4242.今後必要な一体改革について



野田首相の危機感は、国債金利上昇で、国家予算が組めないことに
なるということで一体改革が開始したはずだ。

その原案である「社会保障と税の一体改革の素案」と称しながら、
子育て支援、医療・介護サービス、貧困・格差対策などの強化、就
労促進の実現を挙げて、新たな制度を作ろうとしている。その上に
12年度予算には、診療報酬が小幅に増額や整備新幹線の未着工区
間も認可され負担増になっている。

これでは増税が新たな制度や負担に使われて、何のための増税か分
からなくなり、よってプライマリーバランスも取れない。現状の予
算状況でも、15年10月に10%に引き上げた後に、さらに約7%も引
き上げなければならないのに、それ以上の増税が必要になる。これ
では国債償還どころか国債増大が止まらないことになる。

財政再建に向けた改革には、経済成長戦略と歳出・歳入の一体改革
であるはずが、社会保障改革で新たな制度や仕組みを作り、改革と
は真逆な無駄を生む方向になっている。歳入を図るとともに歳出も
削り、小さな政府にしないと実現できないのに逆行している。

もう1つが、歳入の増加に寄与する成長戦略がないことで、これで
は財政再建ができない。

名目GDPが長期に成長しないのは、人口減少によるので、この根本的
な原因を解消する必要がある。このため、成長戦略の基礎は、労働
人口減少への対応処置で、これに対して子供支援しかない。しかし
、団塊ジュニア世代の少子化がここまで来ると、今後一番必要なの
が、選択的な移民政策である。技術者や有識者などの選択的な移民
政策であるが、移民政策は欧州で失敗としていることを踏まえると
、民族、宗教も選択するべきなのだ。

日本人の祖先は、揚子江下流域で米作していたが、北からの侵略者
に追われて大量に日本へ移民してきたことは確実である。この揚子
江中流域には越国人がいて、これが現在のベトナム人になり、もう
1つがタイ族で、この人たちがタイ人とラオス人になっている。

この人たちと日本人は、律儀で、確実に約束を守り、穏やかな米作
人固有の考え方が似ているし、農作で必要なために手も器用である。
この系列としては、ブータンやネパール人も同様であり、彼らは揚
子江上流域に居て、タイ人や越人の侵略で、インド山岳地域まで退
避したのである。この人たちを選択的な移民候補にして、そこに医
学校や看護学校、技術者学校を無償で建て、優秀な人を日本に移住
させることも考えるべきである。

すでに、国債消化が危ない状態になってきた。民間銀行が国債から
逃げ始め、売越しが続いている。ユーロ危機を見て、日本国債も危
ないと意識し始めたようだ。国債の金利上昇が想定より早く来る可
能性が出ている。

5月には国債の金利上昇が始まり、クルーグマン教授の国債金利が
安い間、財政出動政策の前提もなくなるようだ。

この状況になっても、リベラルで労働組合をベースにした今の民主
党議員たちには、社会保障費の拡充に多大な予算が使われて、より
大きな政府にしてしまいプライマリーバランスを取ることができな
いようである。

しかし、野田首相が危機感を持ち、消費税増税といっても自民党も
公明党も自党の案もないようである。国会議員全体に危機感が不足
しているように感じる。

みんなの党も小さな政府とは言わないので、消費税増税は賛成でも
、歳出の絞り込みができないようである。

消費税増税賛成で、歳出も絞込み、国家的な危機を乗り切る政策を
掲げる政党が、今ほど必要になった時代もない。ほとんど政党が、
現時点の制度を維持するだけの政党になり、今後100年を考えた
政策を打ち出せないようだ。これでは江戸幕末期と同じような時代
になっていたと思える。

どうか、その幕末期を終わらせる政党が出てきて、今後100年間
を見通した政策を打ち出し、改革を行ってほしいものである。政界
再編をして、この政策需要に答えてほしいものである。

さあ、どうなりますか?

