバマ米大統領は12日、こ
のところ対応に追われていたシリア問題から国内問題へと政府の優
先課題をシフトする考えを示した。
大統領はホワイトハウスでの閣議を前に「シリア問題に多大な時間
を費やし、国際社会の目が同国で起きた惨事に向けられるよう努め
ているが、他にも政府が取り組むべき多くの課題があることを認識
することが重要だ」と述べた。
シリアの化学兵器を国際管理する計画については「(現在外相会談
を行っている)ケリー米国務長官とラブロフ露外相、その他の関係
者が具体的な結果を出すと期待している」とした。
今後注力する国内の優先課題としては、予算案、移民問題、医療保
険改革の実施の3点を上げた。
「向こう数週間に行われる予算案協議など、特定の問題に取り組ん
で行く」とし、「医療保険改革の実施についても話し合っていく」
と述べた。
ただ3つの問題ともに、共和党の激しい抵抗が予想され、前途は多
難だ。とりわけ予算協議は期限が迫っており、月内に法案可決に持
ち込まなければ新会計年度が始まる10月から政府機関の窓口が閉
鎖に追い込まれる恐れがある。また10月半ばまでに連邦債務の法
定上限を引き上げで合意できなけれは、米国債がデフォルト(債務
不履行)となるリスクもくすぶる。
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シリア、化学兵器引渡しは軍事介入撤回後に─アサド大統領=通信
2013年 09月 13日 03:26 JST
[モスクワ 12日 ロイター] - シリアのアサド大統領は、米国
が軍事介入の可能性を取り下げて初めて、化学兵器を国際管理下に
置くとのイニシアチブを実行すると述べた。
同大統領は国営ロシア通信(RIA)のインタビューで、「米国が
われわれの地域での真の安定を望み、攻撃すると脅すことをやめ、
テロリストに武器の供給をやめて初めて、われわれは必要なプロセ
スを取ることができると確信できる」と述べた。
また、シリアが化学兵器禁止条約に署名してから1カ月後に、化学
兵器に関する情報を提供し始めるとの方針を示した。
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アサド大統領 国際管理に同意 米国の脅しは関係ない
2013.9.13 00:24 sankei[政変・反政府デモ]
 【モスクワ=佐々木正明】シリアのアサド大統領は12日、ロシ
アの国営テレビ「ベスチ24」のインタビューに応じ、自国の化学
兵器を国際管理下に移すことに同意すると表明した。化学兵器を国
際管理する計画はロシアのラブロフ外相が9日に提案、ムアッリム
外相らアサド政権の高官が同意を表明していたが、アサド氏自ら明
言したのは初めて。
 アサド氏はまた、化学兵器禁止条約締結に向けた書類を国連に送
る用意がある、と述べた。
 ロシアの提案に同意した理由についてアサド氏は、「ロシアの努
力によって受け入れた。米国の脅しはわれわれの決定には、まった
く影響していない」と説明した。
 ロシアは提案実現に向けて、12日からジュネーブで行われる米
露外相会談で米国に受け入れを迫るとみられるが、シリア反体制派
武装組織「自由シリア軍」は12日までにロシア提案を拒否すると
表明している。
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シリア化学兵器、数千トンか=廃棄に4億ドル−ロシア専門家
 【モスクワ時事】ロシアの軍事専門家は12日、インタファクス
通信に対し、シリアの化学兵器保有量は数千トンに上る可能性があ
り、その廃棄には3億〜4億ドル(約300億〜400億円)規模
の費用を要するとの試算を明らかにした。
 ただ、試算は化学兵器の廃棄作業が順調に行われると想定したも
ので、テロ攻撃などで妨害された場合にはさらに経費がかさむとみ
られる。(2013/09/13-00:39)
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反体制派に武器供与開始=シリア内戦への関与拡大−米政府
 【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は11日
、中央情報局(CIA)がシリア反体制派への武器提供を始めたと
報じた。米政府は6月、反体制派への直接軍事支援を実施すると表
明したが、武器供与の事実はこれまで確認されていなかった。米国
はシリア内戦への関与を大きく深めたことになる。
 米当局者らの話によれば、支援の対象は、反体制派「国民連合」
