4258.ギリシャ債務の結果が見えて



ギリシャの債務減免協議をめぐっては、このところ当局者から合意
間近との発言が相次いでいるが、しかし、暗礁に乗り上げているよ
うだ。そして、2次支援策はなくなった。  津田より

0.交渉経緯
ギリシャのベニゼロス財務相は、第2次支援をめぐる欧州連合(EU
)や国際通貨基金(IMF)との協議について、「重大な」問題を
解決する必要があるとの認識を示し、「12時間に及ぶ厳しい交渉
の結果、多くの問題を解決したが、その他の重大な問題は依然とし
て未解決だ」と、同国向け2次支援策をめぐるEU、IMFとの協
議が難航しているとした。 

ユーログループのユンケル議長(ルクセンブルク首相)も、1月30
日に行われた欧州連合(EU)首脳会議で示された債務危機への対
応は「概して不十分」とし、ギリシャ債務減免協議は「極めて困難
」との認識を示した。

要するに、同国の債務負担を約1000億ユーロ削減することを目
指し、価値の低い新たな国債と交換する方式で行うが、利率をめぐ
り交渉が難航しているのだ。ギリシャ政府が要請している新規国債
の利率4%以下の場合、削減率が70%超に達することに債権者が
猛反発している。 

このため、民間債権者が保有するギリシャ国債を強制的にカットす
る案が浮上している。ヘッジファンドなどの債権者が削減の枠組み
に参加せず、十分な遡源効果を得られていないため、強制カットに
踏み切れる方向で、欧州連合(EU)などからの第2次金融支援を
受けるようとしたが、この第2次金融支援も断られたということで
ある。

ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債大量償還を控える。
債務削減による「計画的なデフォルト」で合意できないと、2次支
援を受けられず、「無秩序なデフォルト」に陥り、金融市場が大混
乱しかねない。 

しかし、無秩序なデフォルトと認定されれば、倒産保険の一種であ
る金融商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」が発
動される可能性が高い。民間債権者の損失はカバーできるが、「(
CDSの引受先である)金融機関は損失を肩代わりしなければなら
なくなる」。

CDSの保険料も跳ね上がり、同様のリスクがあるイタリアやスペ
イン国債の大量売りを招くのは必至だ。強制カットは、“諸刃”の
リスクをはらんでいる。

1.ドイツの対応
ドイツでは、赤字削減の約束を守らないギリシャが予算をめぐる主
権の放棄に同意しないならば、同国への支援を拒否する考えを示し
ている。メルケル首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)の
経済問題広報担当のミヒャエル・フックス議員は30日のインタビュ
ーで、「ギリシャのただ乗りは終わりだ。外部からのコントロール
を受け入れないなら金融支援もなしだ」と発言した。

これに対しギリシャのベニゼロス財務相は、ギリシャの予算を監視
する特別委員を欧州連合(EU)に設ける提案について、「国家の
尊厳」に関わるとしてこれを拒否した。

また、ドイツのショイブレ財務相は、1300億ユーロ(約13兆円)強
の第2次ギリシャ支援でドイツなどの追加負担は不要だと述べ、「
以前に高い債券利回りを利用して十分な利益を得た」民間債権者が
貢献すべきだとした。

ショイブレ財務相は、また「ギリシャには新たなプログラムが必要
であり、その点については疑いの余地はない。だが、ギリシャ自身
がその条件を作らねばならない」と指摘。「われわれは底なしの穴
に払い込むことはできない」と述べた。

これに対して、仏バロワン財務相は、ギリシャの債務削減目標を緩
和する可能性を発言したが、フランスはドイツにギリシャの救済持
続を説得できないようである。

このため、ギリシャは依然としてユーロ離脱のリスクにさらされて
いると、ベレンベルク・バンクのホルガー・シュミーディング氏は
指摘する。「現行の同国の調整プログラムは失敗しつつある。過剰
な緊縮財政や供給サイドの改革の欠落、行政能力の欠如、政局の行
き詰まりでギリシャ経済は死のスパイラルに陥っている。同じ支援
を続けても機能しない」と。

