4391.シリア内戦状況に



トルコ偵察機は、シリアのロシア・タルトース海軍基地の情報を集
めるために、旋回していて撃墜されたようである。徐々にトルコ機
の行動が分かり、トルコに不利になっている。

このため、トルコのアルンチ副首相は25日、シリアによるトルコ
軍機撃墜事件について、「国際法の枠内で処理すべきで、われわれ
には戦争を起こす意図はない」と述べ、軍事的な報復は行わない意
向を表明した。

また、トルコはNATO会議を招集したが、会議後、ラスムセン事
務総長は「シリアの行動は容認できない」と強く非難したが、集団
的自衛権に基づく軍事介入については否定した。規約5条は発動し
ないとした。欧州連合(EU)は28、29の両日の首脳会議で、
市民弾圧を続けるシリアのアサド政権を非難する声明を採択する方
針であるが、戦闘には参加しないこととなった。

一方、トルコやNATOとの戦闘を覚悟して、シリアのアサド大統
領は23日、ヒジャブ首相の新内閣を任命したが、内政相、外務相、
国防相は留任した。完全な戦争内閣の組閣である。

トルコやサウジアラビア、カタールなどが、トルコとシリアの国境
地帯から反体制派自由シリア軍に自動小銃や手榴(しゅりゅう)弾
、対戦車ミサイルなどを供与しているが、米国は衛星写真などを基
にしたシリア政府軍の動向に関する情報を提供し始めた。

その上に、サウジアラビアとカタールが、内戦状態にあるシリアの
反体制派武装組織「自由シリア軍」の戦闘員らに「給料」を支払っ
ているという。イスラム教の1%喜捨の金は大きく、スンニ派信徒
を守るために使われるが、この資金がトルコ経由で自由シリア軍に
提供され始めた。

この給与が出たことで、シリアのアサド政権側の軍の将官1人を含
む軍人約40人が集団離反し、24日夜にトルコ南部にある反体制
派武装組織「自由シリア軍」の拠点に合流した。

これで、米国は武器供給を担当し、サウジアラビアとカタールは資
金、トルコは技術支援と武装勢力のための基地を提供するという体
系できた。

この体系とイスラム教スンニ派の義勇兵が反政府自由シリア軍に大
量に志願して、攻撃を開始した。シリアの首都ダマスカス近郊クッ
ジーヤにあるアサド政権の精鋭部隊・共和国防衛隊本部近くで26
日、政府軍と反体制派が衝突した。反体制派による首都近郊での戦
闘ができることになっている。これを平行して、全国各地で戦闘が
起こっている。

シリアのアサド大統領は26日、先に発足したヒジャブ内閣の閣議
に出席、「あらゆる角度から見てわれわれは真の戦争状態にある」
と宣言した。反対に米国は、「最近の相次ぐ軍高官の亡命からも、
アサド政権は徐々に支配力を失いつつあるのは明らかだ」との見方
を示した。

このため、ラズース国連事務次長は、現地情勢は依然危険で、停戦
監視団が活動を再開できる状態ではないと説明した。反政府軍の体
系整備のための監視団の時間稼ぎは不要になったと宣言したような
ものである。

NATO軍の航空支援がなくても、シリア政府軍は比較的弱く、ス
ンニ派諸国の義勇兵でシリア政府軍を圧倒できると言うことのよう
である。

ロシアの動向が気になる。ロシアは、すでにシリア内戦時、シリア
救済のために、部隊を編成している。この部隊の一部がタルトース
海軍基地に到達しているはず。この部隊がどう出てくるか、それが
今後のシリア情勢を左右する。またリビアと同様にロシアが放置す
ると、ロシア友好国を失いことになる。

さあ、どうなりますか?