の軍事組織、最高軍事評議会のイドリス准将配下の戦闘員。過去2
週間のうちに、米国務省が別途提供する車両や通信機器などと共に
、弾薬や小火器がトルコ、ヨルダン両国内の基地を通じシリアに届
き始めたという。
 ただ、反体制派の報道担当者はポスト紙に対し、米国の支援は戦
況を変えるほどのものではないと述べ、「長い戦いが待ち構えてい
る」と指摘した。(2013/09/12-12:35)
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安保理承認なしの攻撃は「侵略」 ロ大統領、米紙に寄稿
2013年9月12日 11時42分
 【ニューヨーク共同】ロシアのプーチン大統領は11日の米紙ニ
ューヨーク・タイムズ(電子版)への寄稿で、国連安全保障理事会
の承認を得ないで米国がシリアに対する軍事行動を起こすのは国連
憲章で許されない国際法違反であり「侵略」だと主張、シリアを攻
撃しないよう米国民に直接訴えた。
 オバマ米大統領が10日、米国民向けに行った演説を受けた形の
寄稿。プーチン氏は、シリアの化学兵器廃棄に向けたロシアの国際
管理提案で対ロ対話に関心を示したのを「歓迎する」と評価した。
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国連安保理の常任理事国代表、シリア化学兵器国際管理めぐり協議
2013年 09月 12日 02:59 JST
[国連 11日 ロイター] - 国連安保理の常任理事国を務める米
英仏中露5カ国の代表は、シリアの化学兵器の国際管理案をめぐり
、11日にニューヨークで協議する。外交筋が明らかにした。
フランスはこれまで、シリアのアサド政権が兵器引き渡しに適切に
応じない場合の懲罰的措置を盛り込んだ決議案草案を策定しており
、このフランス草案についても協議される見通し。
ただロシアはこれまで、フランス案について受け入れられないとの
立場を示している。
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露、国際管理提案を米側に提示
2013.9.12 00:41 [政変・反政府デモ]
 内戦が続くシリアの化学兵器を国際管理するとしたロシア提案に
ついて、同国筋は11日、「われわれは提案を米国側に提示した」
と述べた。スイスのジュネーブで12日に開かれるケリー米国務長
官とラブロフ外相の米露外相会談で審議される見通し。ラブロフ氏
が訪問中のカザフスタン発でタス通信などが報じた。
 提案内容などは伝えられていない。米露外相会談は12日午後に
行われる予定。(共同)
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保有化学兵器の報告15日以内に 仏作成の安保理決議案
2013.9.11 14:03 [政変・反政府デモ]
 国連安全保障理事会常任理事国のフランスは10日、シリアに化
学兵器の国際管理と廃棄を求める決議案を一部の安保理メンバー国
に提示、協議を始めた。ロイター通信によると、決議案はシリア政
府に対し、採択から15日以内に保有する全ての化学兵器を国連事
務総長に報告するよう求めている。
 決議案はまた、化学兵器の完全廃棄とそれまでの厳格管理、関連
施設の国連への速やかな公開を求め、従わない場合は軍事行動に道
を開く「国連憲章7章に基づくさらなる措置」を取ると警告した。
キャメロン英首相は10日、米国、英国、フランスが決議案を共同
提案すると語った。
 安保理は10日、緊急会合の招集をいったん決めたが、直後に延
期した。ロシアが開催を求めたが、安保理外交筋によると「文書づ
くりに合意できない」ことから先送りされた。(共同)
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ロシアは安保理決議に反対=フランス外相
 【パリ時事】フランスのファビウス外相は10日、シリアのアサ
ド政権に化学兵器の国際管理を求める国連安保理決議案に関し、常
任理事国のロシアが反対する意向を示したと明らかにした。ロシア
のラブロフ外相と電話協議後、仏議員に話した内容としてAFP通
信が報じた。
 AFP通信によると、ファビウス外相は決議案について、「ロシ
アは現時点で、拘束力のある決議に必ずしも熱心ではないと理解し
ている」と述べた。(2013/09/11-01:38)


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