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏も2日、モスク
ワで開かれた会議で、ギリシャはデフォルト(債務不履行)となり
、ユーロから離脱する公算が大きいとの見解を示した。

ギリシャは、一層の公務員の縮小を拒否しているので、ショイブレ
財務相などドイツの満足いく改革はできない。このため、第2次ギ
リシャ支援は実施されず、ギリシャはほとんど返済しない一番極端
な無秩序な債務不履行(デフォルト)になり、それに為替と財務の
自由性を確保するために、ギリシャはユーロ離脱をするしかないよ
うだ。それを市場も織り込み始めている。

このため、国際通貨基金(IMF)は欧州側に対し、現在7千億ド
ル(約53兆円)規模ある危機対策費用を、さらに5千億ドル(約
38兆円)程度積み増すよう求めていることでも、ギリシャを捨て
て、次のポルトガルと金融危機への対応分を積み増すように促して
いることが分かる。

そして、次の獲物であるポルトガル、欧州銀行倒産や日本に投資家
(ヘッジ・ファンド)の目が向いてきている。このため、日本政府
も消費税増税を早くする必要がある。

2.フランスの対応
日本の消費税増税ができないこととは違い、フランスのサルコジ大
統領は29日、同国の付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)
の標準税率を今年10月から、1・6ポイント引き上げて21・2
%とするを発表した。フランスも国債の格付がAA+に1段引き下
げられたことで、財政赤字を解消しようとしている。

しかし、今回の付加価値税の多くは、企業の社会保障費負担軽減に
あて、労働コスト引き下げを図る考えで、企業の法人税を引き下げ
るのと同じ効果が出る。このことで、企業の空洞化を止めようとし
ている。

3.英国の方向
EU会議が、1月30日に開催されたが、財政規律の強化を求める
新たな財政協定から金融取引税の導入問題、EUの特許や産業政策
に至るまで、英国とフランス・ドイツはあらゆる問題で対立してい
た。実際、英国はチェコとともに、新財政協定の受け入れを拒否し
た。

英国のキャメロン首相は、ダボス会議でも、フランスやドイツが提
唱している金融取引に対する課税案について、「(世界が)経済成
長の回復実現に苦労している状況で(金融取引税を)検討するのは
狂気じみている」と強く反対した。

EU自体も求心力から遠心力に向きが変わり始めた。特に英国はEU
から米国との協調関係を重視する方向になったようである。

4.米国の状況
欧州連合(EU)の欧州委員会が1日、ドイツとニューヨーク両取
引所の合併を認めない決定を発表したことを受け、ニューヨーク証
券取引所を運営する米NYSEユーロネクストは2日、ドイツ取引
所との合併合意を破棄する、と正式に発表した。米国とドイツ・EU
は徐々に離れる方向になり、米英とEUは徐々に経済システムをこ
とにするようである。

その米国は、1月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が24万3000人
増加し、失業率は8.3%と約3年ぶりの水準に低下した。このた
め、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日、米経済は加速
の兆しを見せていると指摘し、追加資産買い入れ(QE3)の必要
性はなくなるとした。

やっと、米国は経済成長が軌道に乗り始めた。ニューヨーク株式市
場の株価も上昇して、ドルも強くなり始めている。債券相場も続伸。
前日の米国債相場が下落した流れを引き継いで売りが先行したが、
午後発表の10年債入札が順調な結果だったことから買い安心感が広
がり、上昇に転じた。米国市場が元気になり始めた。

5.日本および世界
しかし、安住淳財務相は3日、外国為替市場で円高ドル安が進んで
1ドル=75円台が目前に迫っていることで、さらに円高が進めば
為替介入も辞さない考えを示した。