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EU首脳、シリア非難へ=声明案
 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は28、29の両日の首
脳会議で、市民弾圧を続けるシリアのアサド政権を非難する声明を
採択する方針を固めた。同国の反体制派に対しては、民主化に向け
て結束を呼び掛ける見通し。(2012/06/27-08:11)
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監視団、活動再開できず=関係国は30日の会合調整−シリア
 【ニューヨーク時事】国連安保理は26日、アサド政権と反体制
派の戦闘が続くシリア情勢で非公開会合を開いた。外交筋によると
、出席したラズース国連事務次長は、現地情勢は依然危険で、停戦
監視団が活動を再開できる状態ではないと説明した。監視団は今月
16日、暴力激化を受け活動の中断を発表した。
 会合には、アナン国連・アラブ連盟特使を支えるキドワ次席特使
もテレビ会議形式で参加。アナン氏が30日にジュネーブでの開催
を調整している関係国会合では、政権移行の進め方など具体的項目
で合意する必要があると訴えたという。(2012/06/27-06:01)
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アサド政権の弱体化顕著=シリア会合調整進む−米
 【ワシントン時事】カーニー米大統領報道官は26日、記者団に
対し、シリア国内でアサド政権と反体制派の衝突が首都ダマスカス
に接近していることを受けて「最近の相次ぐ軍高官の亡命からも、
アサド政権は徐々に支配力を失いつつあるのは明らかだ」との見方
を示した。
 同報道官は、「アサドは必死になって権力にしがみついている。
その結果、数千人のシリア市民が犠牲になっている」と批判。また
、シリアによるトルコ軍機撃墜事件に関しては「われわれはトルコ
を支持している」と強調した。
 一方、国務省のヌーランド報道官は同日、アナン国連・アラブ連
盟特使が6月末の開催を目指すシリア関係国会合について「結論は
出ていないが、(開催の合意に)近づきつつある」と指摘し、調整
が進んでいることを示唆した。(2012/06/27-06:55)
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シリア大統領「真の戦争状態」=総動員命令、首都近郊で激戦
 【カイロ時事】シリアのアサド大統領は26日、先に発足したヒ
ジャブ内閣の閣議に出席、「あらゆる角度から見てわれわれは真の
戦争状態にある」と宣言した。さらに、「戦争状態にあるとき、全
ての政策やあらゆる組織、部門は戦争の勝利に向けて動く必要があ
る」と述べ、総動員態勢で反体制派を壊滅させるよう命じた。
 アサド大統領がここまで踏み込んだ表現で危機感をあらわにした
のは初めて。一方、大統領は、西側諸国からの退陣要求について、
「(西側は)収奪するばかりで与えることがなかったのはあらゆる
機会に証明されている」と述べ、改めて拒否した。
 在英人権団体「シリア人権監視団」によると、首都ダマスカス郊
外の精鋭部隊、共和国防衛隊の本部付近では26日、政府軍と反体
制武装組織が激しく交戦した。同監視団代表はAFP通信に「首都
に近い場所で初めて大砲が使われた。首都近郊での最も激しい戦闘
であり、重大な情勢の進展だ」と語った。(2012/06/27-06:46)
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シリア首都近郊、これまでで最大級の戦闘

 【カイロ=貞広貴志】シリアの首都ダマスカス近郊クッジーヤに
あるアサド政権の精鋭部隊・共和国防衛隊本部近くで26日、政府
軍と反体制派が衝突した。
 また、首都中心部から10キロ・メートル以内の複数の町でも戦
闘があった。反体制派によると、首都近郊での戦闘としてはこれま
でで最大級で、シリア全土ではこの日、少なくとも62人が死亡し
たという。
 シリア国営通信は、ダマスカスと隣国レバノンの首都ベイルート
をつなぐ幹線道路が「武装テロリスト」により一時封鎖されたが、
政府軍が反攻、その多くを殺害し、対戦車ロケット弾など大量の武
器を押収したと報じた。
(2012年6月27日01時10分 読売新聞)
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シリアへの軍事介入否定 トルコ軍機撃墜事件でNATO
2012年6月26日21時26分

 トルコ軍機がシリア軍に撃墜された事件で、北大西洋条約機構(
NATO)は26日、トルコの求めで緊急の大使級会合を開き、対
応を協議した。会合後にラスムセン事務総長は「シリアの行動は容
認できない」と強く非難したが、集団的自衛権に基づく軍事介入に
ついては否定した。

 ラスムセン氏は「各国が強い結束でトルコを支援する意思を表明
した」と述べた。NATOの条約第5条では、同盟国が攻撃を受け
た場合に集団的自衛権を行使できるが、ラスムセン氏は「第5条は
議論しなかった」と述べた。NATOとして、今後の事態を注意深
く監視するとしている。

