4663.質問:安倍政権の歴史見直し



Fさん
 
はじめまして。selfbelayと申します。いつも、国際戦略コラムを参
考にさせていただいております。

「NO4659.安倍政権の歴史見直しを懸念」について、もう少
しFさんのお考えをご教示いただけたら、と思うところがあり、質
問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
Fさんが「過去の歴史修正で日本の現在、将来の国益を毀損しては
、何のための歴史見直しか分からない。」と言われるのは、その通
りだと思いますし、「今、同盟国の米国や韓国が嫌う歴史見直しを
することは、同盟を棄損するために危険である。日本が世界の覇権
国家になったときにしか歴史見直しはできない。」ことも事実だと
思います。
 
しかし、私がFさんのお考えを伺いたいのは、対米関係上タブーと
するべき「歴史認識」と、韓・中の思惑通りの「歴史認識」は、同
一なのか?ということであります。
 
それを合致させる方向で米国のコンセンサスを得ようとするのが韓
・中であり、その差異を明確にすることが、日本の国益ではないの
かと考えます。
両者の差異を座標軸上に捉えることなく、「歴史見直し」は危険と
言ってしまうと、結果的には韓・中の思惑を受け入れることになる
のではないか?というのが、私の懸念であります。
 
少なくとも、世界史的状況としての帝国主義的国家関係の、ひとつ
の事実としての日本による朝鮮植民地化と、ナチス的なホロコース
ト、即ち人類に対する絶対悪としての民族的犯罪の峻別を、日本は
米国に同意させる努力を払う必要があります。
それなくしては、韓・中に、ドイツと日本の「反省」のあり方の差
異を、常に持ち出されることとなるし、ドイツと同次元の「反省」
をとらない日本の正当性は認められない訳であります。
 
韓国は、日本をナチスと同列化し、日本を「歴史認識」を通じて世
界史的次元で、絶対悪として固定化しようとしています。日本は、
米国の歴史認識を変えさせるのではなく、米国の「歴史認識」を、
日本の国益にかなう方向で補完し、同意を得ていくことに、もっと
真剣であるべきではないでしょうか。
Fさんのお考えをお聞かせいただければありがたく、ご教示お願い
いたします。   20130501 selfbelay
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(Fのコメント)
歴史的な事実の修正は、両国の歴史家が協議していて、その結果を
公表することは良いことです。両論併記や事実の証拠も両方で出す
ことが重要でしょうね。

このような両国の専門家が両論併記での歴史的な事実の上に、日本
はこう考えるということは必要でしょうね。

南京虐殺などは事実として誇張されていることが日本側から見ると
見え、おかしいと思うのですが、中国は政治と歴史が一体であり、
妥協できないようです。この場合でも両論併記で、それを読んだ読
者が判断できるようにするしかない。それも英語で、地道に行うこ
とですが、日本政府は、歴史的な事実の宣伝を戦後怠ってきた。
中国は蒋介石時代から積極的に日本が悪いという宣伝を一貫して行
なっている。努力をしている。

しかし、日本は欧米の歴史観変更の努力をしていないし、戦争の当
事者がいる時代は無理がある。米国のテレビを見るとまだ、第2次
大戦で最初の東京空爆をしたパイロットを讃える番組をしている。

しかし、このような積み上げの上に、欧米も納得してもらう努力の
上に歴史の事実を変えるしかない。

しかし、日本は大東亜戦争を正義の戦いで植民地支配のアジアを開
放するためと定義したら、ドイツ同盟軍として日本は侵略戦争をし
たと規定している欧米の論理に挑戦することになり、大きな摩擦が
起きるでしょうね。

また、慰安婦問題でも、インドネシアでオランダの女性を無理やり
娼婦にしている事実があり、これを日本は戦後認めて賠償をしてい
る。この関係で韓国は論じているので、非常に難しい問題であると
見ます。

丁寧に、別案件として事実を積み上げることであり、欧米の納得が
得られるまでは、河野談話を見直さないことでしょうね。

村山談話、宮沢談話は、それ以上に日本が悪いという見直しをする
なら別であるが、日本は正しいという見直しは絶対にできないと思
います。

どちらにしても、日本が覇権国にならないと、本格的な歴史の見直
しはできない気分ですね。



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