今後はドル高・円安になることは米国景気上昇で明白である。米国
景気の回復に対して、日本の景気はまだ本調子ではないことによる。

しかし、米国景気が復活すると、アジア諸国の景気もよくなり、日
本もアジアの景気がよくなると、回復することになる。

EUの景気はまだ当分低迷するが、米国の景気が回復に向かうこと
で、世界全体の景気が崩壊するなる心配をしなくて済む可能性が、
高くなっているようだ。

さあ、どうなりますか??
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ギリシャ第2次支援めぐる協議、重大な問題が未解決=財務相
2012年 02月 4日 09:27 JST 

[アテネ 4日 ロイター] ギリシャのベニゼロス財務相は、第
2次支援をめぐる欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)との
協議について、「重大な」問題を解決する必要があるとの認識を示
した。

財務相は記者団に対し「12時間に及ぶ厳しい交渉の結果、多くの
問題を解決したが、その他の重大な問題は依然として未解決だ」と
述べた。また「民間部門関与(PSI)は協議の中でも比較的容易
な部分だと言える」とした。

ベニゼロス財務相は、ユーロ圏財務相が4日午後に電話でギリシャ
問題について話し合い、8日に会合を開くことを明らかにした。

第2次支援の条件として求められている改革をめぐる連立各党党首
との協議については、4日に行うことを確認した。
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米経済に加速の兆し、追加緩和は不要に=地区連銀総裁
2012年 02月 4日 14:10 JST 

[ワシントン 3日 ロイター] 米セントルイス地区連銀のブラ
ード総裁は3日、米経済は加速の兆しを見せていると指摘し、追加
資産買い入れの必要性はなくなるとの見通しを示した。ブルームバ
ーグ・ニュースとのインタビューで語った。

総裁は「きょう発表された統計を含め、最近の経済ニュースや経済
指標は予想を上回っている」と述べ、追加量的緩和を検討するため
には「景気の著しい悪化や一定のデフレリスク、またはインフレが
目標を大幅に下回る状況を確認しなければならない」との立場を示
した。

米労働省がこの日発表した1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数
が24万3000人増加し、失業率は8.3%と約3年ぶりの水準
に低下した。

また総裁は、追加量的緩和を決定した2010年終盤と現在とでは
経済状況が変わっていると指摘。当時はインフレ率が極めて低水準
にあったため、FRB当局者はデフレスパイラルに陥るリスクを懸
念していたが、現在はそのような状況にはないとした。
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IMF、欧州に38兆円増額を要請 債務危機対策費
2012年2月4日3時2分

 欧州の政府債務(借金)危機を巡り、国際通貨基金(IMF)が
欧州側に対し、現在7千億ドル(約53兆円)規模ある危機対策費
用を、さらに5千億ドル(約38兆円)程度積み増すよう求めてい
ることが3日、わかった。欧州諸国は、危機対策の規模を拡大する
かどうかの議論を続けているが、増額の規模が明らかになったのは
初めて。

 関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。IMFは、危機に陥っ
た国を支援するためのIMFの資金基盤を、現状よりさらに5千億
ドル増やす方針を1月に公表している。IMFは、欧州も並行して
、危機対策費用の拡大に向けて努力すべきだとしていた。
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安住財務相、為替介入辞さぬ構え 投機的円買いを懸念
2012年2月3日10時52分

 安住淳財務相は3日の閣議後記者会見で、外国為替市場で円高ド
ル安が進んで1ドル=75円台が目前に迫っていることについて「
米国の金利低下を材料に思惑的・投機的な円買いの動きが強まって
いる。一方的な偏った動きがあれば断固たる措置を取る」と述べ、
さらに円高が進めば為替介入も辞さない考えを示した。
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NY証券取引所、ドイツの合併合意を破棄
2012年2月3日9時42分

 ニューヨーク証券取引所を運営する米NYSEユーロネクストは
2日、ドイツ取引所との合併合意を破棄する、と正式に発表した。
欧州連合(EU)の欧州委員会が1日、両取引所の合併を認めない
決定を発表したことを受けた措置。