 緊急会合は、同盟国の安全が脅かされた場合、いつでも協議を求
められるという条約第4条に基づき、トルコが要請した。第4条に
よる会合の招集は、2003年2月以来となる。
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シリアに対する国際的陰謀
26.06.2012, 20:37ロシアの声

23日、アラブ諸国のうちある国の外交筋が匿名で記者らに明らかに
したところによれば、米国、サウジアラビア、カタール、トルコは
シリアでの反政府勢力への支援で役割分担を行ったという。米国は
武器供給を担当し、サウジアラビアとカタールは資金、トルコは技
術支援と武装勢力のための基地を提供するという。またトルコには
米CIAの職員らも活動しており、シリア武装勢力への武器供給を
指揮している。
つまり外交レベルでシリアに対する国際的企みの事実が明らかにな
ったと指摘するのは、専門家のヴィクトル・ナデイン=ラエフスキ
ー氏だ。

−「大きな中東」の再編が進んでいます。この計画はブッシュJr
.政権の頃から明らかになっていました。第一段階ではイラクだけ
で、他の国々は破滅を逃れることが出来ました。米国の同盟国も地
域では少なかったのです。しかし米国は計画を変更し、主要な目標
は50年代から70年代に建国された世俗国家となりました。そうなれ
ば世俗国家の存在を脅威と考えていた親米的な君主諸国が同盟国に
なりました。アラビアの親米政権に反対する運動は世俗的、民主的
なスローガンのもと行われていたからです。しかし結果としては保
守的な勢力が政権につきました。シリアは米国の影響下にない、世
俗的な共和国です。それゆえに、米国とアラブの君主国とが非公式
な同盟を組んで、戦争が仕掛けられたのです。

シリアはまた、戦略的なルートが交差する地政学的に重要な位置に
存在している。しかしそれだけが原因ではないと、評論家のエヴゲ
ニー・エルモラエフ氏は述べている。

−米国はシリアの武装反対派勢力に資金を提供するわけではありま
せん。資金提供は他の国が分担します。一方で、シリアの政権が崩
れた場合には、米国にとっての経済的利益はとても大きなものです。
米国製武器の購入先は主に中東です。サウジアラビアだけでも米国
から最近、約300億ドルの武器を購入しています。イラクは米国から
150億ドルの武器を購入しました。シリアはいまのところ米国の顧客
ではありませんが、シリアの武装反対派勢力は政権につけば、誰か
ら何を買うべきかというのはちゃんと心得ていることでしょう。
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トルコ副首相、戦争の意図なし=シリア、捜索機にも攻撃か
 【エルサレム時事】トルコのアルンチ副首相は25日の記者会見
で、シリアによるトルコ軍機撃墜事件について、「国際法の枠内で
処理すべきで、われわれには戦争を起こす意図はない」と述べ、軍
事的な報復は行わない意向を表明した。ロイター通信が伝えた。
 ただ、トルコはシリアへの電力供給停止などを事件への対抗措置
として検討しており、両国の緊張関係が早期に沈静化するのは困難
とみられる。(2012/06/26-06:50)
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シリア将官ら40人集団離反 反体制派に合流
2012.6.25 22:50
 【カイロ=大内清】トルコからの報道によると、内戦状態にある
シリアのアサド政権側の軍の将官1人を含む軍人約40人が集団離
反し、24日夜から25日にかけて、トルコ南部にある反体制派武
装組織「自由シリア軍」の拠点に合流した。反体制派は「アサド政
権が多くの軍人の信頼を失っている証拠だ」として、さらなる離反
を呼びかけている。

 今回離反したのは将官1人、大佐2人、少佐2人のほか、下級士
官や兵士ら30人以上で、それぞれが家族や親族を伴いトルコ側に
越境した。離反した将官がトルコに逃れたのは13人目。

 トルコ政府の庇護下にある自由シリア軍は、トルコ南部のシリア
国境付近に複数のキャンプを持ち、それらを拠点に、政府軍への越
境攻撃や国内の戦闘員への補給などを行っている。

 トルコは、3万人超のシリア避難民を国内に受け入れている。
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シリア反体制派に「給料」 サウジとカタール…てこ入れ鮮明に
2012.6.24 18:45サンケイ
 【カイロ=大内清】ロイター通信は23日、アラブ外交筋の話と
して、サウジアラビアとカタールが、内戦状態にあるシリアの反体
制派武装組織「自由シリア軍」の戦闘員らに「給料」を支払ってい
ると伝えた。対アサド政権強硬派であるサウジやカタールは、すで
に自由シリア軍などへの武器支援も行っているとみられており、反
体制派に対するてこ入れがさらに鮮明になった格好だ。

