4684.グルシアの現状と優先課題



昨日は、マイア・パンジキッゼ・グルシア外務大臣の講演会を聞き
にいった。去年10月にグルシアは政権交代があり、新政権での政
策はどうなるのかと思い、興味深く聞いた。

グルジアは、西アジア北端、南コーカサス地方に位置する共和制国
家。旧ソビエト連邦の構成国のひとつで、1991年に独立した。首都
はトビリシ。東ヨーロッパに含められることもある。南オセチアと
アブハジアが独立状態となっており、ロシアなど一部の国から承認
を受けている。

コーカサス山脈の南麓、黒海の東岸にあたる。北側にロシア、南側
にトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと隣接する。古来より数
多くの民族が行き交う交通の要衝であり、幾たびもの他民族支配に
さらされる地にありながら、キリスト教信仰をはじめとする伝統文
化を守り通してきた。また、温暖な気候を利用したワイン生産の盛
んな国としても知られる。

ウクライナの主導で発足したGUAMにも加盟している。とウィキペデ
ィア。

外務大臣の講演
グルシアは、2008年のロシアとの紛争後に対して、日本の支援をい
ただいている。GUAMの会合も東京で開催していただき、いろいろな
協力をいただいている。
今年も9月にGUAMと日本の会合を開くことになっている。

グルシア国民は、EUへの加入を希望している。西欧化、民主化、自
由化を目指すことは、政権が変わっても変わりがない。このため、
内政面で改革している。憲法も改正する。外交も変える。米国との
関係を強化する。EUへの加盟を目指す。それに加えて、ロシアとの
関係の正常化も目指す。

EUへの加盟を目指すので、EU加盟に必要な法律を整備している。ビ
ザも改正した。平和的な紛争の解決を目指す。安全保障をEUレベル
での解決をする。アブハチア、南オセチアについてもロシア占領を
平和的に解決する。

現在、ロシアとの外交関係はない。しかし、貿易などの面では正常
化を目指している。安全保障対話をロシアと行う。国境化が進んで
いるなど異常な事態に懸念している。しかし、国内避難民の帰還な
ども話題にしている。

難民などの問題で国際機関の支援が必要である。ジュネーブで交渉
もしている。停戦協定もしている。人道上での決議を提案している
が賛成国が増えている。2010年では57ケ国が2012年60ケ国が賛成し
ていただいた。今後も支援をお願いしたい。

(Q&A)
Q1:グルシアはヨーロッパとアジアを結ぶ地域であり、現在はBTCパ
イプラインが話題にあっているが、グルシアのエネルギー安全保障
について教えてください。
A1:シルクロードの中間地点という過去があり、自国はトランジッ
ト国という定義をしている。BTCパイプラインはバクーとトビシリを
通りジェイハンまでを結んでいる。バクーとスプサを結ぶパイプラ
インなど3本のパイプラインがある。近隣諸国との協力が必要であ
る。

もう1つ、中央アジアへの鉄道がある。この鉄道でアフガニスタン
にNATO諸国は軍事物資を運んでいる。このため、トルコ、アゼルバ
イジャンはもちより、中央アジア諸国との関係は良好である。
今後、EUのエネルギー共同体に加入したいと思っている。

Q2:グルシアの宗教はどうなっていますか?
A2:キリスト教が80%で、グルシア正教である。イスラム教は20
%である。

Q3:領土問題を抱えているとEUへの加入は出来ないと思いますが、
どうでしょうか?
A3:当分、加盟はできないと思います。クロアチアの次を目指す。
領土保全が先になる。民主的で豊かな国になることで、アブハジア
も南オセチアの人たちも戻ってくるはず。このため、1つ1つづつ
、着実に行動していく。

Q4:アブハジアや南オセチアの人たちは、現在どう思ってるのです
か?
A4:ここから40万人もの避難民が来ている。今いる人たちがどう
いう意見であるが分からない。占領地域であるために、この人たち
は、こちらに来れない。特に南オセチアのツビンバリでは医療がな
い。このため、グリシアの街にくることが必要であるが、国境線で
止められている。