 NYSEと、フランクフルト証券取引所などを運営するドイツ取
引所は昨年2月、合併に合意。しかし欧州委員会は、合併すると金
融派生商品(デリバティブ)の取引シェアが9割超となり、EU競
争法(独占禁止法)に違反するとの判断を示し、合併が難しくなっ
ていた。(ニューヨーク=畑中徹)
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ギリシャ債務問題、ECB関与や国内の改革支持など鍵に
2012年 02月 3日 07:32 JST 

[アテネ 2日 ロイター] ギリシャのベニゼロス財務相は2日
、同国の債務減免には欧州中央銀行(ECB)が関与する必要があ
るとの認識を示した。また、ギリシャ支援策は労働市場の改革や国
内銀行の資本増強など、他の問題の解決にもかかっていると指摘し
た。

ギリシャの債務減免協議をめぐっては、このところ当局者から合意
間近との発言が相次いでいるが、この日も欧州委員会のレーン委員
(経済・通貨問題担当)が、週末までに合意に達する公算が大きい
との見方を示した。

ユーロ圏は6日に財務相会合を開き、ギリシャ向け第2次支援策の
承認を目指す。同国向け融資や民間債権者が負担する損失の規模、
ギリシャが新たに実施すべき改革などについて協議する。
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ギリシャ債務協議は「極めて困難」=ユーログループ議長
2012年 02月 3日 07:08 JST 

[ルクセンブルク 2日 ロイター] ユーログループのユンケル
議長(ルクセンブルク首相)は2日、1月30日に行われた欧州連
合(EU)首脳会議で示された債務危機への対応は「概して不十分
」とし、ギリシャ債務減免協議は「極めて困難」との認識を示した。

ユンケル議長は、各国首脳は向こう数カ月の間にユーロ圏の財政規
律強化に向け一段の政策を講じ、債務危機収束に向けさらに努力す
る必要があると述べた。

ギリシャ政府と国際金融協会(IIF)を代表とする民間債権者は
、同国の債務負担を約1000億ユーロ削減することを目指し、約
7カ月間協議を続けてきた。数日内に合意に達し、6日のユーロ圏
財務相会議で承認される可能性がある。

ただ、同会議までにすべての詳細がまとまるかは不透明なままだ。
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ギリシャ債務削減大詰め 強制カット浮上、デフォルト認定で暴落
連鎖も 
2012.2.3 01:00 サンケイ

 欧州債務危機の元凶であるギリシャの債務削減をめぐり、ギリシ
ャ政府と民間債権者の合意期限が週内に迫る中、民間債権者が保有
するギリシャ国債を強制的にカットする案が浮上している。ヘッジ
ファンドなどの債権者が削減の枠組みに参加せず、十分な遡源効果
を得られない恐れが高まっているためだ。強制カットに踏み切れば
、欧州連合(EU)などからの第2次金融支援を受けられる。だが
、実質的なデフォルトと認定され、イタリアやスペインなど他の重
債務国でも同様の事態になるとの不安から国債が暴落し危機が深刻
化する懸念もある。 

 銀行などの民間債権者が保有するギリシャ国債は元本で計2000
億ユーロ(約20兆円)に上る。EUは昨年10月、ギリシャへの
1300億ユーロの2次支援の条件として、国債の元本を50%削
減することで合意した。削減は価値の低い新たな国債と交換する方
式で行うが、利率をめぐり交渉が難航している。ギリシャ政府が要
請している4%以下の場合、削減率が70%超に達することに債権
者が猛反発いているためだ。 

 先月30日のEU首脳会議では、業を煮やしたファンロンパイEU
大統領が「今週末までの合意を目指しあらゆる手段をとる」と、早
期合意を要請した。 

 これに対し、民間債権者の一部は「あくまで自主的な取り組みで
あるべきだ」とし、削減の枠組みに参加しない意向を示している。
このため、合意に達したとしても、財政再建に必要な削減規模に達
しない可能性がある。 

 ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債大量償還を控える。
債務削減による「計画的なデフォルト」で合意できないと、2次支
援を受けられず、「無秩序なデフォルト」に陥り、金融市場が大混
乱しかねない。 

 このため、ギリシャ政府やEU、国際通貨基金(IMF)は、全
体の3分の2程度の合意を取り付け、すべての債権者に一律で適用
する「集団行動条項」と呼ばれる手法を検討している。 

 だが、強制カットに踏み切れば、「一定の秩序は保たれるが、市
場参加者が『国家の破綻』と見なすリスクは否定できない」(大和
総研の山崎加津子シニアエコノミスト)。 

 デフォルトと認定されれば、倒産保険の一種である金融商品「ク
レジット・デフォルト・スワップ(CDS)」が発動される可能性
が高い。民間債権者の損失はカバーできるが、「(CDSの引受先
である)金融機関は損失を肩代わりしなければならなくなる」
(SMBC日興証券の嶋津洋樹シニアマーケットエコノミスト)。
CDSの保険料も跳ね上がり、同様のリスクがあるイタリアやスペ
イン国債の大量売りを招くのは必至だ。強制カットは、“諸刃”の
リスクをはらんでいる。 
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債券続伸、10年債入札の順調な結果で買い安心感−午後上昇に転じる

2月2日(ブルームバーグ):債券相場は続伸。前日の米国債相場
が下落した流れを引き継いで売りが先行したが、午後発表の10年債
入札が順調な結果だったことから買い安心感が広がり、上昇に転じ
た。
パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長
は、「10年債入札は非常に好調だった。応札倍率は前回の2.99倍か
ら上昇し、思ったよりも需要が大きかった。需給が良いとの見方が
強まり、7−10年ゾーンを中心に買いが入った」と話した。
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ギリシャのユーロ残留は困難、第2次救済後も−エコノミストが指摘 

2月2日(ブルームバーグ):ギリシャは依然としてユーロ離脱の
リスクにさらされていると、ベレンベルク・バンクのホルガー・シ
ュミーディング氏は指摘する。同国は第2次救済策の合意を数日内
に取り付けようと苦戦している。 

ギリシャはさらなる支援なしでやっていくにはあまりにも過剰な債
務、低成長、大幅財政赤字を抱え続ける可能性がある。しかもドイ
ツを中心とするユーロ圏諸国は同国への支援の提供に一層消極的に
なっている。 

少なくとも1300億ユーロ(約13兆円)の追加融資を受けるために求
められる一段の歳出削減、および経済改革に対する同国内の反対を
背景に、第2次救済パッケージが投入されても効果は抑制されるリ
スクがあるとエコノミストらは話す。今回の合意案には2000億ユー
ロ余りの同国債を、民間債権者による自発的な新発債への交換を通
じて額面で50%減免する案も含まれる。 

シュミーディング氏は先月30日のリポートで、「ギリシャは深刻な
状況に陥っている」と指摘。「現行の同国の調整プログラムは失敗
しつつある。過剰な緊縮財政や供給サイドの改革の欠落、行政能力
の欠如、政局の行き詰まりでギリシャ経済は死のスパイラルに陥っ
ている。同じ支援を続けても機能しない」と記述した。 

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は2日、モスク
ワで開かれた会議で、ギリシャはデフォルト(債務不履行)となり
、ユーロから離脱する公算が大きいとの見解を示した。 

同氏は「ギリシャはどうしようもない状況に陥っている」とし、「
彼らは債務不履行に陥る。実際には既に陥っている。問題は彼らが
ユーロを離脱するかどうかで、現時点では離脱しないよりかは離脱
する可能性が高いと考える」と続けた。
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ショイブレ独財務相:ギリシャが公約果たせば債務危機への対処可
能に

