4682.日本が仕掛ける包囲網を破れない中国



インドに5月始めに日本の麻生副首相が訪問して、安全保障会議を
継続的に行うことが決まった。この日印安全保障協力を結んだこと
で、中国はインドのカシミール地方で中国人民解放軍が実効支配線
を越えて駐留し、インドに日本との安全保障協定は中国包囲網であ
り、危険であると思わせようとしたようである。

しかし、そのすぐ後に中国の李克強首相がインド訪問するので、イ
ンドとの国境問題の解決に向けた協議も進め、包囲網を破ることが
目的という見方を注視したが、残念ながら、インドは中国により強
く違和感を持ったようである。

中国側が目指したカシミール地方での国境防衛協力協定への調印も
議題にさえならず見送られた。

会談で李首相は中印友好を強調したが、シン首相は「両国関係の基
礎は国境地域の平和にある」との不満や対中貿易赤字への懸念を表
明した。

このため、20日付のインド紙インディアン・エクスプレスは、「
インドが対中封じ込め戦略にくみしていないのに、中国はパキスタ
ンに核エネルギーやミサイルで協力し不均衡が生じている」とした
上で、「インド政府は現在の対中外交を捨て去るべきだ」と政府の
全方位外交路線を批判する専門家の見方を紹介した。ほかのメディ
アも対中外交の見直しを求める意見を載せた。

インド海軍は米国からPー8ポセイドン早期警戒機を入れることが決ま
り、中国のインド洋進出に備える方向である。日本はP3Cの次期早期
警戒機は、独自開発のP-1早期警戒機になる。

李克強首相は、党中央軍事委員会のメンバーでもなく、中央外事工
作領導小組のメンバーでもないので、国境問題をインドと交渉する
権限もない。軍と政府が両立していて、相手をコントロールできな
い。戦前の日本と同じような2元外交になり、中国の外交は、形を
成していない。

中国は内部を向く軍部、習近平などの太子党・上海閥と外交をする
団派・政府の権力闘争で、世界から嫌われることになりそうである。

米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席の会議が予定されたが
どうなりますか?

==============================
印、中国軍越境に不満表明 首脳会談 貿易促進では共同声明
2013.5.21 06:57 sankei
 【ニューデリー=岩田智雄】インドを初訪問した中国の李克強首
相は20日、シン印首相と会談した。会談で李首相は中印友好を強
調したが、シン首相は両国が領有権を争うカシミール地方で中国人
民解放軍が最近、実効支配線を越えて駐留したことへの不満や対中
貿易赤字への懸念を表明。最近のぎくしゃくした関係を反映した形
となった。

 会談後、両政府は貿易と投資の促進や国境問題の平和的解決を図
る共同声明を発表した。両国間の昨年の貿易は665億ドル(約6
兆8200億円)で、2015年までに1千億ドルに拡大すること
を目指している。インド側の対中赤字は昨年、290億ドルに及び
、インド側は貿易不均衡を是正したい考えだ。

 共同記者会見でシン首相は、中国軍のカシミール地方での越境行
為について「両国関係の継続的な成長と拡大は国境での平和と平穏
を基本としている」と述べ、中国を牽(けん)制(せい)した。ま
た、李首相に対中貿易赤字への懸念を伝え、中国市場でのインドか
らの輸出品と投資の受け入れ拡大を求めた。さらに、インドの北東
部を流れるブラマプトラ川の上流の中国内で計画されるダムについ
ても、インド側に影響を及ぼさないよう要請した。

 一方、李首相は「両国は戦略的な信頼関係の構築で合意した」と
インドとの友好関係を強調。カシミール地方の越境問題について「
両国間に難しい問題があることは否定しない」と述べ、「解決され
るまで平和を維持することでシン首相と合意した」と応じた。

 中国は東で日本やベトナム、フィリピンとの間で緊張が高まって
いることを受け、西のインドに友好ムードを強く打ち出し、李氏は
首相就任後、初の外国訪問先にインドを選んだ。しかし、インド側
では中国軍の越境行為に対する不満が高まっていた。このため、中
国側が目指したカシミール地方での国境防衛協力協定への調印も議
題にさえならず見送られた。