Q5:日本人は何を支援すれば良いのですか?
A5:人と人の交流が必要である。もう1つ、国名を変えて欲しいと
日本政府に要望している。英語名はジョージアGeorgia、日本語では
グルジアと表記されるが、グルジア語ではサカルトヴェロという。
すくなくても、英語名のジョージアとして欲しいと思う。

Q6:「グルシアの夢」が勝った理由は何ですか?(NHKの石川一洋)
また、アブハチアなどとの交渉はどうなっていますか?
A6:与党「国民運動」に欠点があった。2007年11月の野党デモの鎮
圧を期にグルジア全土で非常事態宣言が発令され、民主化が後退し
た。また腐敗もあり、国民が愛想を尽かした。
しかし、価値観は同一であり、国民の要望である。

ジュネーブでのアブハチアなどと交渉している。さらなる対話が必
要であり、今後も国際機関の仲介が必要。

Q7:チェチェン紛争の政策はどうなっていますか?
A7:北コーカサスの紛争に対しては良くないことであると思ってい
る。チェチェン人が避難民となってグルシアに来ている。しかし、
この件でロシアとグルシアとの関係が悪化することはない。近隣の
ロシアの自治州、自治共和国の人たちはビザなしでグルシアに来る
ことができる。

Q8:ロシアのCIS、関税同盟には加盟する気はないのですか?
A8:ありません。EU、NATOへの加盟を目指します。
しかし、CISや関税同盟に加盟している近隣諸国とは、2ケ国関係を
友好にする方向です。

==============================
グルジア外相:露との関係改善、ソチ五輪が次のステップに
毎日新聞 2013年05月23日 19時01分
 来日中のパンジキゼ・グルジア外相が23日、毎日新聞などのイ
ンタビューに応じ、2008年に軍事衝突したロシアとの関係改善
について、「グルジア選手団も参加する(来年2月の)ロシアでの
ソチ五輪が次のステップになる」との見通しを示した。イワニシビ
リ首相ら主要閣僚が五輪時にソチ入りする可能性も示唆した。

 昨年10月発足したイワニシビリ首相の内閣は、経済分野などで
ロシアとの2国間協議を再開。今年3月にはロシア側が7年ぶりに
グルジア産ワインの輸入を認めた。外相は「こうした進展を安全保
障面の協議にもつなげたい」と語った。一方、欧州連合(EU)と
北大西洋条約機構(NATO)へは「早期加盟を目指す方針に変わ
りない」と強調した。【真野森作】
==============================
グルジア:大統領派幹部を次々摘発 首相派と対立深まる
毎日新聞 2013年05月25日 19時02分(最終更新 05月25日 22時26分)
 【モスクワ大前仁】旧ソ連のグルジアで、サーカシビリ大統領派
と、昨秋の議会選で勝利した反大統領のイワニシビリ首相派の対立
が深まっている。検察当局は、大統領派幹部を次々と摘発しており
、欧米諸国は懸念を示している。

 グルジア検察は21日、サーカシビリ派政党「統一国民運動」の
書記長のメラビシビリ前首相を汚職容疑で逮捕した。昨年の議会選
の際に社会保障基金520万ラリ(約3億円)を流用したほか、不
動産を横領した疑い。大統領派の元保健・労働・社会保障相も基金
を流用した疑いで逮捕された。

 サーカシビリ大統領は逮捕について「政治的な決定でないという
幻想を抱くことはできない」と述べ、現首相側が検察当局へ圧力を
かけたと主張。イワニシビリ首相は「政治的な迫害ではない」と反
論した。欧米諸国は昨秋以来続く、大統領派の元閣僚や軍高官の逮
捕に懸念を示している。

 グルジアではサーカシビリ氏が退任する今年10月に大統領選を
行う予定。選挙後に施行する憲法改正で大統領職は象徴的な役割と
なるが、選挙はサーカシビリ、イワニシビリ両氏の権力争いとして
注目されている。首相が率いる与党連合「グルジアの夢」が今月中
旬、マルグベラシビリ第1副首相・教育科学相を大統領候補として
擁立するなど、選挙をめぐる動きも本格化している。


コラム目次に戻る
トップページに戻る