  2月2日(ブルームバーグ):ドイツのショイブレ財務相は、
ギリシャが経済調整プログラムの下で公約を果たせば、債務危機に
対処できる可能性はあるとの見解を示した。
  ショイブレ財務相は2日に独テレビ局N−TVとのインタビュ
ーで「ギリシャには新たなプログラムが必要であり、その点につい
ては疑いの余地はない。だが、ギリシャ自身がその条件を作らねば
ならない」と指摘。「われわれは底なしの穴に払い込むことはでき
ない」と述べた。
  同相はさらに、1300億ユーロ(約13兆円)強の第2次ギリシャ
支援で公的部門の追加負担は不要だと述べ、「われわれがいずれに
せよ全てを背負っているからだ」と説明。「以前に高い債券利回り
を利用して十分な利益を得た」民間債権者が貢献すべきだとした。
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ギリシャ債務減免目標緩和も=仏財務相が示唆
 【パリ時事】フランスのバロワン財務相は31日の国民議会(下
院)で、債務減免をめぐるギリシャ政府と民間債権者との交渉に関
連し、交渉が妥結すれば2020年時点でギリシャの債務残高は「
国内総生産(GDP)比で120%ないし125%になる」と表明
した。昨年10月にまとまった対ギリシャ第2次支援は、同国の債
務残高を現行のGDP比160%から120%に引き下げるとして
おり、バロワン財務相の発言は、この目標が緩和される可能性を示
唆したと受け止められている。(2012/02/01-06:06)
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政治的対立隠したEU首脳会議、水面下では亀裂拡大
2012年 01月 31日 15:00 JST 

[ブリュッセル 30日 ロイター] 30日開催された欧州連合
(EU)首脳会議では各国首脳がお互いに笑顔や握手を交わし、債
務危機対応に追われた昨年12月の前回会合のような刺々しさは感
じられなかった。だが、水面下では、表面的な笑顔では覆い隠せな
いほど深刻な政治的溝が広がっているようだ。

今回は首脳会合に先立ち、メルケル独首相、サルコジ仏大統領、モ
ンティ伊首相が「個人的」に30分会談。その後、3首脳はジョー
クを飛ばしながら肩を並べて首脳会合が開催される部屋に向かった。

英国のキャメロン首相もテレビカメラの前でわざわざサルコジ仏大
統領に歩み寄り、握手を交わした。昨年12月9日に行われた前回
の首脳会議で、新たな財政協定をめぐる英仏の見解の相違からサル
コジ大統領とキャメロン首相が激しく対立した記憶を払拭しようと
したに違いない。

しかし、両首脳の「和解」は持続しなかった。サルコジ大統領とキ
ャメロン首相の食い違いはすぐに表面化。スペインなど一部の国は
、緊縮策が過度に重要視されることに懸念を表明した。ポーランド
をはじめとする一部の東欧諸国は、債務に関する厳しいルールを定
めた新財政協定に参加するにもかかわらずユーロ圏首脳会議に出席
できないことに、強い不満を示した。

サルコジ仏大統領とキャメロン英首相は個別に開いた記者会見でお
互いをファーストネームで呼び合い、両者の間に緊張や不一致があ
るとの見方を否定しようと努めた。

だが、財政規律の強化を求める新たな財政協定から金融取引税の導
入問題、EUの特許や産業政策に至るまで、英国とフランスはあら
ゆる問題で対立している。実際、英国はチェコとともに、新財政協
定の受け入れを拒否した。

キャメロン首相は記者団に対し「自分はサルコジ大統領の支持者で
あり、友人だ。彼は時々、私が同意できないことを言う。きょう、
彼は英国には十分な産業がないと言ったが、実際は英国の産業セク
ターはフランスより大規模だ。しかし、われわれはそんなことを気
にしない」と語った。