==============================
20年度黒字化は困難に 成長戦略も見えず 
基礎的財政収支 
2012/1/20 2:00nikei 

 政府がまとめた経済財政の中長期試算によると、国と地方の基礎
的財政収支を2020年度に黒字化する目標には、財源が18兆円足りな
い。黒字化に必要な財源をすべて消費増税でまかなうと、15年10月
に10%に引き上げた後に、さらに約7%も引き上げなければならな
い。財政再建の厳しさが改めて浮き彫りになっている。 

 国際公約の「看板」は二重の意味で揺らいでいる。まず、社会保
障と税の一体改革の素案に基づいて消費税率の段階的な引き上げを
織り込んでも、赤字半減は16年度へ1年ずれ込み、20年度の黒字化
も遠い。一体改革そのものも与野党合意の糸口はみえず、先行きは
不透明だ。 

 野田佳彦首相は財政健全化と成長率の底上げの両立を掲げるが、
その道筋はみえない。事実上の標準シナリオとなる慎重な想定では
、前回の試算よりも成長率を低く見積もった。昨年末にまとめた「
日本再生の基本戦略」で目標とする名目3%、実質2%成長を前提
とする「楽観シナリオ」でも財政収支の見通しを試算したが、成長
戦略は具体化できていない。環太平洋経済連携協定(TPP)をは
じめとする経済連携も進んでいない。 

 12年度予算案では診療報酬が小幅に増額となり、整備新幹線の未
着工区間も認可された。負担増への配慮から財政規律が緩む兆しも
ある。 

 健全化の「国際公約」と経済や財政の実態がこれ以上かけ離れる
前に、政府は成長力の底上げに向けた施策や歳出入の改革で、着実
に成果を出すことが求められている。 
==============================
東海地区の地銀:国債暴落に備え、融資先拡大に躍起 

 東海地区の地銀が愛知県内で店舗を拡大している。大企業などの
優良貸出先が少ない地銀は、政府が発行する国債の有力な引き受け
手だが、欧州債務危機の余波で日本国債の安全性を疑問視する声が
強まっている。各行は新たな融資先の開拓や農業金融など新分野へ
の進出で、運用資金の国債依存を減らし、国債価格暴落のリスクに
備える方針だ。 

 東海最大の十六銀(本店・岐阜市)は4月に、富裕層が多い名古
屋市千種区星が丘元町に支店を開設し、9月には吸収合併する岐阜
銀から愛知県内の8支店を引き継ぐ。県内店舗を約50に拡大し、
県内店舗数首位の名古屋銀の約半分に迫る。十六銀の堀江博海頭取
は「愛知県は優良な製造業が集積し、効率的に融資や預金を増やす
ことができる」と話す。 

 百五銀(津市)は今秋、名古屋市緑区に大高支店を開店し、今後
も毎年1店のペースで愛知県内に新規出店する方針だ。老人ホーム
など介護や農業ビジネス参入の支援をする専任者を本店に置き、開
業資金の貸し出しを増やす。同行は「資金ニーズのある市場で貸出
金を増し、結果として国債に振り向ける資金を圧縮できる」と話す。 

 一方、名古屋銀(名古屋市)は昨秋、中国・南通市に支店を開店
し、円高を背景に自動車関連など国内企業の資金ニーズが海外向け
にシフトしていることに対応している。三重銀も海外進出する中小
企業への融資を増やすため、支店の法人営業担当者を増やす。 

 地銀は大手行に比べて大企業などの安定した大口の貸出先が少な
く、余った資金の多くを国債に投資してきた。中京銀幹部は「財政
赤字の規模から見て、海外の投機筋が日本国債を売り浴びせ、価格
が暴落するリスクはゼロではない。国債頼みの経営からの転換は避
けて通れない」(幹部)と説明する。
【工藤昭久、丸山進】 毎日新聞 2012年1月20日 2時35分

コラム目次に戻る
トップページに戻る