 給料支払いはサウジ、カタール両国と反体制派の合意に基づき4
月ごろから始まった。アサド政権側の軍兵士に離反を促すとともに
自由シリア軍の組織化を進め、イスラム過激派などの流入を防ぐ目
的だとしている。

 国連高官は今月、シリアが「内戦状態」にあると認めた。戦闘の
死者数は増加しており、政権側の攻勢に加え、サウジなどの支援を
受けたシリア国内の反体制派の戦闘能力向上も指摘されている。
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シリア、新内閣発足
2012-06-24 15:48:32CRI
 シリアのアサド大統領は23日、シリアの新内閣を任命しました。

 シリアのメディアによりますと、新たに就任したヒジャブ首相が
新内閣のリストを発表しましたが、内政相、外務相、国防相は留任
しました。また、今回の内閣には、民族和解事務省、国内貿易省、
水資源省が新たに設けられています。 

 新内閣では、シリア反政府派組織の「シリア変革・解放人民戦線
」のジャミリ代表が経済問題担当副首相兼国内貿易相に、反政府派
のハイダー議員が民族和解事務相にそれぞれ任命されました。
(劉叡、大野
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CIA、シリア反体制派の武器供与に関与 米紙報じる
2012.6.22 12:41サンケイ
 【ワシントン=犬塚陽介】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版
)は21日、米政府やアラブ諸国の情報当局者の話として、中央情
報局(CIA)の担当者が過去数週間にわたってトルコ南部に潜入
し、トルコなどが実施する複数のシリア反体制派組織への武器供与
について、どの組織に提供するのが適切かを決定する秘密作戦を展
開していると報じた。

 同紙によると、トルコやサウジアラビア、カタールなどが、トル
コとシリアの国境地帯から反体制派に自動小銃や手榴(しゅりゅう
)弾、対戦車ミサイルなどを供与している。

 CIA担当者は、武器が国際テロ組織アルカーイダに関係する組
織に渡ることがないよう確かめ、米政府として反体制派の実情を見
極める狙いも担っているとしている。

 同紙は米政府高官や元CIA職員の話として、米政府がシリア反
体制派に対し、衛星写真などを基にしたシリア政府軍の動向に関す
る情報提供も検討していると報じている。
(2012/06/21-23:36)
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トルコ外相は自国の戦闘機がシリア領空を侵犯したと認めたものの
、撃墜は公海上だと主張、シリア側はトルコ機を撃墜したのは射程
距離1.2キロの機銃で、領海内だと反論 
2012.06.25櫻井ジャーナル
 
 シリア軍に戦闘機を撃墜されたトルコのアフメト・ダブトオール
外相はシリア領空を侵犯した事実を認めたものの、攻撃を受けた場
所は公海上だったと主張、NATOはトルコ政府の要請でこの問題
を協議するようだ。ちなみに、自国船籍の「マビ・マルマラ」を公
海上でイスラエル海軍の特殊部隊が2010年に襲撃、9名が殺害され、
多数の負傷者が出ているが、このときよりトルコ政府は強硬だ。

 こうしたトルコ側の主張に対し、シリア政府は領空内で撃墜した
としている。イスラエルではロシア製の対空システム「パンチール
1」で撃ち落としたと伝えられているのだが、このシステムはミサイ
ル、機銃、レーダーがセットになっている。

 シリア政府によると、トルコ機は100メートルという低空でラタキ
アに向かって侵入してきた。ラタキアから90キロメートルの場所に
はソ連海軍の基地がある。たとえシリア機でも撃墜する状況にあっ
たというのがシリア側の主張だ。

 また、侵入機を撃墜したのはミサイルでなく機銃であり、その射
程距離は1.2キロメートル。トルコ側の主張はありえないともしてい
る。当初からシリア側は海岸線から1キロメートルの地点で撃墜した
としていた。撃墜された戦闘機の残骸はシリア領海内の深さ1300メ
ートルの場所にあるとも言われているが、それが回収されたなら明
確になるかもしれない。


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