 20日付のインド紙インディアン・エクスプレスは、「インドが
対中封じ込め戦略にくみしていないのに、中国はパキスタンに核エ
ネルギーやミサイルで協力し不均衡が生じている」とした上で、「
インド政府は現在の対中外交を捨て去るべきだ」と政府の全方位外
交路線を批判する専門家の見方を紹介。ほかのメディアも対中外交
の見直しを求める意見を伝えている。
==============================
領土問題、対話継続で一致=「世界経済のエンジン」へ協力拡大
−中印首脳
 【ニューデリー時事】就任後初めての外遊先としてインドを訪問
中の中国の李克強首相は20日、ニューデリーでシン首相と会談し
た。シン首相は共同記者会見で「両国関係の基礎は国境地域の平和
にある」と強調。李首相も「われわれは親密な隣人で、互いの国益
を損なうことはしない」と明言し、領土問題の平和的解決を目指し
、対話を継続することで一致した。
 シン首相は両国が領有権を主張するカシミール地方について「双
方が受け入れられる公平かつ妥当な解決策を探る」と述べ、近く代
表団による協議を再開すると約束した。同地方をめぐっては4月、
実効支配線を挟んで両国軍がにらみ合いを続け、緊張が高まってい
た。
 また、経済・貿易協力拡大の重要性も確認。李首相は「世界人口
の3分の1を占める両国が共に発展すれば、アジアの力となり、世
界経済をけん引するエンジンとなる」と力を込めた。
(2013/05/20-19:43)
==============================
インド首相、中国の李首相にカシミール地方での最近の対立を懸念
と伝達=関係筋
2013年 05月 20日 14:34 JST 
 [ニューデリー 19日 ロイター] インドのシン首相は19
日、訪印している中国の李克強首相に対し、ヒマラヤのカシミール
地方をめぐる最近の対立が両国関係に影響を及ぼしたと述べた。

 李首相は、首相就任後初の外遊先としてインドを訪問した直後に
、シン首相と会談した。

 会談内容を知るインド政府高官によると、シン首相は、国境の「
平和と安定」が影響を受け、両国関係に響いたと述べた。

 シン首相は、係争地域であるカシミール地方をめぐり、今月3日
までの3週間にわたって両国の軍が対峙したことを念頭に発言した
という。

 両国は国境を画定できておらず、およそ半世紀前には紛争も発生
した。両国ともに軍事的なプレゼンスを維持しているほか、しばし
ば係争地域のパトロール活動を行っている。

 シン首相はまた、対中貿易赤字が290億ドルに達していること
について、バランスをとる方策を見出すことが重要だと指摘したと
いう。

 関係筋は、シン首相に対する李首相のコメントは分からないとし
ている。

 中国国営の新華社は19日、李首相がインドに到着したことを受
け、中国とインドは貿易や農業、環境、文化に関する合意文書に調
印する見通しだと伝えた。

 李首相は22日にインドを離れ、パキスタン、スイス、ドイツを
訪問する予定。
==============================
中国首相が訪印=領有権問題、経済協力を協議
 【ニューデリー時事】中国の李克強首相が19日、ニューデリー
を訪問した。就任後初めての外遊で、インドのシン首相やクルシー
ド外相らと会談、領有権問題や経済協力などについて協議する。
 中国、インド両軍は4月、双方が領有権を主張するカシミール地
方でにらみ合い、緊張が高まった。今回の首脳会談では、領土問題
解決に向けた協議を加速させることを確認するとみられる。
 中国側は両軍間の対話促進などを盛り込んだ「国境防衛協力合意
」を提案。しかし、今回の訪問で合意に達するのは難しい見通しだ
。(2013/05/19-19:13)
==============================
インド、「国境」警戒強める 中国首相訪問前に
2013.5.17 22:56 sankei
 【ニューデリー=岩田智雄】インドは中国の李克強首相の公式訪
問を機に、両国の経済関係強化を図るだけでなく、国境問題の解決
に向けた協議も進めたい考えだ。しかし、カシミール地方のインド
支配地域で4月中旬から約3週間続いた中国人民解放軍の駐留が、
インド側に中国の外交戦略への警戒心をいっそう強めさせる結果に
なっている。

 インドのクルシード外相は中国を訪問して事前調整などを行った
後の11日に記者会見し、李首相の訪印時に、インドが対中貿易で
抱える大幅赤字の削減などが議題になると述べた。ただ、インドに
とって、対中関係における喫緊の課題は経済問題だけではない。

 印メディアによれば、両国が領有権を主張するカシミール地方や
、国境未画定のアルナチャルプラデシュ州で衝突を回避するための
協力についても話し合われる。この協力は中国側が提案したもので
、合同警戒活動などが含まれるという。

 しかし、インド側はカシミール地方で中国軍の侵入を受けて間も
ないだけに、対中協力については慎重だ。PTI通信は、李首相の
インド滞在中に、衝突回避のための協力で両国が調印することはな
いとの見通しを伝えている。

 インドのシンクタンク、防衛研究所所長で元国家安全保障評議会
員のアルビンド・グプタ氏は、カシミール地方で中印両国の緊張が
高まった事態を受け、「不確実性の暗雲が両国間に今後、長い間垂
れ込めるだろう」と推測している。

 インド側は、中国が首相の初訪印の直前という時期にこうした事
態を引き起こした真意を測りかねているが、グプタ氏は、今回の中
国軍の侵入を「中国の圧力外交の一環だ」と指摘。「行動は計算さ
れたもの」で、「まず問題を起こし、適当な時期に解決することで
、インドを受け身に回らせることに成功した」と分析する。

 また、「中国には李首相の訪印前に、国境問題で妥協するつもり
はないとのメッセージをインド側に送るという強い判断があったの
だろう」との見方を示している。


コラム目次に戻る
トップページに戻る