サルコジ大統領もキャメロン首相との不和を否定しながらも、英国
の産業に関する発言について「私は誰も怒らせたくないし、誰をも
不安にさせたくない。誰かを挑発したつもりはない」とコメント。
その上で「私は、われわれの友人である英国が特に金融サービスを
中心とするサービスセクターを優遇する道を選んだことを指摘した
かっただけだ。それは、彼らがやはりわれわれの友人である米国と
歴史的なつながりがあることを反映した尊重すべき選択だ」と述べ
た。
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ギリシャ:予算の「主権放棄」迫るドイツに「国家の尊厳」賭け抵抗

  1月30日(ブルームバーグ):ドイツでは複数の幹部議員が、
赤字削減の約束を守らないギリシャが予算をめぐる主権の放棄に同
意しないならば、同国への支援を拒否する考えを示している。
  メルケル首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)の経済
問題広報担当のミヒャエル・フックス議員は30日のインタビューで
、「ただ乗りは終わりだ。外部からのコントロールを受け入れない
なら金融支援もなしだ」と発言した。
  CDUで予算関連のスポークスマンを務めるノルベルト・バー
セル議員も、今週公表予定の国際機関の報告でギリシャが追加支援
の条件を満たしていないことが示されれば、予算に関し外部からの
拒否権を受け入れる以外に選択肢はないだろうとの見方を示した。
  同議員は「ギリシャをユーロ圏にとどめるためにわれわれはで
きるだけのことをするが、ギリシャが目標を達成し損なってばかり
いるのでは前進する道筋が見えない」と語った。
  ユーロ圏首脳らは、救済プログラム下で約束した財政目標を達
成できない国に対する政策対応を検討している。独政府のコットハ
ウス報道官がベルリンでの記者会見で述べた。

         ギリシャ「国家の尊厳」
  ドイツの与党議員らはギリシャに財政をめぐる主権の一部を放
棄するよう迫っている。これに対しギリシャのベニゼロス財務相は
、ギリシャの予算を監視する特別委員を欧州連合(EU)に設ける
提案について、「国家の尊厳」に関わるとしてこれを拒否した。
  第2次ギリシャ救済は債務減免に関する民間部門との合意およ
び同国の財政再建の進展に関するEUの欧州委員会、欧州中央銀行
(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表団、通称トロイカによ
る肯定的な報告が条件。約300億ユーロの新規支援がこの報告にかか
っている。報告書は今週公表される公算。
  第2次ギリシャ救済の必要額は1450億ユーロに膨らんでおり、
昨年10月の合意を150億ユーロ上回る可能性があると、独誌シュピー
ゲルが28日にトロイカの当局者の話を基に伝えていた。 
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サルコジ大統領、付加価値税の増税を表明

 【パリ=三井美奈】フランスのサルコジ大統領は29日、地元テ
レビとのインタビューで、同国の付加価値税(VAT、日本の消費
税に相当)の標準税率を今年10月から、1・6ポイント引き上げ
て21・2%とする方針を発表した。

 また、8月には0・1%の税率で金融取引税を導入すると表明した。

 仏のVAT標準税率は現在、19・6%。今月から5・5%から
7%に引き上げられた食料品などに適用される軽減税率については
、そのまま据え置かれる。

 大統領はVAT増税で得た税収を、企業の社会保障費負担軽減に
あて、労働コスト引き下げを図る考えを示した。大統領の計画では
、VAT増税による130億ユーロの増収分を「家族手当」の企業
負担引き下げに充てる。高負担が企業の国外流出を招いているとの
認識からで、「国内産業は空洞化しつつある。(VAT増税は)こ
れを食い止める唯一の確かな方法だ」と訴えた。
(2012年1月30日11時08分 読売新聞)
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金融取引税は「狂気」=欧州経済に打撃−英首相
 【ダボス時事】キャメロン英首相は26日、世界経済フォーラム
の年次総会(ダボス会議)で演説し、フランスやドイツが提唱して
いる金融取引に対する課税案について、「(世界が)経済成長の回
復実現に苦労している状況で(金融取引税を)検討するのは狂気じ
みている」と改めて強く反対した。(2012/01/27-06:11) 


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